『面白いこと言うじゃねぇか死神、だが死ぬのは手前ェの方だ』
名をベルギルと言われているその中級大虚<アジューカス>は、突如現れた存在に戸惑いを感じる事無くそう言い放つ。
ベルギルには虚圏<ウェコムンド>、人間の住む現世とも死神や魂魄の住む尸魂界とも異なる虚達の住む世界で生き延びてきた自負があった。
間違っても目の前の死神に負けるような事は無い、長きに渡る死に塗れた記憶がそう確信させていたのだ。
『そうか、残念なことだ。余程力量の差と言うものを弁えておらぬ様だな』
そんな自分の前に現れ、更に虚言とも取れる言葉を言い続ける目の前の死神にベルギルは怒りと共に落胆を覚えていた。
目の前の、自信に溢れながらもどこか冷めた表情をし、頭には割れた筒のような奇妙な髪留め、首には白い襟巻、そして死覇装の上に白い羽織を着た死神。
だが見た目に反して、その死神からは驚くほど霊圧を感じなかったからだ。
自分と比べると無いにも等しいとすら言える。これでは面白くも何も無い、叩き潰してさっさと終わりにしよう。
そう思い、自身の巨大な岩石のような右の鋏を目の前の脆弱な死神に叩きつけた。
だが終らせるはずだった一撃はあっさりと死神の斬魄刀に止められる。流石に手を抜きすぎたか?ベルギルがそう思った瞬間、死神が口を開いた。
『済まなかったな。先程の言葉は取り消させてもらおう』
『ほぅ、何だ、ようやく身の程を知ったか死神ィ』
『いや、アジューカスとばかり思っていたが、どうやら買いかぶり過ぎていた様だな。下級大虚<ギリアン>だったか』
『何だと手前ェ!!!』
右の鋏が振り上げられ、その表面の棘が数瞬前と同じ物とは思えない程に凶悪な、
見る者に恐怖を与える禍々しいフォルムに変わり、それだけでは止まらず更に高濃度の霊圧を纏い始める。
そして次の瞬間、あたかも暴虐という言葉を具現化したかのような鋏が再度死神に向けて振り下ろされた。
今度は間違いなく本気の一撃。下級大虚呼ばわりされた事はベルギルのプライドを傷つけるには十分過ぎた。
あんな愚鈍なデカブツと同じだと!?俺が下級大虚だと!?ふざけるな!!ベルギルの心はその姿に相応しく、醜悪な烈火として燃え上がっていたのだ。
だが今度もまた、軽々と斬魄刀に防がれる。依然、死神は現れた時の霊子を固めた足場から一歩たりとも動いてはいない。
何故この程度の霊圧しかない死神が自分の一撃を押さえきることが出来るのか。そもそも何故この程度の奴が1人で現れたのか。こいつは一体何なのだ。
様々な疑問がベルギルの心の内に生じるが、今は自身のプライドを傷つけられた怒りが勝った。
防がれたならばこのまま押しつぶすまでよと振り下ろされた鋏に更に力が入り、硬質の不協和音が辺りに響く。
『成程、矢張り先のは手を抜いていたか』
『当たり前だ!手前ェ程度の雑魚にハナっから一々本気で相手してたら力の無駄だろうが!』
『そう言う事か。其れは済まなかった』
『あぁ?』
『ならばこれで良いか?』
そう告げた途端に死神から発される霊圧が先程とは比べ物にならないほど強大なものとなる。正にその態度に相応しいと言える圧倒的な霊圧がベルギルに叩きつけられたのだ。
何だこれは!?何故こんな奴が現世にいた!?ベルギルの不安と恐怖は瞬間、既に極限に達していた。これではまるで──── 。
『あ゛!あああああああああ!!!!!!!!』
見た目からは想像もつかない素早さで瞬時に距離を取ったベルギルが放つのは、勢いよく突撃し体重を乗せた両腕の鋏を使っての時間差による攻撃。
大振りな右を避けたところに霊圧で固めた目にも留まらぬ瞬速の左を打ち付けるベルギル得意の一撃。
その巨体と豪腕を活かし、かつて多くの同胞を屠ってきたその単純ながら最大の一撃だった。
『鈍いな、鈍重極まる』
だがその一撃は掠る事すら出来なかった。振り向けば背後に悠然と立つ死神の姿。
全く動きが掴めなかった。しかし己が瞬速の左を嘲笑うが如き速度で背後を取った死神がその隙を突くような動きは無い。
馬鹿め!今、俺に攻撃を仕掛けなかった事を後悔させてやる!そう思ったベルギルが振り向きざまに追撃を掛けようとしたその時。
死神は初めから変わることの無い、まるでつまらない物を見るかのような表情でベルギルに向けて告げた。
『だがある程度お前達の力量は把握出来た。さらばだ、アジューカス』
『うおおおおお!!!!!俺を舐めんじゃねえ死神風情が!俺はいずれ最上大虚<ヴァストローデ>になるベルギル様だぁ!!!』
ベルギルは死神の圧倒的な霊圧に気圧されながらも決して引く気は無かった。
素早いのならそれが関係ないほどの広範囲の攻撃をすればいい。そう考えたベルギルの霊圧が急速に高まっていく。
全ての大虚<メノスグランデ>が持つ技の一つ、己が膨大な力を更に高め、圧縮し、体の一部から光線として発する虚閃<セロ>。
普通の死神であればまず生きて帰ることは許されない破壊の閃光。だが、それが放たれることは無かった。
『散れ、『千本桜』』
死神の持つ斬魄刀の刃が消え失せた。しかしその周りには月光を受けて煌めく無数の花びらの群れが現れる。
一見花びらに見えるそれの実態は無数に分かれた刃の群れ。軌道上のものを無慈悲に斬り裂く、目に見えぬ程に分かれた千の刃。
満開の花が散りゆくかのような幻想的な光景。それがベルギルの見た最後の世界だった。
クソッタレ、どうせならもっと現世の夜景でも見とけば良かったぜ。ベルギルの最期はそうして訪れ、終わりを迎えた。
dream 11. 『Monster Hunter』
『あーもー!滅茶苦茶ビビったわ!!何で俺があんな怪獣と空中大決戦しないといけないの!?』
<<しかし直に中級大虚の力を計れた良い機会だったのでは?>>
『いやそうだったけどね?いくら修行してたからってさ、最初が真咲さんの仇のホロウで次がこないだの織姫ちゃんのお兄さんじゃない?』
<<そうですね>>
『そのどっちもノーマルホロウだったのにいきなりアジューカスが出てくるって何事なの!?』
<<確かに原作でもありませんでしたね>>
『いやいや、ランク違いすぎでしょ。序盤の町でスライムに紛れてデビルアーマーが出てきたかのようなあの場違い感は何?』
<<ですがこの先のことを考えれば、ユウキの力ならノーマルの中級大虚くらい倒せて当然です>>
『あー、いや、まぁそうなんだけどね……はぁ…愛染マジウザい…そして俺マジチート…』
<<とりあえず『結界』と『変身』を解いてはいかがですか?>>
『そうね、っとその前に自分にステルスかけないと…あー今日最後にこんなイベントが待ってるとは思いもしなかった……』
<<突然でしたからね>>
あー疲れた。ベッドでラノベ読んでごろごろしてたらいきなり今まで感じたこと無いレベルの霊圧を感じるんだもん。
瞬時に大体の位置に大型の『結界』張って駆けつけたわ。
某超能力と魔法ラノベじゃこういうのは脳内で演算が云々言ってた気がするけど俺の場合スピカがやってくれてる。俺が使うのは霊力だけ。超楽。
ついでに良い機会だから言わせて貰うと、いくら6年間修行していたとはいえ俺は基本的にビビりなのよ。
原作じゃ一護クンが死神相手に大立ち回り演じてるけど俺にそれが出来るとは全然思わない。
俺の基本スタンスは絶対安全圏から遠距離攻撃で『ハハハ!踊れ踊れ!そして死ねぇ!』と言うような感じなのだ。
そんな俺が何故アジューカスなんてバケモノ相手に飛び出してきたかというと理由は以下の3点。
1.今の段階で尸魂界に動かれるとマズい。
2.一護クンの霊圧と比べて明らかに格上過ぎるので一護クンが殺されかねない。
3.俺ってどのくらい強いのか知っておきたい。
まぁ3番目はスピカにアジューカスのサンプルデータが欲しいと言われたから、実際に攻撃を受けたり避けたりするハメになったけど。
何だかんだ言っても俺の持つ強さのものさしは、一護クンと真咲さんの時のアイツと井上兄だけなのだ。死神の隊長クラス、ましてや愛染の強さの程度なんかサッパリ。
でも今考えるとノーマルのアジューカスが強さランク的にどの辺か細かくは分からないのがなぁ……アジューカスと言っても原作見る限りピンキリなのよねー。
それに割とこの世界は雰囲気で強さ変動するし。ワンピの懸賞金並みに当てにならない…。
ていうかあのレベルのホロウを相手にするのは初めてだったから正直かなり怖かったんですけど。
そのせいで殺すのがちょっと早くなりすぎた。もう少しデータ取ってからでも良かったかもしれない。
まぁ根がチキンだからあれでも良く持ったほうだよね、うん。変に焦らせて必殺技とか出されても困るしね!
ていうかあんなの殺せる攻撃力が出せたことに我ながら驚く。
原作なら裏で浦原ファミリー辺りが退治してくれてたのかな?それとも俺の存在がバタフライ効果?
あーもーやだやだ。オリ主ものにありがちなオリ敵とかオリボスとかはマジやめて欲しい。
でも今の一護クンじゃ絶対勝てないレベルだったし……なんか町のみんなを皆殺し的なことも言ってたしなぁ…。
とっさに『結界』張っちゃったからあの状況では浦原組は来ない。だったら俺がやるしかないじゃない。一護クンのレベルアップ速度は原作と何ら変わってないもの。
あーでもひょっとしたらやりようによっては幼い頃に一護クン自身の死神の力に目覚めさせて、
原作開始時点で既にヴァイザード他を仲間にしてホロウ化マスター済みのルートもあったんだろうか。
上手いこと愛染の悪事を明るみにしちゃって楽に始末完了、俺凄く幸せルートとかさ。それだったら裏でコソコソする事無く暮らせただろうに。
………………いや、無いな。オリ主的に有り得ない気がする。
『はぁー、辛い…おててが痛い…もうおうち帰る……』
<<そういえば朽木白哉のマネは中々お上手でしたね>>
『ホントに?フフフ…やっぱりマネるならトコトンいかないとね…あはははははは………ハァ……死にたい』
いや、痛いと思うだろうけどあんなバケモノを相手にするのって凄く大変なのよ?
何か自分に暗示をかけるというか、こう……『強い』ガワを被らないと、とてもじゃないけどやってられない。
今思えば一護クンと真咲さんを助けた時に『ヒーロー』を演出したのは自分を奮い立たせる意味もあったのかもしれないな。
<<ですが「お前」ではなく「貴様」の方がより『らしい』と思います>>
『至ってまともなご指摘有難う。まぁそれは別としても早くニーサマに会ってみたいわ。面白いことになりそうだし』
さーてそれじゃ久々の大型クエスト、アジューカス討伐も終ったし帰るとしますか。
つーか俺はモンスターのハンターじゃねぇっつーの。
あージャイアンとか懐かしいなぁ…ドラえもんマジ懐かしい……まーた前世シックだよチクショウ。
その夜、俺は夢世界に入ることは無かった。
実は流石に毎日の使用は精神やら何やらに良くないと考え、週2日程度は通常の眠りに当てている。
今回の場合は単純に力を使いすぎたというのも原因の一つかな。普通に寝たほうが回復速度は速いし。
あんなに大きな『結界』張り続けた上に『変身』使ってしかも最後にアレだったからなぁ。心労もプラスでホント疲れた。
それにしても、一体何だったんだろうアイツは…。
翌日マンガを買いに駅前の本屋に行く途中、道路をじーっと眺めている一護クンとルキアさんを見かけた。
道端にしゃがみこんで何しとるんじゃろかあの2人は。
もっと人目を考えろと言いたい。
「道路を眺めるだけのデートなんて前代未聞過ぎるわ」
「うおっ!」
「ひゃぁ!」
あら叫ぶ瞬間もお揃いで。
おほほほほ。って近所のおばちゃんか俺は。
「だから気配を殺して後ろに立つなって言ってんだろ!それにデートじゃねぇ!」
「で、何してるのルキアちゃん?」
「無視か!」
うむ、良い反応だ。やっぱこれでないとね一護クンは。弄りがいがあっていいわ。
ていうかアレか、昨日の今日で早速コンをどうするかって話か。
「うむ、昨日の改造魂魄をとりあえず何かに入れてみようと言う話になってな」
「それで車にひかれたノラネコでもいないかってな」
「その発想は無いわ…」
「な、なにぃ!?」
ルキアさんそこで驚かれても…。
そもそも発想が怖いわ。死体探しって。
「いや、まぁそこに至るまでのプロセスは何となく分かるけど、死にたての死体なんてそうそう無いよ?」
「あー…まぁな…」
「それに引かれた小動物って結構グロかったりするし」
「う…うぅ……確かに…」
「極めつけは、死体を捜すと言う発想の怖さと言うか業の深さ?」
「はうっ!」
わールキアさん撃沈。
でも実際道路ウォッチングしながら動物の死体探しってとってもデンジャラスな気がするの。
生きた動物に入れるのは人道上有り得ない事は分かるけど、そこで死体探しに町に繰り出すのは少しおかしいと思うの。
「と言うわけで拾ってきましたこのライオンのぬいぐるみ」
「ぬいぐるみ?」
「其れをどうしようと言うのだ?」
「いや、最低人っぽい形の『何か』ならいけるんじゃないかと」
うん、何でお前が持ってるの?って思うだろうが俺もビックリした。この2人の方に向かおうと歩いてたら落ちてたんだもんコンボディ。
俺が来なければ場所移動の際に見つけてたんだろうけど、別にフラグは無さそうなので俺が拾ってきた。
さーさっさといれちゃおうねー。
「けどよ、ぬいぐるみってアリなのかよルキア」
「う…うむむ…今まで人以外に入れたことは無いから分からんな……」
「男は度胸、何でも試してみるものさ」
「いや…私は女なのだが…」
「いやいや、ルキアちゃんのぷりちーさは余人の知るところ。愛嬌たっぷりだから大丈夫よ。
さぁそれじゃそこの度胸の男の子、存分にぬいぐるむがいい!」
「お、おう…」
勢い良くぎゅむっと押し付けられたぬいぐるみを受け取った一護クンは、いまいち納得してないような表情で改造魂魄を取り出す。
さぁぬいぐるめ!ぬいぐるむのだ一護クン!
一護クンがぽかんと開いたぬいぐるみの口に改造魂魄を押し込むと、そのとき不思議なことが起こった。
「このエロゲー主人公がぁ!」
「へぶぅ!」
なんとぬいぐるみが突然喋りだし一護クンの顔を叩いたのです。
まぁ初めから分かってたことだけどね。
にしてものっけから元気だなコイツ。エロゲーってお前。
あ、コンはもうどうでもいいや。ちょうどルキアさんに会ったしお誘いしてみるか。
「ねぇねぇルキアちゃん。駅前のル・ヴェールってお店で新しいケーキ出たみたいなんだけど一緒に行かない?」
「中々に興味をそそられる話だが…その……持ち合わせがなくてな…」
あーあー申し訳なさそうな顔しちゃってもう。俺の目は犬耳や尻尾が見えるのがデフォなのだろうか。すっごいションボリ耳が見える。
だがご安心めされよ!この糸井優姫、それぐらいの事は既にお見通しさぁ!
財布の中から数枚のチケットを取り出し、笑顔と共にルキアちゃんの前にかざしてみる。
「ふふふ~これなーんだ」
「それはル・ヴェールの無料券!?」
「父さんが貰ってきてね、ルキアちゃんも一緒にどう?」
ハハハ、持ち歩いてて良かったー。ちなみにル・ヴェールは所謂洋菓子店でショコラがめちゃ美味しいのよ。
まだそんなに現世慣れしてないルキアちゃんを何時誘おうかと思ってたけどこんな早くにチャンスが訪れるとは思わなかったわ。
このルキアちゃんのキラキラした目といったらそりゃあもう一番星も裸足で逃げ出すね。かーいいかーいい。
「フフッ、目は口ほどにものを言うみたいだね。さぁさぁそれじゃいきますぞー」
「待て優姫、一護は誘わぬのか?」
「ルキアちゃんは優しいなぁ。でも今の一護クンは腹話術を用いてぬいぐるみと一人芝居してるちょっと変わった人だから放っておこうねー」
ルキアさんもそれに気づいたようだ。ジーッと一護クンを見つめていたが、だんだん可哀想な人を見るような目になってきた。
ていうかこっちで会話してるのに気づかずまだ何か喋ってるし。ホラ、向こうの道路の親子連れが怪訝な顔してるぞー。
一護クンはいい加減、周りから自分がどう見られるのか客観的に考えてから行動するようになって欲しい。届け私の親心。
実際ジョジョでも一般人からスタンドバトル見たらかなり意味不明な状況になってると思うんだよね。
そして今の一護クンはどう見てもぬいぐるみ相手にドツキ漫才を道端で行う変な人……。
現世で死神代行として頑張る以上これはいけない。彼には是非とも痛みから学んで欲しい。俺は黒歴史から学んだ。気がする。
「…………行こう、優姫」
「了解」
絶賛放置プレイ続行中の一護クンだが、まぁ黒崎家へのお土産にショコラ系のを入れとけば大丈夫だろう。
ああ見えてチョコレート大好きなんだぜ一護クン。ル・ヴェールのショコラ渡せばどんな気分でも即ゴキゲンよ。
でもカッコつけたがるから人前では喜ばず、自室に帰ってからニヤニヤしてショコラに舌鼓を打つんだろうなぁ。
本人は気づかれてないと思ってるだろうけどバレバレなのよね。
織姫ちゃんへのお土産は…チーズケーキかな。
母さんはピーチタルトでしょー。父さんはー……ショートケーキで良いや。
残りの黒崎家の皆さんには適当に4種類詰めておこう。そうすれば好きなの取るよね。
「ハハ、なんだか何にするか考えてたら楽しくなってきた」
「うむ!」
ルキアさんもテンション上がってきたねー。お互い少し早足になってきた。
よーし!パパ、ショコラセット頼んじゃうぞー!
その夜、織姫ちゃんの美術の宿題の批評をすることになった。
下書きのほうをちょいと拝見。うん、ありえねぇ。
原作でも見た気がするが、『未来の私』とかいうお題でガンタンクみたいな兵器と化した自分を描く織姫ちゃんはファンタジスタ過ぎる。
なんかもう光速のビジョン過ぎてついていけない。
「無い」
<<無いですね>>
『これは…ちょっと……』
『なんとも……たくましい体じゃのう…』
『織姫あんた……』
『エレガントさに欠けますわね』
『馬鹿が』
『あ、あははは……描き直そうか……織姫さん…』
「ええー!?」
俺、スピカ、あやめ、梅厳、リリィ、火無菊、椿鬼、瞬桜の順だが満場一致で否決。
少し涙目の織姫ちゃんちょうかわいい。
アーサーモーヨールー♪
ピッ
おっと自作の着うたがなった。
前世の音楽はこちらでは存在しないのが多いから自作のCDやら何やらに録ってあるんだ。
俺の脳内のぐぐる先生が「自分ラジオ」とかいう死亡必須な関連ワードを出してきたが華麗に無視する。
自分でも美声とはいえやってることが痛いのは分かるし前世を引きずってる感は否めないが、ふとした拍子に思い出せなくなったときとか非常に役に立つのだ。
あと出来ることならこれで印税生活とかしてみたい。金には一切困ってないけど。
ピッ
ん?一護クンからのメールでムービーが添付されてるな。
なんじゃらほい。
ピッ
“ン~ン~ン~♪ン~ン~ン~♪”
“ガタッ あっ”
“ン~♪ ってあ!ルキア手前ェ!何撮ってんだよ!?”
“ハハハ!気にするな!”
“ふざけんな!消せ!今すぐ消せ!つーか俺の携帯返しやがれ!”
“ガタガタッ ハッハッハ!”
今日のショコラケーキを鼻歌交じりで満喫してる一護クンの隠し撮りムービーだった。
これは面白い、PCにも保存しておこう。
「なに?今の」
「ああ、これ」
“ン~ン~ン~♪ン~ン~ン~♪”
「ブフー!黒崎くんかわいい!」
織姫ちゃんは噴き出すほど気に入ったようだ。
ルキアさんにはボーナスとして布袋屋の白玉あんみつでも奢ってあげねばなるまい。この辺ではあそこのが一番美味しいからな。
にしても一護クンはルキアさんを隠す気があるのだろうか。こんなにうるさくしてたら遊子ちゃんや夏梨ちゃんが気づいてもよさそうなのに。
つってもルキアさん隠れる気あるのか分からない程にノリノリだし、肝心の両親にはとっくにバレてるんですけどね。
『あとがきゴールデン』
うあーオサレバトルエミュレートが難しいです。
そしてつっこまれる前に自分で言っちゃおうと思います。
ヒュッ
カメンライドォ
キュウンキュウン
ガシャ
ビャクヤァ!
ジャキィン
ヒュッ
アタックライドォ
キュウンキュウン
ガシャ
センボンザクラ
ビュゥン
酷いだろ……これ、最初から書くことが決まってたんだぜ……。
かなり皆さんの反応が気になる回です。うわぁぁぁぁ。
それにしても感想掲示板での皆さんの予想具合は中々面白いです。作者も大盛り上がりでした。
「兄様じゃねぇのかよ!」と思ったあなたは素直に引っかかって下さって有難う御座います。
ずっとそのままのピュアな貴方でいて下さい。
「カメンライド(笑)」と思ったあなたは今すぐベルトを買いに行って「あ…プレゼント用に包んでください……」とか言えばいいと思います。
作者は動画サイトで見て凄く欲しくなりました。
「チィィィィィィィト!!!!」と思ったあなたはブリーチを読み直してみて下さい。
一護に至っては開始から尸魂界編までの約3ヶ月でアレです。ダイの大冒険か。世の人生やり直し系SS主人公の強さも納得ですね。
次回、一護テンション急上昇。