嘘吐き。アギ・スプリングフィールドを知れば誰もがそう思う。魔力量、虚弱な体。全てが嘘だ。貧血になるのは血を抜くからで、体が弱いのは戦いたくないからだと言う。身体の年齢すら偽り、当たり前のように暮らしている。箱舟と呼ばれる別荘を所持していると知った時は、唖然としてしまったが。奴は笑いながら話したその経緯を聞いて、私は馬鹿らしくなったのを覚えている。武器庫、宝物庫も在るのにその扉を開ける鍵が無い。奴はその事すらどうでも良いと笑う。以前、奴が私に言った『ゆっくりと平穏に暮らしたい』という言葉に偽りは無いのだろう。その事が解かったのは幸いだった。何処か攫めない男。それが、コイツだ。しかし、コレは予想出来なかった。いや、コレを私に教えると言う事はそれだけ信用されているという事なのだろう。私は真祖。誇り高い闇に生きる吸血鬼。契約は違えない。その事を知っているからこそ教えたのだろう。箱舟の中で、私は紅茶を飲みながらそう思った別荘のキー設定を変えました。個人で入れるのは俺、エヴァさん、茶々丸、このかさんに千草さんだけに設定しました。俺にギアンやハヤテ達が含まれているのは当たり前。やっぱり、自分の研究室は良いねぇ。落ち着きます。今日は祝日。つまり、エヴァさんも学校をサボる事無く研究できます。このかさんは座学中、御札の製作をしています。千草さんが見ているので大丈夫。「おい、手が止まっているぞ」「ん? あぁ、ごめん。」今は朝なので太極拳中。慣れましたよ。血行が本当に良くなるから困る。魔力の流とは別のも解かる様になりました。逃げ足も速くなったぜ「それにしてもさぁ」「なんだ?」常に円を意識しながら動く。「吸血鬼が朝方に体操ってどうよ?」「別に構わんだろ…日の光は克服してるんだ。流水もな」泳げないくせに…そう思ったのは秘密。言ったらボコられそうだからねぇ…朝食はこのかさんが作りました。このかさんと千草さんは就寝中、徹夜でやってたみたいだからねぇ。御札製作は楽しかったみたいですよ。東洋の治療…御札を傷口に付けるヤツとか楽しいみたいです。一回使ってみましたが、軽い切り傷、擦り傷には丁度良いみたい。「で? ネギはどうよ?」「まだ、何も教えては居ないから何とも言えんが…魔力量は折り紙つきだな。なんだ、弟が心配か?」「そうだねぇ…まだ潰れてもらっちゃ困るねぇ…俺に負担が来るし、何よりも面倒だしねぇ」そろそろヘルマンが来る頃なのかな? アッチの方も準備は終わったし…やっと精霊さん達と一緒に居られるよ。結構寂しいものだね…あの子達と一緒に居れないと「お前は弟に何を望んでいる?」最低だけど、周りと同じかな?「周りと同じかなぁ…アレは父親の影を追い続けてるからねぇ。英雄には持って来いでしょ。血筋的にもねぇ…俺としては良い意味で有名になって欲しいよ。その分、俺とは比較されてダメな方として周りから見られるしねぇ。何処かに引き篭もっとけば、俺を狙っても意味が無くなる」「…私はお前を襲撃する奴等が哀れに思えるよ。」「ソレが良いんじゃない。それで誰も帰ってこなかったら奴等こう思うだろうさ。『ヤツは何かに護られている』ってね。そしたら、勝手に頭の中で結びつけるさ。俺と関係在る人物をね」ネギとかとね。「お前は本当にアクドイな」「そうしないと、平穏なんてやって来ないよ、只でさえスプリングフィールドの所為で嫌な思いしてるんだから。子は親を選べず、生まれも選べない。親も子を選べない。世の中は不公平に出来てるんだから」「確かに…世の中が平等でアレば私は存在せず。幸せも不幸も存在しない。」「そういう事。だからこそ楽しい、面白いという事が在るんだろうけどね」「違いない」別荘から戻ると、刹那さんが待機してました。タツミーとチャチャゼロにゲームでフルボッコされています「いい加減、テレビ独占するなよ。人形と巫女」「せっちゃーん。ウチも入れて~」「いや、辞めようと何度か思ったんだが…」「勝ち逃ゲハ許サネェ」「こ。このちゃん?! イキナリ抱きつかんといてぇ!!」「今日はもう、終りにしときますから。遊んどきぃ、お嬢様も護衛さんも。ウチは明日の授業の準備があるさかい、コレで帰ります。」何なんだろうねコレ? 疲れてきた。「家で飯食うか?」「…お世話に成ります」「あのボケ人形の主だからな…私は」「あぁぁ、お二人の背中に影が…」茶々丸、期待してるからね。歩きながらエヴァさんの隣で薬草に火を点ける。エヴァさんも吸っています。認識阻害の魔法をエヴァさんが使っているから、文句は言われません。ゆっくりと歩いて行く。祝日なので人が多いのが嫌だなぁ…人混みは余り好きでは有りません。香水とかの入り混じったあの匂いがどうもね。「そう言えばだけど…相坂はどうするの?」「さよの戸籍は別に作った。茶々丸に任せたが…バレる事はないだろう。あのジジイも顔も体型も変わっている奴を一目見て解からないだろうさ。」「現在は、一般常識の勉強をなさっています。」そうか……平穏に暮らせれば良いね。「ネギ達には?」「教える訳無いだろう。何処から情報が漏れるか解からないんだ。特にぼうやはその辺が甘い」だろうねぇ。仲間には喋っちゃいそうだしねぇ「それで? 何故、桜咲刹那では無く天ヶ崎千草と仮契約をさせた?」「このかさんの馬鹿魔力は使い道が多いからねぇ。今の所はこのかさんにアーティファクトを持たせてた方が良いでしょ? 千草さんなら、術者の立ち回り方を傍で教えられるし。千草さんを従者にするより、このかさんを従者にさせた方が得る物が多いよ。式の運営のしかたとかねぇ」「確かに…ソレで出てきたのがあのアーティファクトか」「らしいちゃ、らしいよ。あの扇は陰陽術の発動体には持って来いだし、近接になることの方が多いけど…符も数が在るからね」「生かすも殺すも、近衛このか次第か…」「そうだねぇ…夏休みまでは面倒見るけど、その後は知らないし。俺は気楽やるよ」もう少し…頑張ってから寝よう。資格は欲しい。取り合えず、三時間睡眠を定期的にとってみる。意見ありがとう。