朝の太極拳に慣れてきた別荘生活七日目、今日が最終日です。 相も変わらずこのかさんの強化をしております。やはり、魔法を使えるようになったというのは嬉しいらしく少し発破を掛ければ驚くぐらい努力します。「お前も悪だな」「いえいえ。俺はただ、もっと魔力操作が巧くならないと次にいけないよと教えただけですよ?」才能在る子が努力するととんでもないね。魔力の流が物凄く綺麗です。千草さんも驚いていました。前鬼・後鬼に適量の魔力を送る事も覚えたようです。次は、初めての呪い・初級と始めての治療魔法・初級に取り掛からないとねぇ。魔法薬使って威力を上げる方法も教えておこう。寧ろ魔法薬を使って、自分の力量ではまだこの程度っていう事を教えとかないと……あっ、エヴァさんに聞かないといけない事が在ったんだった「エヴァさん、そういえばなんだけども…」「何だ?」構えを取って、朝方軽く試してみた事を見せる。「こんなん出来ました。何か気持ち悪いんだけど?」ポンとエネルギー弾みたいなのが出る、勿論ヤムチャにでさえ通じないであろう威力のだけど。いや、魔法使いとしては出来ないとオカシイんだけど「…貴様は私を舐めてるのか? ソレは発頸だ!! 気と魔力の違いも解からんのか?!」「いや、魔力じゃないのが出たから聞いてるんじゃん。短気は損気だよ?」「グッ……ソレは体の何処からでも出せるのか?」「無理。手からしか出ないと思う」「イメージの問題だな。今のお前は気の流れを掴みかけてる状態なんだ、これからも朝にやってるのを続ければ今のヘッポコ状態もマシに成るだろう。」面倒臭いなぁ…朝は惰眠を貪るのに限るよ。二度寝は気持ち良過ぎる「良いな? 続けろよ? 絶対に続けるんだぞ?」「はいはい。」「返事は一回だ!! もう良い、直々に監視に行く」「エヴァさんが?」「茶々丸がだ!! 私も眠い」ですよねぇ。このかさんに、呪いや治療の魔法を教えるのは次に回しました。千草さんとの話し合いの結果そうなりました。今は魔力操作に集中してるから、今日まではソレ一本に絞って次回に回そうという事になりました。個人的にはさっさと教えて、ゆっくりしたかったんだけどなぁ。「夏まで時間は在るんや、基本を大事にコツコツ行きまひょ」「基本は絶対だもんねぇ…」でも、面倒なのに変わりは無く。俺はエヴァさんの書庫に退避してました。見ててもつまらないです。チャチャゼロ無双気味だし、俺が口を出すよりも千草さんに口を出して貰った方が良いでしょ?女性どうしなんだし、先輩後輩の間柄になるんだしねぇ…晩御飯は何だろう?「アギ様、紅茶をお持ちしました」「ありがとう、茶々丸。」後ろに下がった茶々丸から、受け取った紅茶を飲みながらページを捲る。関西呪術協会に有った物を写した物だ。今は簡単な物から読んでいる。金縛りや病魔(風邪)等の呪い昔でいえば風邪も重い病だったかも知れないが、今はそうでもない。しかし、馬鹿には出来ない。風邪から肺炎にする事も可能なのだ。この呪いは……金縛りもかなり簡単に覚えられると思う。掛けても、相手との力量に差が有れば悲しい結果に成ってしまうが…人を呪わば穴二つとも言うし他にもくだらない効果の物も在るが、やはり目を見張るのは『死』に至る呪い。呪殺と呼ばれる呪術。じわじわと、相手に恐怖を覚えさせながら数日から数十日掛けて殺す物も有れば。子々孫々、その一族をどん底に突き落とすような物も有る。一定の年齢に達すると発動するという物だ。他にも、胡蝶の夢の様に夢と現実を錯覚させて殺したり。そのまま、胡蝶の夢に落とす物もある。「恐いねぇ…修学旅行を襲ったのが千草さんだったのは幸運だったんだろうねぇ」本当に恐い。何時、何処で、誰が、誰に、全ては殺された誰かが解かった時点で手遅れ。次の標的になる。集団の中でなら疑心暗鬼も起こせるだろう。そうすればガタガタになったチームは機能しなくなる。更にページを捲る「…呪詛返し」食い入る様に見てしまう。古今東西様々な呪いが有るが日本の陰陽道等で使われる呪いは必ず上位に食い込むと思う。その呪いを返す。決った体系の中に有るモノだが、侮ってはいけない。陰陽道は遡れば古代の中国で生まれた自然哲学思想、陰陽五行説を起源として日本で独自の発展を遂げた自然科学と呪術の体系だ。他にも中国の占術・天文学の知識を消化しつつ神道、道教、仏教などの影響を受けている。つまり、他の体系での応用が聞く可能性は高い。「一度試すか? 千草さんに軽いのを掛けてもらって…感覚を掴めば…」「アギ様」「どうしたの? 茶々丸」「ご自愛下さい。今しばらく考えを煮詰め、マスターと千草さんに相談してから実行された方が実りが多いかと…」確かに…興奮するといけないなぁ。薬草を取り出して火を点ける。今日はもう止めて置こう…熱くならず、冷たくならず。常に冷静ではなく平静を「茶々丸、おやつにしようか。エヴァさん達と」「…はい。クッキー等如何でしょうか?」「良いねぇ」夕飯を食べ終えて、風呂にも入り後は寝るだけとなった。「眠れない」部屋を出てテラスに向かう。先客が一人で酒を飲んでいた。「隠レテナイデ出テ来イヨ。一緒ニ飲モウゼ」「突然声を掛けないで下さいよ。ビックリするじゃないですか」「ケケケ、オ前ガソンナ玉カヨ」「臆病者という事で有名ですよ?」弟に全て任せてノウノウと生きている、英雄の息子の駄目な方ですから。「臆病ナノハ良イ事ダ。臆病ダカラ生キ残レル、引キ際ガ解カルノサ。御主人ダッテ在ル程度強クナルマデハスンゲェ逃ゲップリダッタゼ?」「逃げるが勝ちですよ。」「ホラ」「どうも」チンとグラスを合わせて、一口。「デ? 眠レナインダロ?」「えぇ、気が昂ぶっているようで…普段ならこんな事はないんだけど」「気ヲ使ッタカラダロ。魔力ト違ッテ身体エネルギーラシイカラナ。まぁ、一杯ヤッテ酔イガ回レバ寝レルサ」静かな夜を、過ごしました。結局寝たのは二杯目を飲み終わってから、ヤッパリ茶々丸に怒られた。何だ? 監視でもされてるのか?風邪引いた。咽が痛い。来週試験。シケンコワイ。オヤスミ