絡繰茶々丸は試合を見ながら考える。第一試合から同じ事を考えていた。隣に座るアギ・スプリングフィールド。その頭の上に居座る姉。どう見ても姉ではない。知れば知るほど見た目では分からないだろう。その身に宿る魔力は本物で、造りも本物と同じ。アギ・スプリングフィールドはヤル気の無い目で試合を見ながら時折言葉を紡ぐ。何よりも、薬草の配合が根本から違っている。知っている者にしか分からないだろう。知っていても自分以外は気付けないと考える。初めは何故? と声を掛けようかと思ったが、直ぐに止めた。今までも、彼が動く時は極力情報を漏らさないように動いているのを知っている。この間も、私には知らせず何かをしていたようだ。入院した時とか……でも…気に成ってしまう。ソレは『心』というモノが在る証拠に成るのだろうか?『茶々丸は……暖かいね』本当だろうか? 以前言われた言葉が気になる。私は本当に精霊化するのだろうか? 妖怪化するのだろうか? 十年という月日が遠く、怖ろしい。怖ろしいと思えるのは心が在る証拠に成るのだろうか? 分からない。でも…『茶々丸。暖かいって言うのはね、茶々丸の心が暖かいって事だよ』彼の言葉が…『持ってるよ。俺が感じてるから』怖ろしさを祓ってくれる。何かが暖かくなる。(たとえ…間違いだとしても…私は心が在ると思いたい)ソレが、彼の言葉なのだから…「布槍術!! 流石はウルティ麻帆良の優勝者!!」「それでも…ギリギリだと思いますが?」「だねぇ…真名さんに距離は関係ないでしょ」少し、龍宮さんが羨ましくなったのは秘密です。意識の半分を持っていかれてる状態で、空を見上げる。公園に人だかりは無く。無人と言っても良い位に人が居なかった。傍から見れば眠っている子供の様に見えるだろうけど、コレには意味が在る。チャチャゼロが小声で「暇ダ…」と言っているけど、我慢してもらうしかない。現在、麻帆良の魔法先生や魔法生徒は世界樹近辺での告白阻止の為に忙しい状態に陥っている。超の事も警戒しているためか、一部の魔法先生は緊張状態だ。現在、俺が持っている情報は多くは無い。超が企んでいる計画龍宮真名も敵陣エヴァンジェリンは手出しはしない。俺との不干渉契約コレぐらいだ。麻帆良に引き篭もっているのだから仕方が無い。でも、俺には外と連絡をし合っている人物に心当たりが有り。その人物が集める情報は其の侭俺に伝わっている。別口で学園長にも伝わっては居るだろう。全ては契約の為の対価と言っても良い。俺が夏休みまで、絶対に護らないといけない近衛木乃香。普段は気の抜けた声でしか呼ばないからねぇ…チャンと発音できますよ? 元日本人ですから。俺は契約上、近衛木乃香を保護しなくてはならない。攫われたらアウト。殺されてもアウト。怪我はOK。そういう風に契約している。チャンと書類にして判も貰ってるから守らなくてはいけない。まぁ、殺されたりしなければ腕の一本ぐらい捥がれても大丈夫かと考えています。エヴァさんの技術が凄いからね。チャンと代価は払ってるし…等価だよ?俺の元手はただだし。懐は痛くない。喜ばしい事に、千草さんは意外と馴染んでいるようでここら一体は千草さんの管轄らしい。式神が使えるからねぇ…偵察、監視に時間稼ぎには持って来いでしょそして…なんで俺が此処に居るのか?簡単な事で…近衛の契約と名前の所為でねぇ…お客さんを待ってるのよ。だから、人形に半分意識を送って動かしてるんだし…チャチャゼロの偽者作ったんだし…徒労に終われば良いんだけどなぁ「アギはん…来ましたえ?」来ちゃったかぁ……チャチャゼロが居るから大丈夫だと思うけど…「チャチャゼロ、殺すなよ? 千草さん、俺は完全に後衛に回りますんで『式』をお願いします。サポートはするので…」「分かっとります。でも…使っても大丈夫なんどすか?」「その辺は大丈夫です。人形の方に半分は魔力を移してるんで…それに、大地の縛りはやろうと思えばネギも使えますし…他の一般魔法使いも使えますから」スタンじいちゃんが改良してない奴は…だけどね。「ソレヨリモダ…腕ノ一本グライハ良イダロ?」「切るな捥ぐな折れ」「ケケケ…詰ンネェ」はぁ…さてさて、出迎えますか。違う事考えながら動くのは慣れてるから良いんだけどねぇ…甘いモノが食べたくなるんだよなぁ(そうだ、餡蜜買って帰ろう。タツミーの分も買っておけば文句は言われないだろうし…エヴァさんにも買っておこう)「それじゃあ、始めましょう」「はいな」「オウサ」チャチャゼロを頭に乗せて帰宅。餡蜜も忘れずに買いました。侵入者の人達ね…二人だったんだけど…雑魚でした。俺達が相手をしたのはね。他の関係者も頑張ってるみたいだし…契約が無ければねぇ…。契約の事は学園長も知ってるからなぁ…俺達が相手した二人は。元々は西に所属していた魔法使いと、西洋魔法を使う傭兵崩れのコンビだったんだけど…式神対決で千草さん圧勝。其の侭相手を捕縛。傭兵崩れはチャチャゼロにフルボッコ。見た目に合わない速さと力強さに驚いた所に小回りの効くナイフの連撃で軽く刻まれてました。ちゃんと治療したよ? 死なれたら俺の監督責任になるから。ついでに両手を折って、金縛りで口が動かない様にしました。三人でベンチに座ってコーヒー飲んでたら、神多羅木さんが引き取りに来ました。この人の声って余り聞いた事が無い。その人が他の先生や関係者の事を千草さんに報告してた。何でも、瀬流彦さんと明石教授が意外と相性が良くて活躍中らしい。瀬流彦さん…オールラウンダーな人とか攻撃専門の人とかと相性が良いんだって。麻帆良での刹那のお師匠さん、葛葉さんとも良いらしいよ? 浮気の心配は有りません。苦手だとか恐いだとか愚痴ってたから…最近余計に恐いらしいです。瀬流彦さんが惚気るからだよ? 自業自得だよ。私室に入ると、人形が横に成って居たので制御を切って札を剥がす。変わり身…映し実とも言うけどそれに身代わりの術式混ぜて本人に見立てた人形。札を取ってしまえばただの人形に戻る。別荘に放り込んで証拠隠滅。呪いの追跡等させません。実際に、俺は戦ってたし。茶々丸にはバレてたし。エヴァさんにも報告は行くからねぇ…クウネルにもバレてると思うよ? 人形の事は。あんな危ない人間が居ると分かってる所には行きません。隠匿術のスキルは上げてるからね。タツミーにだって、ジックリ観察されないと分からない自身が有るぜ。そう思っていた時間も在りました「それで? 敵さんはどうだった? 先生」バレてました。モロバレでした。魔眼は恐いなぁ「あの場で分かっていたのは私とクウネルとかいう奴だけだよ。アレは只者じゃあ無い。」「アレねぇ…親父殿の仲間らしいよ? 情報が正しければだけど」「らしいね。アルビレオ・イマ。コレが本名だよ。良かったのかい? あの場に来ていたら過去のだけれど父に会えたよ?」「どうでも良いよ? 嫌いだし。」よく考えたらさ、エヴァさんの封印を解く時間有ったのに子作りしている人間ですよ? イロイロ有ったんだろうけど…所詮ソレはアッチの事情。そう言ったら、頷いて「それもそうだね…餡蜜貰うよ?」「一個だけだよ? 俺とエヴァさんの分が有るんだから」「分かってるよ」エヴァさんが帰って来たのは三十分後でした。焼き蕎麦、たこ焼き、明石焼きに焼き烏賊持って帰ってきましたよ。楽しかったんだろうねぇ…「この明石焼き…出汁が良いね」「焼き烏賊も中々だと…」「そうだろう。私がこの眼で見て買ってきたからな…私にも一つ寄越せ」明日は麻帆良から逃げます。朝一で。鶴子さんに預けられた手紙も有るし…何時でも良いとは言われてたから、丁度良い。明日、夕方過ぎにネギ達が居なければ…プランA。居ればプランB、若しくはCです。東大目指して見ようかなぁ…行かなきゃ行けないし…妹さんの所。あっ、連絡要れとか無いと…修正が面倒臭い。Gfessさん、助かってます。コレより修正に入ります。迷惑掛けてすみませんおまけアギゼロ「ナァ、アギ」「何?」「俺モ外ニ行キテェ」いや、お前連れて行ったらバトルになりそうだし…大丈夫か?「…ダメ」「暇何ダヨォ…連レテ行ケヨォ…」駄々っ子のように動くな!! 「ダメだこいつ…早く何とかしないと…」「私も行きたいんだが?」「超の計画最後まで見届けるんでしょ? 今度連れて行ってあげるから。時間がアレば」「絶対だからな!! 約束だからな!!」「はいはい…オヤスミ」「何故居る真名さん」「薬くれ…古にやられた所が疼きだした…」あの子、素で強すぎるもんねぇ