こんにちは、ひろっさんです。書いてみたはいいものの、自分でどう評価すればいいのかわからない作品になってしまったので、チラシの裏に投稿します。評判がいいようなら表に出します。あと、かなりグロい話があるので閲覧注意です。~~~~~~~~――――語り手、イヴ・スティン――――宇宙世紀0079、1月3日。ジオン公国を名乗ったサイド3ムンゾは、地球連邦に対し宣戦布告。月面都市グラナダ、サイド1、サイド2、サイド4へ電撃的に攻撃を仕掛けた。報告を受けた私、イヴ・スティンは、当初の予定通り迎撃を命じる。「AF[アームズフォート]『アンサラーチープス』始動を命ずる!ポイントA[アルファ]-2-48!私もすぐそちらへ向かう!」あらかじめジオン公国軍の侵攻ルートを予想して、幾つかに絞り込んでいた。こうするしかなかった、という意味もある。彼らが無条件降伏以外受け入れないというのなら、こういう時のための備えを放出する必要があった。その1つがアームズフォート『アンサラーチープス』。サイズダウンしたコロニーに偽装した宇宙要塞で、傘のように外装の全面が展開、傘で言う雨の当たる部分に、ハリネズミのように対空砲、キャノン砲を並べた、馬鹿馬鹿しく単純ながら、効果的な対艦隊迎撃兵器だ。それを、核パルスエンジンによって迎撃ポイントへ移動させ、ジオン公国軍の核攻撃を迎撃するのである。モビルアーマーの概念を先取りしたものと言えるかもしれない。予算や機密対策もあり、限定的な使用法もあり、盛り込めなかった技術も山ほどあるが。通常のコロニーに偽装する必要があったため、最初から展開した形にしておくことはできなかった。その展開機能のために、ロケットエンジンを羽根一枚一枚に5基ずつ配備。各兵装を動かすエネルギーとして、合計16基の核融合エンジンを設置。ビーム砲は技術が確立していなかったため、兵装はすべて実弾。艦隊戦力を用意できなかった私達にとって、これは最後の砦と言えた。――他の転生者の男どもはかなり喜んでいたがな。シャトルにて『アンサラーチープス』に到着した私は、司令室で報告を聞いた。「発信ポッドの通信途絶地点はここです。おそらく、敵侵攻ルートはパターンAで確定かと」「ポイントA到着まで、約3時間10分です」「御苦労」司令室でポイントAとしか言わないのは、後の数字に意味がないからだ。侵攻ルートの予測パターンは、20に満たない。複雑な暗号を、それだけのために使うことはない。モニターに映し出された地図によって説明を受けた私は、事態が事前の予想通りに動いていることに、少し安堵した。ジオン公国は、私達サイド2をナメ切っている。今の内なら、1発当てて驚かせ、撤退させることも可能だ。「ミノ粉の影響が出始めるまで、どのくらいだと予想している?」「敵の侵攻速度からしますと、およそ4時間後と思われます」「思ったより猶予はありそうだな。ポイントに到着してから、展開中に全艦内に演説を行う。今の内に休める者は休ませておけ」「はっ」ミノフスキー粒子の散布中は、敵艦隊と通信することはできない。ジオン公国軍の艦隊がミノフスキー粒子を散布しつつ接近しているということは、目的は奇襲攻撃だ。それも、おそらく核を使用してくる。『アンサラーチープス』は、一応核攻撃に耐える装甲を持っているが、機銃や砲塔は有線遠隔操作だ。ミノ粉の影響を受ける可能性はあった。有線操作ならば大丈夫と言われているが、実験したわけではない。そのために、幾つか操作方法は別に用意しているが、それらがどこまで通用するか分からない。ポイントA到着後。核パルスエンジンを切り離し、コロニー偽装を解除して、傘が開く。この展開に30分かかってしまうのだが、まだ20分の猶予があった。『アンサラーチープス』の艦内は、ミノ粉対策のために、すべて有線で通信が行われるようになっている。それらに繋がったのを確認した後、私はマイクを握った。「敵艦隊からの通信はなく、こちらからの通信に応答もない。敵は我々をナメ切っている。国際法に反する、無宣告の奇襲攻撃だろうが、全滅してしまえば意味はないとな。だが、我々には備えがある。教えてやれ、我々はここまでやれるのだと!サイド2ハッテは、決して地球連邦の傀儡で終わったりはしないと!できるのなら、向かってくる敵艦隊を撃滅してやれ!後のことは、この私に任せろ。サイド2自治政府首相、イヴ・スティンが全責任を持って決着を付ける!お前達の力によって、ギレン・ザビを、ジェラルド・ゴールドマンを交渉の場に引き摺り出せ!以上だ。各員、奮起せよ」サイド2『ハッテ』首相。なぜそんな肩書を持つ私が、要塞の司令室で指揮を採っているのか。単純な話、私以外に適任がいなかったからである。サイド2には連邦宇宙軍の艦隊が駐留しているのだが、ジオン公国軍をナメ切っているため、私達が発していた警告をことごとく無視してくれた。一応、連邦軍艦隊に転生者も潜り込んでいるのだが、艦隊司令ではなく、艦隊を勝手に動かせる権限はない。そのため、前世において戦争を経験した私以外に、この規模の兵器を指揮できる人間がいなかったのだ。AF、アームズフォートという名称は、転生者の男達が付けたものだ。エース、個人の力量に依存する人型ロボット兵器『アーマードコア』に対して、多人数で運用し同等以上の戦果を叩き出す目的で作られたのが、『アームズフォート』である。それは前世に流行ったらしいゲームの話なのだが。『アンサラーチープス』という名前も、そのゲームに登場する兵器から取られている。今回は、単にこの世界におけるMSの生産技術を、私達が開発できる見込みがなかったために、こういう形にしたまでだ。電波を阻害し、精密な電子機器に誤作動を起こさせるミノフスキー粒子。それが戦場の常識を一変させ、人型有人兵器MSによる有視界戦闘を世に普及させた。脅威でないわけがない。幸いにして、その性質をよく知る者なら、転生者の中に、今も砲塔や銃座で戦闘に備えている男達の中に何人かいた。だからこそ、今回の作戦が立案されたのである。コンセプトは、核弾頭を一発も後ろに逸らさない。傘の羽根の間に金網を展開して電気を流し、核弾頭の信管を反応させることまでしている。すべては、自分達を含めたサイド2が生き残るため。衝撃が走った。敵の姿が見えるまでに、まだ10分ある。「レーダー!報告しろ!」「連邦軍艦隊です!後方、距離350km!」数字上は明らかな射程距離外だ。だが、宇宙ではビームは減衰しない。コロニーの外壁を展開した『アンサラーチープス』ほど巨大な物体が相手ならば、どこかに命中させることも不可能ではない。そして、ミノフスキー粒子を散布していない環境下では、その前提は無意味だ。従来の自動照準器を使用すれば、この距離でも十分に当たる。「連邦艦隊に通信開け!ッ、急げ!」また衝撃。モニターには、遥か遠方から光が通過していく様子が映し出されていた。かなり本気で沈めにかかっている。『こんなものを用意しておいて、今更弁明かね、反乱軍の諸君?』「今これが沈むと、サイド2は壊滅するぞ!20億の命が貴様らの馬鹿げた功名心で失われる!命がないのは貴様らも同じだ!連邦艦隊を攻撃する気なら、もっと別の方法を使っているさ!」『戯言を。この宙域に、貴様達以外に船はいない。命乞いなら――』「前方、ミノ粒影響範囲接近します!」「敵艦隊は中央に捉えているか!?」「この程度の攻撃で揺らぐほど軟な作りではありません!」「全砲塔、砲撃開始!モビルスーツを展開される前に船を沈めろ!」『フン、ようやく反撃――』「ええい、黙って見ていろ!ジオン公国軍の奇襲攻撃艦隊がすぐそこに来ているのが分からんのか!サイド2防衛の邪魔をするな!国際法廷に引き摺り出すぞ!」『な、なんだと!?このスペースノイドの小娘が……!』小娘と言われているが、私は体格が小柄なだけで、実年齢は34である。そうでなければ、自治政府とはいえ、その首相に選ばれたりはしない。そして、モニタに映った顔を見ていると、連邦艦隊指揮官の顔が見覚えのあるものだと気付いた。「そうか、貴様、ダズン・ナハトムか。まだ大尉で艦長だったはずだが、なぜ尉官である貴様が艦隊の指揮を取っている?」『だったらどうしたというのだ!司令官は休暇中で、今は私が司令官代理だ!法的には何も問題はない!』「貴様、わかっていて邪魔をしているな?サイド2、20億のスペースノイドをジオン艦隊に殺させるために、コロニーの防衛をさせない気でいる。違うか?」『戯言を!』話している間に、前方を映すモニタで閃光が走った。砲撃が到達し、ジオン艦隊に打撃を与えたのである。「爆発光確認、その数2!」「射ち続けろ!」『なっ、なんだ!?何が起こっている!』ダズンの動揺する声が通信に乗って聞こえてきた。「連邦艦隊は下がれ!貴様らの装備では、ミノフスキー粒子対策が十分ではない!我々が沈んだその時は、サイド2の20億を頼むと、マザク・ロンベ司令に伝えろ!」「反撃、来ます!ビーム光確認!」「対ビームネットは過信するな!砲塔が破損したなら、その区画から退避させろ!」「はっ。今のところ、砲塔の損害ありません!」『こ、この『食人鬼[グール]』が、嘗め…ザザッ…!』通信にノイズが入った。「通信途絶。そろそろミノフスキー粒子の影響が出始めています」「連邦艦隊の動きは?」「1隻だけ残り、他は回頭中。残った1隻はおそらく……」「ま、勝手に突っ込んで勝手に沈むなら、我々も責任は取り切れん。その前に逃げるだろうがな」ダズンはサイド2駐留艦隊司令官マザク・ロンベ少将の側近だ。指揮官としては悪くないと聞くが、良くも悪くも行動的で直情的。そしてスペースノイド殲滅論者。原作のバスク・オムを幾分劣化させたような人間である。おそらく、原作ではこの1週間戦争で戦死したのだろう。でなければ、グリプス戦役の時に名前が挙がらないはずがない。「さて、うるさいのがいなくなったな。MSは展開しているか?」「遠すぎて確認できません。爆発光さらに確認、その数3」私は溜息を吐く。「まだ心配するほど近付いてはいないということか」一応、核攻撃に一発は耐える設計だが。『アンサラーチープス』のコンセプトは単純明快、コロニーの外壁に並べた砲塔や銃座による、飽和攻撃である。設置型とはいえ360mm砲の1発や2発では軍艦は沈まない。ましてや射程外からの砲撃だ、当たる方がおかしい。しかし、サイズダウンしたとはいえコロニー外壁に砲塔を隙間なく並べれば、面の攻撃で当たる確率を上げることができる。下手な鉄砲数射ちゃ当たる、である。逆に言えば、敵からのビーム砲も、砲塔に損傷を与える危険があった。実に5600基、砲塔をびっしり配置しているため、『まぐれ当たり』の発生率も高まってしまうのが事前の研究で問題視されていたのだ。それを解決するための苦肉の策が、炭化タングステンのワイヤーで編まれたネットである。炭化タングステンは、4400℃の高温でなければ融けないため、2、3発はビームの熱に耐える。それを砲塔を守るように設置しており、それで今回は何とか凌げているのだ。もちろん、核攻撃には無力だが。「敵艦隊、ブースター光確認しました」「突っ込んでくるか、反転後退するか、か……」「――!」「――!」その時、モニタを閃光が焼いた。ほどなく、真っ白になったモニタが回復する。「核ミサイルか?損害は?」「ええ、そこそこ近くで爆発したようです。損害報告はありません。射程外から撃ったのでしょう」バズーカに核弾頭を搭載しているのなら、当然艦艇に核ミサイルも搭載している、か。なかなか勉強になった。外れた時のための自爆装置のことを失念していたと見える。それとも、距離を見誤ったか。核ミサイルに限らず、ミサイルには必ず付いているもので、宇宙空間に放つとどこまで飛んで何に当たるか見当がつかないため、一定距離を飛ぶと自爆するように設定するものなのだ。私達は、ビームすら当たる確約のない、400km以上の遠方同士で撃ち合っていたのである。通常は望遠視認可能な200km以内で戦うため、勝手が分からなかったのだ。私達も、立場が違えば同じ間違いをしたかもしれない。なにしろ、宇宙における本格的な戦闘はこれが初めてなのだから。「ブースター光、遠ざかっていきます!」「やれやれ、なんとか勝利か」私は溜息を付いた。部下達にも安堵が広がる。その時、警報が鳴り響いた。「何事だ?」「減圧警報です。連邦艦が主砲で本艦のエアロックを破壊したようです。今、隔壁の自動閉鎖を確認」「まったく……ものの価値の分からん奴め」私は天を仰いだ。「連邦艦、反転、遠ざかっていきます」「核パルスエンジン部隊を呼べ。傘を畳め。戻って次に備える」とりあえず、ダズン・ナハトムに責任を取らせる必要がある。いっそのこと、処刑台に上げてしまうか。今回、艦隊に無駄な損害が出かねない勝手な運用をしたことで、降格処分は確実だろうしな。~~~~~~~~オリキャラはしっかり紹介した方がいいんでしょうか?とりあえず主人公は基本的に女オリ主のイヴ・スティンですが、語り手が変わることがあります。『アンサラーチープス』は、そうとしか表現できないから仲間内でそう呼ばれているだけで、あまり正式名称とかは考えていません。