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No.7197の一覧
[0] 異世界の混沌 [三月十二日完結][榊 燕](2009/03/12 00:10)
[1] 異世界の混沌 プロローグ[榊 燕](2009/03/08 01:07)
[2] 異世界の混沌 第一話[榊 燕](2009/03/08 01:55)
[3] 異世界の混沌 第二話[榊 燕](2009/03/09 20:32)
[4] 異世界の混沌 第三話[榊 燕](2009/03/08 15:22)
[5] 異世界の混沌 第四話[榊 燕](2009/03/09 20:34)
[6] 異世界の混沌 第五話[榊 燕](2009/03/12 00:06)
[7] 異世界の混沌 第六話[榊 燕](2009/03/12 00:04)
[8] 異世界の混沌 エピローグ[榊 燕](2009/03/12 00:05)
[9] 異世界の混沌 感謝の言葉。[榊 燕](2009/03/12 00:09)
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[7197] 異世界の混沌 第四話
Name: 榊 燕◆972593f7 ID:e298aa1b 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/03/09 20:34
     第四話~これぞ冒険の醍醐味だよね!~





 今日も今日とていつもどおりに旅をつづける日々です……。
 というわけではなく、今日は何とこれまで結構長い間過ごしてきたにもかかわらず、危険だからと絶対に許可が下りなかったダンジョンに行く事になりました。
 凄く嬉しいです!
 正直今まで行きたくて行きたくてしょうがなかった。
 でも……こっそりのぞきにった瞬間見つかり、悪鬼の如く怒るララさんとレイラさんが怖くてそれ以来いけなくなってたんだよなぁ。
 ……あの時の二人は怖かった……それ以上にそれほどまでに心配してくれる人がいるって事が嬉しかった……けど、それは秘密だ。
 そして先日、漸くレベルが30になったのをきっかけに、初級のダンジョンに行ってみようかという事になったのだ。
 だけど……僕とララさん、レイラさんの三人では厳しいかもしれないという。
 ……初級ダンジョンなのにそれほど?
 僕はそう思ってしまった。
 だって、僕はまだレベル30だけど、ララさんはレベル今55だし、レイラさんにいたっては69だ。
 もう少しで70になる位でかなり強い……と僕は思っていた。
 それだというのに初級のダンジョンですら未だ厳しいという。
 まず、二人だけなら挑まない、三人いても未だ僕の実力じゃ多少ましになる程度でしかない。
 だから一緒に行ける人がいないか近くの街のギルドに訪れたんだ……。
 酷く驚いたね。
 久しくもどっていなかったせいか、凄く懐かしい顔に出会った。
 だから思わず声をかけちゃったよ。

  「セルビアさん!?どうしたんですかこんなところで……。」

 そう、僕が見かけたのはセルビアさんだ。
 最果ての村の警備団副リーダーのセルビアさん……何でそんな人がここにいるんだろう?
 そんな僕の声を聞いて振り返ったセルビアさんは、あちらも驚いたように、どこか嬉しそうに返事をしてくれた。

  「ああ、エン君!しばらく帰ってなかったから心配してたんだよ?でも元気そうでよかったよ。私は今恋人探しをしているところなんだ。時々こうやって長期の休暇をいただいては遠出して探しているのだよ。」

 それがなかなか見つからなくてねぇ……等と言いながら笑っているが……本気(マジ)ですか?
 思わず不思議そうなというか、不可解そうな表情をしていたんだろう、苦笑を洩らしながらセルビアさんがどうしてそんな事をしているかを言ってきた。
 ……なるほど……とうなずけるものではないが、なんとなく理解はできる。
 …………うん、僕ももしかしたらセルビアさんと同じ事をしていたかもしれないから共感もできるね。
 でも、実際やってないぼくからしてみると、おかしなことをしてると感じちゃうんだけどさ。
 そんな風に僕とセルビアさんが話していると、後ろからララさんとレイラさんが紹介してくれないのかしら?
 と言って肩を叩いてきた。
 いけねぇ。
 忘れてた……、そう言いながらセルビアさんにララさんとレイラさんを紹介する。
 お互いほのぼのと自己紹介をしていたのに、レイラさんと握手をしている瞬間お互いに何かが通じ合ったかのようにうなずいた。
 ……何が起こった?
 僕は不思議そうに彼らを見つめると、突然「解るよ、マサキさんよ本当に凄いよね。」とセルビアさんが呟いた。
 突然の事に驚いていると、「本当にそうですね、出来る事なら私も共に居たいものですが……。」とレイラさんが返してお互いいい笑顔でほほ笑み合うと改めてがっしりと握手を交わした。
 …………うん、そういやセルビアさんてマサキさん信者だったよなぁ……そして振られたというか、気付いたら振られたのと同じ状態になっていたレイラさんだが、未だ執念深く諦めずに虎視淡々と隙を狙うほどのマサキさん信者だ。
 お互い……そのあたりがきっと通じ合ったんだろう。
 少し引きながら僕とララさんは知らない人のふりをしてその場所から少し離れた。
 しばらく二人はマサキさん話を繰り広げた後正気に戻ったらしく、二人揃って恥ずかしそうに僕達のところに戻ってきた。
 ……本当にそんなところまで似た者同士なんですね?
 正直お似合いですよ?
 ってか、セルビアさんの恋人レイラさんでいいんじゃないですか?
 マサキさん狙うよりずっと確率高いし、気があってるようだしいいと思うだけどなぁ。
 ……まぁ僕がいう事でおないし、なるようになるか。
 そんな事を考えているうちにふと、ある事を思い出した。
 確かセルビアさんて強いんだよなぁということをだ。
 マサキさんから聞いた話じゃ村の中で一番強いのがセルビアさんだという。
 だから少し迷惑ならいいんですけどと前置きを言いながらセルビアさんにレベルを訪ねてみた。

  「私ですか?今はえっと……ああ此処に来る前に上がったので98ですね。」

 絶句した。
 三人ともだ。
 三人とは僕とララさん、レイラさんの三人だ。
 セルビアさんはNPC……そしてNPCの最高レベルが100。
 そしてレベル90を超えたNPCはこの世界の中で、NPCだけの中じゃ最強の部類に入る。
 中央に街というか城というか王国というかそんなものがあるんだけど、そこに所属する騎士団の平均レベルですら70前後。
 そして彼等はこの世界で最強の騎士団だといわれている。
 そしてその騎士団を率いてるのが最強の二つ名を手に入れた騎士団長……レベルがそれでも91だ。
 ……このレベルNPCの場合90を超えてからの上がり方は異常の一言だ。
 だって、普通にレベル89まではステータスの上限100を超える事がない。
 オールステータス100を超えた時点でレベルが90となるのだ。
 そして……そこからが鬼なのだ……。
 僕達プレイヤーはまだ全然そのあたりじゃレベル比較的上げやすいっていうのも変だけど、そこまで異常じゃない、ただセルビアさん達みたいなNPCの人が90から91にあげるのに必要なステータスというのが……オールステータス130以上。
 そしてステータスは100を超えてからの上がり方はおかしな位遅い。
 むしろ遅すぎる……だからこそそこまでいける人等めったにいないのだが……。
 この人一体何者なんだ?
 レベル98とかって一体どれだけステータス高いんだよ。
 今レイラさんだって、プレイヤーという強みがあってもレベル69でオールステータスようやっと110を超えたあたりだ。
 プレイヤーだってステータスは上がれば上がるほど上がりにくくなるんだから最初みたいにガンガンあがらないんだよ。
 ……正直……あの村にセルビアさんみたいな化け物がいるとは予想もしていなかった……。
 思わず絶句している僕達を見て苦笑を洩らしながら、とんでもない事を言ってきた。

  「確かに私は村の中でも一番レベル高いですけど、警備団の皆平均レベル85以上ですよ。半数は90前後ですね。だからたいして村の中でも可笑しいというわけじゃないんです。だからそんなおかしな顔しないでくださいよ。」

 どうやら少し勘違いをしているらしい。
 村の中で一番強いといわれていたから、それゆえに絶句していると……気付けよ。
 レベル聞いた瞬間絶句したんだから、そのレベルの高さが可笑しいんだって気付いた方がいいですよ?
 だけどセルビアさんはどうしてもそのあたり無頓着というか全く気付かない。
 ……だからズバッと言ってみた。

  「いやいや、セルビアさんのレベルがおかしなレベルだから驚いたんですよ。っていうよりも村の警備団の皆がそんなにレベル高いとか初めて知りましたよ……。」

 僕がそういうと、セルビアさんは少し眼を丸くして「レベルが高い……ですか?」と言って不思議そうにしている。
 あれ?
 何か……可笑しいな?
 僕はそう思ってセルビアさんに「高いですよね?」と改めて不思議そうに聞いてみた所……この人どうもプレイヤーとNPC一緒だと思っているみたいだ……レベルの上限が。
 プレイヤーに関して言えばレベルの上限果たしてあるのかどうか不明だ。
 今現在最高のレベルが401だと、前に掲示板に乗っていた。
 最高レベルの強いプレイヤーたちは大抵レベル150~200前後だという事も。
 それらの話をセルビアさんも聞いたらしい。
 それを聞いてレベルもこれくらいなら高くなってきたものの、まだまだ凄いと思われるほどじゃないと思っていたらしい。
 セルビアさんてきにどれくらいのレベルならそう思うのか興味本位で聞いてみたら……。

  「そうですね……250を超えれば凄いんじゃないかと思います。」

 とさらっと答えた……。
 なんだかなぁ……少しいいずらくなってしまった。
 セルビアさんの場合上限のレベルが100ですよ……と。
 だけど……黙ったままでは流石にいられないだろう……から正直に打ち明けた。
 結構ショックを受けていたようだが、比較的直ぐに立ち直った。
 そんな様子が不思議で僕は思わず大丈夫なんですかと聞いてしまったんだけど、セルビアさんの答えはこんなものだった。

  「確かにショックでした……ですが、私はこんなもの眼じゃないくらい悪い条件なのに、あがき続け、努力を続け、今だ前に進もうとしている人を知っています。確かに私のレベルの上限は100かもしれません、ですが諦めず続けていけばもしかしたら先に進めるかもしれません。ならば最後の最後のその時までは頑張ろうと改めて思ったんですよ。」

 そう言っていい笑顔で僕に笑いかけてくる……思わず……見惚れてしまった。
 尊敬……した。
 僕はそんな考えを持ったことなんて今の今まで一度もない。
 でも……そう思えるように慣れれば凄いなぁ……凄くいいなぁと思った。
 だから……そんな考えのセルビアさんに憧れをもったとしても、誰も文句などいえないだろう。
 だからか、僕は思わずそう言ってしまったのだ。

  「セルビアさんさえもしよければ、これからダンジョンに潜るの手伝ってもらえませんか?」

 とね。
 セルビアさんは少し驚いたように僕見ると、三人のレベルを聞いてきた。
 素直に答えていくと少し困ったように笑い、本当に時々、無茶をしようとするところは似ていますね……と言いながらいいですよと言ってくれた。
 セルビアさん……何とこのダンジョン最深階まで一人で潜って帰ってこれるらしい。
 ……もうララさんとレイラさんはきれを通り越して……あれ?
 ん~あれ?
 呆れを通り越して……尊敬のまなざしでみておりますね?
 いきなり……変わりすぎでしょう……。
 まぁ解らないでもないけどさ。
 そんなこんなで僕は念願のダンジョンに挑む事が出来たのでした。
 と……ダンジョンにいざ潜ろうと思った時、改めて各自の自己紹介をしておいた。
 名前は解るけど、職業やレベル、ステータスは言ってなかったからだ。
 ステータスによって戦い方が変わるのでまず僕から始まる、ララさんレイラさんが続いた。
 三人のステータスは今現在こんなところだ。


     ――――――――――――
     名 前:エン
     職 業:盗賊 R8
     レベル:30
     STR:66
     VIT:63
     AGI:90
     DEX:73
     INT:60
     ――――――――――――

     ――――――――――――
     名 前:ララ
     職 業:戦賊  R3   
     レベル:55
     STR:105
     VIT:110
     AGI:115
     DEX:90
     INT:85
     ――――――――――――

     ――――――――――――
     名 前:レイラ
     職 業:魔賊 R4
     レベル:69
     STR:112
     VIT:109
     AGI:125
     DEX:118
     INT:119
     ――――――――――――


 うん、やっぱり僕のステータスまだ低いなぁ。
 そして……とうとう気になっていたセルビアさんのステータスだ。


     ――――――――――――
     名 前:セルビア
     職 業:精霊弓使い R9
     レベル:98
     STR:220
     VIT:225
     AGI:240
     DEX:250
     INT:245
     ――――――――――――


 うっはぁ……圧倒的に強いぞこれは……。
 いやさ、レベルが上がればこれより強くなれるけど……それにしてもNPCの割には強すぎるんでないかな?
 流石……最強レベルの90代……その上後半だけある。
 これだけのステータスがあればこのダンジョンも余裕な訳だな……ってそりゃそうだろう!
 とりあえず……僕はそのステータスの余りの高さに驚いていたんだけど、ララさんとレイラさんは職業で驚いていた。
 精霊弓使い……レイラさんが言うには、特殊職ではないものの、上位職の中の隠れ職らしい。
 未だに数名しか存在しているのを確認していない職業だという……。
 何処まで凄い人なんだこの人……。
 流石……長い間生きている訳じゃないってことかぁ。
 等と三人で感心していると、セルビアさんが後ろからさぁ行きましょうと言って促してきた。
 セルビアさんは僕達のフォロー役だ。
 セルビアさんなら一人でも問題ないという事で、何か危なくなったときにフォローしてくれる……そういう話になった。
 そうして……僕はダンジョンに初めて潜れることになった。





 このダンジョン階層は余り深くない。
 五階層だ。
 今現在二階層め……モンスターは……やっぱり強かったけど何とかなるレベルだ。
 ダンジョンの中を松明の光を頼りに進んでいく。
 行き止まりだ……だけど、行き止まりだからと言ってそこに何もないと決め付けるのはよくない。
 だから僕達は三人手分けしてそこに何もないかを調べてみる……っと……あった。

  「ララさん、レイラさんこれ解除できますか?」

 僕にはまだ罠解除のスキルはない。
 もう少しレベルが上がらないと取得できないスキルだからだ。

  「大丈夫だよ、任せて~。」

 ララさんがそう言って僕が見つけた地面の罠を解除していく。
 パキン……とういおと共に罠が解除された。
 解除されたのを確認し、他に罠がない事を確認すると地面を掘っていく。
 ダンジョン内のモンスターはどうやら地面の下に宝物を隠す習性があるらしい。
 その事を知っているのは盗賊関係の職業の人以外だと一握り程度だろう。
 セルビアさんも何をしているのか不思議そうに見ている様子を見ると、恐らく知らなかったのだろう。
 僕達は宝箱を掘り出し、わくわくしながら箱を開けると……出てきたのは小さな護符。
 僕には何か解らないのでレイラさんに尋ねると少し驚いたように呟いた。

  「守護の護符じゃない……何でこんな高レベルの護符が初級者ダンジョンに?」

 ララさんが僕に解るように説明してくれた。
 この護符、名前を守護の護符といい、神の守護を受けられるようになる護符らしい。
 ただし使用回数があるらしく、一定回数使うと効果を発揮しなくなり砂に帰る……という事だ。
 ちなみに……この護符は持ってるだけで自動発動するたぐいのものじゃなく、任意で作動させるアイテムだ。
 防げる攻撃はどんな攻撃でも完全に防ぐ事が出来るらしい……が、その回数は三回だけ、それでこの護符はまだ一度も使われていないのでまだ三回使えると言っていた。
 ララさんとレイラさんは顔を見合わせると苦笑を洩らし、僕にその護符を手渡してきた。
 一番……死ぬ可能性の高い僕に生存確率を上げる為にと手渡してくれた。
 ……流石に受け取るのには遠慮が入り戸惑ったものの、僕が一人倒れたらそれだけ二人が迷惑するっていう事もあって、二人とセルビアさんにお礼を言って受け取った。
 セルビアさんはそのアイテム持ってるのでいらないといって、最初の所有権を放棄した。
 その後……特にめぼしいアイテムが見つかることなく四階層まで進むことになった。
 そこで結構いいものが目の前に置いてある。
 僕としてはかなりほしいアイテムだ……というよりも、盗賊系統の職業の人であればほしいと思う人は後を絶たないだろう。
 目の前にあるもの……それは盗賊の腕輪と呼ばれる腕輪だ。
 それを付けるとモンスターからの略奪確率が20%も上がるというすぐれものアイテム。
 それもそのモンスターが持っている可能性のある上位アイテムも同じく20%アップで手に入る確率がある。
 そんな素敵アイテムがぽつんと置いてある。
 うん、間違いなく罠だね。
 誰もそれを疑う事はなかった。
 ってかうたがいようないじゃん。
 ありえないもん。
 余りにも危険な感じがしたのでそのまま放置して先に進むことにした。
 何があっても命あってのものだねだしね。
 かなり後ろ髪をひかれたものの、おとなしく最終階層である五階層めに到着だ。
 少し階段のところで休憩をとり、探索を開始する。
 ……モンスターの強さが僕には手の負えないレベルになってしまった……。
 一応ちまちまと攻撃をかろうじて躱しながら攻撃を放つ者のダメージが殆ど通らない。
 ララさんとレイスさんの二人で殆どかたずけるような形だ。
 情けない……なるほど……これだから僕がダンジョンに潜るのに反対していたのか。
 確かに今の僕の力じゃこのダンジョンすら厳しい。
 正直今までの階層の敵だって二人がいても僕は何度も危険になっていた。
 明らかに経験も足りていないと実感できるのにそうそう時間はかからなかったよ……。
 そんな僕だけじゃなく、ララさんやレイラさんをフォローしながら危なげなく動くのがセルビアさん。
 もう流石という言葉しか出てこない。
 だって、このダンジョンのモンスターなんてセルビアさん殆ど一撃で葬っていってるんだからね。
 ……強すぎでしょう……。
 とりあえず、そんな事を実感しながら五階層めのマップを埋めていく。
 もともと埋まっているものの、隠し通路がある場合もあれば、隠し財宝がある場合もある。
 その時にマップに追加で情報を付け加えるのだ。
 隠し財宝がある場所は、時間がたてばモンスターがまた新しく財宝を隠す可能性があるので、かなり重要な情報として買ってもらえるからね。
 こうして……五階層めも今この突きあたりを最後に全部制覇したわけで、なにもなかったなぁと思いながら最後の底を調べていると、レイラさんが「隠し通路です。」といって新しい道を見つけてきた……。
 おお!
 まだ未開通の道!
 こういうの……結構危険だってのは解っているけどわくわくしちゃうよね?
 とりあえずどんな危険があるか解らないので、ララさんを戦闘に一歩一歩注意してすすむ。
 少しいった先に少し広めの広場があり……そこにモンスターが一匹鎮座していた。
 静かに目をつむり、僕達がその広場に入るとゆっくりと眼を開けた……。
 明らかに強そうですねぇ~。
 さっきから冷や汗がとまりませにょ?
 ってかにげましょうや!
 と僕が叫ぶ前にモンスターが先に声をかけてきた。

  「ほぅ、この場を発見するものがおったのか。めずらしいのぅ。だが悪い事はいわん、何も見なかったことにして帰るがよい。今のお主たちでは我と戦うには力不足だ……ぬ?」

 と言ってくれたので素直に帰ろうとした僕達三人だったが、その後ろからセルビアさんが姿を見せた瞬間モンスターの表情が変わった。

  「ほぅほぅ!これはいい!まさかこれほどまでの力をもつものがいたとはな!そうとあっては見逃せぬ、我の力を高めるがために相手となってもらおうぞ!」

 そう言って立ち上がるモンスター。
 ……大きさはセルビアさんと同じくらいの大きさで180センチくらいかな。
 ただ、その肉体は人と同じように見えるが明らかに堅そうな灰色をし、その顔はヤギに曲がりくねった悪魔の角のようなものが生えた代物だ。
 明らかに化け物です。
 強そうですってか間違いなく強いだろう!
 僕達三人はそのプレッシャーだけで身動きが殆どできない。
 セルビアさんだけが少し厳しい表情を浮かべながらも僕達を護るように前に出る。

  「……一人であなたのようなモンスターを相手にするのは少々骨が折れるので勘弁していただきたいのですが……やる気なのであればしょうがありませんね。いいでしょう……全力でお相手します!シルフィード!」

 等と……二人だけの世界に突入。
 ……ええっと……僕達は無視ですかそうですか。
 少し切ないけどこう叫びたい。
 本当にありがとうございます!
 モンスターの化け物っぷりは眼を見張るものがあったものの、それ以上にセルビアさんの化け物度をみるはめになった。
 ……多少傷を負ったもののそれほど深い傷を負うことなく倒してしまったのだから。
 ……最後に「見事だ……この奥にあるものを持っていくがいい、我を打倒した者に与えられる褒賞だ。」といって砂に帰って行った。
 …………えっと、とりあえず……僕達はその言葉に従って広場の奥に行ってみると、二つの宝箱が置いてあった。
 一応調べてみると……その地面の下にもう二つあって、全部で四つあった。
 ……うん、結構最後の最後まで意地汚い隠し方するねぇ。
 そんな事を思いながら宝箱を開けていく……入っていたのは小さな指輪が一つと首飾りが一つ。
 短剣かと思ったほど短い、ナイフのような形をした杖と何の生地で作られてるのか解らないけど、とにかく普通の防具じゃない事が確かな服の四つだ。
 とりあえず、セルビアさんに全部渡そうとしたところ、指輪だけを手にとって後は分けてくださいと言って僕達に手渡してきた。
 流石にこればっかりは全員で断ったね。
 だってあのモンスターを倒したのはセルビアさん一人でだ。
 分け前をもらえるような立場じゃないどころか、助けてもらったのだから逆に御礼を言わなければならない立場なんだ。
 だからこそ断固として拒否したんだけど……。

  「エン君、君はもう村の一員なんだ。そんな村の若い子に少しくらい甘くたって誰も文句なんていわないだろう?」

 そう言って笑いながら手渡された。
 ……ずるいなぁ。
 そんな事笑顔で言われたら断れない。
 断りたくない……っていったほうがいいか。
 僕は小さな声で「ありがとうございます……。」と呟いてその宝物を受け取った。
 受け取って……僕は服を貰った。
 何でかというと……その服何故か僕にちょうどぴったりだったからだ。
 ナイフのような杖はレイラさん、ネックレスをララさんが受け取った。
 身につけてみると……明らかに凄い代物だと解った。
 だって、明らかに今まで付けていた皮の鎧よりも軽くて丈夫だ。
 装備したらアイテムの詳細を見る事ができ、そこに書かれた内容がまたすごい。
 防御力は今までの鎧の三倍近い程で、自己回復のスキルが常時発動するという代物だった。
 その上これは何の生地かわからないけれど、ものすごく柔らかく動きやすい。
 今まで以上に上手く動く事が出来そうでいい感じだな。
 レイラさんの杖も凄いと言っていた。
 魔法攻撃の際の攻撃力が15%程あがるらしい。
 その上攻撃力自体今まで装備していた短剣よりも高いので普通に切りつけても効果があるという。
 詠唱の胆略化までできるといっていたので、レイラさんも凄く嬉しそうだった。
 ララさんのネックレスは自分が装備している武器にモンスターが苦手とする属性を付けるといった効果があるらしい。
 ただし無属性の武器のみだという事だが、レイラさんの装備している短剣は無属性。
 効果を存分に発揮できる。
 相手の苦手な属性での攻撃であれば最低でも1.2倍、最高で2倍までのダメージを与えられることになるので、凄くいいものだと僕でも解る。
 最後にセルビアさんの付けた指輪なんだけど、驚くことにセルビアさんの遺志によって指輪から弓へ、弓から指輪へ変わるらしい。
 それも攻撃力が今現在確認されている弓の最高のレベルと同じくらいだという。
 いいものを貰ったよ……そう言って笑うセルビアさんも本当に嬉しそうだった。
 初めてのダンジョンでこれほどまでに成果をあげられるなんて……凄くラッキーだ。
 今までこの部屋が発見されていなかったことに感謝しないとな。
 そして、何よりセルビアさんには感謝してもしきれない。
 改めて三人でお礼を言いながらそのダンジョンを後にする。
 ダンジョンから戻ると既に日が暮れており、セルビアさんは今から帰るといってその場所で別れてしまった。
 特殊な帰還アイテムを持っているらしくて、一瞬で自分だけなら村まで戻る事が出来るらしい。
 便利でいいなぁ。
 だから僕達はその場で感謝の言葉を再びセルビアさんに送り、別れの言葉を互いに囁きながら別れたのだ。
 ……ん~疲れた……でも、すっごくいい経験になった!
 確かに僕にダンジョンはまだ早いという事も解った。
 無茶をすればどんな目にあうかという事もなんとなく予想が付いた。
 きっと、多少無茶をしてでもララさんもレイラさんも僕にその事を教えたかったんだろうな。
 恥ずかしいからそんな事僕から云わないけどね。
 代わりに、僕は二人の手を取って早く帰ろうと駆け出した。
 突然の僕の行動に驚きながらもほほ笑みを洩らして、逆に僕を引っ張るようにかけていく。
 こうして……僕の初めてのダンジョン探索は色々な経験を積むこともでき、宝物も手に入れることもできて大成功で終わった。





 で、終わればよかったんだけどさぁ。
 今僕は酒場で二人の女性に絡まれている。
 右にはララさん、左にはレイラさん。
 何やらララさんは「どうして私には彼氏の一人もできないんだーーーー!」と叫びながら僕に無理やりお酒を飲ませながら暴れる。
 レイラさんは位笑みをもらしながら僕にプレッシャーをかけてくる……さっきからぶつぶつ粒や言葉を聞いていると……「何でマサキさん私の思いに………。」とかそんな感じの事を呟いてる。
 怖いのでいくらプレッシャーがかかろうと聞かなかった事にします。
 そんなこんなで騒いで迎えた翌日……僕だけ何故か二日酔いで、ララさんとレイラさんに酷く怒られた。
 理不尽だぁぁぁぁ!


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