アスナがゲロった。超に。秘密とか情報とかじゃなくて物理的に。そんな事を話しながら、タツミーと杏仁を食べてチャチャゼロと酒を飲んでいたらエヴァさんが来た。丁度夜中の一時ごろ。物凄く迷惑だったので帰ってもらおうとしたら。「薬を作るぞ!!」と言われたので、反射的に「効果は?」と聞いてしまった。うん。俺は悪くない…と、思いたい何でも、肉体を成長させる薬を作るそうです。でも、一つ問題が有ったので聞いてみた。「吸血鬼にも効くの?」「知らん…だが、造るからには最高の物を創る」正直に言います。トキメキました。最高、エヴァさん最高。痺れたので早速別荘へ行って準備とかを初めました。七日程篭って準備完了。現在は其々の自宅で休憩中なんだけど…「アギ様、お茶です」「ありがとう、茶々丸」エヴァさんご飯大丈夫かなぁ?日曜日、日も高くないその時間。俺は外に出る事にした。茶々丸も一緒だ。何時もの様に公園に向かう。昨日はそんなに居なかった子供達が元気に出迎えてくれる。「茶々丸~!!」「人形の兄ちゃん!! トンネル掘ろうぜ!!」子供は純粋だ。穢さを知らない…と、思いたい。間違いなくこの子達は純粋に育っていると思う。麻帆良に敷かれた結界が、そうさせているのかも知れない。茶々丸はメカだ。普通ならば有り得ない技術力の結晶。外に出れば騒ぎになるだろう。まぁ、今の姿なら大丈夫だと思うけど…それでもだ、この麻帆良に居る人間はその事を不思議に思わない。結界の効力だ。不思議を不思議と思わない。コレも一種の洗脳なのでは? と考えたが。俺でもそうすると思う。此処の技術力は異常の一言に尽きる。四速歩行のロボットが暴走しても、また科学研かと声がするのは異常だ。慣れも有るのかも知れない。それでも、イロイロとマズイと思う。ベンチに座る。既に此処は俺の特等席になっている。ソレぐらいの頻度で俺は此処に来る。日差しも丁度良く、元気な声が聞こえる。此処に居ると平和の素晴らしさが分かるような気がするから…俺は此処に座る。トンネル作りは他の子に譲った。遊んでも良いけどそんな気分じゃない。ただ、ゆっくりしたい。少し疲れた…エヴァさんの所為で。一度立ち上がって自販機で飲み物を購入。二つは絶対に買う。ソレぐらいの時間、此処に居る事が多いからだ。ボケッとしていると、何時の間にやら猫が寄ってくる。どうでも良い事だが、クロがメスである事を最近知った。何でも、麻帆良の野良・飼い猫のアイドルらしい。オスにね。僕っ娘? と考えたが下らなさ過ぎるので薬草に火を点ける。吸えばゆっくりとだが落ち着く。「アギ様?」「ん? 何?」「いえ、少々お疲れの様でしたので…」確かに疲れて居る。好きな事には全力で挑む。何時までも変わらないと思う。実際に、エヴァさんの提案は魅力的だ。身体年齢を大幅に変えられる。幻術等の幻ではなく、実際に成長を早められる。それは、とても素晴らしい事だ。正直な所疲れている。身体もだが精神もだ。この間の学園長の攻撃は効いた。精神的に。此処は敵地と変わらない。騙すのにも一苦労所じゃない。何時の間にか二本目も飲み終わっていた。薬草も後少ししか残っていない。時間もかなり経っている様だ。隣に茶々丸が座っている。顔を見ると少しだけ笑ってくれた。最近、茶々丸が良く表情を表すようになった。式神化の術式を新たに使ったからだろう。十年もすれば、精霊化か妖怪化するとエヴァさんと予想している。精霊にはならないで欲しい。絶対に狙われる。恐らくは電子精霊になるのではないだろうか?出来れば妖怪の方になって欲しい。「茶々丸…寝て良い?」「どうぞ、頭は此方へ」俺は茶々丸に膝枕をして貰って空を見た。「ねぇ…茶々丸、俺は人が嫌いだ」僕が彼を見つけたのは偶然だった。僕は彼に感謝している。昔からの知り合いを解放して貰った。コレだけでも。感謝の対象になる。ソレだけではなく、彼女の友としても居てくれる。僕では彼女の専門的な話には着いていけないから…十五年は長い。彼女はそれだけの時間を縛られた。ソレを解放してくれた事には感謝の念しか浮かばない。丁度見かけたアギ君はエヴァの従者だある絡繰茶々丸と一緒にいた。丁度良いと思い近づくと彼の声が聞こえ、僕は咄嗟に身を隠した。「ねぇ…茶々丸、俺は人が嫌いだ」(どういう事だ?)僕には理解できない。アスナ君や刹那君とも仲が良く、このか君にも魔法を教えている。学校で彼の授業を受けた生徒からもそれなりに人気だ。そんな彼が何故?「魔法使いも嫌いだよ…奴等は英雄を押し付ける」そんな事は無いと思えなかった。修学旅行の件も有る。あの時はネギ君だけを向かわせれば良かった。それと、僕だ。プロパガンダには持って来いの人材だ。(彼にそう思われても仕方が無い)「マスターもですか?」「エヴァさんは別。だけど、他の魔法使いはねぇ…瀬流彦さんも別だね。茶々丸、魔法使いはね、所詮魔法が凄いから使いたくて堪らない種族っていうか…まぁそういう人間なんだよ。力を使いたくて堪らない」「何故…そう思われるのですか?」「魔法使いは人々を助ける事を基本としている。皆がマギステル・マギを目指している。例外も多いのは知ってると思うけど…大体はそうだよね?」「はい。ネギ先生も目指しておられますし…この学園に居る魔法使いの殆どはそうだと思われますが?」それはそうだろうと思う。僕も多くの人を救いたいと思ったから、今の僕が居るんだ。「でもね…それだけなら魔法は要らないんだよ。確かに魔法は便利だ。術式体系も出来てるしね。教えれば一般人でも『火よ灯れ』と唱えれば使える可能性も高い。」「治療の魔法は素晴らしいよ? 大怪我が一瞬で治ってしまう事だって有る。でも、其処に辿り着けるのは一部の人だ。ソレだったら魔法の勉強じゃなくてさ。医療や経済、農業とかの知識を溜め込んでボランティアに行かせた方が多くを救えると思わない?」ソレは…「可能性は高いと思われます。」「可能性ではね。それにね、今の時代。電話一本で人が救われるシステムも有る。魔法使いが必要になるのは魔法使い関連の事と荒事が殆どじゃないのかぁ…と思うとね。魔法使いは何て傲慢何だろうと思ってしまう。俺もソレを否定できないから、余計に嫌いになる。」「しかし…アギ様は魔法使いです。過去にも魔法使いに助けられたのでは?」そうだ、彼とネギ君は故郷を焼かれた。ソレを救ったのも魔法使いだ。「アレはねぇ…イーブンだよ。悪魔に村は滅ぼされた。実行したのは悪魔だよ? でも、命令したのは? その原因を作ったのは?」魔法使いだ…ダメだ。彼は人の暗い部分を見すぎている「不思議な事にね、俺を助けたのは人でも魔法使いでもなく。悪魔だった。その後、俺が見たのは悪魔を薙ぎ払う父親。正直、化物としか見れなかったね。異常すぎるよ。強すぎ。」違う、あの人は人間だ。何処までも人間らしい人間だった。あの人の仲間もだ。師匠もアルビレオもラカンも詠春さんも。「その後、魔法学校に強制入学だよ? まぁ、親戚が校長だったり卒業生だったりとした所為だけどさぁ。俺は魔法とか全然ダメからねぇ。教師からは失望の眼でしか見られなかった。後は同情。弟と父親はアレだけ立派なのに、この子だけ…みたいな?」そんな事が有ったのか…いや、否定できない。魔法使いも人だ。そういった事が在るかも知れない。「正直ねぇ。魔法使いも人間も恐くて仕方が無いよ。気を抜けば利用しようとする。視野が狭いのも多い。前線に出たがる奴も多かったしねぇ。戦う暇が有るなら違う事をしろっての。魔法使いにも罰が有る。オコジョ刑とかね。でもさ、刑だから何れは解かれる。善行を重ねれば解かれる。何で封印しないのかねぇ」「…アギ様はどう考えられるのですか?」「俺はその辺良く勉強してないから分からないけど…恐いんじゃないの? 魔法を一生封印されるのが。一般人からすれば、魔法使いは常に拳銃持ってる様な物だよ? 力が無くなるのが恐いんでしょ。たぶん」「ならば…どうするのですか? アギ様は何れは麻帆良を離れるのでしょう?」「決ってるよ。普通に生きる。名前も全部捨てて、一般人として生きたい。魔法も荒事も派閥争いも関係ない。平穏でゆっくりした暮らしをしたい。農業とかね。土を弄るの好きだし。それに…魔法使いは何れは滅びると思うよ?」「何故そう思われるのですか?」「茶々丸、君の存在がそう思わせる。超の科学力は何れ人が到達する通過点に過ぎない。君は魔導と科学のハイブリットだけど…AIなどは科学の産物だ。より強く強固な外郭を持つアンドロイドと人間。危険な所に行くにはメカの方が断然優れている。人はソレを見て、状況や情報整理して指示すれば良い。その情報整理でさえ機械の管轄になるだろうさ。電子精霊? そんなモノ、居れば便利なだけの代物に成り下がる。ヘタをすればウイルスになる。」「………」「否定しきれないだろ? 人は魔法など無くとも人を救える。治療できる。癒す事が出来る。造る事が、忘れる事が、学ぶ事が出来る。魔法は秘匿されている。何故だ? 魔女狩りの経験がそうさせてる。でも、ソレは一部でしかない。そう思える。一般人に魔法が伝われば? 魔法使いの存在意義は無くなるだろうさ。誰かは忘れたけど、高度に発展した科学は魔法と変わらないって言う言葉が有る。その逆もまた然り。最終的には魔法は廃れる。魔法使いと非魔法使いの差は絶対的だ。遠い未来、魔法は要らない物になる可能性が高い。そんな道を進みたいとは思わないよ。俺は。」「俺は…魔法使いに生まれたく無かったよ」僕はそれだけ聞くと、急いで報告に向かった。彼が魔法使いを辞めると言っても辞められる訳がない。あの人の血統というだけで狙われる理由は十分だ。そんな事になれば、彼は魔法使いを怨む。あの人を怨む。魔法使いという存在を抹消しようとするかもしれない。そうなったら、討たなければならない。兄弟で戦わせるかも知れない。僕が戦わなくていけなくなるかも知れない。それだけは避けたい何よりも、彼の発言は拒絶で満ちている。彼が自分の思った通りに動いたら…(彼は一人に成ってしまう)その前に、少しでも人への魔法使いへの悪感情を薄めないと…彼は一人に成ってしまう!!「…行った?」「はい…高畑先生の反応は遠ざかりました。」一芝居うったけど…大丈夫かなぁ「何故…突然あの様な事を?」「学園長への嫌がらせと忠告。コレで絶対にジジイは俺を引き込もうとはしない。」「…あの…先ほどの言葉は全部?」「どうかな? ソレよりもお昼にしよう。夜は少し油っこい物が良いなぁ」起き上がって、茶々丸の前に立つ。「それでは…揚げ物にしましょう。」「良いね。カツ? 天麩羅?」「…両方では?」「最高です」さてさて、あの妖怪ジジイはどう動くかな?お昼はうどんを食べました。稲荷が美味しかったです。甘辛いのが何とも言えません。厚いのもね。○が痛い。以下略『おまけも本編』『読者とBINの根比べ』『暗黒神を認めさせたBIN』後『BIN氏がマスクマンのゴットスピード・ホロウを習得したようです』ってペンデュラム?おまけまた、エヴァさんリリリと電話が鳴ったので、エヴァンジェリンは面倒臭そうに受話器を取った(たっく、茶々丸め、何故アギの所に行く。晩飯はアギの所で取らねば…別に嬉しいわけじゃないが…)「もしもし?」『あっ!! 私です。さよです。』「おお、どうした? 何か問題でも在ったか?」『あのですね、紹介したい人が居るので、今晩お伺いします』「…なん…だと?」『えっと、八時頃に伺います』電話は切れた「ちょっと!! おい!! さよ!! さよ?!」エヴァンジェリンは考えに考えた末に一つの答えを導き出した「まさか…顔合わせというやつか?」チクタクと時計の音が響く。やけに大きく聞こえるのはそれだけ静かだからだ。「まてまてまて、なんだ? アレか? 私に紹介するのか? さよは嫁に行く気満々なのか? 」其処まで言って、約六百年生きた真祖の吸血鬼は大声で叫んだ「アギィィィィィ!!」影に潜る。ゲートを使って向かうは、友の家。さよセル!!!「アレ? さよちゃんどうしたの?」「あっ。瀬流彦さん。今晩にですね、エヴァンジェリンさんのお家に行く事を伝えたんです」(神よ!! 僕の命日は今日なのですか!!)「フフフ、驚くだろうなぁ」「さよちゃん? 大丈夫なのかな?…僕は」「大丈夫ですよ。だって、瀬流彦さんは私が好きになった人なんですから」(神様…僕は誓って彼女を穢していません。フレンチなキスを一回しかしていません。僕は…僕は…)「そうか…な?」「はい!!」(僕は大魔王と戦う事を誓います!! アギ君。出来れば力を貸して!!)『ちょ!! 待ってエヴァさん!! 何も泣かなくても!!』「気…気の所為かな?」「はい?」少しだけ首を傾げるさよに、ドキッとしながらも。冷静に言葉を紡ぐ瀬流彦「いや、アギ君の声が聞こえたような…」「気の所為ですよ。気の所為。今日はクラムチャウダーに挑戦したんです。沢山食べてくださいね?」「それは、楽しみだなぁ」瀬流彦は一時的に考えるのを辞めた「うぅぅ…私はどうすれば」「だから、取り合えずは話そうよ? それからね? ね?」「し、しかし…さよの未来が掛っているんだぞ?!」「だから、大丈夫だって!! 瀬流彦さんは麻帆良でもマトモな魔法使いで、人間だよ? 俺の友人でも在るんだからさぁ」「…皆が私を置いていく」「大丈夫だから、ね? 落ち着こうよ。エヴァさん」エヴァ一家図エヴァンジェリンさよの母? 的な存在。間違っては居ない。ホムンクルスの培養層を提供したのはエヴァンジェリンだからアギさよの父? 的な存在。間違っては居ない。材料を提供したのアギで。設計図の様な物を作ったのはエヴァとの共同作業だからだ。茶々丸さよの姉? 的な存在。文句は言わせないチャチャゼロさよの姉? 的な存在。実際に、エヴァが面倒を見れない時はズット居たし。話し相手にも成って居た