ネギと超。二人の戦いは激戦になった。当初、超は魔法を使えない。使えたとしてもソコまでのレベルではないと思っていたネギは、完全に裏を掻かれた。超は魔法を使えた。しかも、かなりのレベルでだ。薄っすらと体に浮かぶ術式。ソレが超が魔法を使える理由だという事を理解したネギは、気を引き締めて詠唱を始める。杖に跨り、常に動く事も忘れない。超の武器は魔法だけではない。時空跳躍弾、一撃で自分の負けが決る凶悪な反則。ソレを避けながら、ネギは超を観察する。兄に言われ人を観察する様にしているのだ。実際の所は、アギが宮崎のどかの為にネギに忠告した事だったりする。髪型や少しの化粧。服装や仕草。こういった事を観察して褒めろという意味だったのだが、少し歪曲しているのかも知れない。ネギは気付く。超が詠唱の度に何かに耐えているのを(何であんなに苦しそうに……まさか!!)「その術式で無理やり魔法を使っているんですか?!」「御名答…正解の商品は君の敗北で良いかナ?」(止めさせないと!! 超さんが持たない!!)どうするか…超の言葉は確かに衝撃を与えた。今考えられる事をエヴァさんと話す。「契約が問題なのか?」「いや、ソレは無い。今の所、お前の体はギリギリ人間と言える」ギリギリ?「不思議そうな顔をするな…七つの大罪の内の一つをその身に納めたんだぞ? 魂の拡張とはそういう事だ。肉体は精神を通し魂に繋がっている。そう聞いた事も有るし、私達が作った体を成長させる霊薬。アレも、魂に影響が有る霊薬を元にしているだろ?」「つまり、遅かれ早かれ俺は人で無くなる?」「一概にそうとも言えん。ギリギリと言っただろ? 私が見ている限り、お前の行動や言動は以前と同じだ。魂が拡張された為による魔力の増大、精神の補強が貴様を人に留めてはいるが…中身だけを見れば十分に人外だ。肉体への影響が極小で済んでいるのは、精霊達のおかげだろう」そうなのか…しかし、だったら何で俺が死ぬ? 精霊達が常に護っている状態の俺を跡形も無く殺せるのか? 瞬時に転移しようと思えば出来るんだ。ならば…偽装? いや、アレはそういう風には作ってないし…欠陥品だ。今から間に合うか? いや…しかし…「………一つ言っておくが…お前のクローンを創ろうとしたら時間がかかるぞ? どうやっても所詮はクローン。お前の魂に肉体が着いて来ないし来れない。今の体だから大丈夫なんだ。腕は拡張が始まる前に付けれたから大丈夫なんだ。」「…人形でも無理だしねぇ…」ダメだ。頭が回らない。「今考えるのは止めておこう。明日からだ。」「…うん」気が重いなぁ。エヴァさんのゲートで家に帰る。誰も居ない。居るのは俺とチャチャゼロだけだ。チャチャゼロも喋らない。気を使っているんだろうか? ならば余計なお世話だと言いたいが…「ナァ…飲モウゼ? 明日考エリャ良イジャネェカ。イザトイウ時ハ…護ッテヤル」「そうか? …そうだな。俺にはお前達が着いてるもんな!!」「ソウダゼ!! 今日ハ飲モウゼ!!」台所から大量に酒を出す。コレは逃避だ。でも、ソレでも良いと思う。明日考えるしか選択が無い。今の状態では何も考え付かない。それに…「お前の前でなら泣けるからな」「何カ言ッタカ?」「何も? ツマミは何を作るか考えてんだよ」「ホウレン草ノ奴!! 」「無い…先に買い物行くか?」「速ク行コウゼ?」頭に飛び乗るチャチャゼロの重みに安堵を覚えて苦笑する。サイフを胸のポケットに入れてドアを開ける。今日は良い事も悪い事も両方在った。それだけだ。まだ見ぬ敵が誰かは知らない。ならば、生き残る為の最高の準備をしよう。そうしないと…今までやって来た事が無駄に成ってしまう。「人ガ無駄ニ多イナ」「大分マシになった方だよ? 皆、今から帰るんじゃない?」人混みの中を移動する。チャチャゼロとも中々喋れないけど、仕方が無い。ネギと超の戦いは、ネギが勝ったようだ。歴史は俺の知る通りに進んでいる。簡単に行ってしまえば、俺が原因なのかも知れない。本来なら知らない事を知っている。故に、その方向に事柄が進んでいるのかも知れない。スーパーに着くと、以外に人が多い事に驚いた。上でドンパチやってても、下は平和なモノだ。コレが望むモノ。耳に入ってくるのは麻帆良祭の事ばかりだが、少し落ち着く。ほうれん草と椎茸、シメジ、ベーコンを籠に入れて、ついでに他のモノも買っておく。トイレットペーパーも買う。お一人様だったから、チャチャゼロに幻術かけて二つ買える!!「金持ッテル癖ニ…」文句言うな「金が有る人間ほど、ケチなんだよ」帰り道は其の侭、二人で歩いて帰る。長く伸びた影が後ろで揺れる。楽しそうに歩く家族を見ると、心が軽くなった。家族とはアギになってからは無縁なモノだった。俺がそう認識出来ないのも問題なのかもしれない。でも…仕方が無い。俺にとって両親とは顔も思い出せない二人の事で、アギにとっての父親はスタンじいちゃんだった。ナギ・スプリングフィールドには何も感じない。余計な事をしてくれたなとしか思えない。考えるとガリガリと頭が痛くなる。あの光景は、何処かでトラウマに成っているのかも知れない。あの時は、余りの圧倒的な力に恐怖が麻痺して居たんだと思う。じゃなきゃ、喋れない。アスモダイと喋れなかっただろう。そのまま死んでいた。運が良かったのか、悪かったのか。ドチラとも言えない。指輪が無ければ皆と合えなかった。指輪が無ければ魔神とも契約は出来なかった。指輪が無かったら、俺は此処には居なかった。指輪が無ければ校長にもバレ無かった。「人生侭ならないなぁ」「ナーニ黄昏テンダヨ。酒ガ有ルンダ。楽シク行コウゼ!!」今はお前に感謝するよ。チャチャゼロ。やられた。負けてしまった。まさか超まで負けるとは思わなかった…いや、私の甘さが原因だ。鈍っていたのかも知れない。「帰る…いや…私はアソコに居る資格が有るのか?」超はバラした。ネギ先生とその仲間に。「何を落ち込んでいるカ?」「君が負けた事と…自分の失態にだよ。超」超の顔は何処かスッキリとしていた。「そんなにアギ・スプリングフィールドが大事なのカ? 惚れた?」どうなんだろうか? 私は彼の事が大事だ。仲間で友人の彼を見捨てたくは無い。戦場でもないんだ。彼は平穏を望み生きている。ソレの手伝いをしてやりたいと思った。失うには惜し過ぎると思った。何よりも、彼は私に教えてくれた。ソレが意図した行動ではないのは解かる。彼は労いのつもりなのだろうが、私はそうは思えなかった帰れば暖かい料理が有る。「お帰り」という言葉が迎えてくれる寝床を用意していてくれる。暖かい気持ちにさせてくれる。退屈を祓って、長閑と平穏を味合わせてくれる(そうか……私も…)「そうなのかも知れない…けど…」「けど?」「私は彼の望む世界に暮らしたい…ソコに行きたいと思っているんだ」「…最初から私は負けていたという事カ…一つ、私が垣間見たアギ・スプリングフィールドを教えておくヨ」超が私に教えた事は、私が知っている事の多すぎて笑ってしまった。「失礼ナ…でも…笑っていた方がいいネ」「気を使わせたな超。すまない」「雇い主としてはアフターケアぐらいやってやるのが義理ヨ!! でも、気を付ける事ダ。私は最善の準備をしたつもりだった…なのに…アギ・スプリングフィールドには言外に『道化』と言われたヨ。敵ですら無い。その価値も無いように嗤われた。」「ソレが彼の面白い所さ。敵と味方と有象無象、そうやって人を分けている。刹那も知らない間に切られそうになっていたからね」超は溜め息を吐いて言った「本当に外道ヨ。あの先生…惚れてるのぐらい解かりそうなのにネ…寧ろ解かってるから放置してるのカ?」「ああ…その線は有力だね。近衛の事も全く相手にしていない」「やっぱり女の敵ネ。神楽坂アスナの時も性急過ぎヨ…敵は強大だナ。龍宮」「何…私は後ろからゆっくりと着いて行くさ…無理やりね?」私達は笑って分かれた。今日の失態は明日に生かす。今日の屈辱は明日への糧になる私は生きているのだから「ただいま」扉を開けると酒の匂いがした。「「おかえり~」」チャチャゼロと先生がグラス片手に飲んでいる。一言文句を言ってやろうかと思ったが止めた。ホニャっとした顔で「真名さんもどう?」と聞かれたら、少し前まで悩んでいた自分が馬鹿らしくなった。「今日のお酒は『大妖精』でっす!!」「『魔王』モ開ケテルケドナ!!」「それじゃあ、両方貰おうかな? ツマミも新しく作るよ」ヒャッホーイと浮かれる二人を不思議に思いながらも、エプロンをつけて冷蔵庫を開けた。(私も…普通の女なんだな…)教えてくれたのはアナタだよ? 自重? 何ソレ? 楽しいの?後で修正します。終わるまではチラ裏から出ません。この作品はチラ裏だから許されるんだと思います。出すとしても、全部修正し終わってから。以下略『この俺にブレーキなんてねぇ、ただ駆け抜けるだけだ』「BINが文殊を作り始めました」「新型スカウターを作りましたBIN氏に向けると壊れました、公訴する前に負けました^q^」『煩悩の数だけ BIN がある』