別荘生活三日目。今日はこのかさんの前鬼・後鬼作りの日です。千草さんとエヴァさんに協力して貰って、結界張ってます。それなりに大きいので、このかさんには一発で成功して欲しい。なので、ただいま鬼の選別中「出せやコラァ!!」「封印してまた閉じ込めるんかい!!」「久しぶりに子供に逢いたい」最後の鬼さんごめんなさい。もうチョイ、待って。君はちゃんと還すからそう思って、一際大きい鬼に目を付けました。何で、リアルに傷だらけなの?何か刺さってるし「何故に君だけボロボロなの?」「闘いの最中に横槍が入ってな、小太刀を持ったお嬢ちゃん護ったらやられてしもうたんや」小太刀? 刹那さんか…横槍は月詠かな?「その横槍ってさ。メガネ掛けた人?」「そうや、中々強そうやったけど…気に食わんかってん。」この鬼…それなりに強いな「アンタ、前鬼になる気ある?」「ワシに主を守れ言うんか?」「俺じゃなくて、西のお姫さん」「おぉ!! あのお嬢ちゃんか…ちゅうことはや。あの神鳴流のお嬢ちゃんも居るんやな?」「その通り。このかさんが許可したら戦っても良いよ?」俺はノータッチだからねぇ。「乗った。後ろの狐女も一緒にしたら丁度良いやろ」「ちょっと待ってぇな。ウチは了承しとらんで?!」「良いねぇ…アンタとは旨い酒が飲めそうだ」「あんさんもちょっと待ちぃ!!」候補決定!!「それで…この鬼さん達と契約すれば良えの?」「そうどす。やり方は昨日復習した通りどすえ、お嬢様」「了解や!! 宜しくなぁ、二人とも」此処からは一人でやって貰わないとねぇ…一応、千草さんが見てるから俺は後処理に行きます。エヴァさんを待たせてると後が恐い「クロ」「なーに、アギ? 僕、鬼を食べるの初めてだから残すかも知れないよ?」食いしん坊の癖に…「食べちゃダメ。アレは一匹は除いて何時も道理にするから」「……一寸だけ抓むのは?」だからダメだって「ダーメ。クロには何時も道理に手伝って貰うけど…お前ばかり美味しい思いはさせられません」「まぁ、そうだね。ガラが五月蝿そうだし」そんな事を話しながらエヴァさんの所に「おい、一体何をするつもりだ? この程度の奴等ならお前の悪魔でどうとでもなるだろう?」「まぁ…そうなんだけどねぇ。使い道が在るんなら使わないと勿体無いでしょ?」えーと…あ、居た居た。「其処の鬼さん。」「何や? 」「ゴメンね」「は?」理解しなくて良いよ。まぁ、怨みも無くなるけど「おい…何をするつもりだ?」「エヴァさん。五月蝿いかもしれないから防音結界張っておいて」「? まぁ、構わないが」それじゃあ、始めますか。精霊さん達が居ないと面倒臭いんだよなぁゾクリと肌が粟立った。何だこれは? 何だなんだコレは?!「ハハ…素晴らしい!! 素晴らしいぞアギ・スプリングフィールド!!」かぼそく呻き声を上げる異形を見つめながら興奮する。久しぶりだ、久方ぶりの惨劇だ!! 一切の情も無く、淡々と事を進めるその姿こそ。貴様を盟友と認められる、心から思える理由だ!!「アギーこの人達? 意外に脆いよ?」「まぁ…こういった事されるの初めてだからじゃない? 運が良ければ生き残れると思うし、そうすれば対抗策でも作るんじゃないの?」普段と変わらぬヤル気の無い声で、悪魔と話すアギ。己の為には他のモノなどどうでも良いとでも言いたげに、徐々に結界を収縮していくその姿。正しく同類。私と同じ道に居る者。本来ならば還る筈の鬼共が潰れて消えていく。送還ではなく消滅。二重の結界の内の一つが、還す事を阻んでいる。ソレの内側に在る結界が鬼を押しつぶしている。懐かしきかな、遥か昔。私を滅ぼそうと向かってくる教会の騎士共を、司祭共を。私を滅ぼし、名を上げようとした魔法使いとその従者共を地べたに這いつくばらさした。勝利の日々が私の体を熱くさせる目の前で、圧縮されて物言わぬ肉塊になった異形の成れの果てを当たり前の様に封印しなおして、アギは悪魔に言った「それじゃあ、宜しく」「あいあい。この人達に付いてたのも一緒で良いんでしょ?」「その通り。」私には解かる。超越種、幻想種である私には見える。有象無象の怨念が、死霊が、アギに襲い掛かろうと群れているのが。アギはソレさえも気だるげに一瞥するだけで、何もしない。怨霊共は悪魔に導かれて封印される。少し変わった容器だ。封印が終わるとその容器、瓶が三つ繋がったような形の容器に純度の高い暗い魔力が溜まっていく。そういう事か「怨み辛みを凝縮・洗礼して霊薬にする。爵位を持たない悪魔に力が在る筈だな…成長させたのか。本来なら長い時間を掛けて強くなる筈の悪魔達を、最も効率良くリスクの少ない方法で」「じゃないと襲われた時、危ないじゃない。偉大なクソ親父殿には敵が多いからねぇ。皆には俺が逃げる時間とかも稼いで貰わないといけないんだから」「? お前はぼうやの様に覚えていないのか? 魔法の射手以外の攻撃魔法は」「闘いも、痛いのも、嫌いなの。平和主義者なのよ。」「どの口が言うか…まぁ、良いだろう。お前の戦う姿など想像も出来んからな」何事も無かったかのようにその場を後にする。今夜は一本開けるかこのかさんも契約が無事に終わったようで、ハシャイデいます。まぁ、気持ちは解かるよ。俺も最初はハシャイデた。スタンじいちゃんには調子に乗るなって良く注意されてたなぁ。それが我慢できなくて、もっと上の魔法を、もっと難しい魔法をって頑張っけ。少し、感傷的になってしまった。スタンじいちゃんは俺に取っては父の様な人だった。そのまま、じいちゃんでも有ったけど…酒臭かったけど、その匂いがなんか好きだったなぁ。英雄の息子というフィルター越しに俺を見る周りとは違って、俺という個人を見てくれた数少ない大人。アーニャのご両親もそう。年の近い子供が居たからだと思う。後少し…本当に、後少しで材料が揃う。「それにしても…」むにむにと人の頬を抓まないで下さい。決意を新たにしている時に「なんれふかぁ?」「お前は、本当に老け顔だな…肉体年齢が十四…もう十五か? には見えんぞ」言わないでよ。気にしてるんだから「精神の問題だよ…疲れてるからねぇ」やっと、手を離してくれたのでチャンと喋れる。もう…ヒリヒリする。「…ナギとガトーを足して割ったような顔だな…いや、今の詠春の方が良いのか?」「ガトー? 」誰だっけ? あっ、タカミチの師匠だっけ? もう死んだ「お前の親父の仲間の一人だよ。タカミチの師でも在る。もし、生きていたなら気が合ったかもしれないな、タカミチも何処かヤル気の無い人だったとぼやいていたし。」それは、違うと思う「実際の所は達観していたのだと思うが…今と成っては解からん。しかし…髪を切ろうとは思わんのか?」「面倒だし…後ろで纏めてたら良いでしょ? 邪魔にはなってないんだから」「まぁ、そうだが」ていうか、退いてよ。エヴァさん軽いけど暑いよ。「このワイン美味しいねぇ…何年物?」「ん? コレは…去年の夏に作ったヤツだからな。」大体三十年~二十五年だねぇ。俺も作ろうかなぁ次の日起きると、茶々丸さんに怒られました。テラスで眠っていたらしいです。「マスターもほどほどにしてください。」「むぅ…なんだ、心音を聞いてたら眠くなってだな」「俺も、少し疲れてたから…ごめんなさい。てか、あのまま寝てたの? 」「…貴様が早々と寝てしまうからだ。退くに退けなくなってな…」「二人とも」「「ごめんなさい」」何故か茶々丸から、黒いオーラが見えました「ケケケ、二人トモ抜ケテルナァ」「五月蝿いぞ、チャチャゼロ」「あっ、始めまして」初めての合いました。チャチャゼロに