「ッツ!?」
あれ?暗い?あ、ここは俺の部屋か。
え?
つまり何?
夢オチ?
マジで!?
あれだけ頑張ったのに夢オチ!?
なーめーてーんーのーかー!
「はぁ…」
思わずため息が出る…。
んん?
「あーあー」
おろ?
「アイガアイヲー」
思わずよろめきながらも起き上がり、明かりをつけて姿見の前に立つ。
「ジーザス…」
純白の衣装に包まれたすらりと伸びた身体にしなやかながらも肉付きのいい肢体。
流れるようなエメラルドグリーンのロングヘアー。
星の瞬きを思わせる輝きを放つ黄金の眼。
誰もが見惚れる様な美女がそこにいた。
うん、多分将来の俺だね、二十歳くらい?
ていうか何自分ベタ褒めしてんだ俺はナルシスか。
起きたら声が変わってるし体の動きも違和感あるしでお兄さんビックリだ☆
あ!てことはアレ夢じゃなかったんだ!いや、夢は夢なんだけど。
やった!夢オチじゃなかったんだ!!!
ボクヤッタヨー。
<<お目覚めになりましたか?>>
「おお!スピカか!(小声)」
<<はいっ、スピカですマスター>>
お姉さんも…じゃないや、スピカも嬉しそうで何よりだ。
「ところでコレってユニゾン効果なの?」
<<いえ、これはただイメージが形をなしただけかと>>
「イメージ?」
<<はい、魔法少女は大人に変身して当然というマスターのイメージです>>
「なるほどなー。それと斬魄刀見当らないんだけどどういうこと?っていうかスピカはどこ?」
<<上ですマスター>>
わーお、現実で会うの初めてじゃないか。
いや!それよりこの流れなら刀剣化してないみたいだから人型だよね!?
ドキドキを抑えることなく上を見上げる俺!
ひょっとしたら偶然に何かが見えちゃうかもね!アハハァ!
ふわりふわり
んー?
ふわりふわり
「あのースピカさん?」
<<はい?なんでしょうか?>>
「ノートですよね?」
<<ノートですが?>>
ノート浮いてるー!!!
いや、そんな「当然ですが何か?」みたいな言い方されましても。
返せ!返せよう!スピカの柔らかな体と癒し効果大の微笑を返せよう!!!
「えっとこれはどういうことでせうか」
<<落ち着いてくださいマスター>>
「あ、うん」
<<今のノートの姿はいわば始解前なのです>>
「ん?」
<<私の力と姿を解放するには解号と名前を呼ぶ必要があると言うことです。夢では呼んで頂きましたが所詮は夢の中の話ですので>>
あーそういうことか。
「ていうかスピカってやっぱり昔俺が考えたオリジナル斬魄刀&創作ノートだよね?死んでいい?」
<<いきなり死なないで下さい。それと実はマスターの無意識下でひっそりと内容が更新され続けてきたのでかなり異なりますね>>
「無駄に凄いな俺の無意識!!(でも小声)」
っていうかアレか、なんでもアリで俺TUEEE!!な中二病からヒネて変な拘りが出る高二病とかにシフトしてたのか。
だよなぁ…だったら初めから■■■の■■■■(自主規制)とかそんな感じの力でこの世界即終了してるもんな。
<<ちなみに今回のイベントでマスターは常時、スキルが使えるようになりました>>
「スキル!?(やっぱり小声)」
パラパラパラとスピカがめくれていく。
そこには以下の文字が。
<常時使用可能スキル一覧>
・変身<ヘンシン>
・飛行<フライ>
・探知<トラッキング>
・霊化<スピリット>
・障壁<シールド>
・結界<アイソレイト>
「フフフ…まぁまずはこんなもんだよね」
うん、まだ軽いジャブだ。まだ全然軽い。死にたい。
何かのキャラシートみたいなのに書いた記憶があるのが出てきた。
だって俺何か色々設定『だけ』は考えてたもんね。
しかし危なかった…。
もしこれがドイツ語だったら間違いなく死んでた。
響きがカッコイイってだけで意味も無くドイツ語使ってなくてよかった。良くやった昔の俺。
何で人は設定『だけ』やたら凝ってるくせにストーリーはほぼ白紙ってのが多いんだろうね。(設定も大概酷い)
しかもやたら名前には…アレ?イマナニヲカンガエテタンダロウ?
おかしいなぁもやしたはずなのになぁおかしいなぁ。
なんかやたら簡素なのは高二病バージョンだな。
凝ったトリッキーな能力よりシンプルこそがカッコイイとか考えてた頃か。
ますます死にたくなってくる。
でも何故に変身だけそのままなんだ。
教えて妖精さん。
<<ですが、私を呼び出してない場合は能力に制限がかかりますのでお気をつけ下さい>>
「なるほど、つまり今の状態でも術のサポートとかしてくれるのか。だからデバイスだと」
<<その通りです>>
「でさ、この結界って具体的にはどんな効果?」
<<マスターの場合、音や力の漏れを防ぐ、カムフラージュ、周りの意識から逸らす等の隠蔽的な役割が大きいですね>>
「ああ、ハッチのアレみたいなのか。使い勝手がいいから割と最近のバージョンだな」
<<そのような感じです。ちなみに霊化や結界を使えば小声で話す必要もないかと>>
「マジか」
とりあえず、と言うか早速使ってみたかったので結界張っておいた。
そして現実での初始解。
「苦節10年!ついに!ついにこの時が来た!!」
<<ではお願いしますマスター>>
ぶっちゃけ設定だけだと死にたくなってたけど、いざ現実に出来ると思うと興奮してきた。オトコノ娘、じゃねえ男の子だもん。
興奮と言えば高2の修学旅行の時、高橋君が空港のロビーで金髪幼女相手に「警察呼ぼうかな」と思わせる程色めきたってたのを思い出す。
「やべぇ…天使がいる…背中に羽根が見えるもん…」と呟いた高橋君の藤田和日郎的な笑みは今でも忘れられない。
気持ちは分からんでもないが口に出すな。
彼が二次元で満足してくれていることを祈る。
<<マスター?>>
「ん?ああ、ゴメン」
さて、気を取り直して、と。
ノート(スピカ)を手に取り、思いのままに「ぼくのかんがえたカッコイイポーズ」をとる。
そして。
「万難悉く打ち砕け!『祈星』!!!」
そして約1ヶ月半が過ぎた。
あ、石投げないで。
イタイイタイ。
いや、だって基本修行修行っスよ?
始解するだけでも長引いたのに修行編突入とかいらないでしょ?
いきなりピンチ時に『ギア2!』とか言い出したほうが早くていいじゃない!
一応簡単に修行ダイジェスト
<<デバイスですのでマルチタスクによる脳内での戦闘訓練可能です>>
「マジか」
<<負荷つきで結界張って霊力上げる修行しましょう>>
「マジか」
<<十分間息を吸って、その後十分間息を吐き続けてください>>
「マジか」
<<十分間抱きしめますので、その後十分間抱きしめてください>>
「マジか」
<<町の中に微弱な波長を発する猫を放っておいたので1時間以内に全部捕まえてきてください>>
「マジか」
<<ふふっ、マスターのここ…こんなふうになってるんですね…>>
「んあっ…」
うんスマン、修行のダイジェストっていったがありゃあ嘘だった。
でも大体はあってる。スピカさん容赦せん!
そして今日は6月17日、雨。
連日の雨による増水に気をつけるようにと学校でも言われている。
そして一護クンは空手の日だ。
今日か?今日なのか?
ちなみに雨が降る空手の日は毎回黒崎母子を上空からステルスモードで監視している。
緊張しすぎて毎回何か漏れそうになる。悲しいけど俺、元一般人なのよね。
緊張と言えば思い出すなぁ…中1の時のクラスメイトの──────。
───────── 一護
雨の日はキライだ。
優姫が昔からオレに言ってた。
「雨の日の空手の帰り道にはオカッパの幽霊が出てくる」
「その幽霊に近づくとおおきなバケモノに食べられてしまう」
優姫は昔からオレにそう言っていた。
優姫は誕生日が3ヶ月しかちがわないのによくオレを年下扱いする。
と言うか変に心配するところがある。雨の日のバケモノの話が正にそれだ。つーか空手限定かよ。
でも優姫は霊のことならまちがいなくオレよりすごい。
オレに霊と人の見分け方を教えてくれたのは優姫だ、おかげでオレは昔みたいにイヤな思いをすることもなくなった。
だからバケモノのことも本当なんだと思う。
だからオレは雨の日がキライだ。
ああ、でも最近の優姫はバケモノの話の後に付け加えるようになったな。
『でもね一護クン──────
「っつ!?」
前の方に人影が見える。
いや、あれは霊だ。
髪型は…オカッパ!?
まずい!あれが優姫の言ってたバケモノだ!
繋いでる母ちゃんの手を思わずにぎりしめる。
「あらあら、どうしたの一護?」
「母ちゃん…そこの角を曲がって帰ろう…」
「突然どうしたの?寄り道はダーメ、早く帰らないと遊子と夏梨がスネるわよ?」
「母ちゃん…ッ!お願いだからッ…!」
「!? わかったわ…そこの角を曲がればいいのね?」
さすが母ちゃん!気づいてくれた!
よし!これで後は見えないフリをして逃げきれば!
『小僧、お前わしの姿が見えてるな?』
しまった!!思わず振り返る!
『ひひひひひっ、ほぅれ声も聞こえてるではないか』
「あ…!」
バカかオレは!今のは聞こえないフリをしてなきゃいけなかったのに!!!
さらにオカッパの後ろに毛むくじゃらのでかいバケモノが現れた!
「母ちゃん!!逃げて!!!」
「一護!?」
『ひひひひひひひひ!逃がさんよ小僧ォ!母子共々喰ろうてやるわ!!』
バケモノが襲い掛かる!
ダメだ!間に合わない!
ダメなのか!?オレはこのまま何も守れないで死ぬのか!?
『グェベッ!!』
突然バケモノが何かに当たって動きが止まる。
いや、良く見るとガラスケースみたいなので囲まれてる!?
『なんじゃこれは!?何をした小僧ォ!!!』
そうバケモノが叫ぶと突然雲が割れた。
『イ!ナ!ズ!マ!キィィィィィィィィィィィィィィック!!!!』
そんな叫び声と同時に月の光をバックに『何か』がバケモノの上に落ちてくる!
ズドォン!!!
『ガァァァァァァァァァア!!!!!』
それは空から降ってきて、バケモノを一撃で倒した『ヒト』だった。
『フゥ…間に合ったか』
それは仮面を被った『ヒト』だった。
『大丈夫か少年?』
星のように輝く眼をしている『ヒト』だった。
俺はその仮面の奥で輝く、星のような目に見惚れていた。
─── でもね一護クン、そんなときは『ヒーロー』が助けに来てくれるかもしれないよ?
dream -1. 『Sparkling Star and Strawberry』
───────── ちょっと前、優姫
─── にしても何で安藤君は
<<マスター!ホロウです!>>
『え!?あ!しまった!』
回想時に来るとは何て卑怯なホロウだ!絶対に許さん!
思わずRXみたいな言い方になった。
即座に能力を発動!
『結!』
<<Inconspicuous>>
ホロウが二重の結界で閉じ込められるのを確認!
そして足に霊圧を凝縮させて~~~~~くらえ!
『イ!ナ!ズ!マ!キィィィィィィィィィィィィィィック!!!!』
ズドォン!!!
『ガァァァァァァァァァア!!!!!』
あっぶなー!空想癖も大概にしないとな…。
『フゥ…間に合ったか』
そう一護クンに話しかける。
『大丈夫か少年?』
あれ?なんか凄くキラキラした眼で見られてる。
オーガンダムを見たときの刹っちゃんみたいだ。
なんか凄く俺の心の汚い部分が痛む。
クッ…!ヒーロー設定を強め過ぎたかッ!
というか昔似たような出来事があった気がする。
でもまぁバレないでしょ。
身体は大人だし、仮面被ってるし、声は変えてるし、髪型変えて色も変更済みだし。
<<マスター!ホロウが逃げます!!>>
何!?仕留めたはずじゃあ!?
『ヒィィィィィィィィィィィィ!!!!!』
オカッパが物凄い速度で遠ざかっていく。
しまった!アイツ両方倒さないとダメなタイプだったか!
だが逃げられた以上もうすることはない。
少なくとも回復には長い時を必要とするだろうし、その前に死神に狩られるかもね。
『それじゃあな、少年』
「あ!待っ」
一護クンの声を背後に霊圧を足に集中し跳躍。
さーて一応一回りしてから帰るか。
「ちょっと待ってくれませんかねぇそこの破面サン」
あ゛
『あとがきゴールデン』
ヒーロー設定を強めすぎました。
ティエリア子かわいい!
無事ホロウを撃退できた優姫!
しかし突然現れた謎の男!
一体何者なのか!?
そしてその目的とは!?
「つーまーんーなーいー!ウジュジュジュー」と思ったあなたは今までお付き合い下さりありがとうございました。
音速ウサギと末永く幸せにお暮らし下さい。そしてたまにお邪魔させて下さい。じゃがいも持って行きますから。
「男の正体は何者なの!?またオリキャラ?それとももしかして!」と思ったあなたは…フフフ!
次回をお楽しみに!
「ライダーごっこはいい加減卒業しろよ」と思ったあなたは事あるごとに「なぜならば!」と叫んでみて下さい。
心の中のバスターマシンを見つけることができるかもしれません。
次回、その他大勢登場。
あ、それと「致死量なので1話の分量減らして」とか「読みづらい(涙で)」とか
「ここの意味が分からない(過去に目を逸らしつつ)」等のご意見、アドバイスありましたら遠慮なくどうぞ。
チラシの裏ですので。
PVが1ゼーガ超えててビックリ。