朝起きたら不定形生物になっていた。
・・・・不定形生物？



落ち着け俺！
いくらなんでも不定形生物は無いだろ？
だってホラ、触手は数え切れないし、視界は360度あるし、こんな生物地球上にいな・・・い。

ってここ地球じゃないの？
そういえば俺足（触手）が何にも触れてないような気がする。

結論から言えば認識出来ませんでした。
というか人の言葉では表現できないような空間。
ただ奥の方に白い光とでも言うか、灯りみたいのが見える。
ここにいても仕方ないし・・・
「行しかないか」
でも、何にも触れてないのにどうやって行こう？



灯の方に触手をバタバタさせながら進む。
何とこれで進むことが出来るのだ！！！
もうなんか物理法則とか俺は越えちゃった生物らしい。
ここが仮に宇宙のどこかだったら俺は超生物だね、最早生物ではない可能性の方が高いけど。
第一俺はどこで触手の使い方を学んだんだ。




灯りの方まで行くと何かがいた。
何かがいるのは間違いない。

ただ、２つの「何か」がいるのは分かるが認識出来ない。
「ソレら」の姿は見えているし、「ソレら」の声は聞こえている。
・・・なんだコレは？
「－－－－－－－－！！！！！」
「――――！？」
「―――＝＝――。」
なんかワカラナイ叫び声みたいのが聞こえるし。
と、とりあえずソレらに話しかけるしかない。
他に人いないし。


「あの～すいません、ここドコっすか？」
「―――――！？」
ソレのうち一方がコッチを向いたような気がする。
なんというか霧みたいなものだ。
ソレが意思を持っているかのように（多分実際持ってる）動く。
「―――――――？」
フムフム、何言っているかまったく分からないぜ。
日本語か、これ？
人類、いや地球上の音とは思えないような音だ。
「ぷり～ず、すぴ～く、じゃぱに～ず。そして出来るなら人型でお願いします」
とにかく頼んでみた。
後半日本語だが気にしない、前半もほぼ日本語だし。


どうやら理解してくれたらしい。
なにやら２人（人でいいのか？）で、話し合っているようだ。
「―――」
「――――――？」
「――――」
どうやら合意に達したらしい。
どんな返事が返ってくるかとビクビクしていたら、
「お前も人型じゃないじゃないか」
霧っぽいのが至極当然なこといってきやがった。
確かに俺は今、不定形生物だ。


だったら人型になってやるさ！
不定形ってことは形を自由に変えられるはず、つまり人にも成れるはず。
「俺が人型になったら、お二人とも人型になってくれます？」
「構わんよ？」
言ったな、見てろよ！

「ふぉぉおぉおおおおおぉおぉおおおおお！！！！！！！！！」
なんかカッコいい叫び声あげたはずなのに変な声が口からもれる。
だけど身体が変わって行きますよ？
グニョグニョかなりグロテスクですけども。
そんな感じの声を出し続けること数十秒、身体が人型になった気がする。
触手の先端に目を作って自分を見てみる。
・ ・・いつの間にか器用になったな俺も。

確認してみると人間だったときの俺だった。
かなり美化されてるけど、日本人らしい人間が立っている。
違和感は爪にしろ目にしろ髪にしろ虹色なとこか？
「生まれたばかりなのに流石だ、我が子よ」
「ッ！！」
いきなり耳元で聞こえたハスキーボイスに飛びのく。
そこにいたのは男と女の。
白黒対照的な二人だ。

黒い女性は遊惰に寝転び、むちゃくちゃ長いドレスを着ている。
人間で言うなら20代後半、とんでもない美女だ。
乱れた服装、物欝げな表情は性欲がかきたてられそうなものなのだが、あまりにもダメ人間な雰囲気が全てを台無しにしている。
白い男性は対照的に凛々しい感じの人だ。
タイトで身体の線の出るスーツをきた、これまた特上の美男子だ。
欠点はムキムキすぎる肉体か？
しかし不快感を抱かない、機能美のような美しさの肉体だ。
しかし何故に上半身裸？

「・・・我が子？」
「そうだとも我が息子ヨグ＝ソトースよ！！母の顔を見忘れたか！？」
そんなムキムキの肉体で母？
つーかヨグ＝ソトース？
俺が？
じゃあアンタは俺の母親の無名の霧？
そこで寝転んでいるのは、もしかして、本当にもしかしたらアザトースさん？
「そうよん、ヨロシクね。ヨグちゃん」
あんた知性なき盲目の神じゃないのかよ！！！










「ついでに弟と妹探してきてくんない？」
「弟と妹？」
「そう、ニャルとシュブ。アタシの子だけど、私と霧は夫婦みたいなモンだし」
はぁ！？