座標のバグ


男

ある日人生で22回目のデジャヴを経験した男が、あるタイミングで一日がループされている事に気がつく
自堕落な男は変な勘違いをして、時空間ループでの一日の繰り返しを楽しんでいたが、ある日自殺を試みて、死ぬ間際に好きだった女の人に告白しようという意識が芽生え、それを実行に移し、「じゃあまた明日」と言われてループが解除される
その後もデートがうまくいかなかったり女に嫌われるたびにループが始まり、仲が進展していくと一日が進むという事を繰り返していた
男は、女が実はループ能力の使い手なのではないかと考えるようになる
そして、女と一緒に交通事故に遭う事でループが途切れたのでそれを確信し、男は病室でただ一人身体も動かせず涙を流す（女は死んだ）
ある日、身体の治った男は同窓会に顔を出す。
そこで出会った旧友に胸のうちを打ち明けると、その旧友がループ能力者であることを打ち明けてきた
男はええっ、ってなるけど、旧友はけらけら笑いながら、男の面白くなるタイミングで時間をセーブして、ずっと巻き戻して男の生活を見ていたという。
ひどいよ、男は旧友に殴りかかると、再度自堕落な頃のあの日に巻き戻る
時計はそのまま、女は死んでいない
男は女に顔を合わせに行くが、女が再び事故に巻き込まれる事を本能的に恐れ、なんでもないよ、と一日を終える
再びループが収まり、数日経つと、女が自分の目の前で車に撥ねられて死ぬ
青ざめた男は自殺を図ろうとするも、旧友が目の前に現れる
旧友にそのことを打ち明けると、旧友は男に再び能力者であることを打ち明ける
ついでに、男が女と関わり、女の死を見るという運命が決まっているという事を打ち明ける
旧友はにやにやしながら男の様子をみていたが、すると男は「つまらない人間だな」とだけ吐き捨てる
旧友は、「えっ？」ってなって、その後も男に人格否定を受け、旧友は再び時間をループさせる（月をバックに背を向けて、片手を上げてバイバイと全然悔しくない風を装って）
その後もループを続ける旧友だったが、なぜかどのループでも男が旧友のもとに辿りつくので、旧友は運命が変わってしまったと判断して、ループ位置を変えることを決める
そして時間は男の中学生時代に巻き戻る
そして男は22回目のデジャヴを経験した、と認識する
そして学生時代で、旧友は男をあざ笑う目的で、俺がお前の時間をループさせているんだよ、とクールな感じで言う
だが学生の男はふーん、という感じで張り合いがない
そうこうしているうちに、男は大人になり、再び女が死ぬ運命の時間帯になる
旧友は再び男が吠え面をかく姿を楽しみたかったがーーーある日、旧友のもとに一本の電話が入る。
旧友は男の哀しみを間近で見れるなら好都合、と男と遊びにでかける
そして、旧友は3日目の昼、男の目の前で、車に轢かれる
男の関心の対象は、女ではなく、旧友になっていた
旧友は、最後に、自分を見下ろす男の涙を見て死んだ