さて、関係ない事かも知れないが…魔法は秘匿されているそして、本来ならば魔法は普通の人間が知る事など無い。例外も多々あるが、普通はそうなのだ。もし、そういったモノを知ってしまえば?知った者が好奇心旺盛な人間だったら?魔法や剣の物語に興味を持ち、憧れる様な年代っだったら?ソレを知り、使う者に話を聞きたがるだろう。教えを請うだろう。悲しい事に、彼等とソレ等は住む世界が違う。日常の中に車に轢かれ死ぬ危険性が含まれているように転んで頭を打ち、打ち所が悪く死んでしまう可能性が有るように何事にも死は付き纏う。綾瀬夕映には悩みが有る。ソレは魔法だ。担任でも有るネギ・スプリングフィールドに教授して貰っているが、初歩の初歩でしかない。ネギは日頃からエヴァンジェリン・A・K・マクダウェルに訓練を受けている。強くなる為だ。彼が強くなろうとするのは、過去の事が原因なのだろう。それと、父の影を追っているのだと思う。夕映はそう考えている。そこで、夕映は思った。ならば、ネギの兄で有るアギはどうなのだろうと。ネギに授業中、無論魔法の授業中にだ。聞いた事が有る。その時に周りに居た友人達、のどか・和美・アスナも知りたがった。その時のネギの話を聞く限りでは体の弱い普通の魔法使い。但し魔法薬学では常にトップだったらしい。アギを知る人間にも聞いた事がある。コレは自身の知識欲、好奇心を満たす為の行動だった。ネギの従者をしていて、何かと世話に成っているらしいアスナはこう言った『う~ん…気が利く奴よね。アギから貰った傷薬とか凄いし…まぁ、何かと頼りに成る奴よ?』何処か誤魔化している様な感じも有ったがこうである。一時期同室だった桜咲刹那はこう言う『アギ先生ですか? 私からすれば恩人です。あの人には助けて貰ったり迷惑を掛けた記憶しか在りません。体が弱いのに…自身の事を不甲斐無く思うばかりです』本心なのだろうが、個人的には頭を捻る。恩とは何か? 迷惑とは何か? 自身が巻き込まれた修学旅行での事件では、彼の名を聞いていない。が、それも仕方ないと納得した。なんでも、桜咲刹那にはイロイロと込み合った事情が有ったらしく自身の親友でも有る近衛このかとの仲が、いまいち詰められない様な状況にあったらしい。今のこのかの状態を見ればソレが解かる。最後に、天ヶ崎千草。修学旅行での事件を起こした本人にも聞こうと思ったが、考え直した。何故なら、話を聞く限りその事件にアギは関与していないからだ。この時点で、綾瀬夕映の中で纏まった情報は『アギ・スプリングフィールドは一般の魔法使いと同じレベルで有り、ネギよりも劣っているが魔法薬学に付いては上回っている、体の弱く気の利く頼りに成る少年』である。しかし、その評価は覆される。スライムという魔物に攫われ、ヘルマンと名乗る悪魔とネギが戦う事になった事件。アギ・スプリングフィールドも同じく攫われていたが、ソレは人形だった。予期していたとしか思えない。彼のその時言っていた言葉で解かったがエヴァンジェリンとの合作らしい。後で知ったがエヴァンジェリンは『人形使い』という二つ名を持つ程の人形師だった。そして、アギは簡単にスライムの一体を倒した。ネギや小太郎が時間を掛けていた相手をだ。彼が友人に魔法を教えている事もその時に知った。そして、ネギが避ける程の攻撃を彼は左手で防いだ。防ぎきれずに少し石化したが…したのだ。直ぐに己の中での評価が変わった。友人に聞いてみれば、彼女は複数の魔法を教わっていた。分類的に言えば東洋魔法だ。アギもネギも西洋魔法使いなのにコレはおかしい。最初は教科書が有るのかと思った。自分とこのかの違いはその魔力量と血だ。このかの親は英雄と呼ばれる程の人物と教えられた。組織の長でも有る。しかし、話を聞いて行くと在る事に気付いた。アギはこのかに対してテキストを作っている。と、いう事はだ。アギは自分が理解した事を近衛このかが理解しやすい様にしてテキストを造っている。直ぐに己の中で結論が出た。ネギでは無くアギに魔法を教えてもらおうと。別にネギに教わるのが嫌な訳では無い。ただ多忙なネギよりも、教師を辞め時間が有るだろうアギに習った方がお互いに有意義だと思ったのだ。時を見て、アギに頼みに行こうと思った時。アギが入院した。出鼻を挫かれた。彼が退院してから少し時間を置いて頼みに行ったのが、昨日の事だ。トンカチを動かす手が止まる。悩みとはその時の事なのだ。「夕映? どうしたの?」「何でも無いです」昨日の事を思い出す『断る』『何故ですか?! 先生のお体が弱い事は知っています。ですが、このかには修行をつけているではないですか?!』自分の問いに帰って来たのは冷たい言葉だった『このかさんのはね、近衛詠春かえあ依頼されて多額の依頼料を貰ったから遣ってるの? 解かる? 俺にはね、綾瀬に魔法を教えても得る物が無いの? 解かったら帰れ』『待ってください!! 私も魔法の関係者です。ネギ先生は自身の修行や教師の仕事で、余り時間が有りません。だから、迷惑を掛けないようにアギ先生に頼みに来たんです!! それに、話してくれるだけでも良いです!! 私は魔法を知りたいんです!!』『知らん、帰れ。お前に時間を割く意味が無い』『才能が無いからですか?』『メンドイから。興味が無いから。エヴァさんに聞きなよ? ネギの邪魔に成ってると思うなら自分で辞書でも引っ張り出して、魔導書読んだら?』反論しようと口を開けば、被される様に言われた『それにさぁ、解かってるの? 綾瀬は既に二回死んでるんだよ?』意味が分からなかった。自分は生きているからだ『石化して砕かれなくて良かったね? スライムに捕食されないで良かったね? 前者の時は綾瀬に殺す価値も無かったから。後者は人質だったから。良かったね? ネギが負けなくて。』ゾッとした。背筋が冷たくなった『大体さぁ…俺とこのかさんがスライムをどうしたか見てたでしょ?』『倒したのでは無いのですか?』見ていたのだ、ソレぐらい解かる。悪魔も封印された。『ハズレ。消滅させたの。倒したじゃ無くて殺したの。で? 魔法を知った綾瀬は出来る? 自分と同じように考える事が出来て、自分と同じように何かを食べる事が出来る知的生命体を殺せる?』『そ…それは』『見れば解かるから。言葉で何とでも言えるけどね。顔色悪いよ? ついでだから教えてあげる。ヘルマンはね、もう居ないよ?』『還した…ですか?』『消滅して貰ったよ? エヴァさんが後腐れなく、時間を掛けて。それじゃあ、ねぇ。俺は綾瀬が何をしてもされても、魔法を教える事はしないよ。どうでも良いから』其の侭閉じられた扉。呆然とした。でも、諦め切れずに彼がダメなら友人に教えてもらおうと思った。しかし、友人からの返答もNOだった『ダメなんよ。あんなぁ、ウチが教わっとる事はな。本当なら門外不悉の物有るんよぉ』『でしたら、教えても良い所なら教えてくれますか?』『それも出来ひんのよ。千草姉さんからも言われてるし、アギ君にも言われてるしなぁ…アギ君が教えてくれん様に成るまで時間も無いから、ウチも自分の事で手一杯なんよ』『そうですか…解かったです』友人もダメだった。ネギ先生にこれ以上時間を取らすのも悪い。そう考えエヴァンジェリンの元に向かったがソレもNOだった。(………知りたいです。大体何ですか?! アギ先生は酷すぎます!!)あの少年は自分の事等どうでも良いと言い切った。ソレが怒りを呼ぶ。「イタッ!!」自分の指を変に打ってしまい、指が少し切れた。釘の入れ方も悪かったのかも知れない「大丈夫?」「だ、大丈夫です」「夕映~ウチが薬持っとるから、茶々丸さんに手当てして貰い?」「解かったです…茶々丸さん。お願いするです。」「解かりました、此方え」治療は直ぐに終わったが。イライラが止まらない「綾瀬さん。何を考えているのですか?」「…茶々丸さんは、エヴァンジェリンさんの従者ですよね?」「はい。そうですが?」「何で…エヴァンジェリンさんは私達に魔法を教えてくれないですか? ネギ先生の時にも過酷な試験が有りましたし…」「はっきりと申し上げれば…」「申し上げれば?」「面倒臭いからだと思われます。」「そ、それだけですか?」「はい、ソレだけの理由です。アギ様にもソレだけの理由で断られたのでしょう?」ドキリとした「何故…知っているですか? 誰にも話して無いのに…」「昨晩、アギ様に聞きました。怒っているのでしょう? 話を聞いたので解かります」「そうです。あの男…どうでも良いと理由で!!」「ですが、ソレは当たり前の事です。実際に、このクラスの大半の人間との繋がりはアギ様の中では切れています」「ソレは酷すぎです!!」「そうですね。しかし、綾瀬さんは殺せますか? その覚悟が無い者に、その程度で潰れる様な人間に、マスターもアギ様も魔法を教えようとはしないでしょう。知的好奇心を満たそうとするだけなら当然です。」「……なんでですか? 何でそんなに!!」「責任が有るからです。マスターはネギ先生に魔法を教えていますが必要ないと思えば教えないでしょうし、破門して師弟関係を切ります。アギ様もこのかさんに魔法を教えるのは夏休みに成るまでです。そこで、アギ様とこのかさんの師弟関係も切れます。そして…お二人は自分の弟子が厄介事に巻き込まれても死ななければそれで良いと考えています」「な…何故ですか? それでは鍛える…教える意味が」「それで潰れるならその程度らしいです。実際に、このかさんにどういう修行を付けられているかお聞きに成っては? このかさんは骨が折れても変わらずに続く修行を耐えていますよ? 自身が回復魔法を使えるようになってからは…その前にも、骨に直接魔法薬を打って治された事も有ります。自身に人権は無いと思わされるような呪いを掛けられた事もありますよ?」知らなかった。ネギが行う以上の荒行・苦行だ。「なぜそんな事が許されているですか?! 止めるべきです!!」「このかさんの修行はアギ様に一任されているからです。それに、このかさんの立場も有りますし、このかさん自身の決意もあります。私が教えられるのは此処までです。他に私が言える事が有るのならば…」「……何ですか?」「綾瀬さんやネギ先生達が居るステージとマスターやアギ様が居るステージが違うという事と、死ぬ覚悟殺される覚悟が無い者に、マスター達は人を簡単に殺せる方法を教えるような人ではないという事です」言葉が出なかった。ステージとは何だ? 魔法使いと言う時点で一緒では無いのか?保健室で私は立ち尽くす事しか出来なかった二つ目。今回、ネギパーティーの一人を動かして見た。以下略「一日一本いにしえの秘薬」「猛毒状態でも解毒薬を飲まない漢、BIN」【BIN料理のレシピは108式まである】「現実→BIN氏(憑依)」『遺伝子をいくらコーディネートしても届かない高み』おまけアギこの「で? 俺の所に来たのね…刹那つれて」「そうなんよぉ…突然夕映に聞かれてな? 何でそんなに苦しい思いをしてアギ君に魔法を習うん? ってな。」「それで? 何て言ったの?」「? 普通に、アギ君がお父様に頼まれたからって、言ったえ?」「大変だな、刹那」「いえ、こうやって美味しいものが食べられるので…」美味しそうにアイスを食べる刹那とタツミーにエヴァさん。エヴァさんは研究があるからねぇ…最近良く来るよ? ネギの修行もあるのに大変だねぇ「あっ、ウチも食べて良い?」「好きにしなさい」(本当は、アギ君が好きやからって言うたんやけどなぁ)「このかさん、アナタを障害です」ちょっと、ご乱心気味の茶々丸が言った