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No.6950の一覧
[0] 【習作】とあるメルヘンの未元物質 (とある魔術の禁書目録転生)【完結】[地雷G](2009/12/29 11:23)
[1] プロローグ[地雷G](2009/02/28 04:53)
[2] 一章 一話[地雷G](2009/04/12 18:10)
[3] 一章 二話[地雷G](2009/04/12 18:10)
[4] 一章 三話[地雷G](2009/04/12 18:11)
[5] 一章 四話[地雷G](2009/04/12 18:11)
[6] 一章 五話[地雷G](2009/04/12 18:12)
[7] 一章 六話[地雷G](2009/04/12 18:12)
[8] 一章 七話[地雷G](2009/04/12 18:12)
[9] 一章 八話[地雷G](2009/04/12 18:12)
[10] 一章 九話[地雷G](2009/04/12 18:13)
[11] 一章 十話[地雷G](2009/04/12 18:14)
[12] 二章 一話[地雷G](2009/04/12 18:15)
[13] 二章 二話[地雷G](2009/04/12 18:16)
[14] 二章 三話[地雷G](2009/05/02 03:18)
[15] 二章 四話[地雷G](2009/05/04 01:18)
[16] 二章 五話[地雷G](2009/05/11 00:18)
[17] 二章 六話[地雷G](2009/05/10 23:03)
[18] 二章 閑話 一[地雷G](2009/05/18 03:06)
[19] 二章 閑話 二[地雷G](2009/06/14 01:55)
[20] 二章 閑話 三[地雷G](2009/06/14 01:54)
[21] 二章 七話[地雷G](2009/08/20 00:53)
[22] 三章 一話[地雷G](2009/06/28 21:47)
[23] 三章 二話[地雷G](2009/08/05 21:54)
[24] 三章 三話[地雷G](2009/08/22 18:00)
[25] 三章 四話[地雷G](2009/09/04 21:20)
[26] 三章 五話[地雷G](2009/09/05 16:17)
[27] 三章 六話[地雷G](2009/09/06 21:44)
[28] 三章 七話[地雷G](2009/10/30 23:16)
[29] 三章 八話[地雷G](2009/10/30 23:17)
[30] 三章 九話[地雷G](2009/11/08 01:43)
[31] 三章 十話[地雷G](2009/11/29 00:53)
[32] 三章 十一話[地雷G](2009/12/06 23:41)
[33] 最終話[地雷G](2009/12/29 03:45)
[34] 予告  ~御使堕し編~[地雷G](2010/02/27 16:09)
[35] 番外 一話[地雷G](2009/05/10 23:05)
[36] 番外 二話[地雷G](2009/12/29 03:45)
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[6950] 三章 四話
Name: 地雷G◆f20ef6c2 ID:a0cf472a 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/09/04 21:20
美琴ちゃんの自室の床が近い。
額を床にこすりつけて擦り下ろさんばかりに押しつけているので、一歩間違えれば床とディープキスをすることになる体勢。
即ち、土下座。
俺は現在、真っ赤な顔の雷神と化した美琴ちゃんの怒りを鎮めるためにひたすら土下座を行っていたのだ。
もう何度謝ったことだろうか? 気の遠くなるほど謝っている気がする。
いや、普段着らしいスカートから美しいおみ足を覗けているから、全く辛くないのだけど。


「いや、だから、白井が全部悪いんだって! あいつが俺を無理やりテレポートさせたから……」


「うっさい! それでもあんたが見た事には変わりないでしょ、謝りなさい!!」


「ごめんなさい! って、さっきから何回も謝っているのに―」


「なんか言った?」


ギロリと言う俺を射殺しそうなほど鋭いその視線。
ゾクゾクと股間がうずくのを感じながら、俺は息を荒げつつ首を振る。

ハァハァ。その視線、たまんねぇっす!!


「……あんた、何息を荒げてんのよ?」


「い、いや、なんでも、なっ」


侮蔑しきった美琴ちゃんの声にビクビクと体が反応してしまう。
く、悔しい! でも感じちゃ……


「ちぇいさーーーー!!」


「ごぶぅ!?」


俺の思考に割って入るかのような強烈な蹴り。
土下座している奴に容赦なく蹴りを喰らわせるなんて、流石美琴ちゃんだぜ!!

俺はMの世界(むこうがわ)から回帰しつつ、痛みに悶えながら床を転がる。
アレ? そう言えばここって美琴ちゃんの部屋だから、もしかしたら美琴ちゃんの髪の毛とか落ちてるんじゃね?

うっしゃあ! 今のうちにこの体に擦りつけてやる!!

俺は5割増加速して床を転がり、美琴ちゃんの髪の毛を採集し始めるが、途中であることに気がつく。
もしかしたら、ここって白井も同室だから白井の毛も落ちてるんじゃね?

ゾクリと背筋を駆け抜ける悪寒。

お、俺は何と言う恐ろしい間違いをしたんだ! くそう、眼先の欲望に目がくらんだ!!

俺は即座に立ちあがると、若干慌てて体についたほこりを払う。
すると、俺の不振すぎる挙動を見ていた美琴ちゃんが呆れたように口を開いた。


「…全く、なんなのよあんたは。人の部屋で急に転がったり――」


「いや、それは美琴ちゃんが蹴ったからで…」


俺の言葉を美琴ちゃんは黙殺しつつ、どこか寂しそうな微笑を浮かべていた。
俺はその表情に何の言葉も出てこなくなり、つい黙ってしまう。
美琴ちゃんは訪れた沈黙の中で、表情をそのままにクスクスと鈴を鳴らすような笑い声を上げた。


「あれだけ拒絶されたのに、人の着替え中に乱入してくるなんて」


「…………そのことで、話があって来たんだ」


さて、珍しくまじめになることにしようか。

俺は美琴ちゃんと真っ向から対峙した。
ではでは、垣根 帝督の一世一代のがんばり物語、はっじまるよー!

さて、まずは何から話そうか?
うん、決めた。


「俺は、君が好きだ」


「…………」


「君は覚えていないだろうけど、俺が初めて君を見たのは君がまだ『低能力者(レベル1)』だった頃だ」


それは、すでに俺が研究所に捨てられたばかり時。
ぶっちゃけ、あの頃は俺は最低な奴だった。本当に俺って中学生? みたいな。


「当時に擦れていた俺は、適当にゴロツキの能力者に喧嘩を売っていた。
君と会った時なんて、流行の能力者犯罪の集団に喧嘩を売って、んでもってボコボコにされてた」


「……覚えて、ないわ」


美琴ちゃんは眉を顰めるようにしてそっぽを向く。
まあ、そうだろうね。逆に覚えていられたら、俺は悶死していることだろう。
いや、「俺はお前らより年上なんだ! だから、大人だ偉いだろう」的な意味で痛い奴だったから。
俺ってば、ほら、転生者だったりするからねー。
昔はそんな風に考えていたわけですよ。


「でも、想像はつくでしょ? ボコボコにされていた姫様な俺。それを助けに来たのは王子様な美琴ちゃんなんだ」


そう、あの時能力を暴走させて、その場にいた奴ら全員はおろか、その辺り一帯にいるやつらを攻撃しようとしていたのだが、そうなる前に現れたのは当時『低能力者』で何の特別でもな

かった美琴ちゃんだ。

いや、彼女は、当時から特別だった。

何故なら、リンチが行われている場所に颯爽と入ってきたのだから。

それでも、彼女はそれだけだったのなら、逆に糞ったれどもに返り討となっていただろう。
彼女がそうならなかったのは、彼女が力に目覚めて返り討にするなど、少年漫画的な展開があった訳ではなく、非常に現実的なものだった。
そう、単に警備員も一緒に連れてきたのだ。
それも、現在も俺を捕まえるのにご執心な黄泉川先生を。


「美琴ちゃんは、一緒に連れてきた警備員にそのゴロツキどもを戦わせながら、ボコボコにされてぶっ倒れていた俺に近づいてきた。
そして、ボコボコにされてほとんど動けなくなっていた俺の襟首を掴んで、無理やり引き起こしたんだ」


「ぶっ!? 待ちなさい! いくら私でも、流石に怪我人にそこまでは……」


美琴ちゃんはどこか焦りつつ、そう口にしたが俺はその言葉に静かに頷いた。
その俺の動作に美琴ちゃんはどこかほっとしたように胸をなでおろし、次いで「ふざけんじゃないわよ」と睨んできた。
いや、ふざけてないよ。だって当時は……


「もちろん、そんな事だけじゃない。美琴ちゃんは、俺の襟首を掴んでそのまま思いっきりビンタをかましたんだ」


「え、う、嘘よ!」


「んでもって、こう言ってた『自殺願望でもあるんなら、余所でやんなさい。さっきから見てたけど、わざわざ喧嘩を売りに行ってボコボコにされる奴なんて見ていて胸糞悪いだけだわ』




「ぎゃあああああああああああああ!?」


思いだしてしまったのか、美琴ちゃんは顔を真っ赤にして絶叫した。
そんなに恥ずかしいかな? 俺としては、滅茶苦茶かっこよく感じたんだけどなー。


「まあ、何にせよそれで俺の胸倉から手を離して、そのまま背を向けた。
そして、言ってくれたんだ。それから、俺の中心となる言葉を」


「ま、待ちなさい、思い出したから! もう、それ以上……」


「『私は『低能力者』だけど、諦めないわ。それであんたはどうすんの? 何を燻ってんのか知らないけど、そのまま立ち止まってたらいつまでも前に進めないわよ?』ってね」


「きゃああああああああああ!! もうやだぁ!!」


美琴ちゃんは悲鳴を上げて膝をついた。
俺はその傍らに歩み寄ると、静かに告げる。


「その時、俺は君を好きになった」


「――――――っ」


「前に行く時は、君と共に在りたいと、そう思ったんだ」


俺は彼女を起こすべく、そっと手を伸ばす。
しかし、その手はあっけなく美琴ちゃんによって払われる。


「悪いけど、前には一人で行ってくれない?
私はあんたに付き合っている暇なんてないの」


明確な拒絶。

覚悟していたとは言え、それなりに応えるね。
でも、そんな事の覚悟はできているんだ。


「当り前だろう?」


「は?」


唖然とした表情になる美琴ちゃん。
俺は言葉を止めなかった。

前へ。ただ、前へ。

今、俺は彼女の隣に立つ。


「俺は君の足を引っ張りたいわけじゃない。
君はどんどん俺なんか気にしないで先に進んでいくと良い。
今まで、俺は、その後を、君の可愛らしいお尻が揺れている様を見ながら、はぁはぁしながらついていってただけなんだから。

でもね、これからは君の隣で進んでいこうと思う」


「――何も、知らない癖に」


「へぇ? 美琴ちゃんのスリーサイズや月経周期を知っていると言う事は、何か知っていることに入らないのかな?」


「ぶっ!? あんた、なんでそんなこと知ってんのよ!? てか、そう言う話じゃなくて……」


「じゃあ、どんな話? 俺が、知らない話って何?」


俺は彼女を真っ直ぐに見詰めて、そう問いかける。
すると、美琴ちゃんは顔を真っ赤にしたまま、ふいと俺から視線を逸らす。

ようやく、確信した。

あの時、病院で美琴ちゃんが俺を拒絶したのは何か理由があるんだ。それこそ、俺に知らせられないような。
おそらく、美琴ちゃんの性格からすると俺に危険が及んでしまうようなこと。

記憶を掘り返すと、俺の脳裏にあの紅い瞳が蘇った。


「一方、通行?」


ぽつりとつぶやいた言葉に、美琴ちゃんはビクリとその体を震わせた。
ああ、これは決定だわ。


ゾワリ、と心が粟立つ。
それは、果たして恐怖のためか


「あ、あんた、知ってて――」


「いや、何も知らないよ。でも、教えて欲しいかな」


俺は、苦笑しながらうずくまったままの美琴ちゃんの手にそっと自分の手を重ねる。
美琴ちゃんはそれを拒むようなことはしなかったものの、どこか怯えたように瞳を震わせた。

ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!

ああ、もう、何この可愛い生き物!!!!
今、一瞬昇天しかけましたよ!!!!????
もう、ゴールしてもいいよね!? 男女関係的な意味で!!

俺は自分の心に芽生えた獣めいた感情に従い、そっと美琴ちゃんの顎に手を添えてそっと上を見させる。
その瞬間、


「……!? なんだ、この熱は!?」


彼女の体がとても熱いことに気がついた。
37度なんてもんじゃない、40度、それこそ人が出せる熱の最高レベルまで達するかのような熱。
彼女の顔が赤いのは、照れているんじゃなくて――


「早く医者に――!!」


「待って!!」


俺が彼女をお姫様だっこをして、そのまま部屋の外へ連れ出そうとすると、どこか切羽詰まった声で美琴ちゃんは俺を押しとどめた。
だけど、聞いてあげない。
俺はそのまま彼女を抱き、彼女たちの寮の自室の窓を開け放つ。

イメージするのは、翼だ。


『…あのなぁ? 能力者は能力を発動する際に、『その能力を発動する』って意思があれば発動に成功する。けどな、その傍ら制御のために計算式を思い描く必要がある。
つまり、自分の能力を良く知らなきゃ、制御もままならねえ。』


どこぞの女の言葉が俺の中で再生される。

ああ、その通りだな。
俺は俺自身が飛ぶための制御計算式しか考えていない。
それ以外は、自分の能力だって言うのに何も知らねぇし、誰かを守れるような能力じゃないのは俺が一番知っている。

でも、この訳わかんねぇ、役に立たない能力はとても便利だ。

何故なら、大好きな人を病院に運ぶのに、とても役に立つ。


「掴まってて!」


俺は直後、自分の背中に翼が展開したことを悟ると、そのまま窓からその身を青い空へと躍らせた。








一方通行side


無音の世界。
この世に、そんなものなんて存在しない。

ドクンドクン。

キシキシ。

ギュルルルル。

心臓が鼓動を奏でる音。

骨や筋肉がきしむ音。

そして、内臓が動く音。

全ての音を反射してもなお、私の中で聞こえ続ける音。
それは、無音の世界ではより一層明確に聞こえてくる私が生きているという証。

思いだしたのは、昨晩また命を落としたいつもの顔の少女。


(彼女は一〇〇二八番だったっけ?)


同時に、胃がな捻じれてしまったかのように悲鳴を上げる。
閉じていた目をさらにギュッとつぶり、その不快な痛みに耐える。

これは、私が耐えなければいけない当然の債務なのだ。

私が『最強』ではなく『絶対』となって、完璧な秩序を学園都市に築くための。

それから逃れたいなどと思うのは、あってはならないことだ。


(こんな、痛み程度で!!)


私は、繰り返し繰り返し彼女の死に顔を思い出す。
思いだし続ける。

いや、彼女だけではない。

今まで殺してきた同じ顔の彼女たちの死に顔を思い出し続ける。
絶対に、忘れないために。

何のために、そんな意味のないことをするのか? と私の理性は私に語りかけ続ける。

私は、彼女たちを殺し続ける『実験』に参加する以前も幾人かの人間を殺し続けてきた。
それは、そいつへの怒りで能力が暴走したせいだったり、誰かを失ったことへの悲しみだったり、色々だ。
だが、その統一性のない殺しには、たった一つの法則があった。

それは、私が感情的になったため。

私は、誰にも『感情』を向けてはいけないのだ。
そうすれば、直接的、間接的を問わずに誰かを傷つけずにすむから。

でも、同時にそれは他人がどうなっても構わなくなると言う事。
その、はずだった。


『実験』は、『感情』を誰かに向けなくなって久しい私に絶望(キボウ)を齎した。


無関心になるなど、嘘だ。現に、私の良心は痛み続けている。
もし、本当に誰にも感情を向けることがなくなっていたとしたのなら私は、今苦しんでいるはずがないのだから。

それでも、私は『実験』をやめない。

そして、少女たちの死に顔を思いだし続ける。

何度も。

何度も、何度も。

何度も何度も何度も何度も。

魂に刻みつけるために、忘れないように。
自分がいかに暗い場所にいるのかと言う事を、自覚し続けるために。


記憶の中の少女たちは、みな同じ顔であるにも関わらず、全員違う顔で死んでいた。




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