ここは、欲望と魔が交差する離島、東京キングダム。
ここは日本の首都の近くにありながら、同時にもっとも邪悪な魔の物たちが集い跋扈する土地。
日夜この島から様々な邪悪なるものが呼び出され、またその厄災がこの島から出ないよう、【対魔忍】と呼ばれる退魔のエキスパートがこの島を見張っているのである。
そして今日もまた、ある対魔忍がこの島を訪れ、この島について調査するのであった……!!
「……ふん、ここが報告書にあった建物ね」
東京キングダムの繁華街のとあるビル、そこの前にたたずむ対魔忍が1人。
そう、彼女こそ対魔忍を頭にして現在、最強の対魔忍と名高い正義のくノ一こと、井河アサギ、その人であった。
さらに、その彼女の隣にはもう一人の対魔忍の姿があった。
その者は井河アサギの妹にして、影遁の術の使い手のくノ一。
「う~ん、本当にこの建物がそんなにヤバイ建物なの?
全然そんな風には見えないけど……」
井河さくら、軽い口調に対して抜群の腕を持つ対魔忍、が少し抜けた口調でそう返した。
「……さくら、油断しちゃだめよ。
ここは部長からの情報によると、経営に元対魔忍が複数関わっているそうよ。
おそらく、戦闘が起きた場合未熟な対魔忍相手じゃあっという間に返り討ちでしょうね。
だからこそ、今回わざわざ私たちがここの潜入と調査を任されたの。
だから、油断しちゃダメ。」
「……は~い。了解です、お姉ちゃ……いや、隊長!」
「……今回はあくまで潜入任務だから、別に隊長と呼ばなくていいわ。
いえ、今回は一般人に変装していることだし……そうね、あえていつも通りにしましょう。へんにボロを出すといけないわ。」
「オッケー!お姉ちゃん!」
「……本当にわかってるの?」
「わかってるわかってるって!
其れよりもお姉ちゃんの方こそ大丈夫?
一般人はそんなに『私今から潜入しますよ~』オーラなんて出さないよ?」
「……はぁ。」
本当に大丈夫かしら……
そんな風に思いながら、アサギは建物内に入る。
「……!い、いらっしゃいませ!な、何名様でしょうか?」
店の内装は……どうやら普通のようだ。
いや、この建物が東京キングダム内にあると考えれば、むしろこの建物は少し【一般】的、そうまるで表側の東京の店のようであり、むしろ違和感がするといってもいいだろう。
そんな店内の様子を怪しく思いながらアサギは静かにその黒髪の店員へと返答する。
「……2名よ。」
「は、はい、2名様ですね!
現在、個室は満席となっているためそちらへは案内できませんがよろしいでしょうか?」
「……かまわないわ。」
本当なら、個室の方がよかったんだけど……ね。
そう思いつつ、アサギたちは妙に焦っている風の女性に案内されるままに店の奥へとついていく。
そして、目的の場所に案内され、アサギたちはそこの席へかけ、店員からメニュー表をもらう。
そして、アサギはそのメニュー表の文字を眺めつつぽつりとつぶやく。
「……意外と、中身は普通なのね。」
「あ、あははは、ま、まあそう思うかもしれませんよね。
け、けど、いくら、ここが日本国内最大の娼館都市だといっても、全部が全部おかしいわけじゃないですよ?」
ふん、どの口で言うことか……
その言葉を口の中で押えながら、アサギは調査のためのメニューを決める。
店員の焦る態度から明らかにこの店に何かあるのではないかと思えてしまう。
……もしかしたら、この店員が単に弱気なだけかもしれないが。
サクラに目配せをすると、どうやら彼女も決まったようだ。
そして、アサギは意を決して……
「そ、それでは、メニューはお決まりしましたか?」
「ああ、決まった。それじゃあ私は……
特上ハラミと上カルビ1人前を頼む。」
「あ、それとタンとホルモンも!
その前にシーザーサラダをおねがいしま~す!」
「か、かしこまりました!」
……そう、現在地上最強の対魔忍アサギはどんな因果か、なぜか現在は東京キングダムにある【焼肉屋・ミノ★番長】へと、客として潜入する羽目になってしまったのであった。
【ネタ】対魔忍アサギ!肉欲に溺るるの巻!!【R-15】
――ジュゥ~……ジジ……ジュ!
「あ、お姉ちゃん、そのお肉焼けてるよ?」
「ああ、わかってる。」
アサギはサクラの助言を聞きつつ、鉄板の上でいい感じに焼けている牛肉を拾い上げる。
小皿には、濃口と甘口のタレがあるがどちらにしようか少し迷う。
……さっきはちょうど、タンを食べ終えたところだし、今は濃口にするか。
そう考え、アサギは肉を濃口のタレにつけ、それをそのまま口に運ぶ。
――サクッ……フシャ、ジュワ~~!!
「(……さすが、特上……!!ここまでとは!!)」
どうやら、任務のことを考え上か特上か悩んだが、特上を頼んで正解だったようだ。
この歯にあたるだけで、絹のように軽く解ける触感、染み出てそのまま溢れる肉汁!
ちゃんと特上の名前に偽りのない、立派な肉のようだ。
「んん~~!!うまい!
よっし、それじゃあ次のお肉のっけるね~」
「……さくら、あなた……」
「大丈夫、大丈夫!ちゃんとお仕事の方も忘れてないから!
あ、店員さん、特上カルビ追加でお願いしま~す。」
「こ・ら!」
「きゃ~、お姉ちゃんが怒った~!!
それじゃあ、やっぱり鶏コロ1人前お願いします!」
「……はぁ。」
サクラにいたってはすっかり食事モードだ、とても潜入任務中とは思えないテンションだ。
……まあ、サクラの気持ちもわからないでもない。
なぜならこの店の雰囲気はまさに普通の飲食店……いや、普通の焼肉屋そのもの。
もしここが東京キングダムでさえなかったら、いや、部長の依頼がなければ自分たちはこの店を怪しいとさえ思いはしなかっただろう。
掃除の行き届いた店内に、肉を持って忙しく歩き回る見栄えやスタイルのいいウエィトレス達、豊富なサイドメニューに若干高めではあるがそれでもぼったくりでない値段、何より今のところはずれのない高品質の肉達!
おそらく、都内のど真ん中に店を開いたとしても、そこそこ繁盛しそうなほどにいいお店だというのは自分でもわかる。
……が、ここは東京キングダム。
魔と人と欲望が交わりし場所。
女は娼婦で男は裏稼業が基本、さらに表道理には情報隠ぺいされているはずの魔族や亜人が大手を振って出歩くような魔の島なのである。
そのような『ただのいい店』がこの島にあること自体おかしいのだ
現にこの店のほかの客を眺めてみると、明らかに堅気ではない客ばかりが目に映る。
体に銃痕をつけている男、モヒカン金髪棘肩パッド、男連れあるいは数人の仲間内で来ている娼婦に刀や銃といった銃刀法から真正面にケンカを売っている傭兵の団体客。
さらには、ゴブリンやコボルトなどの人間ですらない物や、果てには背中に翼をつけた魔族と思われる女性まで客としてきているようだ。
もう、この客層相手にこのようなまともな商売を続けられている時点で怪しさは満点だ
「お~い、シャルちゃ~ん!こっちに豚トロ10人前頼むぞ!」
「はいはい、わかったよ~!」
おい、あのオーク、豚肉頼んだぞ。
しかも、3人で10人前とか豪勢ね。なら、せめて牛頼みなさいよ。
自分の中で渦巻くもやもやを頭の中に収めながら、店内の怪しいところがないか、観察する。
……しかし、いまいち怪しいところは……いや、怪しいところならいっぱい見つかるのだが、どれかが抜け忍の情報につながるかとか、これらから何かここに潜んでいるであろう抜け忍の野望を探るとか
とてもとても出きる気がしない。
どうやら、メニューや接客対応も普通のようだし、これはいったん周りの捜索は止めて目の前の食材の調査へと……
「あ!お姉ちゃんのお肉焦げちゃいそうだから、私がもらうね~♪
ん~おいし♪」
「……さくらぁぁぁぁぁ!!」
「って、うお!ま、まさかのマジ怒り!!」
残念ながら最後の特上ハラミという名の最重要観察対象はサクラの口の中へといってしまった。
というか、あたりを監視しながらのせいでアサギはあまりいいお肉を食べられなかった。
「……ええっと、ごめんねお姉ちゃん。
どうせ予算で落ちるんだから、もう1人前特上頼む?」
「……いや、だめ、これは調査なんだから。
できるだけ、広く浅くメニューを頼むわよ。
……たとえ、旨い肉でもできるだけ同じのは頼まない方がいい。そう、それが例えどんなにうまい肉でもね。」
「……ほんとにごめんね、お姉ちゃん。」
サクラに悪気はないのはわかるが、それでも特上、ちょっぴり目端が緩くなる。
対魔忍、給料は良くても使う機会がないし、普通の店で食事する機会なんてめったいないのだ。
そんな少しセンチな気持ちになりながら、程よく塩味と胡椒の風味がマッチしている鶏肉を頬張るアサギであった。
で、そんな時、それは聞こえてきた。
「あ!私、裏メニューお願いしま~す!」
アサギたちの席からは見えない位置にいる魔族の女性がそう、店員に注文をした。
裏メニュー、それは普通の飲食店ならばせいぜいメニューの載っていない物珍しい食べ物という認識で済むだろう。
しかし、ここは東京キングダム、その注文からどんなメニューが来てもおかしくないのだ。
そう、たとえば麻薬やドラッグ。
例えば、魔の技術で作られた媚薬。
もしくはその言葉自体が何かの暗号だったりする可能性だってある
「……さくら、聞いた?」
「うん、聞こえたよ。お姉ちゃん。
裏メニュー……裏メニューかぁ!」
「……さくら、わかっているとは思うけど……」
「さすがに私でもそこまでじゃないから安心して。
……で、どうする?準備する?それとも、お手洗いに行くふりして裏メニューの正体を確認しに行く?」
「いや、下手に分断するのはまずいわ。
それに目立ちすぎるのもあれだから、ここは一般人を装って店員に聞いてみる。」
「了解、お姉ちゃん。」
そんな風に言いながら、盛られた鶏肉と豚肉を一気に網の上へと乗っけるサクラとアサギ。
牛以外の肉も調査しつつ、方針が決定したところでさっそくアサギたちは店員を呼びつけたのであった。
「は、はいっ!すいません。
ただいま、急いで石焼ユッケビビンバ準備をしておりますが、あちらの席の団体さん(高位魔族)も同じのを頼まれていました……」
「いや、それは大丈夫。
それより、聞きたいことがあるのだけど……裏メニューとはいったいなんなの?」
「あ、う……それですか」
裏メニューの名前を出した瞬間、突然、店員の顔がゆがむのがわかる。
これはもしかや……ビンゴか?
「え、えーっと……
そのメニューについてはこう……なんというか一部の人向け?みたいな感じのもので……。
少なくとも、よっぽどのゲテモノ好きでも嫌がるものというか……」
「だが、それは実際裏メニューとして存在するのでしょう?
なら、是非頼んでみたいんだけど……」
「で、ですが、あくまでそのメニューあまりにも特徴的なのに一部の熱狂的なファンがいたため、やむおえず裏メニューとして残っているというか、あんまりむやみには頼むべきではないというか……。
それに、普通の人は口に入れることすらできないほどなので、多分お客様が頼まれましてもお金の無駄だけではなく、気分を害する可能性が……」
「それでも、現にリピーターがいるのでしょう?
ならぜひ私も頼みたいのだけど……こう見えても私は相当の物好きでね。」
「け、けれど……」
結局、そのあと何とかことやめさせようとする店員を無理やり説得して、出されても文句を言わないと言わない、絶対に残してはならないという約束の元、注文することに成功したのであった。
「で、お姉ちゃん、あんな約束してよかったの?
しかも、2人前だなんて……」
「ああ、あの店員の挙動不審な態度、あれはどう見ても何かあるように見えるわ。
ならば、もし、本当にやばい物が出たらそれを回収して証拠にして、すぐさま一般人の不利をやめて一気にこの店の物を取り押さえればいい。
証拠さえ集めていれば、多少のむちゃは部長が許してくれるから。」
「まあ、そっか!」
なんというゴリ押し。
アサギはその理屈から、さくらはその持前の性格でこの事態は割とどうとでもなると思っていた。
が、件の裏メニューの正体、それは彼女たちの予想の遥か斜め上の物であった。
「は、はい、裏メニューのドリンク!
お、お待たせいたしました!」
そこに現れたのは並々と白い液体が入ったジョッキ。
本来ならビール用のジョッキの中の液体はまるで牛乳のように白いが、粘液状の独特のぬめりを出すゲル状の何かで満ちている。
そして、ジョッキの中から漂う、生のイカのような、クリの花のようなにおいが漂い、今まで食べていた焼肉の匂いを打ち消し、そのドリンクのまがまがしさを主張するのに貢献している。
そして、ご丁寧にもジョッキには太めのストローがさしており、これのおかげで、どろどろしたこの飲み物もこぼすことなく飲み干せるだろう。
なにより、この飲み物、どう見ても彼女達にとってとても見覚えがあり、そして最悪の思い出を思い出させてくれる……
「ねぇ、これ、どう見てもせいえ「と、当店特性裏メニューの『スーパー白子ドリンク』です!!」」
「いや、どう見たってこれせいえ「こ、この『スーパー白子ドリンク』には、タラ、鮭の白子に限らず、食用アリや鳥のタマ、ほうでん(牛の睾丸)に香辛料など、【当店特別スパイス】で味付けした当店限定の特別なドリンクとなっております!!」」
「……まあ、いいわ。
で、これ、いったいどこの物好きが頼む物なの?」
「え、ええっと、ここ東京キングダムには精液中毒者に陥っているほどの……いわゆる奴隷娼婦と呼ばれる方々がおりまして、彼女たちは食事中であろうとそういうものを欲するのです。
だからそういうお客様の欲求を抑えるためや一部の淫魔の方。
さらには罰ゲームなどの為によくこれを注文される方がいらっしゃいますね。」
「……確かに、普通の人が飲めっていったら、まず間違いなく吐き出すよね。うん……。」
「ま、まあ、見た目と味、臭いはかなりアレですが、成分は間違いなくどれも食用だから、飲む分には問題ありませんよ!
鮮度抜群ですし食品衛生上も大丈夫。
コラーゲンに良性の動物タンパクがたっぷりで飲んだ次の日はガサガサ肌もあっという間にもち肌に。
その上、プロの奴隷娼婦からも結構本物に近いと大評判ですよ。」
そうやって店員が、苦笑いをしながら裏メニューについて説明してくれた
……どうやら、件の裏メニュー。
裏は裏でも、彼女たちの予想と裏をかき、倫理的にやばい物でも裏に属するものでもなく、本当に文字通りただのゲテモノ裏メニューであったようだ。
「で、お客様、結局大丈夫ですか?」
「……大丈夫よ。自分で蒔いた種だもの。
きちんと飲みほしてみせるわ。」
「は、はあ……あ、後苦しくなったら遠慮なくおっしゃって下さいね?
一応、お手洗いはこちらの奥にありますから。」
「ありがとう。」
店員がこちらを心配そうに見ながら、逃げるように席を離れていく。
さくらも自分の目の前におかれたジョッキを見ながら不安そうに、アサギの方を眺めている。
「……ねぇねぇ、お姉ちゃん。」
「……言わないで、さくら。
どうやら、私たちの体内の対魔因子は反応してないようだし、少なくとも魔の物に属する体液の類は入ってないみたいね。
……残念ながら。」
「これさぁ、こっそり中身だけトイレに捨ててこない?
……対魔忍の忍術使って。」
「馬鹿言うないの、さすがにそれをやったら、周りにばれる。
我慢して飲むわよ。それに、この中に麻薬や媚薬の類が入ってるかもしれないからな、それのチェックもかねてね。
なんなら特別にこれを飲み終わったら、任務抜きに好きなもの1品だけを頼んでいいわよ。」
「そんなこと言われたって……。
はぁ、わかりましたよー。」
そう2人で覚悟を決め、ジョッキを握る。
一瞬口をつけて飲もうか、ストローで飲もうか悩んだが、口の周りにこのドリンクが付くのが嫌なので、ストローで飲むことにした。
そして覚悟して飲み始めると……
――ズ、ズズズ……
――ドルッ、ドルル!
あれ?案外大したことがない?
……まあ、それもそうだ。彼女たちは約半年前に朧などから肉体を奴隷娼婦に改造された状態にさらに、薬物摂取と精神的拷問を受けている状態でこれを超える、本物をいやというほど飲んだことがあるのだ。
しかもその液体も魔の物や人間、浮浪者など清潔や衛生などという言葉を無視したものが混じり、さらには媚薬マシマシ、汗マシマシ、しかも老若男女のである。
それに比べれば、この程度の物。
ストローで、しかも顔にかかっていない上に、拷問されながらでもない。
飲みやすさも精神的苦痛も全然ましである。
「んんっ……うぷっ……!!」
「ひゃ!あうう……うんぅ♪」
さらに言えば、現在アサギたちの体は朧の改造を受けたままであり、彼女たちは【そういう液体やにおい】を摂取すると本人の意思とは関係なしに、体が勝手に性的快楽を覚え、興奮し、さらには幸福感などが生まれる。
当然、このドリンクの匂いやドロッとした独特の喉越し、えぐみと苦みが入り混じった液体がのどの押し込まれるごとに、体はどんどん娼婦として出来上がっていく。
つまるところ、いま彼女たちが【この本物に限りなく近いがギリギリ食物である『スーパー白子ドリンク』】を飲んだ感想は……
「ねえ、お姉ちゃん……」
「……いや、言わなくていいわよ。わかってるから。」
「いや、けどさ、」
「……。」
「わたし、これ、普通においしく感じちゃってるんだけど。
しかも、いろいろいらないおまけつきで。」
そう、彼女たちにとってこの飲み物、むしろいろんな意味で好みのドストレートをいってしまったのだ。
しかも、改造された体の影響か、それともあの地獄のような調教の記憶によるものか、アサギたちはこれを飲んだだけで、体にすっかりスイッチが入ってしまっていた。
皮膚は火照り、動悸は激しくなり、わずかに瞳がうるみ始める。
口内で舌が艶めかしく動き、歯や舌の裏にこびりついた白濁液を少しでも多く摂取しようとしている。
さらにはアサギたちは無意識に自らの太ももを内側にすり合わせて、ふと気を抜けば、おのれの両手が自身の体を慰めようと、その濡れた股座や胸へと延びようとするほどであった。
「……ねえ、お姉ちゃん、よかったら代わりに私がそれ飲んであげよっか?
さっきの特上ハラミのお詫びに。」
「いや、いい。これは責任を持って私が飲みほすわ。」
「……うん、わかった。」
この後2人は、終始無言で裏メニューを堪能したのであった。
なお、どちらもドリンクを完飲したのは言わずもがな。
さらに言えば、その時の彼女たちの様子は思わず視界に入れてしまった男性が、おのれの股間の紳士を静めるのに苦労するほどであったといっておこう。
当然のことながら、その後の調査は上手くいかず、さらには薬物検査という名目でさらにスーパー白子ドリンクと冷麺をさらに追加注文した。
さらに口直しにデザートまで食べたことにより、彼女たちのお腹がいっぱいになり、結局何の収穫も得られないまま、彼女たちの調査は結構いいお値段をその店に払うことで終えることとなったのであった。
その日、いつもより就寝するのが遅かったのであった。
「……というわけで、今回の調査ではあの建物に抜け忍の存在を確認することはできなかったわ。」
「ああ、ご苦労。
だがすまない、アサギ君。どの程度かわからんがあの店には少なくとも抜け忍がかかわっていることだけは確かなのだ。
だから、少なくともどの程度かかわっているだけは調査してほしい。」
「了解。」
通信が切れる。
どうやら、向こうの方は今回の調査だけではまだ足りないらしい。
そりゃそうだ。正直今回の自分たちはただ単にあの店の飲食レポートもどきをした程度の成果しか得られなかったのだから、こういわれるのは仕方なかっただろう。
「あ、ようやく連絡終わったの?
それじゃあ、もうおうちに帰れるの?」
「そんなわけないでしょう。
残念ながら、引き続き続行よ。」
「え~、ぶーぶー。」
どうやら、さくらはそろそろ帰りたかったようだ。
まあ、こんなに魔がはびこっている所にいてはそう思っても仕方ないだろう。
「こら、そう文句をいわないの!
なら、今日は任務抜きにして、好きなものをおごってあげるわよ?
まあ、さすがに手料理はここでは無理だけどね。」
「あ!なら、私焼肉がいい!!」
さくらが間髪入れずに言う。
「……ねぇ、さくら?
あそこは今回の任務の対象なのよ?
それなのに、また行きたいっていうなんて……正気?」
「あったりまえじゃん!
というか、あそこ以外でまともなご飯所なんて、ほとんどないしさ!
それに何度も行けば、もしかしたら、常連さんってことで新たな情報が得られるかもしれないじゃん!
あ~任務であそこに行くと、任務の関係上、好きなメニュー頼めないからね~!
今日は好きなお肉を好きなだけ頼みたいの!」
「まったく、さくらはしょうがないわねぇ。」
そういいながら、アサギも自分の口端が少し吊り上っているのを自覚していた。
まあ、どうせ使う予定もないお金があるんだから、たまにはこういうことで散財してもいいか。
それに自分もあそこの特上ハラミをリベンジしたい。
そう思いアサギはサクラとともに、焼肉屋へと向かうのであった。
……だが、彼女は気づいていない。
この辺一帯で、娼館がらみの雰囲気が嫌な人は皆あのお店へと知らず知らずのうちに集まっていく事を。
そして、自分たちもその吸い寄せられてしまった獲物のひとりだということを。
その上、彼女がこの任務が終わった以降も、この東京キングダムに来るたびに何度もあのお店のお世話になることが確定していおり、
近い未来に、彼女はそのたっぷりたまった貯金と経費をこの店の肉と特製ドリンクに湯水のごとく消費していく事になろうとは彼女は全く気づいていなかったのだ。
そう、彼女たちはすでにこの時からどっぷりとハマってしまったのだ……
この店の……2つ邪悪な『肉』の欲望へと………。
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「んほほほぉぉぉ!!だめめめぇぇぇ!!お肉様で頭が馬鹿になっちゃうのののぉぉぅぅぅぅ♪♪」
対魔忍アサギ決戦アリーナを始めた記念に何か書こうとしたら、変なのが生まれました。
だいたい深夜のテンション
R-18か15か、迷ったけどこのレベルだと15でいいよね!
相変わらず推敲その他は結構甘いです
感想誤字脱字があったら、どしどしお願いします
なお、年齢制限で問題がありましたら、R-18の方へと移動させます。
尚現在、対魔忍決戦アリーナをプレイ中。
作中でも調教済みの娘をテキトーに登場させてみたりw
後、もしかしたら、ハーメルンさんに2重投稿するかも
2014/07/04 投稿
同日 22時 大事な1文を入れ忘れてた!