やぁ、ようこそ私の国防省執務室へ(´・ω・`)
この、一般的なニュースペーパー(笑)はサービスだから
まずは安心して電波浴をしていって欲しい。
うん、「いつか来た道」なんだすまない。
でもこのクオリティペーパー(笑)を見たとき、君は言いようの無い「リアル愚民化」→扇動による戦争 といったコンボの予兆を感じてくれたと思うんだ。
この殺伐とした情報社会のなかで、旧態依然な体制の影響を見逃さないで欲しい。
そう思ってこんな前書きにしたんだ。
じゃあ注文を聞こうか。
「なんなんですかこのふざけた新聞は!」
あぁ、今日も国防省でマスゴミに憤慨する将兵の愚痴を聞く仕事が始まるお・・・。
「公爵様!連中こんな根も葉もない話をでっち上げて首都にばら撒いてます!どうか対策の御裁可を!」
執務机に座る私の目の前に、ニュースペーパー(笑)を突き出す女性将校。
ハイハイワロスワロス。
新聞の一面には「衝撃!! 公爵家私設軍の横暴!」などと書かれている。
実際に目を通すと中身は【とある筋】【身分を伏せた上で】【街の噂】【とある外交筋】【厚生労働省の某官僚】など一切真実味や信憑性に0点が付けられるような人物からの暴露話が主体で、最後あたりにいかにもといった私への公然とした誹謗中傷が書かれていた。
お前らはあれか?本気で一流紙を名乗っているのか?最近の週刊誌並の低俗性だなおい。
「捨て置け、奴らも経済的に駆逐され始めている害虫に過ぎん。既に教育機関への梃入れ(情報選別の科目追加)と下請け販売店の転業事業は順調だ。そのうち消滅する」
もっとも地方には新聞など殆ど無く、新聞を読む余裕も無い家庭ばかりだったが。
首都近郊の都市住民にはかなりの影響があり、反公爵の雰囲気が形成されつつあるのが面倒だが。
これだから損得ではなく感情で物事を判断して粘着するアホは嫌いなんだ。
「しかし!公爵様をこうまで公然と中傷するのは最早許しがたい所業です!ぜひとも王と連絡を取り持ち自体を収拾するのが先決かと!」
「いいか、ココは国防省。そしてお前らは軍人であり官僚だ。お前らは政治に関わらず軍事にのみ最大の労力を注ぐのが仕事だ。」
「そのお前らが政治に口出しすれば官僚機構に歪ができる。それと近いうちにもう一度方針会議を行なうが、お前は軍事的見地でのみしか質疑応答するな。」
“ギリッ”
目の前の将校が今にも憤怒でマスゴミを殺しに行きそうな顔を続けているのが地味に怖い。
だがここで国防省だけが動いてでも見れば慣例が出来てしまい、気に入らないなら高圧的に排除すれば良い。なんてことがまかり通れば国内が荒れてしまう。
それはやはり「いつか来た道」ではないのか?
省庁がそれぞれまともな能力を持ち連携して外交と内政を行い、信賞必罰と生活保障を行なえなければ官僚機構が崩壊してしまう。
そうなれば立て直すことは至難だろう、立て直せても国が衰えることは確実だ。
二年制の官僚養成校を造ってはいるが、国防省はそれとはまた別に自前の養成校を持っている。
そこにも梃入れして外交と国政の初歩を教えるべきだな。
そんな風に思考を巡らせていると、机越しに立っていた女性将校が顔を俯けているようで紫色の前髪に隠れて顔が見えていなかった。
「心配することなど無い、既に手は打っている。時間は少々掛かるが時期に収まる」
そういって私は立ち上がり、壁際の柱時計を確認する。もう昼ご飯には遅い時間帯だ。
「お前は自らの仕事に力を尽くせ、それが同僚や私への功だ」
話しかけながらも将校の後ろの扉へと特別意識せずに歩いていく。
「私はちと遅いが昼食に行く、その後は外回りをして直帰するぞ。お前も自分の仕事に戻れ」
すれ違うときに小声でなにか言っていたような気がする。しかし独り言なら私が気にするのも無粋だろう。
そう思って直ぐに忘れた
「・・でもわ・・は公爵・が・・・・」
私の病気が妄想でコジマ爆発しています。
このままではインモラル一直線とな?