天下の次期副将軍今川氏真です、ちーっす。
今日は何もないのでうちでごろごろしとります。
こんなに暇なら竹千代と北条さんとこの助五郎と鷹狩り行っとけばよかったかも。
でも、あいつの鷹私のことつつきよるからな。
親愛の表現だって竹千代はいうけどそれはないね、鷹(やつ)の目は嫉妬の色だ。
高貴な家名も猛禽類には通用しませんしね。
いつか実力で上下関係を教えてやる。
そういえば今って天文二十年か…気付けばそろそろ桶狭間ですかね?
西暦1560ってことは覚えていますが、換算できないのでよくわかりません。
とりあえず生き残るためには親父に生きていてもらうのが一番楽かな…ちょっと現代知識で注進してこよう。
親父!中央集権と楽一楽座、武具の統一に鉄砲だよ、そんで永楽銭への統一と撰銭令、あとは…ノルウェー式捕鯨?
「なんだ五郎、すごい剣幕だな…」
俺の未来がかかってるからね。親父、改革しようぜ、改革!
「改革っていっても一朝一夕にできるものではないしな。それに中央集権はうちではちょっと難しいし、楽市楽座は無理だな」
ちょ、なんでだよ、富国の基本だろ。全くこれだから暗愚は。
雪斎もナイスアイディアだとは思わない?
「確かにそれらの献策には良き面もございますが、今川領で行うには悪しき面が目立ちまするな」
悪しき面?日本史では信長の政策べた褒めだった気もするんだけど。
「では拙僧が説明して御覧になりましょう」
納得いくように説明頼むよ。
「まずは中央集権についてですが、我が今川家臣には二種類の者がいるのはご存知でしょうか」
親族か親族じゃないか、とかならわかるけど。
「それも確かに分け方の一つですが、ここで申し上げているのはそうではございません。大まかに言うと直属の勢力を持っている者、つまり小領主と、我が今川の直属家臣のふたつです。代表的なものに前者は葛山殿、後者は朝比奈殿ですな」
そういえば確かに葛山さんとこなんか北条さんから養子もらってるしな。
完全に臣従してないってことかな。
「そういうことですな。独自の部下と領地を管理して今川家臣団の一翼を担っているという認識でよろしいかと思います」
ふむ、大名ならぬ小名ってことか。
じゃあ朝比奈さんとことかはどうなの?
「そちらは独自の部下を持たず、与えられた今川家臣を率いる、という形ですな」
与力とか同心とかいうやつかな。
「おお、五郎、よく学んでるみたいだな」
雪斎と武田のじいちゃんが先生だしね。
マジ豪華メンバー。
「さて、二種類の家臣がいる、と説明させていただきましたが、これが中央集権体制の構築に障害となっていることはわかりますな?」
うん、下手に集中させようとすると反乱しかねないってことでしょ。
結構前者に分類される人が多いのかな?
「いかにも。今川の力が揺らぎますれば、その忠誠は容易に移り変わりまする。河東一乱のときの動揺は大きなものでした」
「あのときに堀越とか一門衆も弱めといたから結構俺の影響力も大きくはなっているんだけど、まだまだいるからね。まぁ、そこは俺の後を継いで五郎が頑張ってくれ」
なんか前途多難なんですが。
寄り合い所帯をまとめて戦乱の世を生き残るとかマジ厳しい。
「五郎もその苦労を味わうことになるからな。まとめあげいてる父を尊敬しておけ」
まとめあげてるのは雪斎と泰能さんな気もするけど黙っておこう。
「撰銭令と武具統一については一考の価値があるかもしれん。雪斎、あとで又太郎たちをよんでくれ」
そこは考慮してくれるんだ。
これで経済と軍事力がすこしでも発展すれば多少有利になる…かな?
あ、ところで楽市楽座がダメな理由を教えてもらってないんだけど。
「あー、ま、それは今度の機会に雪斎か信虎様にでも聞いてみろ」
…この親父めんどくさがりやがった。