「アァァ!! 見つからねぇ!!」「本当にこの森なの? この辺、毒草しか生えてないわよ? ギアン」「目印は無いのか? 主を待たせるのは嫌なのだが」「目印は…色が青」「? それなら、先程見つけたが?」「「それだ!!(ソレよ!!) 流石、ガラ!!」」此処は悪魔の住む世界。広大な大地、広大な森林、広大な湖、広大な荒地、広大な砂漠、魂の凍る様な極寒の地が広がる。広大な世界月の様な物、太陽の様な物が空に上がる。魔性の地その大地で、三体の悪魔が叫んでいた「「魔獣に食べられそうじゃねーか!!(じゃない!!)」」「叫ぶ前に戦え!!」「はっ!!」「どうした? アギ」「いや、何だかとても心配になって……何だろう?」「知るか。ソレよりも、腕の回転が遅すぎるぞ!! 流れる様にだ!!」筋肉痛だって言ったじゃん…エヴァさん横暴だよ。これでも大分良くなったんだけどね…軟膏作っておいて良かった。また、朝から太極拳。嫌いじゃないよ? フィールドワークもしてたし、此処最近は全くしてなかったけどさ。体を在る程度は動かしておかないと頭も回らないし「ほら、其処はもう少し力を入れるんだ」「へ~い」「余計に力を抜いてどうする?!」だって…痛いんだもの…研究者に体術や戦闘をさせないで下さい。茶々丸助けてあっ、このかさんは二日酔いにもならずに元気に味噌汁作ってます。魚を焼く香ばしい匂いが食欲を増進させてます。鯖を焼いているそうです。大根卸しに醤油だよねぇ「ほら、足をもう少し開け、腰も落とす」「エヴァさん」「ん? 何だ?」「コレって、意味在るの?」何故か溜め息吐かれました。ちょっと、ムカッとしましたよ?「太極拳のが姿勢に厳しいのは気の運用を体に正しく教え込む為だ。気を使わずとも魔力を流せば、習得した後と前では大分違う。どの武術でも、型が在るのはそのためだ。自然とそうなったんだろうがな。それに、お前は貧弱すぎる!! あの程度で筋肉痛とは何事か!!」エヴァさんの所為だよ?「いや、研究者に肉弾戦とか戦闘技術を求めないでよ。俺は戦いには向かないんだから」「アホか!! 体ぐらい在る程度鍛えておかないと、長時間の研究や実験に耐えられないだろうが!!」「体は丈夫ですぅ。無駄な贅肉も無いですぅ、薬でブーストしてるから大丈夫ですぅ」「お前は…決めた!! 私が決めた!! 今決めた!! 絶対にお前には体を鍛えてもらう!!」「フザケンナ!! 研究させろ!! 読書させろ!! 剣や杖を持つ為に俺の手は在るんじゃない!! フラスコ・ビーカー・試験管!! 様々な実験器具を持つ為に在るんだ!!」「この、研究馬鹿がぁ!!」大振りのパンチなど喰らわんよ!!横から両手を添えて逸らす「…出来るじゃないか。ほら、飯にいくぞ」そのまま、鼻で笑ってその場を後にするエヴァさん。乗せられた…六百年はデカイなぁ。あの人、俺の弱点をピンポイントで狙ってきますよ?研究大好きな所とか、面倒臭がりの所とか……「勝てそうに無いなぁ…」「アギ、貴様!! さっきの仕返しか!!」「塩鯖は貰った!!」いや、御腹が空いて空いて溜まらんのですよ。「はい、今日はてっちゃんとたまちゃんと戦闘訓練をして貰います」「…ウチ、余りそういうのはしたくないんやけどなぁ」「お嬢様、先ずは護身を教わってからや。じゃないと、逃げる時間も稼げまへん」「そうやなぁ。好き嫌い言ってる場合やないな。逃げる為には足止めが必要やもんな」聞き分けの良い子は好きですよ? 先生として。「それじゃあ、チャチャゼロ先生宜しく」「任セトケ。派手に切リ刻ンデヤルゼ」まぁ、その辺は互いの匙加減で宜しくねぇ。俺は知りません。其の侭、薬草吹かしながら離れた場所から様子を見て唖然としました「ハハハ!! 今回はチャンとした契約しとるさかい。本当の全力で暴れるで!!」「ヤルジャネェカ!!」鉄の棍棒と大剣とナイフが風を切ってぶつかり合ってます。強すぎじゃね? あの鬼「ウチの事も忘れたらあきまへん!!」空を切る苦無がチャチャゼロの動きを停滞させるか、逃げ道を少なくする。自身の軽さを生かして暖簾のように棍棒を避けるチャチャゼロがカッコイイです。「数百年の殺戮経験は伊達じゃないねぇ…そうでしょ? エヴァさん」「当たり前だ。チャチャゼロは私が造った最初の従者にして歴戦の古強者だ。アレぐらいの事は出来るさ。」流石としか言いようが無い。どちらも強いが、チャチャゼロの経験が勝っている。複数を相手にするのにも慣れてるみたいだしねぇ。携帯灰皿に吸殻入れてもう一本「ほら」「…だから、買いなさいよ」「良いではないか。ストックは大量に持って来てるんだろ? 後で三カートン買うから寄越せ」「まいど~」フーっと煙を吐いて、空を見る。長い間、精霊さん達と会っていない。ソレが少し寂しい。此処は我慢しなくてはならない。己の別荘に行けば少しの間は会える。ソレまでが待ちどうしい「近衛このかの魔力供給が巧くなってきたな」「まだ、それしか教えてないのよ。魔力の制御も一緒に鍛えられるから一石二鳥だし、自分の限界も分かるからねぇ。何よりも」「戦う事への耐性を付けるか…呪いも教えるのだろう?」まぁね。それが無いと逃げ切れないよ。金縛りとか結構簡単だったしねぇ…少し弄ればかなり恐いよアレは。「良い先生してるでしょ?」「馬鹿が、お前は元々教師だろ?」そう言えばそうだった。もう直ぐ解放されるけどねぇ「何を笑っている?」「後少しで教職から解放されるのが嬉しくて…コレで、本格的に研究できる」戦闘訓練はこのかさんが気絶するまで続けさせましたよ? 限界は知って置いた方が良いからねぇ。千草さんも心を鬼にして教えてました。現在、このかさんは就寝中。お風呂に入って速攻で寝ようとして居たので叩き起こして、晩飯食わせてから寝せました。明日もするんだから当たり前。泣き言は聞きません。人事だから!!「それにしても…スパルタはキツイわぁ……アギはんは平気そうどすな」「仕事ですから。ソレに其処までスパルタでは無いでしょ? エヴァさん」「まぁまぁだな。私ならモット厳しくする。何処か知らない土地に放り出して鍛えるとかな」流石エヴァさん。ミス・スパルタ。其処に痺れも憧れもしないけどねぇ「大体から、詠春さんが俺と自分の事を利用して言外に『魔法大戦行っとく?』的な事言ったんだから、俺的には十分優しいつもりだよ?」俺が関係ないなら、好きなだけドンパチやっても構わないから良いけどさぁ。俺が一枚噛んでたら巻き込まれるじゃん。面倒臭い。まぁ、あの人にもその気は無いのは解かってから、依頼を受けることでもう一つ貸して上げたんだから、結果的には損得無しでいいのかな?「あの温厚な長が思い切りましたなぁ」「いや、元から近衛詠春は怒らせると怖ろしいと言われていたぞ?」「まぁ、人間幾つも顔を持ってるモノだからねぇ。」