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No.39928の一覧
[0] 【習作】王直属護衛軍をやってるんだが何か質問ある?(H×H二次 オリ主) [■■](2014/05/12 03:42)
[1] 第一話[■■](2014/05/12 03:43)
[2] 第二話[■■](2014/05/13 23:52)
[5] 第三話[■■](2014/05/17 17:48)
[6] 第四話[■■](2014/05/17 17:48)
[7] 第五話[■■](2014/05/21 02:25)
[8] 第六話[■■](2014/05/26 22:57)
[9] 第七話[■■](2014/05/31 21:15)
[10] 第八話[■■](2014/06/01 19:10)
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[39928] 第八話
Name: ■■◆8f9153ac ID:424b2099 前を表示する
Date: 2014/06/01 19:10
第八話




 キメラアント討伐隊が突入してくるまで後、1時間。

 ついに王は護衛軍が近寄るのを嫌がりピトーは王宮の一番高いところに、プフは人民大会に集まってきた人間の洗脳のため人民の上空に、ユピーは王の間につながる大階段の前に陣取った。

 俺は【俺Tueeee/アラベスク】で「総合力」を強化して人民の監視ができる王宮肉樹園の前方の門の上に居ることにした。

 月明かりに照らされるピトーを仰ぎ見る。王宮のてっぺんで胡坐を組みながら暇そうにしているピトーを見ると不意に涙がでそうになってきた。姉さんは俺が死なせない。

 そしてついにその時が訪れる。




 最初に気づいたのはピトーだった。

 上空からの気配に気付き円を上空に向けたピトー。ゼノ・ゾルディックの【龍頭戯画/ドラゴンヘッド】が上空に姿を現す。
 ここは原作通り、【龍頭戯画/ドラゴンランス】に乗っているのはネテロ会長とゼノ・ゾルディックだけだった。

 ピトーの円と【龍頭戯画/ドラゴンヘッド】が接触する。ピトーが円を解除し、自身の強化にオーラを回した。俺自身も戦闘体制を取りどのようにも動けるようにオーラを纏う。

 その瞬間に【龍頭戯画/ドラゴンヘッド】を【龍星群/ドラゴンダイヴ】に移行させ王宮全体にオーラの雨を降らせてきた。

 俺はその瞬間に、王宮へ向けて跳躍を開始する。その一瞬後にピトーがジャンプするのが見えた。空中に居るネテロ会長を発見したのだろう。

 ネテロ会長はこのピトーの行動を悪手と言っていたが確かにそのように思う。護衛軍であるならば迎撃も大事かもしれないが、この場合は護衛対象の確認、すなわち王の安否が第一だと思われる。仮にネテロ会長を迎撃できたとしてもゼノ・ゾルディックが王手を指す可能性もあるわけだし。

 ただし、俺自身のこの行動は原作を知っているのであれば背信行為にも等しい。そもそもこの瞬間王は王の間に居らず別の場所でコムギと軍儀を行っているはずだ。

 プフも同じく、王の間に向かっている。こいつも王がそこにいないと内心では解っていながら向かっている。

 護衛軍は一体どうなっているんだ? この緊急事態にまともに機能している奴が一人も居ないとは……そもそもが護衛軍が近くに居るのをうざがった王のせいかもしれないが。




 プフより一足早く王の間に着き王が居ないことを確認すると俺は屋根をぶち破って外に出た。ピトーがネテロ会長の【百式観音】で吹っ飛ばされた後、【玩具修理者/ドクターブライス】の制約(念人形から20メートル以上離れることができない)で遠くまで吹き飛ばされるのを阻止して落下しているのが見える。
 ピトーと目が合う。視線で王がどこにいるのか誘導される。ネテロ会長とゼノ・ゾルディックも視認。もう王が居る東の塔に入る寸前だ。

 すぐさまそちらに向かって跳躍を行う。その先で見るものがついに俺の天秤のバランスを崩した。



 ネテロ会長とゼノ・ゾルディックの向こうに王が見える。血にまみれたコムギの体を抱きしめ、とてつもなく不吉なオーラを身に纏っている。

 ゼノ・ゾルディックの【龍星群/ドラゴンダイヴ】がコムギに当たったのだろう。

 ピトーも到着した、しかしネテロ会長・ゼノ・ゾルディックはおろか、俺やピトーでさえも誰も動くことが出来なかった。

 不吉なオーラが収まっても動くことが出来たのは王のみ。王はコムギを労わりながら地面に寝かすと、

「ピトー」

「はっ!」

「コムギを治せ。たのんだぞピトー」

 ピトーが涙を流しながらコムギの側に駆け寄る。

 俺はこの時まで、思い違いをしていた。ピトーにとって王は必要な存在だ。王が死んでしまえばピトーも死ぬ。そう思わせるだけの何かがこの場にはあった。そして俺自身にも。
 涙を流していたのはピトーだけではない。俺もあふれ出る涙を止めることが出来なかった。王のカリスマとでも言えばいいのだろうか。全てを投げ出してもこの方に遣えなければならないという思い。蟻としての本能かもしれない。しかしそれでもいい。この方に全てを捧げなければいけない。

 コムギを床に寝かせた王の所作全てに生物への敬意と慈愛が感じられる。いままで王は自身以外の生物等、全て塵に等しいという態度だったのに。
 塔に入るときに感じた王の不吉なオーラ、確かに恐ろしかった。しかし、今思うとあれは王が自身に向けた怒りの表れではないのか? オーラは進入したネテロ会長やゼノ・ゾルディックが王の眼前に来たときにもそちらに向く事は無かった。
 コムギを守れなかったという思いとそのことに対する怒り。しかし、その感情を全て殺し最善の判断を下す王としての器。

 ピトーへの命令も、臣下への信頼が感じられる。以前の王であれば、「たのんだぞ。」等という言葉が口から出るなど夢にも思わなかった。しかし、今さっきの王の言葉は全てを投げ出しても使命を果たそうと思わせる何かがあった。

 ピトーと俺の涙は悲しみでも苦しみでもなく、感動と喜びによるものだ。自身が遣えている方が、どれほど素晴らしいか。そして、この方の側近として遣えることができる喜び。

 原作でピトーがゴンさんに殺される瞬間に、ゴンさんの力を向けられるのが王で無くピトー自身でよかったという思いが語られた場面があった。いまならその気持ちが分かるかもしれない。


 原作を読んでこの状況があることも知っていた。しかし、実際にその場に立ち会うと全てが異なる。こんな土壇場でそんな大事なことに気づくなんて。

 王に付き従い塔の外に出る。王を分断させるわけにはいかない。戦闘体制をとる俺にネテロ会長が言う。

「ワシと王は場所を移すぞ。」

「認められない。王、罠です。移動先で王を殺すための準備があるかもしれない。」

 その俺の言葉にゼノ・ゾルディックが言う。

「分断はさせてもらう。お主の相手はワシじゃ。ワシはそこのジジイから王直属護衛軍の分断だけではなく、暗殺も依頼されておるが、誰とまでは指定されていない。対象は先ほどの少女を治している者でも良いのじゃがな。」

 なんだと!? ここにきて原作とは違う流れ? 4人目の王直属護衛軍が居ることによってネテロ会長が暗殺まで依頼していたとは。

「よいノワロー、お前はそやつを倒した後に無防備であろうコムギとピトーを守れ。」

 俺がミニチュアローズのことを言ってどうにかなるか? しかし信憑性が無い。原作のことを言ってもいたずらにネテロ会長を追い込むだけだ。ピトーとコムギはまだ【百式観音】の射程内にいる。そして何よりも、原作のことを王に知られ俺自身に信を置かれなくなるのが怖かった。

「王、前半は承諾できますが後半は出来ませぬ。ピトーとコムギ様の安全が確保できた後、直ちに王の下へ向かう許可をいただきたい。」

 これが俺に出来る最大限の譲歩。絶対に譲らぬという意思をこめて王を見る。

「好きにしろ。ただし必ずピトーとコムギの安全は確保しろ。」

「はっ!」

 【龍頭戯画/ドラゴンヘッド】で王とネテロ会長を送り出したゼノ・ゾルディック。

 おそらく原作でも最強クラスの実力を持つ人物を前にして、それでも俺の思いは揺るがない。
 早く倒してピトーとコムギの安全を確保しなければ、ゴンとキルアが塔の中に向かうのも見えたがまだ問題ない。直ぐにピトーとコムギが害を成されることは無いことを原作で知っている。

 目の前の敵を迅速に倒さなければならない。

 ピトーを助けたい。そのためには王も助けなければならない。自身の意思でも王を助けなければと思う。
 王のためにはコムギの生存は絶対に必要だ。そしてキメラアントについた今、プフ・ユピーの存在も必要である。

 原作では全員死んでしまう面子だ。しかし、もう既に原作からはずれている。4人目の直属護衛軍としての俺が、王とピトーだけではなく全ての未来を変えてやる。




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