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No.4030の一覧
[0] なのは逆行最強ハーレム勘違い風味。(リリカルなのは短編)[隙間風](2008/08/31 16:41)
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[4030] なのは逆行最強ハーレム勘違い風味。(リリカルなのは短編)
Name: 隙間風◆c75fb22c ID:669d22e5
Date: 2008/08/31 16:41
*色々痛いです。あと別にユーノ君は嫌いではありません。










なのは逆行最強ハーレム勘違い風味。










#フェイト=テスタロッサ
高町なのは。
ジュエルシードを巡り対立した、私の敵だった人。
初めて出会ったとき、私は彼女の瞳を目の当たりにして――恐怖で背筋が凍った。
人間として、いいえ、そもそも生き物として見られていない。まるでモノを見るかのような眼。
私を人形……と呼んだお母さんでさえ、私を見るときには――例えそれが苛立ちや憎しみであったにせよ――感情があった。
だが彼女にはそれすらもなかった。
私をただの障害物と見定め、実際私は、無造作に無感情に、彼女に踏み砕かれた。

――今思い返しても、つくづく悪夢のような時間だった。
私の手の内は尽く読まれ、私の攻撃は全て見切られ、私のクセや弱点は初見で見抜かれた。
アルフとの連携も何一つ通じなかった。
そして容赦など一欠けらも存在しない攻撃。
非殺傷設定であっても十分に死ねる攻撃であり、破壊力であった。
再起不能一歩手前で攻撃が終わったことなんて、ただの幸運に過ぎないとその時は思っていた。
満身創痍でアルフと共にアースラの医務室に運ばれたとき、このままでは母が殺されると思った私は、恥も外聞も捨てて高町なのはに縋り付いた。
お願いします、母を殺さないで。と。
すると彼女は死んだ魚のような目で私を見やり、至極面倒くさそうな声で「当たり前なの」と溜息をつきながら返した。

……彼女に対する印象が変わり始めたのはその時からだ。
自分から懇願しておいて何だが、正直不思議だった。
他者をモノのように見る目は相変わらずなのに、その溜息をつく様はあまりにもくたびれていて、人間臭かった。

そして、高町なのはに対する認識を決定付けたのが、後にPT事件と呼ばれるこの事件の最後の瞬間であった。
彼女は虚数空間へと消えてゆこうとする私の母に向かって、何度も何度も必死で呼びかけていた。

「頼むから馬鹿な真似はしないで」、「お願いだから考え直して」と。

それまでの冷徹な仮面をかなぐり捨てて、執務官に抑えられながらも必死に、半狂乱になって、母へと手を伸ばす。
そして母が消え空間が元に戻ると、彼女は魂が抜けたようにその場に座り込み、虚ろに笑った。

「また……駄目だったの……」

その、あまりにも虚無と絶望に満ちた声を聞いたとき、私は全てを確信した。
この子は好きであんな眼をしているんじゃない。
少しでも多くの人々を救うために、己の心を鬼に変えてでも、一番辛い場所で戦い続けているんだ、って。
今までにどれだけこんな思いをし続けてきたのだろう。
そして、それでも力強く立ち上がる高町なのはの濁ったプラスチックの瞳を見たとき、私は決意した。
彼女のようになると。今よりも、もっともっと強くなって彼女を支え続けると。
いつか、彼女の曇った瞳をきれいに晴らしてあげると。
さあ、こんな所で腑抜けている場合じゃない。
絶望している暇があったら少しでも強くならなきゃ。
フェイト=テスタロッサは、この日、高町なのはに永遠の忠誠を誓いました。










#シグナム
何故あの時、まったくの無抵抗で我らにリンカーコアを奪われたのか。
私の問いに、あの死んだ魚のような目をした幼き少女は、事も無げに即答した。

「そうしないと、話が進まないから」

正直に言おう。
その言葉を聞いた時、私は、年端も行かぬその少女に対して、心の底からの畏怖と戦慄、そして敗北感を覚えた。
彼女は、我らと対峙したあの時、『ほんの一時、我らの信用を得る』……たったそれだけの為に、己がリンカーコアを対価として差し出したのだ。
あれだけの力量を誇りながら、必要とあらば躊躇い無く己が身を差し出すリスクを負うことが出来るその度量。
それも甘さや情けからそうしたのでは決してない。
それは、先の先のそのまた先にある、最良の結果をを見通しての投資。
……あのような幼き少女が、どんな生き方をすれば、そのような恐るべき神算鬼謀を身に付けることが出来るというのか。
最初から、我らとは立っている場所が違った。見ているものが違った。
安易に目先の悲劇に囚われ、視野狭窄に陥り、全てに踊らされ続けた我らなど、相手にするにも値しなかったのだろう。
どころか、この上戦士としても我ら守護騎士を軽く凌駕するというのだから、最早笑うしかない。

全てに片がついたとき、あの少女はもう、我らには殆ど意識を傾けることはなかった。
屈辱を感じなかったと言えば嘘になる。だがそれよりも気になることがあった。
憤るヴィータを抑え、私は尋ねた。これからどうするのか、と。

――今、思い出しても本当に怖気が走る。
彼女は言った。

「戦争を無限に味わうの。次の戦争のために。次の次の戦争のために」

あの十も数えぬ幼き少女が……まるで冥界の魔王の様な口振りで。
そして彼女は、雷の騎士とスクライアの末裔を忠実な従者のように侍らせ、我らの前から立ち去った。

私は、私の主を見る。
事件後、容態は急速に快方に向かっているとはいえ、未だ車椅子を手放すことの出来ないその少女は……不敵に笑っていた。
不敵に、恋焦がれるように、小さくなってゆく魔王の背を見つめていた。

――ああ、ここにもまた怪物が一人。

我が主が私を見る。不敵な、地獄の軍団長のような笑みを浮かべ、私を見返す。
おそらくは、私も同じような表情を浮かべているのだろう。
未だ彼の魔王には遠く及ばず。だが、いずれは必ずや並び立つことだろう。
そして対等になりえたその時こそは、全力であの彼女を支えよう。
これからも何処かの誰かを救い続けるであろう、あの優しき魔王を、助けよう。
完膚なきまでに救われたその借りを、のしをつけて返してやろう。
我ら全員、想いは同じのはずだ。

さぁ、そうと決まれば早速修行だ。
私も大概、慢心が過ぎた。それを今回の事件で嫌というほど思い知らされた。
初心に帰って全ての基礎を一から叩き直すとしよう。
さあヴィータ、今日はとことん付き合ってもらうぞ。

……うむ、その意気だ。
それでは、いざ――!










#ユーノ=スクライア
蛇に睨まれた蛙って、こういう気持ちになるんだろうなあ。
なのはの、あの死んだ魚のような目を初めて直視したとき、そんな事を思った憶えがある。
怖いとか怖くないとか、そんな事すら考えられない。
彼女は、その気になればいつでも僕を殺すことが出来るのだ。
それは、彼女の持つ戦闘力のことを考えれば不思議な事ではないし、そもそも彼女がそんな事をするとも思えない。
だがそんな次元の問題ではないのだ。
人間に踏み潰されるアリのように、例え彼女が僕を踏み砕こうとも、僕になす術なんて何も無い。
そりゃもう圧倒的なまでに皆無で無力だ。
そして彼女もまた、なんとなれば、僕を踏み潰すことに躊躇なんてないのだろう。というか意識すらしないのだろう。

話せば、無愛想だけれども普通に応えてくれる。
最初に邂逅した夜も、念話に応えて面倒くさそうに僕を助けてくれた。
それ以降も、態度こそ投げやりだが、様々な事件を常に先頭に立って最善の形で解決していった。

……それでも、彼女は僕にとって、存在からして圧倒的な上位者なのだ。初めて会った時から、そんな確信がある。
それは一族の特性として、体に刻み込まれた生存能力だったのかもしれない。
何かが、勘でも本能でもない何かが、僕に警鐘を鳴らすのだ。激しく、大音量で。

ア レ ニ サ カ ラ ウ ナ

と。
だから僕は、フェイトと動機は違えど、彼女に忠誠を誓った。
そうでもしなければ、とても同じ場所に立ってなんていられなかったから。
なのは、もし僕がこんなことを口に出したら、君は変なことを言うと思うのだろうね。
それでも僕は願わずにはいられない。
祈らずにはいられない。

――どうか、僕を殺さないでください――

と。
……ああそうだ。
これは忠誠なんかじゃなく、信仰だ。
高町なのはという少女は、僕にとって神にも等しい存在らしい。どんな神かは知らないけれど。

僕は以前よりも遥かに強くなったと思う。
それは間違いなく、彼女のお陰なのだろう。
圧倒的な畏怖の対象が存在することで、僕には他に恐れるモノが無くなった。
どんなに強大な敵でも、どんなに厳しい逆境でも、彼女のあの死んだ魚のような目を思い出せば、鼻歌交じりに乗り越えられる程度のモノでしかない。

これからも僕は、彼女の忠実な神官として生き続けるのだろう。
それに不満は無い。
それどころか、最近では、彼女を信仰することに淡い愉悦すら覚えてきている。
あるいは、これこそが狂信者の境地というやつなのかもしれない。

だから。
邪神だか破壊神だか知らないけど、とにかく我が神高町なのは様。
これからも僕は貴女に尽くします。毎日祈りを捧げます。
だから。
叶うならば。

――どうか、僕を殺さないでください――

それだけが、僕の願いです。










#高町なのは
え? 私が何者なのかって?
どうしたの急に。

……ふぅん。

…………くす。くすくす。
そう、そりゃそうだよね。
不思議に思うよね。不審に思うわよねぇ。
……十歳にも満たないガキが、あれだけあからさまに、胡散臭いほどの強さを見せ続ければねぇ。
魔力だけならまだしも、その戦闘技術は才能だけでは絶対に説明がつかない。
歴戦の戦士――それこそヴォルケンリッターすら凌駕するほどの、途方もない戦闘経験がある。
ええ、えぇ。概ねあなたの思っているとおりよ。
いいわ、どうせ最後だし、興が乗ったから全部教えてあげる。





……さて、もうかれこれ何百年くらい戦い続けてるのかにゃー。
途中から、数えるのも馬鹿馬鹿しくなって止めちゃったから、正確には知らないけど、ひょっとしたら四桁行ってるかも。

私にとって全てのはじまりは……ほらアレよ。
後のPT事件にもつながる、管理外世界――つまり私の故郷のことだけど――に、ジュエルシードがばら撒かれた事件。
えーと、最初はユーノ君からレイジングハートを受け取って、ジュエルシードを封印して、露出マゾと出会って……。

ええと、この時点で、もう十回くらい『やり直した』っけ? 良く憶えてないけど。
いくら魔力があるからっていきなりポンっとデバイス渡されたってねぇ、小学生の女の子がまともに戦えるわけないじゃない。
そんな事もわからなかったのかしら、あのクソフェレット。
……いやまぁ、最初のジュエルシードは一発で封印できたんだけどさ。

――私も含めて、『誰かが死ぬと、ループする』のよ。再起不能でも駄目っぽいみたい。
理由? 私が知るわけないでしょ。
まぁ、ぶっちゃけユーノ君と出会う以前にも何度かループしたしね。
念話も最初のうちは幻聴としか思わなかったから普通にスルーしてたし。
あれ、やっぱりジュエルシードの融合体に殺られちゃったんだろうなぁ……。
ああ、ジュエルシードの収集は存外楽勝だったわ。ってか、奴ら相手にはまだ一度もループした憶えないし。
あれ? やっぱり油断して一度二度くらいはループしたっけ? まぁ些細な問題だし、どうでもいいわ。

それより問題はその後、あの露出マゾよ。プラス、メス犬。
奴らのパターン解析して、安定してスペカ取得――じゃなくて、倒せるようになるまで何度最初からやり直したことか……。
しかもやっとの思いで倒したと思ったら、またループしてるし。
そう、敵も死なせちゃ駄目なんだってわかったのはこの時。あの時は本気で目の前が真っ暗になったわ。
要するに、ただ勝つんじゃなくて、殺したり再起不能にしたりしないよう、手加減して戦わなきゃいけないって事。
ああ、ちなみにちょっと実験してみたことがあるんだけど、名前も知らないようなモブキャラなら、いくら死なせてもOKだったわねー。
――あはは、怒んない、怒んない。あの時期は本当に神経参っちゃっててさー。
え、リセットの方法? そんなのユーノ君の頭を――え、やっぱいい? ああ、そう。

うん。ぶっちゃけ死ぬよりも、最初からやり直し、ってのが辛かったわね。
最良の行動パターンを構築した後は、おんなじ行動を、おんなじ展開を、何度も何度も繰り返すだけ。はっきり言って拷問よ。

で、事件の張本人のプレシアなんだけど……。
こいつに関しては、今でも良くわからないのよね。
奴が次元の狭間に消えたときは、正直かなり焦ったわ。
何度もループを繰り返した挙句、ようやく一区切りついたと思ったのに、あと一歩のところで手詰まりだなんて冗談じゃないわよ。
でも結局あのときはループすることは無かった。
今までのパターンからすると、間接的にでも私と多少なりとも因縁のある奴なら、死んだり再起不能になったりすればループする筈なんだけど。
事件のラスボスだから例外とされたのか。
……それとも、ひょっとしたら。まだ生きているのかもしれないわね。
なんにせよ、それであの事件に関しては終わり。
……だけど、真の地獄はそれからだった――。

――そう、ヴォルケンリッターの襲来。闇の書事件。

もー連中には何度リンカーコアをブチ抜かれた事か……。アレ、本当、何度やられても慣れないのよねぇ。
殺されたわけじゃないから、自動リセットもきかないし。もう何度ユーノ君の頭を踏み――何よ?
まぁ、とにかく奴らはひたすらにきつかったわ……。
特に赤ポニテ。アレを越すのなんて、冗談抜きに、体感で二百年くらいかかったし。てか未だに安定して倒せないし。
ロリハンマーのほうなら、まだ勝率は八割超えてるんだけどにゃー。
まぁそれはともかく、最悪なのが、ここでもトラップが仕掛けられていたことよ。

長年の試行と研鑽の末、私はついにヴォルケンリッターを下したわ。もちろん手加減してね。
初回成功時なんて、感極まって失禁しそうになったくらいよ。てゆーか失禁したわよ。半狂乱になって雄たけび上げながらね。
まぁ、そんなアホな事やってたら、猫娘の奇襲をまともに受けて、結局リセットすることになったのは笑い話だけどね。けらけらけらけら。……笑えよ。
まぁいいや。その後、何度かのやり直しを経て、私は猫娘ともども闇の書を確保、管理局へ引き渡すことに成功したわ。
……その時の私はラスボスなら死んでもOKだと思ってたから。
タヌキには悪いと思ったけどね、正直、彼女より当時の私の方が、いろんな意味でいっぱいいっぱいだったのよ。
だから、うん、アレだ。
あなたの予想通り、管理局が闇の書を消滅させた途端にループしたときはね、なんかね、もうね、本気で発狂するかと思ったわ。
そしてそんな精神状態でヴォルケンリッターにかなうはずもなく。
そのループの時はあっさり負けてリンカーコアを奪われたわけだけど、もうリセットする気にもなれなかったわ。
結果的にはそれが功を奏した訳だけど。

……まさか、負けるのが正解のルートだったなんてね。
道理で赤ポニテは難易度が高過ぎると思ったのよ。
あとは、大体あなたも知ってのとおりの展開。ループもさほどすることなく、割とあっさり片がついたわ。
これで闇の書事件もエンディングに突入。めでたしめでたし。
そして現在に続く、と――。

――こんなところかしら。
やれやれ。わかってたけど、私の数百年の無間地獄巡りも、言葉にするとやっぱり呆気ないものね。





…………。

うん? 何故自分に話したのかって?
……聞いてなかったの? 言ったじゃない。最後だって。
うん、まぁ、この分だと今回もまた失敗っぽいしね。
何度も何度も何度も何度も何度も何度も繰り返してるうちにね、死人が出なくても、大体の展開が読めるようになってきたのよ。
この事を誰かに話したのも別に今回が初めてじゃないわ。あなたに話したのは今回が初めてだったと思うけれど。

先ほどまで、何やらみんなで盛り上がっていたお涙頂戴な展開も、私にとってはもう出涸らしのお茶と同じ。いい加減飽き飽きしてるのよ。
とにかく、今回はもうこれ以上、茶番に付き合うつもりはないの。
他に得られるものも無さそうだし。なら、さっさとループしちゃったほうがいいでしょ?

……おおっと?

…………くすくすくすくす。
なぁに、やっと気づいたの? 思ったより鈍いのね、あなた。
誰かが死ねばループする。いつもいつもユーノ君の頭蓋骨がスイッチじゃ可哀想だしね。
――あはは、無駄だよ。
私に勝てると思ってるの?
別に勝ってもいいけれど。その時はなるべく痛くしないでね。
えーと、まぁ、それじゃあ――





「 サ ヨ ナ ラ 。 マ タ ネ 」










Loop is to be continued...


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