UC 0083.04
「特徴がないのが特徴かな?」
「なるほど、そういういう事なら量産機のベースにするには、うってつけの機体とも言える訳ですな」
「うーん・・・ ジオンと連邦のお互いの良いところを潰し合って、駄作が生まれる可能性もあり得るけどね」
お元気ですか? ジオン公国の公女で、みんなのペタアイドルこと、マリア・イレーネ・ザビです。あと、3回挨拶をしたら行き詰るのは内緒ですよ?
誕生日を迎えて私も今年で16歳になりました。身長は、ほとんど伸びませんでしたけど、胸は大きくなりましたよ!
Dです。ギリギリDです。多分だけども・・・ まだ少し挟み難いですから、最低でもあとワンランクはアップして欲しいですね。それ以上はいらん。
ホルスタインになってしまいますしね。
ナニを挟むのかって? パックに入った飲料を胸の谷間に挟むんですよ。そうすることで両手が空きますので、水分補給をしつつも、かつMSの操縦も疎かにならない
メリットがあるのです。
いやらしい想像をした人は前に出なさい。修正して差し上げますから。まあ、パック飲料の話は半分以上は嘘なんですけどね!
それはそうと、
現在、私はエリオット・レム技術大佐とお話し中です。話の内容はといいますと、この前フォン・ブラウンで、私を襲ってきた時にゲットしたジムカスタムを修理して
テストした結果の報告と、MS-06ザクⅡ系統の正統な後継機についてのお話しです。
「取り敢えずは、ジオンと連邦の規格を統一するのに試作するだけですから、性能は二の次です」
「まあ、パーツの互換性の点数が多いのは、我がジオンも大いに連邦を見習うべきでは、あるんだろうけどもね」
独立戦争時にマ・クベ中将が提唱した、統合整備計画を更に一歩踏み込んで実行する為の試作機なのです。
「製造コストの削減は喫緊の課題ですからな」
「ザクの後継機ですから、値段を安く仕上げないと採用されませんもんね」
「そうですな。しかし、このセミモノコックではない新フレームは色々と応用が利きそうですので、もったいない気もしますね」
「可変モビルスーツとかの開発ですか? それはそれで、ハイエンド機として開発すれば良いんじゃないですか?」
「可変式のハイエンド機ですか? ふーむ・・・ それだと、私だけの提案では心許ないですから、姫様からも口添えをお願いしますよ」
「移動可能な骨格ということで、ムーバブルフレームとか連邦では呼ばれていそうですね」
すみません、インチキ使いました。ムーバブルフレームは、ガンダムMkⅡを開発していたカミーユの親父さん、フランクリンが設計していたような気がしますね。
もう既に前世も遠い昔で、記憶もかなり曖昧ではありますけれども。
「ムーバブルフレームですか・・・ なんの捻りもなくそのままですね。そうじゃなくて、」
「口添えでしたっけ? まあ、言うだけならタダですから話は通しておきますね。私も、そろそろイェーガー以外にも乗りたいですしね!」
「本当にお願いしますよ?」
「ふふ、レム技術大佐は本当に技術馬鹿ですよね」
「まあ、これぐらいしか私には取り柄がありませんので」
こうして、ジオンと連邦の両方の技術とパーツを使ったMSが生まれることに成ったのです。冷却というか排熱ダクトみたいな所にジムの名残りが見受けられますね。
これが、翌年には正式に採用されて、MS-20の型式番号とハイザックと命名されるMSの誕生秘話でした。
ちなみに、お値段はといいますと、MS-17Rガルバルディβの約6割の調達コストで納まりました。1機あたりの値段は9000万$ぐらいですかね? まあ、その分性能も
値段相応で、そこそこの性能なんですけども。史実のハイザックと違ってビームライフルとビームサーベルを両方装備できるのが、まだマシな点ですかね。
でも、やっぱりといいますか、中途半端な仕上がりになったのは否めません。まあ、ローエンド機ですから価格重視なので、こればかりは仕方ないのかも知れませんね。
このハイザックの登場によって、MS-06F2とザクⅡ改ことMS-06FZは第一線を退くこととなりました。一部の機体をモスボールに残して、あとの機体は民間の作業用MSと
かの為に払下げられました。
ハイザックがローエンド機といっても、ガルバルディαと同程度か少し上の性能は一応あるんですよ? オマケに値段はガルバルディαよりも、1000万$も安いのです!
ガルバルディβが150M$で、ガルバルディαが100M$で、ハイザックが90M$ですね。
私の前世での戦闘機の値段と、あまり変わらない気がしないでもありませんね。これも技術の進歩による効率化ってヤツなんでしょうか? 気にしたら負けですよ?
ハイザックは史実では連邦軍とティターンズで採用されましたけど、この世界ではジオン公国の象徴として生き残ることができました。連邦には1機も売れませんでした。
まあ、ジオンが存在しているんだから当たり前なのかも知れませんけど。代わりに、月とサイド6向けに製造販売してます。それと、コロニー再生計画で順次修復されて
いく各サイドのコロニーにも、政治状況によっては売れるかも知れませんね。
連邦とティターンズは、ハイザックの代わりに何を調達するのでしょうかね? まさか、ジムカスタムとジムⅡだけってことは無いでしょうし、まあ、その辺は諜報部が
調べてくれることを期待しましょうか。
アナハイムは連邦向けのローエンド機として、中身はハイザックとほぼ同じ仕様で外見がジムの機体を売り込みたいみたいですけど、これは、もし売れたらジムⅡ改とか
って名前になるんでしょうかね?
このコロニー再生計画にジオンも一枚噛んでいるのです。不平等に締結されたリーア軍縮条約の見返りの一部としてですけども。まあ、ジオンの国力からいったら際限なき
軍備拡張なんて愚の骨頂ですから、軍縮は願ったりかなったりの状況で渡りに船だったんですが。
コロニーの破壊と再生。なんだか、ジオンのマッチポンプの気がしないでもありませんが・・・
それで、このコロニー再生計画と、ジオン軍のMSの更新。それと、アナハイムからの連邦と月やサイド6向けのMSの生産が堅調で、我がジオン公国は戦後の不況が
大不況とか大恐慌にならずに小不況程度で、どうにかこうにか乗り切ってこられてるのです。このまま順調に行けば、なんとか軟着陸できそうですね。
国家主導の統制経済さまさまです。これが、神の見えざる手による自由市場原理だけでしたら、目を覆いたくなる惨状が待っていたことでしょう。国家による市場への
介入は万歳なのであります! ケインズは良い政策を提唱しましたね。平時でしたら、アダム・スミスでも良いのでしょうけれども。
それはさておき、
ガルバルディβが売れました! 連邦はルナツーの宇宙軍から220機の受注です。月とサイド6からも、それぞれ160機づつを受注しました。ジムカスタムとの模擬戦という
のか、実戦での性能を目の当たりにして評価がうなぎ上りしたみたいですね。これは、私のおかげでもありますよね? えへん! しかし、これは嬉しい誤算でしたね。
メラニー会長も、
「マリア様のおかげで、予定の三倍以上も売れました!」
とかいって喜んでましたし。
いまごろ連邦の地球至上主義者たちは、きっと歯噛みをするか地団太を踏んで悔しがっていることでしょう。
月とサイド6は、ガルバルディβとハイザックのハイローじゃなくて、ミドルローミックスで部隊編成をするみたいです。MSの教官としてジオンのベテランパイロットは
引っ張りだこなのです。とりあえず、出向という形式で月とサイド6においてMSの指導をさせていますけど、極少数の地元出身者で希望する者は、そのまま月とサイド6の
防衛隊に移籍する許可は出したみたいです。友好協力の関係を維持するのは大事ですもんね。お得意さまですし。
ジオン公国は、ローエンド機にハイザックとガルバルディα、ミドルエンド機にガルバルディβ、ハイエンド機には、開発の始まったガーベラ・テトラ(仮)や
リックディアス(仮)を持ってくる予定です。
つい最近になって、ルナチタリウム? ガンダリウム・ガンマと名付けられた新合金の開発に成功して、実用化のメドが立ったガンダリウム・ガンマを使用したMSの
設計が開始されているのです。その他にも、可変式のMSをアナハイムと共同で開発する予定でいます。まあ、ほぼ全部のMSが共同開発なんですけどね。
アナハイムの資金力は凄まじいです!
これからのMS開発は、ジオンと連邦とアナハイムの技術の融合でMSの性能の良し悪しが決定する時代になりそうですね。
まあ、MSはまだ過渡期といいますか、黎明期を脱してないので数年で陳腐化するんですけどね。これを知っているのは私と極一部の技術者だけでしょうか?
ジオン公国の経済財政の為にも、どんどんMSをお買い上げしていただきたいものです! うん、私って間違いなく死の商人だわ・・・
それで地球至上主義者たちですが、私の暗殺未遂の責任を追及されて、コリニーだかコノリーだかの将軍が更迭されてしまいました。地球連邦政府は一部軍人の暴走と
公式に謝罪して、この一件は一応の解決をみたのです。まあ、トカゲの尻尾切りでなあなあなんですけどね。大将が更迭だから、私たちジオンもこれ以上の文句は言い
づらいですし、上手いこと逃げられてしまいました。
コリニーの代わりに台頭してきたのが、ご存知、ジャミトフ・ハイマン。彼は連邦軍の内部にアースノイドから選抜されたエリート部隊、ティターンズを結成して
地球至上主義者たちの不満の受け皿としたようです。
言うなれば軍隊の中に、もう一つ軍隊が出来上がったわけです。なんだか、私の暗殺未遂から派生して物事が大袈裟になってしまった感じがしますね。
まあ、元々ティターンズが出現する下地はあったのですから、私の所為だとは思いませんけど。
「それはそうと、姫様はフォン・ブラウンの一件でサイド3周辺宙域以外でモビルスーツに乗るのを禁止されてましたな」
「うぐっ! い、いいもん! テストでブン乗り回してやるから!」
ギレンパパも私が襲われたからって、なにも私がMSに乗るのを禁止しなくてもいいのに! これでは、機動戦士ガンダム~魔女戦記が続かないじゃないですか!
って、メタでしたね。ギレンの理不尽さに思わず愚痴が零れてしまったようです。オホホホ。
まあ、私がジオン公国の未来の女公王だから心配なのは分かりますけど。それにしても親バカといいますか、少し過保護すぎる気がするんですけども。
あ~、私の代わりにグレミーが公王になってくれないかなぁ。ダメですかね? ダメなんだろうなぁ。トホホ・・・
『きみの生まれの不幸を呪うがよい!』
なんて、シャアの高笑いが聞こえてきそうですよ。まったく・・・ 今度、ララァさんに聞いてみましょうかね?