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No.38973の一覧
[0] 【ネタ】偏食の荒ぶる神(GOD EATER2)[カンタクロス](2013/12/03 02:49)
[1] 偏食の荒ぶる神 その2[カンタクロス](2015/05/19 00:34)
[2] 偏食の荒ぶる神 その3[カンタクロス](2015/05/19 00:35)
[3] 偏食の荒ぶる神 その4[カンタクロス](2015/05/19 00:35)
[4] 偏食の荒ぶる神 その5[カンタクロス](2015/05/19 00:34)
[5] 偏食の荒ぶる神 その6[カンタクロス](2015/05/19 00:36)
[6] 偏食の荒ぶる神 その7(最終話)[カンタクロス](2015/10/30 03:48)
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[38973] 【ネタ】偏食の荒ぶる神(GOD EATER2)
Name: カンタクロス◆2df8c160 ID:c1dcaa88 次を表示する
Date: 2013/12/03 02:49
世の中を荒廃させ、人々を恐怖に陥れる存在である荒ぶる神々、通称<アラガミ>。
捕喰を行うオラクル細胞によって構成された生命体に、人類は抵抗を続けていた。
誰もが思っていた。この地獄のような世界で、互いに滅ぼし合うしかないのだと――。







「なんてこった…」

贖罪の街。アラガミが徘徊するこの旧市街地に、絶望に満ちた顔の男がいた。
この人物は、物資の密輸で日々の生活をしている、違法に手を染めていた。
ただ、用をたす為に廃屋に入っただけ。すぐ出るつもりだった。そこに人類の天敵たるアラガミがいなければ。

それもオウガテイル等の小型種ではなく、堅い翼手をもつ人の形をした中型種、シユウ。
思わず発した声に気付いたのか振り向き、視界に映った男をじっと睨みつけた。

「ひぃ」

恐怖に身体が耐えきれずに崩れ落ち、尻もちをついてしまう。
立ち上がろうにも脚が震え、とても逃げられる状態ではない。
犯罪を生業としているこの男は当然、こういった危険は覚悟の上だった。
しかし命の危機に直面すれば、その覚悟はすぐに揺らぎ、脆くも崩れていた。

目をつぶろうにも、怯えによって目蓋さえ動かせない。男は、確信した。
自分はこのまま抵抗も出来ずに殺され、そして喰われるのだと。


「…え?」

そんな想像は、相手の予想外の行動で覆された。
シユウは襲いかかる事なく、興味はないと言わんばかりに背を向け、食事を始めたのである。
身近にあった掌サイズの石の塊を掴むと口に含み、味わうようにゆっくりと噛み砕いていく。
本来、人間には食べれない無機物だが、アラガミたるシユウには何の障害にもならない。
飲み込んだ後、よほど美味しかったのだろうか、すかさず次の食料に手を伸ばした。

通常のアラガミがよく行う、捕食の場面。異常なのは、男を無視している事だろうか。
数分が経とうと、シユウは襲って来ない。男の存在を気にせず、のんびりと食事を楽しんでいた。

「………」

やがて食事の手を止め、腹部を撫でる。その仕草はまるで人間のようだ。
その後、崩落し空が拝める位置まで歩むと跳び上がり、呆然とする男の前から消えていった。

「た、助かった……のか…?」

自分がまだ生きているとようやく実感した男は、ただこの幸運に感謝するのだった――。





「ねー、コウタ隊長。例の噂、知ってる?」

今しがた仕留めたオウガテイルを神機に喰わせながら、第一部隊の隊員エリナ・デア=フォーゲルヴァイデは問う。
入手できたばかりの素材を確認し、満足したようにそれを懐に納める。

「あぁー。それって、人を襲わないアラガミの事?」

周りの警戒を怠ることなく、第一部隊の隊長である藤木コウタは答えた。
極東支部にて広がりつつある噂。その発祥源は、密輸の罪で捕らえた、ある男の一言がキッカケだった。

『アラガミに見つかったのに、俺は襲われなかった』

腰が抜けた状態で発見された男は、そう呟きながら連行された。
それを、見つかったと思い込んだだけと考えた職員が、同僚に言いふらしたのが始まりであった。

「あの噂のことか! アラガミにも、その様な騎士道溢れる者がいたと知って、僕は嬉しい!」
「バッカじゃないのエミール? そんなのデマに決まってるでしょ」

大袈裟に喜ぶ第一部隊の隊員エミール・フォン=シュトラスブルグを、エリナは馬鹿にした様子で見る。
極東支部のほとんどが噂を信じていない中、いい意味でも悪い意味でも真っ直ぐな彼は信じ切っていた。

「何を言うエリナ。事実、それを最初に言った人物は生きているのだろう?」
「だから見つかったって勘違いしただけだって。アラガミが人を襲わないなんて、あるわけないじゃん」

危害を加えなければ襲って来ないアラガミは一応、存在している。しかしそれが確認されているのは、わずか一種のみ。
それ以外のアラガミは人間を発見した場合、獲物と認識して襲いかかる。誰もが知っている常識だ。

「そうでしょ、コウタ隊長」
「ああ。まぁ、例外もいるけどな……」

言葉を濁しながら、月に飛んでいった少女のアラガミを頭に浮かべる。
元気にしているだろうかと考えながら、そろそろ二人に帰還を促そうとした時だった。


【緊急事態! 現在のエリアに、中型種が接近しています!】

オペレーターである竹田ひばりの報告が、第一部隊に緊張を走らせた。

「二人とも、新手だ!」
「……ポラーシュターンよ、まだ戦いは終わらぬようだ。今一度、力を貸してくれ!」
「珍しく簡単な任務だと思ったけど、そうもいかないみたいね……!」

今回の任務は、旧市街地に繁殖した小型種の掃討。事前の調査では、中型種は確認されていなかった。
何処に潜んでいたのかと考える暇もなく、三人の前にアラガミが降り立った。
この極東では珍しくない、シユウ。神機を構えだす彼等を、一人ずつ眺め始める。

「普通のシユウか。エミールは拳、エリナは頭を攻撃。俺は後方から二人を支援する!」
「了解!」
「ゆくぞ! 我が騎士道を見よ!」

駆けだした二人を援護すべく、シユウへと標準を合わせる。
相手は肉弾戦が得意な相手。接近して戦う二人に少しでも負担が掛からぬ様、自分に注意を逸らせようとした。
トリガーに指をかける。まさに発射される直前に、それは起きた。


「…は?」
「えっ!?」
「なんとっ!?」

間の抜けた声を、誰もが思わず発した。無理もないかもしれない。
あろう事かシユウは、彼等を一通り見た後、襲いかかる事なく背を向けたのである。
目の前に天敵たる神機使い――神を喰らう者<ゴッドイーター>が三人いるにも関わらず、だ。

「…馬鹿にして!」

それを舐められたと判断したのだろう。チャージスピアを構え、エリナは飛んだ。
狙うは頭。隙だらけかつ、弱点たるその部位を一撃で貫くと意気込み、愛機を突き出す。

「ウソ…!?」

結果は、ただ周囲に金属音を響かすだけだった。本来、貫通に弱い筈の頭は、通常種にはない堅さがあった。
神機は刺さらず、弾かれた反動によって、エリナは後方に飛ばざるをえなかった。

「エリナッ! ほげぇ!?」
「あいたたたた……」

受け止めようとしたエミールだが耐えきれず、共に地面へと転がった。
しかし大した怪我はどちらもなく、衝撃を和らげる事には成功したようである。

「…………」

スピアが直撃した後頭部をかいてはいるものの、歩みを止めるどころか、振り向きもしない。
もしかすれば、攻撃されたという認識すら、このシユウには無いのかもしれない。
そのまま進行方向にある廃屋の屋上へ跳ぶと、コウタ達のいるエリアから去って行った。

【コウタさん。…その、アラガミ、このエリアから離れていきます……】
「…うん、分かってる」

素っ気ない返事を、コウタは返すしかなかった。


今日、人類は遭遇した。夢物語であるとされる共存。それを可能とするかもしれないアラガミと――。




あとがき

一発ネタ。シユウが好きだったんです。
思いついたら続くかも。


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