<<…ター>>
「んうー?」
<<…スター>>
なんだー?誰だ?
<<マスター>>
ますたーって何だよ?
<<マスター!!!>>
「ヒャアイ!」
起きるとそこは草原だった。
何だ!草原!?ここどこだ!?ってもしかして夢世界か!8年ぶりだなオイ
<<マスター>>
「うわっ!」
誰だ!?目の前には誰もいないぞ!?
<<こっちです、マスター>>
あわてて後ろを振り向く。
そこには、蒼銀の長い髪を風になびかせ、
某祝福の風が着てたような感じの白い衣装に身を包んだえらいスタイルのいいお姉さんがいた。
ぶっちゃけ某邪神の元ネタに似てる。例の猫耳ヘッドギアつけてるし。
さらにぶっちゃけるとめちゃくちゃ好みだ。
結婚して欲しい。
掲示板に『お姉さんは俺の嫁』とか書きこみたい。
衣装も元ネタ通りだったら良かったのに。露出度合い的な意味で。
「えっと…誰でしょうか貴女は?」
<<“誰でしょうか”?何を言ってるんですかマスター、私です■■■です>>
…………………?
聞こえない。
<<そうですか、まだ私の名は聞こえませんか>>
いやそんな事言われましても。
<<悲しいことです。マスター以上に私のことを知る者などこの世の何処にも居はしないのに>>
マジか!そんな深い関係だったのか俺とこのKOS-MOS似のお姉さんは!
ってアレ?このセリフは何処かで聞いたことあるぞ…。
いや、これはもう間違いないだろう。
「もしかして、俺の斬魄刀?」
<<ようやく私の声が届きましたね。初めましてマスター>>
「おお!8年目にしてついに戦力ゲット!?」
<<いえ、それには私の名前を呼んで頂く必要があります。そして厳密には私は斬魄刀ではありません>>
「あれ?そうなの?」
俺は思わず首をかしげる。
<<はい、そのようです>>
お姉さんも俺を真似て首をかしげる。
チクショウ可愛すぎる。
なんだこの可愛い生き物は。
抱きしめたいなぁ!お姉さん!!
「あれ?でも普通始解前の状態とかあるよね?あれは無いの?いきなり名前イベント?」
<<先ほども申したとおり私は厳密には斬魄刀ではありません。この世界における立ち位置が斬魄刀のそれに近いだけですので>>
「え?じゃあ一体何なの?」
<<今の語彙で分かりやすく言うならばリリカルなデバ「OKもういい」…わかりました。ちなみにマスターの霊力及び霊圧ですが>>
「ん?」
<<こちらも厳密には『霊力のようなもの』と『霊圧のようなもの』です>>
「マジで!?じゃあ死神とかに感知されるとまずくない?コイツおかしいぞ!って感じで」
<<はい、ですがマスターは日常的に、これもまた分かりやすく言うなら『絶』のような状態ですので一般人と変わりないかと>>
「ああ、ホロウに狙われませんように目立ちませんようにと思ってずっと抑えてたけど『絶』レベルの効果出てたのか。ナイスチキン、俺」
<<ですが感情の昂りなどによっては漏れ出すこともありますのでお気をつけ下さい>>
「それはまた難しいな…。えーと、あと名前云々ってどういうことなのさ」
<<…やはりマスターは私のことを忘れているのですね>>
うっ、声のテンションが下がった。凄い罪悪感だ。
やはり見た目どおり無表情系キャラらしく、顔が少しうつむいた位で表情には変化は無い。
なのに凄く残念といった感じが伝わってくるあたりが素晴らしい。
しかしどういうことだ?そりゃ彼女は見た感じこそゼノサーガで御馴染みのKOS-MOSだ。
だからこそこんな美人の知り合いなんかいないと断言できる。
にもかかわらず彼女は俺が『忘れている』という。
こんな2Dからディメンションチェンジしたような美人を俺が忘れるとは到底思えない。
何だ?俺は何を『忘れている』?この心の奥で渦巻くものは何だ?
愛か!?
違うか。
「えっと、それじゃ俺は君の名前を思い出して呼ばないといけない、と?」
<<そうです>>
「それまでは今までどおり俺は無力だと」
<<その通りです>>
う~ん、コレは困った。
名前をを聞くのではなく思い出さねばならないとは。
しかし先ほどから俺の中ではさらに何かが渦巻いてる。
この気持ちまさしく愛だ!!
違うか。
いや、しかしだ、俺は彼女を『知っている』のだ。
これはもう確信に近いと言っていいだろう。
にもかかわらず俺の心は『思い出すな』といっている。
何だ?俺は何を『忘れようとしている』?
そんな感じでもにゅもにゅしてると彼女が近づいてくる。
それが視界には入っているが相変わらず俺は思考に埋没中。
すると突然甘い香りと柔らかな暖かさに包まれた。
あれ!?抱きしめられてる!?
凄いです!凄くやわらかいですシャーリーさん!うわぁはぁ!
<<今日はお会い出来ただけでも私は満足です。それにそろそろお目覚めの時間です。またお会いしましょうマスター>>
「あはぁ…ってえ!?ちょっと早くない?まだ思い出してないのにさ」
この体勢にも驚きつつも言葉を返す。
もう脳がフットーしちゃいそうだよぅ!
<<では次にお会いするまでには思い出して頂けますか?>>
「ぜ、善処します」
そして思考は暗転する。
PiPiPiPiPiPiPiPiPiPi
パチン
「…思い出さないとなぁ」
田中真二改め糸井優姫(8)
さらにトリップ主人公らしさに一歩近づいた11月7日、朝のことだった。
dream -3. 『Come From Past Memory』
「おう、おはよう優姫」
「おはよう優姫ー」
「おはよう一護クン、たつきちゃん」
小学校への道は大抵この3人だ、
本当は今更小学生なんてかったるくてやってらんねーですよって話なんだけど頑張って上手く溶け込んでる(ハズ)。
俺の東大一直線な賢さを知ってる両親は、「飛び級とかしなくていいの?優姫ちゃん」とか言ってくれたのだが、
ここでリアルちよちゃんをする度胸が無い辺り俺のチキン具合がよく分かる。
あと俺みたいなルックス的に中二病を刺激するかわいさ255なロリっ娘が中学や高校にいったら即18歳未満お断りな世界になりそうで怖い。
夢のお姉さんじゃないが正直俺も二次元から抜け出たような生き物だ、俗に言う大きなお友達には常に気をつけてる。
(21)(21)ハンターズなんかには一生関わるつもりは無いのだ。
「それでホラー映画見てたら遊子と夏梨が泣き出してさ」
「相変わらずあの2人泣き虫だねぇ」
「怖いなら見なきゃいいのによ」
「そういうアンタだって怖かったんじゃないのー?」
「バッカ、オレが今更あんなの怖がるかよ」
「ホントかねぇ?ねえ優姫?」
「え?ゴメンたつきちゃん聞いてなかった」
「もー優姫は相変わらずボケーっとしてるんだから」
「あはは、ゴメンってば」
そういえばいつの間にやら一護クンの一人称は「オレ」になっていった。
その内「俺」になるのだろう。空手効果だろうか。
まったく「ぼく」なんて言ってた頃が懐かしくなるね。って親戚のおばちゃんか俺は。
「ほらまた!」
「あ、アハハハ、ゴメンゴメン」
「こないだテレビでそういうの天然って言うってやってたな」
「もぅ、一護クンまでそういうこと言うー」
「ハハハ、悪ぃ」
「テレビって言えばさ、一護、昨日のニュース見た?」
「あーお前のことだからまたどっかの暴力団が潰れたってアレか?」
「そうそう!それそれ!あれさぁ!」
とまぁまだこんな日常会話を送ることができる日々だ。平凡万歳。
ちなみに、ふとした拍子に物思いにふける俺は周りに若干天然と思われてるらしい。
というかたつきちゃん、その年で暴力団云々を嬉々として語らないで下さい。
さて、そろそろ学校に着く。
今日の授業はお姉さんの名前を思い出す時間になりそうだ。
そしてもう下校なのだがサッパリ思い出せなかった。
ちなみにたつきちゃんに遊びに誘われていたがお断りしておいた。
心苦しいが流石にあんな夢を見た後では遊ぶ気にはなれない。
いや、思い出せないというか、段々思い出そうとすると心が悲鳴を上げるようになってきた。
思い出したら世界が滅ぶ系の名前なのだろうか、ふんぐるい むぐるうなふ ふたぐん、いあいあ。
ん~、取りあえず宿題でも片付けておきますか。
なーんてやってる間に2週間過ぎた。
どんどん時間がとぶね。
早いトコ思い出さないと死亡イベントに間に合わないかもしれない。
内心割と焦りつつ原作ノートをペラペラめくる。
<小学生時>
真咲、ホロウに殺害される。理由:一護が霊と人の区別つかずホロウの疑似餌に釣られた一護を庇った為。
石田祖父もこの頃死亡?原因はマユリが実験体捕獲のため死神を遅らせたから。
<高校1年>
原作開始。ルキア、一護に死神の力を託す。
改造魂魄コンが偽魂丸?に紛れ込む。
墓参り、仇のホロウに勝利。
ドン観音寺、病院でボハハハハー。
石田にホロウ退治の勝負を挑まれる。チャド、織姫が覚醒。
ルキアが尸魂界に補足され夜に抜け出す→恋次vs石田(負け)、恋次vs一護(白哉にやられて死神の力を失う)
ルキアが帰るまでを簡単に書くとこんな感じ。
うん、なんかもう色々足りない。
原作コミックス買って読み直しておけばよかったよチクショウ。
ちなみに俺はカラブリしか持ってなかった。
しかしこのまま名前を思い出せない限り、高校に入るまではマジですること無いな。
せっかくノートゲットして思い出しては書き、思い出しては修正しを繰り返してきたのになぁ。
…………………ノート?
あれ?今何か凄く開けちゃいけない扉が見えたゾ?
────── HPは99999
嫌だ。
────── 光と闇の力を
やめろ。
────── 神族と魔族の混血で
やめてくれ。
────── 銀髪のオッドアイ
もう『忘れた』はずだ。
────── 背中からは天使と悪魔の翼が
あの日燃やしたはずだ。
────── 神剣と魔剣は女の子に
やめろおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!
「ッツ!?ッハァ!ハァ!ハァ!」
そうなのか?
『そう』なのか!?
もし『そう』だとするならば。
彼女の名前は。
彼女の名前を思い出すということは!
「ぬあうあむううううううううああああああ!!」
思わず床を転がってしまった。
これは予想の斜め上を行くキツイ作業になりそうだ。
『あとがきゴールデン』
前回同様話は薄いです。
これからもっと酷くなる予定です。いろんな意味で。
早く本編に入りたいのに話数のマイナス値を増やすことになりそうです。(増やしました)
皆さんお気づきの通りメインヒロインはたつきちゃんです。
最後のは嘘です。
と、作者はお茶目に振舞ってみます。
あとアホらしいことを微妙にマジメっぽく書いていくことになるかもしれないです。
読み手、書き手共にもっと胃が痛くなったり恥ずかしくなったりな内容にする予定です。
「こんなSS読んでられるか!俺は一人で別のSSを読ませてもらうぜ!」と思ったあなたはフラグが立ってるので一人にならないで下さい。
「まさか彼女の正体は…いえ、確信が持てるまでは…」と思ったあなたはルークに謝って下さいこの子安め。
「おいおい…いいのかい?やっちゃうのかい?」と思ったあなたは感想の最後に『くっ…こんなときに邪眼が疼きやがる…』とお書き下さい。
次回、エセおフランス人登場。