「この物語は、オシリスレッド生の平凡な日常を淡々と描く物です。過度な期待はしないで下さい。あと、部屋は明るくして、パソコンから3メートルは離れて見やがって下さい」「……いきなり何を言ってるんスか」「いやー、今更だけど読者さん達に注意をね」「……本当に今更ザウルス」「と言うかメタ発言禁止!」「はっはっは……」童実野町で斎王さんに負けた後、僕は何故か『破滅の光』の洗脳を免れた。……正直な所、理由は全くわからない。ワイト達の力かと思ったが、ワイト達は首を振っていた。……これも『あの夢』と関わりがあるのだろうか?でも、相変わらず判断材料が少な過ぎる。やっぱり思い当たるふしも無い。……気にはなるけど、結局はまた保留にするしかないか。それにしても、今後の僕の立ち回りが悩み所である。今回のデュエルで、今の僕では斎王さんの運命力には敵わない事がわかった。おまけに、仮に勝てるようになったとしても、相変わらず僕では斎王さんを『破滅の光』の呪縛から解き放てる確証が無い。……となると、いよいよ裏方回りが確定か?だが、洗脳が効かなかった事により、以前にも増して斎王さんは僕の事を警戒しているだろう。これからの行動には細心の注意が必要だろう。……まぁ、憂鬱な思案はさておき、今僕達四人が何をしているかと言うと……「あーぁ、釣れねぇなぁ」「そっスねぇ……」「ドン……」おかずになる魚を釣っていた。「流石にメザシだけなのは飽きたしなぁ……」「まぁ、僕は別に構わないんだけどね」「どうせ和希君アレルギーで食べられないでしょ」「と言うか、よく毎日納豆や海苔とかだけで飯を食えるザウルス」まぁ、作ろうと思えば料理の出来る僕や剣山君が食堂から材料貰って料理出来るのだが……「たまにはメザシ以外の魚が食いてぇ」と十代君のリクエストがあったので、魚を釣る事になったのだ。流石にメザシだけじゃ料理なんて出来ないし。因みに、肉類も週1ぐらいでしか食堂に入ってこないので僕や剣山君が作る料理も大体が野菜料理である。……週1って、収容所じゃないんだから……更に付け加えると、その肉で週1に作られるのはそぼろご飯である。……どんだけ手抜きなんだ。「寮に帰ればカレーが待ってるけど……」「それじゃアニキが不憫ドン。あぁ、だけどこのままじゃ肉食の俺は……そう言えば、丸藤先輩の頬っぺは柔らかそうだドン……ジュルリ……」「な!?ちょっと剣山君!変な涎垂らさないでよ!?」「はっはっは、翔君のほっぺプニプニ具合は僕のお墨付きだよ」「和希君!?」「なんせ、僕がことあるごとに引っ張ってたからね!」「胸を張るなー!」「グッジョブザウルス先輩!じゃあ早速、いただきますドン!」「ぎゃー!?」「はっはっは……」因みに、これまでの釣果は僕以外は0。川釣りがメインとはいえ、少しは釣りをやっている僕は数匹釣れている。……だが……ピクピク……「来た!フィーシュッ!……ってまた君か」……釣れるのはほとんど河豚河豚河豚河豚、河の豚と書いてフグの山。河豚の持つ毒であるテトロトドキシンはあたると大体24時間で死亡する程強力なのだ。だから専門の調理免許が必要なのだが当然、僕達がそれを持ってる筈も無く、食べるのは無理。だから釣れてもリリース(逃がす)しかない。しかも、釣れている河豚の種類はクサフグ。毒性が強くて食べられた物じゃない。そして、河豚には魚には珍しく、1枚の板のような形をした丈夫な前歯を上下に持っている。その為、糸がボロボロにされる事も少なくないのだ。「あーもう、また糸換えなくちゃ……」「いいじゃねぇかよ一応河豚以外も釣れてるんだからよ。ボウズ(釣果0)のオレ達より何倍もマシじゃねぇか」「……そりゃそうだけどさ」……釣れてるっていっても他は小さいゴンズイだけである。ゴンズイは小さなナマズのような魚で、味噌汁の具ぐらいにしかならない。因みに、このゴンズイも毒を持っている。……釣れる魚が全部毒持ちとかどういう事?「はーぁ、退屈だぁ!何か面白い事無いか?」「あるわけないじゃないっスか……」「よーし!んじゃ替え歌大会!」「なんで!?」「一番、朝倉和希!聴いてください。『みじめな歌』!」「……しょーもない予感満載ザウルス」「み~じめみじめ~、に~んげんってみ~じめ~♪」「まんが日本昔ば○し!?」「冷たい味噌汁腐ったご飯~、枯れ葉の布団で眠るんだろな~♪」「やっぱりしょーもなかったドン!」「僕もかえ~ろ、お家が無いよ♪」「「無いの(ドン)!?」」「でんでんでんぐり返しでバイバイバイ♪」「と、とんでもねぇ歌だなオイ。つーかお前らもノリノリだな……」十代君は冷や汗をかきながら曲に合わせてでんぐり返しでバイバイバイをしてたワイト達(さりげなくワイトのでんぐり返しが横にそれてしまっているのが細かい)にツッコんだ。……まぁ、こんな感じで四人で駄弁っていると、翔君が気になる事を言った。「あ、そう言えば変な噂聞いたなぁ。誰かが修学旅行に帰ってきてから部屋に閉じ籠ったきりだって」「『誰か』って誰ドン?」「へ?えーと……うーん……」「きっと大したことない奴ドン」「……」パシャッ「? どうしたんだ和希?道具片付け出して」「ごめん。ちょっち用事思い出した」「え?あぁおい!?」……まったく、『彼』にも困った物だ。僕は荷物を纏め、その場を去った。「……何なんスかね?用事って」「オレが知る訳ないだろ?って剣山!引いてるぞ!」「き、来たザウルス!こいつは大物ドン!」バシャーン!「凄ーい!」「やったぜ剣山!」「ドン!今日はご馳走だドン!」「おう!」「出来た!俺の新しいデッキ!これで俺が、誰にも負けないエリートだという事を証明してやる!」「はーい、おめっとさん」「!?」所変わってここはラーイエロー寮。只今絶賛ヒッキー中の三沢君の部屋である。パチパチと気のない拍手をすると、デッキ開発に夢中だった三沢君は僕にやっと気付いたようだ。「まったく、窓全開とか不用心だよ?声ダダ漏れだったし」窓越しに僕は注意した。「……」……シカトされた。「……悩みあるんなら聞くよ?『Dr.カズキにきいてみて!』みたいな?」僕は風水なんて見れないけどね!「……ラーイエロー首席のエリートの俺がお前に話す事なんてない」……駄目だこりゃ。「はーぁ、さっきから聞いてればエリートエリートエリートエリート。まるでオベリスクブルー時代の万丈目君みたいだよ?」「……」「これじゃ、対戦相手のデッキを海に捨てたりするのも時間の問題……」「黙れ!」「うわっ!?」と、いきなり三沢君は窓越しに僕の胸ぐらを掴んだ。「お前らに何がわかる!?いくら勝利しても他人から認められないこの俺の気持ちの何がわかる!?」「……」「俺はかつて万丈目に勝った!十代やお前もあと一歩の所まで追い詰めた!セブンスターズとも戦った!だが何故、お前らと俺との評価の差がこんなにもある!?俺とお前らで何が違う!?この間の修学旅行だってそうだ!光の結社はお前や十代やエドばかりに目をつけ、俺には見向きもしなかった!」「……」「お前なんかに、俺の気持ちが……!」「……わかるもんかぃ」「何!?」……僕は胸ぐらを掴んでいる三沢君の手を払い、逆に三沢君の胸ぐらを掴み返した。そして息を思いっきり吸い込み……「いい加減にしろ!このわからず屋ぁ!!」「!?」思いっきり叫んでやった。「『誰からも認められない』って、なんでそんなに他人の顔色を伺う!?他人からの評価がそんなに必要かい!?君のそれは、母親に誉めて貰えなくて駄々をこねている子供と何ら変わりないよ!」「お前……!」「『俺とお前らで何が違う』だって!?ふざけるな!君以外にそんな名声目当てでデュエルしている人が僕達の中で一人でも居るもんか!十代君を見てみなよ!一時は再起不能にまでなったのに、『デュエルが好きだから』っていう誰よりも強い思いで復活したんだよ!?そんなの、比べるのもおこがましい!」「く……」「どうしました!?一体何事ですか!?」……騒ぎを聞き付けたラーイエロー寮長の樺山先生や野次馬の生徒達が集まって来たが、僕はやめなかった。「その姿勢を変えないならもうデュエルなんてやめてしまいなよ!続けても君が苦しむだけだし、何よりも見ているこっちが不愉快だよ!」「……」……言うだけ言うと、僕は手を放し、踵を返した。「……去年のアカデミア対抗戦の前日、君自身が十代君に言った事をよく思い出してみる事だね。それでもわかんないようならば僕はもう知らない。勝手に悩めばいいさ。……じゃあね」「……」……僕はその場から立ち去った。SIDE OUTSIDE 翔「うひょー!」「焼けてるっス!うまそうっス!」僕達は今、食堂で借りた大鉄板を使って剣山君の釣り上げた大物を料理していた。……と言っても、実際に料理しているのは剣山君だけだけど。うぅ……立ち昇るいい匂いに涎が止まらないっス。「まだ食べちゃ駄目ドン!」「「はーい」」「待ってるザウルス。今出来上がるドン」うぅ、待ち遠しいなぁ。早く出来ないかなぁ。と、「……」「あ、和希君、おかえ……り?」「……」和希君が帰って来たが、何だか様子がおかしかった。「か、和希?どうしたんだ?そんな険しい顔して……」「……何でもない」と、和希君は僕達の前を素通りして寮の階段を登っていった。「せ、先輩?もうすぐ飯出来るドン?」「……要らない。おやすみ」和希君は部屋に帰ってしまった。「……何かあったザウルス?」「さぁ?」……今の和希君の表情は一見もの凄く怒っているように見えた。でも、ただ怒っているというのも何か違う気がした。と、「まったく、あいつもお前並み、いや寧ろお前以上のお人好しだな、十代」意外な人物が姿を現した。「エド?」「お前、何か知ってるのか?」「まぁな」そして、エドは僕達に事の詳細を話した。「そんな事があったのか……」「あの時のあいつの表情は三沢に勝るとも劣らない位悲痛だった。大方、三沢が未だに『周りから認められない』などというくだらない理由で悩んでいるのが悲しいのだろうな」そうか、さっきの和希君の表情、見ようによってはもの凄く悲しそうだった。「く……!」「何処へ行く?」「決まってんだろ!三沢の所だよ!」「やめておけ。これはあいつ自身の問題だ。あいつ自身で答えを出さなければ意味がない」「でもよ……!」「朝倉の言う通り、このままではあいつにとってデュエルは苦痛以外の何者でも無い。……少し前までの僕のようにな」「エド……」「……ふん、じゃあな」エドはそう言って立ち去った。……三沢君、大丈夫かな……SIDE OUTSIDE 三沢……あの後、俺は樺山教諭や野次馬達を何とか追い返し、ベッドに横たわって天井を見ていた。……さっきから耳の中で朝倉の言葉が鳴り響いている。『ふざけるな!君以外にそんな名声目当てでデュエルしている人が僕達の中で一人でも居るもんか!』「……」……情けなくて泣きそうになる。そうだ。皆は俺のようなくだらない理由なんかではデュエルしちゃいない。『去年のアカデミア対抗戦の前日、君自身が十代君に言った事をよく思い出してみる事だね』……朝倉はそう言っていた。……去年の……アカデミア対抗戦の前日?……代表が十代に決まって、俺達が、デッキの調整をしていた十代に自分たちのカードを使って貰うように頼んでいた時の事か?『だー!うるさい!邪魔すんなよ!』『何も邪魔をしているわけじゃない。今度のデュエルは学園の名誉を賭けた戦いだ。だから俺達も一緒に戦うつもりで……』『冗談じゃない!学園の為になんかにデュエルするかよ!これはオレのデュエルなんだ。オレは楽しむためにやってるんだよ!』『わかるぜその気持ち。デュエルは他人の為にやるんじゃない。自分の為にする物だもんな』「……は、ははは……」……成る程、朝倉、そういう事か。「はは、はははは……」……俺は『わかるぜ』と言っておきながら全然わかってなかった。「はは……」エリート面して、他人の顔色ばかり気にして……「うぅ……」こんな事で……「うぅぅ……」『自分自身の為に』デュエルしているだなんて胸張って言える物か!「畜生……」畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生!「畜生ぉぉぉ!!」涙が、止まらなかった。……それから暫くの間、俺は泣いた。自分自身の情けなさ、器の小ささを実感した。暫くして、俺は漸く泣き止んだ。……このままじゃ駄目だ。俺自身が変わらないと駄目だ。そうじゃないと、こんな情けない俺を仲間と認めてくれた皆に申し訳が立たない!俺はさっき作ったばかりのデッキをバラした。……夜明けまであと数時間。それまでに、俺は新たにデッキを組んでみせる!生まれ変わる為の、新しいデッキを!俺は再び、壁の計算式に向き合った。SIDE OUTSIDE 和希「…きて!和希君起きて!」「……」「はぁ、やっと起きたっス……」ガシッ「え?」「……なんぴとたりともぼくのねむりをさまたげげるやつはゆるさん」ぐぎゅー「ぎゃー!?ギブ!ギブっス!」「先輩!寝ボケて丸藤先輩にアイアンクローきめてないで早く起きるザウルス!」「……一体どうしたのさ、こんな朝早くに」寝ボケ眼で時計を見るとまだ朝の5時。……眠い……「三沢君が……」「!」……その名前を聞いて一気に意識が覚醒した。「……三沢君がどうしたって?」光の結社に入ってしまったのだろうか?「アニキに勝負を挑んで来たっス!」「……はい?」「だから!三沢先輩がアニキにいきなり真剣勝負を挑んで来たんだドン!」なんで!?光の結社に挑みに行って万丈目君とデュエルするんじゃないの!?……失敗した。昨日は後先考えずに感情で動き過ぎた……僕は少し後悔しながら現場に急いだ。現場に着くと、三沢君と十代君が対峙していた。「三沢、聞いたぜ、昨日の事」「……そうか。ならばこのデュエル、受けて貰えるな?」「三沢……」「俺は昨日の朝倉の言葉で、今までの自分の愚かさを痛感した。だが、ではどうすればいいか、具体的な事がわからないんだ」「それで、オレとデュエルなのか?」「ああ。お前とデュエルをすれば何か掴める気がするんだ。……頼む」「……いいぜ、でも、やるからには全力で行くぜ?」「……勿論だ」……やーめた!止めようと思ったけど、なんか逆効果になりそうだし。何より、三沢君の雰囲気がいつもと違う。このデュエルがどうなるのか楽しみだ。今後の流れが気になるが、まぁ成るように成るだろう。そう自分で結論づけ、僕は観戦モードに入った。……因みにワイト達は皆、十代君が勝つ方にスーパーひ○し君を賭けている。……さり気に酷い……「「デュエル!!」」「先攻はオレが貰うぜ!オレのターン!ドロー!『カード・ガンナー』(守備力400)を守備表示で召喚!効果発動!自分のデッキからカードを上から3枚墓地に送る事で、墓地へ送ったカード1枚につき、このカードの攻撃力はエンドフェイズ時まで500ポイントアップする!更にリバースカードを1枚セットしてターンエンド!」? 守備表示なのに攻撃力アップ効果を発動させた?しかも1ターン限定の?「いくぞ!俺のターン!ドロー!魔法カード『強欲な壺』発動!デッキからカードを2枚ドロー!そして『ハイドロゲドン』(攻撃力1600)を攻撃表示で召喚!『カード・ガンナー』(守備力400)に攻撃!『ハイドロ・ブレス』!」「くっ!?」『ハイドロゲドン』の吐く水流が十代君の『カード・ガンナー』を粉砕した。「『カード・ガンナー』の効果発動!フィールド上のこのカードが破壊され墓地に送られた時、デッキからカードを1枚ドローする!」「ならばこっちも『ハイドロゲドン』の効果を発動!このカードが戦闘によって相手モンスターを破壊し墓地へ送った時、自分のデッキから『ハイドロゲドン』1体を特殊召喚する事が出来る!デッキから『ハイドロゲドン』(攻撃力1600)を攻撃表示で特殊召喚!さあ、次はダイレクトアタックを受けて貰うぞ!」「やらせるか!罠カード発動!『ヒーロー・シグナル』!自分フィールド上のモンスターが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、自分の手札またはデッキから『E・HERO』という名のついた星4以下のモンスター1体を特殊召喚する!デッキから『E・HERO クレイマン』(守備力2000)を守備表示で特殊召喚!」「……流石だな。俺はリバースカードを1枚セットしターンエンドだ!」……『ハイドロゲドン』という事は、三沢君は結局『ウォーター・ドラゴン』をデッキに組んだようだ。さぁ、今後どうなる?「オレのターン!ドロー!魔法カード『潜入!スパイ・ヒーロー』を発動!自分のデッキの一番上のカード2枚を墓地へ送り、相手の墓地から魔法カード1枚を選択し、自分のカードとして使用する!俺が選ぶのは魔法カード『強欲な壺』!デッキからカードを2枚ドロー!そして魔法カード『テイク・オーバー5』を発動!自分のデッキの上から5枚カードを墓地に送る!更に魔法カード『ミラクル・フュージョン』を発動!自分のフィールド上または墓地から、融合モンスターカードによって決められたモンスターをゲームから除外し、『E・HERO』という名のついた融合モンスター1体を融合デッキから融合召喚する!フィールド上の『クレイマン』、墓地の『E・HERO バーストレディ』『E・HERO フェザーマン』『E・HERO バブルマン』の4枚をゲームから除外!融合召喚!現れろ!『E・HERO エリクシーラー』!(攻撃力2900)」『ハァッ!』「いきなり『エリクシーラー』!?」「アニキ、宣言通り最初から全開ドン!」なるほど、この為の墓地肥やしだったのか。……それにしても、『カード・ガンナー』『潜入!スパイ・ヒーロー』『テイク・オーバー5』で『バーストレディ』『フェザーマン』『バブルマン』の3枚を一気に墓地に送るとは、相変わらず十代君の引きは強い。「『エリクシーラー』の効果を発動!このカードの融合召喚に成功した時、ゲームから除外された全てのカードを持ち主のデッキに戻し、デッキをシャッフルする!除外した『フェザーマン』『バーストレディ』『バブルマン』『クレイマン』をデッキに戻す!いくぜ三沢!『エリクシーラー』(攻撃力2900)で『ハイドロゲドン』(攻撃力1600)に攻撃!『フュージョニスト・マジスタリー』!」……原作の『エリクシーラー』には、相手フィールド上に存在するこのカードと同じ属性のモンスター1体につき攻撃力が300ポイントアップする効果はない。だがそれでも『エリクシーラー』の攻撃力は『ハイドロゲドン』を大きく上回っている……!「カウンター罠発動!『攻撃の無力化』!相手モンスターの攻撃宣言時に発動!相手モンスター1体の攻撃を無効にし、バトルフェイズを終了する!」繰り出された『エリクシーラー』のパンチが次元の間に吸い込まれて無効化された。「悪いが、ああ言った以上、俺も簡単にはやられないぞ!」「みたいだな!オレは更にリバースカードを2枚セットし、更にモンスター1体を裏側守備表示でセットしターンエンドだ!」「俺のターン!ドロー!『オキシゲドン』(攻撃力1800)を攻撃表示で召喚!そして魔法カード『ボンディング-H2O』を発動!自分フィールド上に存在する『ハイドロゲドン』2体と『オキシゲドン』1体を生け贄に捧げ、自分の手札・デッキ・墓地から『ウォーター・ドラゴン』1体を特殊召喚する!『ハイドロゲドン』2体と『オキシゲドン』1体を生け贄に、デッキから『ウォーター・ドラゴン』(攻撃力2800)を攻撃表示で特殊召喚!」『ギシャー!』「三沢君も『ウォーター・ドラゴン』を……」「早くも熱い展開ザウルス!」……『ウォーター・ドラゴン』(攻撃力2800)の攻撃力では『エリクシーラー』(攻撃力2900)に及ばない。でも……「『ウォーター・ドラゴン』の効果発動!このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、炎属性と炎族モンスターの攻撃力は0になる!そして、『エリクシーラー』は属性は光属性だが、風、火、水、土属性としても扱う!よって、『エリクシーラー』の攻撃力は0になる!」「く……!」「『ウォーター・ドラゴン』(攻撃力2800)で『エリクシーラー』(攻撃力0)に攻撃!『アクア・パニッシャー』!」『ウォーター・ドラゴン』の放つ『ハイドロゲドン』を遥かに上回るの水流が『エリクシーラー』に襲いかかった。「罠カード発動!『ヒーローバリア』!自分フィールド上に『E・HERO』と名のついたモンスターが表側表示で存在する場合、相手モンスターの攻撃を1度だけ無効にする。」だが、それも『エリクシーラー』の前に現れた障壁に打ち消された。「凄い……三沢君、アニキ相手に互角の戦いをしてるっス」「でも、アニキはまだ『ネオス』を出してないザウルス。アニキの方が1枚上手ドン」……確かに、十代君はまだ主力にして切り札の『ネオス』を出していない。三沢君、これに対してど対応して行くのだろうか……「俺は更にリバースカードを1枚セットしターンエンド!流石だな、十代!」「へへ、今のは一瞬ヒヤッとしたぜ。今度はオレの番だぜ!オレのターン!ドロー!墓地の『テイク・オーバー5』の効果を発動!このカードの発動後、次のスタンバイフェイズ時に墓地にこのカードが存在する場合、このカードと同名カードを手札・デッキ・墓地から選択しゲームから除外する事で、デッキからカードを1枚ドロー出来る!デッキから2枚目の『テイク・オーバー5』をゲームから除外し、デッキからカードを1枚ドロー!そして、『エリクシーラー』と守備表示モンスター『E・HERO スパークマン』を生け贄に、『E・HERO ネオス』(攻撃力2500)を攻撃表示で召喚!」『ハァッ!』来た!『ネオス』!「よもや『エリクシーラー』を生け贄に召喚して来るとはな!だが、『ネオス』(攻撃力2500)では『ウォーター・ドラゴン』(攻撃力2800)に勝てないぞ!」「慌てんなよ。更にフィールド魔法『ネオスペース』を発動!」「む!?」十代君が『ネオスペース』を発動し、辺りが七色に輝く空間と変化した。「『ネオスペース』の効果で、『ネオス』の攻撃力は500ポイントアップ!(攻撃力2500→3000) 『ネオス』(攻撃力3000)で『ウォーター・ドラゴン』(攻撃力2800)に攻撃!行け!『ラス・オブ・ネオス』!」『ハァ!』『ネオス』が手刀をかざして『ウォーター・ドラゴン』に襲いかかった。……だが……ガキン!「何!?」驚いた事に、『ウォーター・ドラゴン』が『ネオス』の手刀を噛みついて受け止めたのだ。「何で!?」「どういう事ザウルス!?」「三沢のフィールドをよく見てみろ」「エド!?」「いつの間に……ってあのカードは!?」……なるほど、そういう事か。「永続罠『DNA改造手術』を発動!発動時に1種類の種族を宣言!このカードがフィールド上に存在する限り、フィールド上の全ての表側表示モンスターは自分が宣言した種族になる!俺が選んだ種族は……炎族!」……つまり、『ネオス』と『ウォーター・ドラゴン』を炎族にし、『ウォーター・ドラゴン』の効果で無理矢理攻撃力を0にしたのか。今までの三沢君には見られない力業だ。「そして、攻撃力0同士のバトルではモンスターは破壊されない!」「くっ、ターンエンド!」……でも、これではこれから召喚されるモンスターの攻撃力が全て0になってしまうのではないだろうか。だが、三沢君の次の一手に、僕達は驚くことになる。「俺のターン!ドロー!俺は魔法カード『リトマスの死儀式』を発動!自分の場か手札から、合計星8以上になるように生け贄を捧げ、手札から『リトマスの死の剣士』を特殊召喚する!手札の星8のモンスター1枚を生け贄に、『リトマスの死の剣士』(攻撃力0)を攻撃表示で特殊召喚!リトマスの死の剣士』はフィールド上に表側表示の罠カードが存在するとき、このカードの攻撃力・守備力は3000となる!俺のフィールドには永続罠『DNA改造手術』がある!よって、『リトマスの死の剣士』の攻撃力は3000ポイント!」こ、これは……「え?でもそれじゃ、また『DNA改造手術』と『ウォーター・ドラゴン』の効果で攻撃力0になっちゃうんじゃないっスか?」「いや、『リトマスの死の剣士』は罠の効果を受けない効果を持っているんだよ!」「そうか!『リトマスの死の剣士』だけは『DNA改造手術』の効果を受けず戦士族のまま。よって攻撃力は3000のままだ!」「こ、これはまたとんでもないコンボザウルス」凄い。これまでの三沢君にあった『相手の弱点に合わせる』という感じを全く感じさせない、どんな敵でも捩じ伏せるようなコンボだ。「『リトマスの死の剣士』(攻撃力3000)で『ネオス』(攻撃力0)に攻撃!『デス・ソードダンス』!」『ぐわぁぁぁ!』 十代残ライフ1000「ネオス!」おお!?三沢君が大きく先制した!これは……ひょっとしたらひょっとするかも?「更に『ウォーター・ドラゴン』(守備力2600)を守備表示に表示変更してターンエンドだ!」「へ、へへへ。凄い!凄いぜ三沢!このデュエル、今までのお前とのデュエルの中で一番楽しいデュエルだぜ!」だがこの状況でも、例によって十代君の目には諦めなどまるで見られない。このデュエル、まだ終わりそうにない。「オレのターン!ドロー!魔法カード『天使の施し』発動!デッキからカードを3枚ドローし、その後手札からカードを2枚墓地に送る!更に罠カード『堕天使の施し』を発動!このターン魔法カードの効果で手札から墓地に送られたカードを手札に戻す!今『天使の施し』で墓地に送った2枚を手札に戻す!そして魔法カード『強欲な壺』を発動!デッキからカードを2枚ドロー!」「……相変わらずあいつのドロー力はデタラメだな」「は、ははは……」……エド君のこのツッコミには空笑いをせざるを得なかった。「行くぜ!魔法カード『ミラクル・コンタクト』を発動!フィールドまたは墓地から『ネオス』と『ネオスペーシアン』をデッキに戻し、『ネオス』を融合素材とする『E・HERO』という名のついた融合モンスター1体を召喚条件を無視して融合デッキから特殊召喚する!」「な!?墓地からのコンタクト融合だと!?」「墓地の『ネオス』と『N・ブラック・パンサー』をコンタクト融合!現れろ!『E・HERO ブラック・ネオス』!(攻撃力2500→0)」『ハァッ!』『ブラック・ネオス』も、『ウォーター・ドラゴン』と『DNA改造手術』のコンボで攻撃力は0になる。だが……「『ブラック・ネオス』の効果発動!フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択!このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、選択したモンスターはフィールド上から離れるまでその効果が無効化される!『ウォーター・ドラゴン』の効果を無効化!」「くっ!?」「これで『ブラック・ネオス』の攻撃力は元に戻るぜ!(攻撃力0→2500) そして、フィールド魔法『ネオスペース』の効果により、『ブラック・ネオス』の攻撃力は500ポイントアップ!(攻撃力2500→3000)」「くっ……だが、それでも『リトマスの死の剣士』(攻撃力3000)と同じ攻撃力だ!しかも、『リトマスの死の剣士』は戦闘によっては破壊されない!」「あぁ、わかってるさ!」「何!?」「オレは魔法カード『ヒーロー・マスク』を発動!自分のデッキから『E・HERO』と名のついたモンスター1体を墓地に送り、自分フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択、このターンのエンドフェイズ時まで選択したモンスターはこの効果で墓地へ送ったモンスターと同名カードとして扱う!オレはデッキに戻した『ネオス』を墓地に送る!これによりこのターン、『ブラック・ネオス』は『E・HERO ネオス』として扱われる!」「? 一体何を……」「そして装備魔法『ネオス・フォース』を装備!」「な!?」「このカードは『E・HERO ネオス』のみ装備可能!装備モンスターの攻撃力は800ポイントアップ!(攻撃力3000→3800)そして、装備モンスターが戦闘によってモンスターを破壊し墓地に送った時、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手ライフに与える!」な、なるほど!その為の『ヒーロー・マスク』か!「そして、『カード・エクスクルーダー』(守備力400)を守備表示で召喚!」『わわわ!?あ痛!』あ、召喚された勢いでコケた。「か、可愛い……」「「「……」」」「な、なんでもないっス」「『カード・エクスクルーダー』の効果発動!1ターンに1度、相手の墓地に存在するカード1枚を選択しゲームから除外する!お前の墓地から『オキシゲドン』をゲームから除外する!」「くっ!?」……なるほど、『ウォーター・ドラゴン』の効果、破壊された時に墓地の『ハイドロゲドン』2体と『オキシゲドン』1体を特殊召喚する効果はこの3枚が墓地に揃ってなければ発動しない!「『ブラック・ネオス』(攻撃力3800)で『ウォーター・ドラゴン』(守備力2600)に攻撃!『フォース・オブ・ブラックネオスペース』!」「ぐあぁぁぁ!?」『ブラック・ネオス』の爪が『ウォーター・ドラゴン』を引き裂いた。「『ネオス・フォース』の効果により、『ウォーター・ドラゴン』の攻撃力、2800ポイントのダメージを受けて貰うぜ!」「ぐっ……」 三沢残ライフ1200「そして、『ブラック・ネオス』の効果対象がいなくなった今、再び『ブラック・ネオス』の効果を発動!今度は『リトマスの死の剣士』の効果を無効化するぜ!」「何!?」うまい!これで『リトマスの死の剣士』まで無力化した!いくら罠カードがあっても、これで『リトマスの死の剣士』の攻撃力は0になるし、戦闘破壊に対する耐性も消える!「更にリバースカードを1枚セットしてターンエンド!装備魔法『ネオス・フォース』はその効果によりデッキに戻る。(攻撃力3800→3000)そしてフィールド魔法『ネオスペース』の効果で『ブラック・ネオス』は融合デッキに戻らず、フィールドに居続けるぜ!」「……これで決まりか」「うーん、三沢君も頑張ったんスけどね」「やっぱりアニキは強すぎるドン!」……僕以外のギャラリーは皆、これで勝負が決したように感じているみたいだ。……だが、僕にはまだ勝敗が決せられたようには感じられなかった。今の三沢君は、何だかいつもの十代君、どんなピンチでも覆す十代君とダブって見えた。「は、ははは、はっはははは!」「は?」と、急に三沢君が笑い出した。「な、なんだよ三沢、急に笑い出したりしてよ」「いや、いつもお前が言ってる事が、今やっと実感出来てな」「オレが言ってる事?」「『この1枚のドローで、世界がガラリと変わるかもしれない。そう思うとワクワクしてくる』……あぁ、俺もワクワクしているよ。手札も1枚、フィールド上の状況も絶望的。これが覆せる可能性なんか数%もない。だが、もしこのドローでそれを覆せるかもしれないと思うと、ワクワクするな。初めてだよ。デュエルをこんなに楽しく感じるのは」「三沢……」「行くぞ十代!俺のターン!ドロー!魔法カード『アドバンスドロー』を発動!自分フィールド上に表側表示で存在する星8以上のモンスター1体を生け贄に捧げ、自分のデッキからカードを2枚ドローする!『リトマスの死の剣士』(星8)を生け贄に、デッキからカードを2枚ドロー!」最後にドローしたカードを確認した三沢君が……不敵な笑みを浮かべた「俺は手札の『氷炎の双竜(フロストアンドフレイム・ツインドラゴン)』の効果を発動!このカードは通常召喚出来ず、自分の墓地の水属性モンスター2体と炎属性モンスター1体をゲームから除外する事でのみ特殊召喚する事が出来る!俺は墓地の水属性モンスター『ウォーター・ドラゴン』『ハイドロゲドン』そして炎属性の『溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム』をゲームから除外!『氷炎の双竜』(攻撃力2300)を特殊召喚!」『『ギャオォォ!!』』「これは……氷と炎のドラゴン!?」お、驚いた。三沢君がこのカードを使うとは……そうか、『ラヴァ・ゴーレム』は『リトマスの死の剣士』の儀式召喚の時に手札から生け贄にしてたのか!「更にフィールド魔法『ウォーターワールド』を発動!」「何!?」辺りが七色に輝く『ネオス・ペース』からイルカの跳ねる海へと変化した。「『ウォーターワールド』の効果で、フィールド上の全ての水属性モンスターの攻撃力は500ポイントアップし、守備力は400ポイントダウンする!『氷炎の双竜』は水属性。よって攻撃力が500ポイントアップ!(攻撃力2300→2800) 更に、フィールド魔法『ネオスペース』が破壊された事により、『ブラック・ネオス』の攻撃力が元に戻る!(攻撃力3000→2500) 『氷炎の双竜』(攻撃力2800)で『ブラック・ネオス』に攻撃!『フロストアンドフレイム・ツインブレス』!」『ぐあぁぁぁ!』「『ブラック・ネオス』!」『ブラック・ネオス』が氷と炎のブレスに粉砕された。 十代残ライフ700「更に『氷炎の双竜』の効果発動!1ターンに1度、手札を1枚墓地に送る事で、フィールド上のモンスター1体を破壊する!手札を1枚墓地に送り、『カード・エクスクルーダー』を破壊!『ヒート・エクスホージョン』!」『きゃあぁぁ!?』「くっ!?」『カード・エクスクルーダー』も同様に、2つの相反する属性のブレスに粉砕された。……それなんてメド○ーア?「ターンエンドだ!」「凄い!また逆転した!?」「しかも、先輩のフィールドには、手札さえあれば毎ターンモンスターを破壊出来る『氷炎の双竜』がいるドン!」「まさか……十代が負けるのか?」ギャラリーの三人はやはり驚いた顔をしている。……正直、僕も驚いている。よもや三沢君があの状況をひっくり返すとは。しかもあの十代君を相手に。「へへへ、三沢」 「……何だ?」「今のお前、すっごく良い表情(かお)してるぜ」「……そうか」……ははは、確かに、三沢君、今までに無く生き生きしてる。「さぁ十代!お前のターンだ!」「おう!オレのターン!ドロー!魔法カード『O-オーバーソウル』を発動!自分の墓地から『E・HERO』と名のついた通常モンスター1体を選択し、自分フィールド上に特殊召喚する!墓地から『E・HERO ネオス』(攻撃力2500)を攻撃表示で特殊召喚!」『ハァッ!』「やはり最後も『ネオス』か!だが、攻撃力は俺の『氷炎の双竜』(攻撃力2800)が上回っているぞ!」確かに。十代君、どうするつもりだろうか?「行くぜ!『ネオス』(攻撃力2500)で『氷炎の双竜』(攻撃力2800)に攻撃!」「何!?」ここで自爆特攻!?「行っけぇ!『ラス・オブ・ネオス』!」「迎え撃て!『フロストアンドフレイム・ツインブレス』!」結果は……『ぐあぁぁぁ!』当然、攻撃力の低い『ネオス』が負けた。 十代残ライフ400……だが……「罠カード発動!『デス・アンド・リバース』!自分のターンのバトルフェイズ中に自分フィールド上の通常モンスターが破壊された場合に発動!相手フィールド上のモンスター1体を破壊し、破壊された通常モンスター1体を攻撃表示で特殊召喚する!その後、このカードの効果で特殊召喚したモンスター1体は攻撃しなければならない!」「何!?」「『氷炎の双竜』を破壊し、『ネオス』(攻撃力2500)を墓地から特殊召喚!」『氷炎の双竜』にヒビが入り、爆発を起こし、中から『ネオス』が出現した。「『ネオス』(攻撃力2500)のダイレクトアタック!『ラス・オブ・ネオス』!」「ぐっ……」 三沢残ライフ0「ガッチャ!最高にワクワクするデュエルだったぜ三沢!」「……ああ」……三沢君の表情は、負けたのに晴れやかだった。 「あー、まーた釣れねえなぁ……」「そうっスね……」「ドン」数日後、僕達はまた釣りをしていた。「ははは、まぁ『果報は寝て待て』ってことわざもある。のんびりと待とうぜ」今日は三沢君も一緒だ。「あー!退屈だ!また何か面白い話ないか?」「またっスか?」「よーし!じゃ替え歌大会……」「「却下!」」……拒否られた。「面白い話か。1つ傑作なのがあるぞ」「お?なんだ傑作って?」「この間の十代とのデュエル、誰か光の結社のやつに見られていたんだろうな。昨日、とうとう俺にも光の結社から勧誘が来たんだ」「ふむふむ」「それで?」「勿論断った。だがあいつらも食い下がってな。しつこく迫って来たんだ。だから俺は……」「俺は?」「『そんなに白がいいなら、こうしてやる!』ってな、あいつらに壁に塗ってた白ペンキをぶちまけてやったのさ」「ははは、そいつはいいや!」「ははは、連中、顔も髪も真っ白になってしまってな。あの顔は傑作だったよ」……あのデュエル以来、三沢君は完全に吹っ切れたようだ。雰囲気が1年の頃に戻っている。「……でだ。そのせいでまだ部屋のペンキ塗りが終わってないんだ。悪いがまた手伝ってくれないか?」「また『ビッグバン』スか!?」「まぁそう言うな。このまま釣れる気配のない釣りを続けるのと、手伝って確実に飯を奢って貰うのとどっちが得だ?」「そ、それは確かに……」「でもそれじゃラーイエローの俺達にメリットが少ないドン」「おいおい贅沢言うな。わかったよ。翔と剣山には食後のデザートもつける」「あー!狡ぃ!」「不公平だよ!」「その代わり、十代や朝倉も働き具合によってはデザート追加だ。どうだ?」「……ま、しょうがねぇか。んじゃ、早く行こうぜ!一番遅かったやつ皆にジュース奢りな!」「あ、待ってよアニキ!」「ずるいザウルス!」「おい!そもそも俺が先に行かないと部屋が開かないぞ!」「はははは……」……亮さんだけでなく、三沢君も原作とは違う風になってしまった。だが、あの三沢君の晴れ晴れとした表情を見る限り、これで良かったかなとも思う。……願わくは、この事が後々マイナスに働かないように祈るとしよう。今日のワイト数日前、対神田君(クイズデッキ)戦「『ワイトキング』(攻撃力4000)に装備魔法『光学迷彩アーマー』を装備!ダイレクトアタック!」 「ちょ!?おたくクイズに答える気0ですか!?」「ははは!問答無用ぉ!」「うぎゃあぁぁ!?」「あーあ」「な、何と言うか……」「敵ながら哀れザウルス……」後書きや、やっと書けた(疲れ お待たせしました。いきなり改正しました。蟹座様、えだまめ様、デモア様、アンデビ様御指摘ありがとうございます!