「どうしたんだい、これ?」
「その毛皮ですか? それは、シーマさんの熱烈なファンの人からの贈り物ですよ」
「私のファン? マリアのファンじゃなくて?」
「はい、テダさんという方がシーマさんのインタビューを見て贈ってくれました」
「ここで受けたインタビューのヤツかい。しかし、これは本物の虎かい?」
「はい。ホワイトタイガーというみたいです。私も初めて見ました」
「この毛皮だけで楽に高級車が買える値段だろうに、なんでまた、こんなに高い物を贈ってくるのやら・・・」
「彼は、シーマ様に叱られ隊のメンバーですので、下僕としてシーマ様の司令の椅子が質素すぎるのが許せなかったのでしょう」
「叱られ隊・・・ 頭が痛くなってきたわ」
「派生で、シーマ様に罵られ隊というのもあるそうです」
ちなみに私は、シーマ様の乳揉み隊、私限定の隊の隊長です。内緒ですけどね。
「本気でジオンの将来が心配になるねぇ」
「彼らは特殊な性癖があるだけで、普段は一般人よりも有能な公国民ですよ? では、シーマ様、彼にお言葉を掛けてあげて下さい」
携帯端末をシーマ様に向けて、さん、にい、いち、きゅ~
「はぇ~、仕方ないねぇ」
「もう録画してますよ」
「こんな高いモン買う銭があるなら、ビームライフルの小型化に日夜懸命に励んでいる技術者に、差し入れの一つでもしておやり!」
「ありがとうございました。これで彼はあと10年は無償で働けるでしょう」
「今度またインタビューがあったとしても、恥ずかしくて此処では受けれないねぇ」
そう言ってホワイトタイガーの毛皮を撫でながら、ため息を吐くシーマ様も素敵ですね!
UC 0079.07
「降伏しろ! 降伏するならば、南極条約に則り捕虜としての待遇を保障する」
私は現在マゼランの艦橋にいます? 艦橋を脅していますが正解かな?
なんでこんな物騒なことをしているのかというと、ここはジオンの庭先なんですよね。
サイド3宙域の入口に、連邦軍の強行偵察部隊がやってきたというわけです。
それで、たまたま付近の宙域で訓練していた私たちシーマ艦隊が現場に急行して、サラミス二隻と魚の群れを屠って、
旗艦のマゼランを丸裸にしてお話しをしているのです。
『こ、子供だと!? 魔女は魔女っ子だったのか・・・』
銃を突き付けられているのに、ずいぶんと余裕ですね。すぐに魔女っ子って反応できるあたり、連邦の司令はロリコンの気がありそうですね。
このまま撃沈しちゃおっかな?
というか、魔女って私か? 魔女とはなんだ! 魔女とは!
「うん、ギルティ。アディオス」
『ちょっおまっうぇ』
軽い司令だな~。こいつ、絶対にネット掲示板中毒者だな。うん、私には分かります。
『司令、落ち着いて下さい。確かに"コスモスの魔女"は女の子みたいですけど、そんなことを言っている場合ではありませんよ。彼女怒っちゃいましたよ』
「聞こえていますよ? 魔女とは失礼しちゃいますね! こう見えてもジオンでは、"コスモスの蝶"って呼ばれているのです!」
私の愛機、MS-06R-2S高機動型ザクⅡ後期型マリア専用機は、パーソナルカラーが薄紫のコスモス色なので、ジオン国民からは"コスモスの蝶"の愛称を
付けられているのです。
私の戦闘シーンが、宇宙を優雅に舞う蝶のように、見えるところから付けられた二つ名ですね。華麗なる私にピッタリな愛称を、連邦の連中は、あろう
ことか、"コスモスの魔女"なんて名前を付けるだなんて、無礼千万です。ぷんぷん!
他に二つ名が付いてる人はというと、原作で付いていた人は、当たり前ですけど原作通りの二つ名が付いてますね。
面白いところでは、
まぐれ当たりの一発屋 クレア・ヒースロー 戦績はティアンム旗艦だけです。汚名挽回ですよ? 挽回!
突貫小僧 ルーデル 魔王と呼ばれるには、まだ戦績が足らないみたいですね。
宇宙(そら)のセイレーン クスコ・アル みんな『ラ、ラ』とか聞こえるのかな? 私には聞こえないですけどね。
クスコだから『ク、ク』だったら、締まりがない気がするけど。セイレーンは、そのうちコールサインなる予感。
ちなみに、コスモスは、花のコスモスと宇宙を掛けている言葉遊びですね。綴りはどちらも同じcosmosみたいですよ? ここまで0.2秒。
『それは失礼した。それで、コスモスの蝶さん。降伏するのを協議するので時間が欲しいのだが?』
「30秒だけ待ってあげる。1秒でも越えたら撃沈します。それだけあればメインエンジンを止めれるでしょ?」
司令がドモリだから、副官が表に出てきたわけね。
『短すぎだ! 考える時間が欲しい!』
「ダメよ。時間をあげたらレーザー通信でデータを送るとか、反撃するとか、逃げる算段を付けるとかするでしょ? あと18秒ですよ」
『むむむ・・・』
なにがry
「じゅ~う、きゅ~う・・・ ご~ぉ~、よ~ん」
『わ、分かった降伏する! 南極条約に則った処遇を要求する』
「了解した。直ぐに監視要員を送るので、指示に従って無駄な抵抗はしないように。抵抗した場合と少しでもおかしな行動をした場合には、無条件で撃沈する」
『了解した。せめて水くらいはサービスさせてもらうよ』
「メードインジャパンのでしたら、私もいただきたいわん」
『残念ながら、アマゾン産だよ、お嬢さま』
「あら、それは残念でした」
これでマゼラン一隻ゲットです! 貧乏なジオンにとっては大きい戦果ですね。これでお小遣い増えるかなー?
ちなみに私の給料は、諸々の手当を入れてここ最近の手取りは、月平均で7500ジオン$です。前世の感覚でいえば約75万円ってところですかね?
開戦して昇進して3倍以上に増えました! これが多いのか少ないのかの判断は微妙なところですが。まあ、給料が増えた分以上に危険と隣り合わせなんですけどね。
平時の特務少尉の時代は、月に2000$もなかったのですから、戦争万歳です!
けど、平時に戻れば手当は激減して、また薄給に逆戻りですグスン。それでも、子供には大金なんですけどね。ザビ家の親戚でも給料に特別扱いはないみたいです。
独裁国家のクセに変なところで清廉潔白にならなくてもいいのに!
自分たちは贅沢をしているのにね。あれの源泉は裏金なのか? 賄賂なのか? そうなのか? うん、そうに違いない!
むむ、ブルジョワめ! 革命の準備は整った。立てよ国民! 僻みを怒りに変えて立てよ国民!
いかんいかん、被害妄想に憑りつかれるところでした。
それはそうと、私の財布はお姉ちゃんに握られています。こんな時代ですから、お小遣いを除いた給料の半分を、せっせとプラチナやゴールドに変えている
みたいですよ。もう半分はジオニック社やツィマッド社の株を買っているみたいです。
お姉ちゃんはしっかりしていますね! けど、ギレン総帥の第一秘書兼内縁の妻が自国の通貨を信用していないって、そこんとこどうなのよ?
これは、あれかな? お姉ちゃん自身はザビ家の母になる人だけれども、私はあくまでも外縁だから、万が一の時の為に保険を掛けてくれてるのかな?
そう考えると、お姉ちゃんのバランス感覚は凄いのかも知れない。禿げのデラーズみたいに盲信してないしね。
そういえば、暫定主力機選定のコンペは予想通りに、MS-09Rリックドムに決まったそうですよ。
まあ、あの値段では仕方ないよね? リックドムが2機は買えちゃう値段でしたから。戦いは数を揃えるのが基本ですし、一般兵では性能を持て余しますしね。
さて、私はお小遣いを増やす為に、これからも連邦の偵察部隊を狩るのに精を出しますか!