コトリと置かれた湯飲み。一言断ってから頂きます。お茶と一緒に出された饅頭は、餡子の甘味が丁度良くて、緑茶に良く合う「ケケケ、ソンナニ珍シイノカ?」「当たり前や!! 機械でも無いのに動く人形、しかも、考えて喋る事が出来る何て!!」いや…うん。魔法の秘匿とか完全に無視です。はい。「いや~素子ちゃんの『ひな』とかで慣れてるけど…本当に魔法って有るんだね」「そうねー…何だか今更な気もするけど…」どの道、素子さん。青山の関係者で、イロイロ常識ハズレの体験をして来たらしいので今更だそうです。波乱万丈の人生だって男の人、景太郎さんは言います。東大三浪とか、縁結びの呪いとかモルモルなんとかの遺跡とか…冒険をしたらしいです。頷いた女性は成瀬川なるさん。景太郎さんの彼女だそうです、打撃力が半端無い。目の前で繰り出されたアッパーで人が空を飛びました。フォームとか滅茶苦茶なのに古さんレベル。有り得ない…まぁ、景太郎さんのラッキースケベが原因なので何も言わないけどねぇ。凄いねこの人。直ぐに甦りました。何でも、考古学を勉強中で海外を飛び回っているとか…俺の間が悪くて、帰ってきて直ぐに電話が有ったそうで…すみません。笑って許してくれる辺り、この人の懐は広く深いです。人の良さそうな笑顔だしねぇ。最初はリア充モゲロとか思っていたけど、慣れました。ネギとかで。嫉妬すら湧きませんよ。こうも、ラブラブだと。俺に出来るのは、暖かく見守るだけです。ハヤテは麻帆良に置いて来ています…もしもの異常事態の時は、エヴァさんからの念話が有るから心配なし。なので…「早く復活して欲しいなぁ」「ハハハ…素子ちゃん鶴子さんの事が苦手みたいだしね…もう一寸待ってあげて」「あの人、異常の塊みたいな人だもんねぇ」そういう事を体験するから、非常識に慣れてるんだねぇ。「なぁ…解体してもええやろ?」「嫌ダッテ言ッテルダロ?!」「ええやん。減るもんや無いんやし~」「アギー!! 助ケロー!!」チャチャゼロの救助はしておこう。「ハァ…此処だ」素子さんの案内で、私室にお邪魔します。手紙の内容は知りません。エチケットだからね。自分のしか読んでないよ。通された部屋には大きい鏡が一枚。シーツを掛けられた状態で鎮座してました。「…あの…それで、手紙には何と?」教えて貰わないと、此方も動けない。一応、時間をくれれば魔法薬を用意出来るんだけど…「その前に…一つ聞きたいんだが?」「何でしょうか?」「青山との繋がりは知っているのか?」意味が分かりません。「鶴子さんと知り合ったのは依頼をしたからですけど?」「…ソレの事は私も知っている。リョウメンスクナが出たのだろう? 手紙に書いてあった。そうでは無く。『青山』と『近衛』との繋がりだ…最初から説明した方が良いみたいだな」「…お願いします」素子さん曰く。関西呪術協会と神鳴流の繋がりは古い。退魔を生業とする戦闘集団神鳴流。呪術や封印術などを使い国の未来を詠んだり、退魔もやっていた関西呪術協会。(その前は陰陽錬とかイロイロと名前が変わったらしいので割合する。)が、協力関係に在るのはそのスタンスに在る。後衛と前衛が見事に別れているからだ。他にも、訓練中の大きな怪我や、仕事での大怪我等も有る神鳴流からすれば、癒しも使え、式で偵察も出来て情報を多く持つ後衛の存在は有りがたいモノだった。呪術協会からすれば、完全な前衛である神鳴流剣士は有りがたかった。近接戦闘が出来る者も居るが多くは『式神』に頼る。その式が倒れれば終わってしまうのだ。完全な前衛が足りない状況だった呪術協会からすれば、神鳴流との協力は身内や仲間を守るためには有りがたかった。此処までは分かる。しかし、『近衛』と『青山』の繋がりが分からない。名家どうしの繋がりなのだろうか?そうすると、少し厄介だ。近衛近右衛門は未だに健在である。青山も無碍には出来ないだろうし、他の神鳴流との繋がりも個人で多く持っていると思う。「私達姉妹からすれば、現・関西呪術協会の長、近衛詠春殿は兄弟子に当る。その関係で私は幾度か稽古を付けて貰った事もある。姉様は当時から最強と呼ばれていたからな…」どんよりと影を背負う素子さんに、同情したのは間違いじゃないと思う…「スマンな。話しが逸れた…まぁ、そんな関係で私達姉妹と近衛詠春一家とは付き合いが有る。今代は私達姉妹だが…その前もそのまた前も誰かと繋がりが有るんだ。」「はい…それで? 」「今回…姉様の手紙に書かれていたのは、極秘だ。正直な所…詠春殿の我儘なのかも知れんが…何か考えが有っての事だろう。」「つまりは誰にも喋るなと?」「そうだ。既に部屋に結界は張ったから…バレる事は無いだろう。」「分かりました。」頷いて答える。詠春さん…何か有ったのか? いや…手紙自体はかなり前に渡された物だから…このかさんの近状を聞きたいのか? でも…千草さんが報告している筈だから…何だろうか? 本当に分からない。あの人は俺の夢を知っているから無理強いはしない筈だし…「それでは…始めるぞ? 座して待っていろ。勝手に向こうから来るはずだ。」シュルリとシーツが剥がされた。現れたのは鏡、その鏡は気持ち悪い程に磨かれている。肌が粟立つ感覚を覚えた。魔力だ。鏡…いや、鏡の向こう側から何かが来ている。最初に現れたのは手。男性の物ではなく女性の綺麗な白い手だった。次に足、体、顔。全体が外に出る。「つ、鶴子さん?!」「姉様?!」「あらあら…少々遅かったどすなぁ。アギはん。詠春はんも待っとったえ?」驚く間も無く、鶴子さんの次に詠春さんが出てきた。心臓に悪いので本当に勘弁して欲しい。鏡とは異界に繋がっていると言われる時が有る。ソレを最初に言い出したのは誰かは知らない。もしかしたら、子供の思い付きだったのかも知れない。しかし、鏡は魔を映す。合わせ鏡などは有名だろう。鏡に魔物を封じる事も有る。鏡は写すモノ。ソレは現実の世界を映し出しているのか、此処と似ている何処か違う世界を映し出しているのか、或いは映った者の内面を映し出すのか…全ては使い方次第なのだろう。近衛詠春と青山鶴子が使ったのは、鏡を使った転移だ。正確には鏡と鏡を繋げて通ってきたとの事。こんな難しく、死の危険を孕む方法で来るなと言いたくなったが、先読みしたかのように説明され納得してしまった。予めマーキングして魔力を込めて繋いでいた鏡を、近衛詠春は送ったのだ。青山鶴子の名で。緊急の避難口に成っていたそうだ。予め誓約を決めた鏡同士での通路。他の所には出れないのが欠点だし、後を追われる可能性も高いのが頂けないが。その分、鏡の中で迷う事が無く安全だ。上級の魔法使いか専門の魔法使いしか取れない手段だけど…コレは俺に言っているのだろうか?関西呪術協会にはまだまだ、強大な魔法使いが居ると…ソレだったらお門違いだ。俺と関西呪術協会という組織は関係は無い。近衛詠春個人とは依頼者とその依頼を請け負った関係は在る。それだけだからだ。今回、俺は近衛詠春に対して二つの選択肢しが有る。此の侭、今の関係が切れるまで待つ事今すぐに逃げ出す事今日、ネギが夕方に麻帆良に居れば前者。居なければ後者。(面倒な事をしてくれる…)超に少しイラッと来たが、直ぐに収まった。どちらでも生き残り逃げ切る自信が有るし、高い確率で超の敗北が見えているからだ。既に、未来の道筋を決めるモノがこの時代に在る。その事に気付いているだろうに…「それで? 今回の用件は何でしょうか? 近衛詠春殿?」「その前に、姿を偽るのはどうかと思いますえ? 魔法使いさん」「いや、構わないよ鶴子君。彼にも事情が有るんだし、その事も口外禁止の契約をしているからね…僕が来たのは他でもない。このかの事です」「? 千草さんの報告で十分だと思いますが?」もしかして…「ああ、分かってるよ。今回はこのかに伝えて欲しい事が有るんだ。君の口からね」「組織の膿を出し終わったんですか?」だから、戻ってきても大丈夫とでも伝えれば良いのだろうか? 最終的にはこのかさんの問題だから、俺にはどうする事も出来ないし。する気も無い。「ソレも終わったけどね…もし、このかが望むのならば…無かった事にしても良い事を伝えて欲しいんだ。ソレがあの子の幸せなら…そうしても良いと思っている。幸いな事に今なら後継者の育成を始めるからね」……コレがギリギリの選択何だろうね。この人に取っては…「学園長はどうするんですか?」「僕が何とかする。手筈は整えてるからね…あの人と戦えるぐらいには、勉強しているつもりだよ」「確かに伝えましょう。しかし、夏休みに入ると同時にです。今のこのかさんなら…」即決する事が出来るだろう。別荘に二時間ばかり篭るかも知れないけど…「お願いします…しかし、このかは…その…」「優秀ですよ。上位存在を崇め称える事も欠かさずに出来ています…東洋魔法の適正は高いです。陰陽道も使えていますし、応用も自分で考えて自分なりに強くなろうとしています。現状では…ネギと戦っても七:三でこのかさんが勝つでしょう。」「本当ですか?」本当です。バカみたいに才能があります。魔力頼みの力押しでもネギや俺個人にも勝てると思う。何だかんだで、千草さんに加えて刹那とも仮契約したらしいし。戦力的に居れば前衛2の後衛に2、遊撃1だからね。このかさんの式を入れたら。千草さんのを入れたら前衛4に成るしコレでネギが帰って来なかったら、詠春さんとの立会いの場を作らないとなぁ…書類も書いて貰わないと…俺の責任問題に成らないようにね。「本当です。」「……良かった。」「詠春はん。ソロソロ時間どす」「分かりました…アギ君。また、何時か」「えぇ、また何時か」コレで俺の用事は終り。後は連絡待ちながらブラブラしてくるさ。鏡に消えた二人を見送ってから、頭を下げる「本日はありがとうございました」「いや、此方の方こそ騒がしくしてしまってすまない。コレからの予定は?」「ブラブラしてから帰りますよ。チャチャゼロも心配だし…」「成瀬川先輩と浦島が居るから大丈夫だと思うが…」「ちょ?! だからダメだってスゥちゃん!!」「何トカシロー!!」「ちょっと!! メカタマ何体作ったのよ?!」「スマンな」「取り合えず…手伝ってください」チャチャゼロを再び救出してから外に出る。相変らずガラガラと音を立てる旅行鞄を引きずりながらの散歩。何故か素子さんが一緒。「あの…何で?」「興味が在ってな…東洋魔法使いは知っているが西洋魔法使いは知らないんだ。興味が出て当然だ。大学も休みだし」「俺は落ち零れ何で、期待しているような事は出来ませんよ?」「ソウダゼ? コイツ自身の戦闘能力ハ雑魚ダ。(今ハナ)」チャチャゼロが合わせてくれる。最初からそういう風に打ち合わせしているので、安心です。「そうなのか? その人形を見てかなりの腕前だと思ったんだが」「あ~…コレは友人の作品なんで。」「御主人ハ大魔法使イダカラナァ…」「そうか…あっ、此処だ。此処の蕎麦が美味い」山掛け蕎麦を頼みました。ついでに炊き込みご飯…鳥飯を頼んで食べました。美味しかったです。特に話題が無かったので、刹那の事を聞いてみたら知っていました。直接会った事は数回だけだそうです。しかも、刹那が小さい時だったみたいなので覚えていないかもと言っていました。取り合えず、強いですよ。と言ったら、麻帆良に行くのも在りかも知れんと零していました。ゴメンね刹那。君の死亡フラグだったかもしれない。其の侭、和菓子屋を紹介して貰い数点購入。お土産もバッチリです。再び旅館に帰る時は身体強化(魔力)を使いました。其の侭、カオラ・スゥさんからチャチャゼロを護りつつ他の人の話を聞いて再び平穏の大切さを知りました。付き合うまでにドレだけ冒険してるんですか、景太郎さん。結婚式はまだ先らしいです。お互い卒業してからと考えているんだとか…お幸せにとしか言えません。未だに諦め切れてない人が多いようですが…『アギ、坊や達が何かするみたいだぞ?』『そう…それじゃあ、急いで戻るよ。』『入り口で待っているぞ?』『了解』最後に魔法使いらしく夢を上げようかね。「そろそろ時間なので、この辺でお暇します」「もう帰るのかい? 何なら泊まっていっても」この人、良い人だなぁ。此処に住みたいと思ってしまった。チャチャゼロが常にピンチだから無理っぽいけど「いえ、約束が有るので…気持ちだけ貰っておきます」「約束が有るなら仕方が無いか…約束は大事だからね」思い入れが有るらしい。「それでは、ひなた荘の皆さん。縁が有ればまた何時か」ゲートで帰る。一寸驚いた顔をした素子さんを見れたので、嬉しいです。麻帆良から離れた場所に出る。予め、人が少ない場所を選んで居るので大丈夫。監視にも注意してるけど、この辺まで管轄外だからね。「さてさて、今回は勝っても負けてもドッチでも良いからねぇ」「ケケケ、俺ノ出番ハマタネェノカ…ツマラナイゼ」そうそう、戦いが有って堪るかっての。今日の分おわり~。ラブひな微クロス、コレで終了。だと思いたい。AIが止まらないも好きなんだけどねぇ…因みにですが、五十話でちょろっと出てきた新田先生の元教え子。オリ設定ですがひと夏のKIDSゲームのキャラの名前だったりします。薫さん、魔いぬさん、明斗さん。訂正サンクス。以下略『ドSの系譜』『地獄から来た作家』『そろそろBINが多重クロスに乗り出すようですww』