アタシの名前はメディア。心に傷を負った王女様。モテカワスリムで恋愛体質の愛されガール♪
アタシがつるんでる友達は魔術の女神のヘカテー様、野生児で狩人をやっているアタランテ、罰として幼女になったペリアス、特に理由もなく女体化したダイダロスとイカロス親子。
友達はいても王宮はタイクツ。今日もヘカテー様とちょっとしたことで口喧嘩になった。
女の子同士だとこんなこともあるからストレスが溜まるよね☆ そんな訳でアタシはフラリと旅にでることにした。
がんばった自分へのご褒美ってやつ? 自分らしさの演出とも言うかな!
「エジプトはナイルの賜物(たまもの)であると歴史家は言いました」
「初めて聞く言葉じゃな」
「その歴史家、まだ生まれてませんから」
「またお主の戯言か。じゃがまあ、エジプトを端的に言い表した言葉じゃの」
古代ギリシャ最古の歴史家ヘカタイオスの時代は800年も先の話だ。神代と古代はかくも時間的に断絶しているのである。
文字だってアルファベットの祖先である原カナン文字が現在のイスラエルで使われているような有様で、ギリシャ本土では線文字Bが幅を利かせているし、エジプトではヒエログリフやヒエラティックが、中東では楔形文字が現役である。
やだ、線文字が読めるとか、考古学者の人たちに持て囃されそう。本書くだけで印税ウハウハやで。
さて、そういうわけで我々の船はリビアの砂漠を右手に東へと進み、ナイルデルタ地帯へとたどり着いた。
ギリシャから丸々一日の行程だが、この時代の帆船は時速10km出ればいい方で、直線距離で900km、今回通った航路なら1200kmの行程ならば、本来なら上手くいっても二週間以上かかると思えば快速と言えるだろう。
「ん、あれ? もしかして、この言葉、私が言ったと歴史上で語られるようになったりするんでしょうか?」
「知らん」
「メディアっ、エジプトが見えてきたぞ!」
アタランテが甲板から身を乗り出して地平の先を指さした。荒地と言っても過言ではなかった不毛な世界が一変し、緑あふれる世界が広がる。
それはギリシャ本土よりも自然豊かに見えるほどで、ナイル川の氾濫がもたらす肥沃な土と無尽蔵の水が形成した楽園だった。
「とりあえずは下エジプトですね。とりあえずブトの神殿にお参りに行きますか?」
21世紀のディスークという都市にほど近い場所、ナイルデルタの西側に存在する都市であり、エジプトにおいて古参の女神とも言われるウアジェト女神の信仰の中心地でもある。
ウアジェト女神はコブラの神格化であり、蛇の女神にして下エジプトの守護者、ファラオの王権を保証する守護女神である。
「メディア、私はヘリオポリスに行ってみたいのだが」
「ワシはテーベに行きたいんじゃがのう」
「全部行きますよ。急ぎの旅じゃないんですから」
ギリシャ人たちから太陽の町ヘリオポリスと名付けられた都市イウヌウは、エジプトの諸都市の中でもとくに有名で、ギリシャ人たちからもその名は広く知られている。
特に最高神ラーを祀る神殿の壮麗さは諸外国にもその名を轟かせていた。それ故に太陽神ラーはどういう理由かギリシャではゼウスと同一視されることがある。
ヘリオポリスなんだからヘリオスと同一視すればいいのに。まあ、あの太陽神(おじい)様は太陽のくせに影が薄い事で有名だから…。
挙句の果てにアポロンが太陽神として幅をきかせる有様はどうかと思います。アポロンは光神としての性格を持ってただけなのに、どうしてこうなった。
ヘリオスといいスーリヤといい太陽神の扱いの悪さは涙なしでは語れないのです。
さて、そんなエジプトであるが、最近ではテーベ(現地ではウアセトと呼ばれている)が力を付けており、事実ごく最近までこの国の首都がテーベにおかれていたようだ。
後世において代表的な遺跡となるルクソール神殿やカルナック神殿、そして王家の谷はテーベにあり、21世紀ではルクソールとして知られ、神殿や王宮などの建築物の規模においてはエジプト最大と言っても過言ではない。
私としてはギザのピラミッドやスフィンクスが見てみたいという気分があり、また建築途中のカルナック神殿なども楽しみの一つと言える。
アブシンベル神殿はまだ工事も始まっていないだろうし、建築王ラムセス2世はまだ即位していなものの、見るべきモノはいくらでもあるだろう。
「そういえば、あの二人は何を作っている?」
「あー、ポンプですね」
「ポンプ?」
「水を低い所から高い所に揚水するための機械です。今は渦巻きポンプを試作してるみたいです」
ポンプにはいくつか種類があり、一番わかりやすいのはピストンの往復運動と大気圧を利用したピストンポンプなのだけれど、他には回転を直接水圧に変換する渦巻きポンプやら螺旋構造を利用したポンプなども存在する。
ピストンポンプは大気圧の関係で10mぐらいしか揚水できないという欠点があり、水車はその直径分しか水を揚水できない。
しかし渦巻きポンプなどを使えばそういった制約からは解放されるし、連続的に水圧を加えることができるという利点もある。
渦巻きポンプは回転する羽根によって遠心力を水に与え、その圧力でもって水を揚水する形式。
スクリューポンプはアルキメディアン・スクリューなどと呼ばれるねじ構造を利用して液体を揚水するシステムだ。
効率については渦巻きポンプが優れるのだけれど、固形物を含んでいたり粘性が高い場合にはネジポンプが優れた適性を発揮する。
水力や風力と組み合わせることで定常的に水を揚水できるので、灌漑や排水にはこういった機械が必要不可欠といえる。
とはいえコルキスにいた時にも知り合いの大工に命令してポンプを試行錯誤で作らせていたが、動力が魔法だったりで一か所にしか設置していない。
そもそもついこの前までは女神の呪い対策で忙しかったから、こういった技術普及なんて趣味とか息抜きの範囲内の片手間でしかやってこなかった。
第一、そんなことしなくても実家が豊かだったので、内政に口出しするのは優先順位からいって重視していなかったのである。
だって、私みたいな完全無欠なアイドル系プリンセスが内政にまで口出しちゃ欲張り過ぎだものね♪
「まあ、そんな事はどーでもいいんです。今はエジプト観光を楽しみましょう」
◇
『はい皆さん、左に見えますのは名高いラー大神殿です』
ナイルデルタに達した私たちは、とりあええず下エジプト観光を行うことに。観光ガイドは我らが女神ヘカテ―様。
ナイル川を遡り、デルタ地帯の西側を進んだ。砂漠地帯とは思えないほどの緑豊かな世界、麦畑や果樹園、様々な野菜を実らせる田畑、家畜を放牧する野原といった楽園を思わせる牧歌的な風景が続く。
この敵対的とも表現できる太陽光の苛烈ささえなければだが。
正直、太陽光線に痛みすら感じる。ギリシャの太陽もなかなかの強さだったけれども、エジプトは正直ヤバイと表現してしまうほどに光度が暴力的だ。
中東地域で女の人が顔を隠すのは、わりと合理的なのかもしれない。ただし、インドネシアでは勘弁な。
そうして私たちはウアジェト女神の神殿にて一握りの金塊を捧げてエジプトでの旅の安全と加護を願った。
古都メンフィスではギリシャとは比較にならないほどの規模の都市に連れ達が驚き(私は21世紀の大都市を知っているのでロマンを感じた)、ギザのピラミッド群に驚いた。
この時代、ピラミッドは後世の様な黄色い階段状の姿ではなく、石灰岩の化粧石によって白く輝く滑らかな面によって構成された完全な四角錐だ。
これのせいでピラミッドのイメージが大きく覆ったといってもいい。しかし、誰があんな見事なピラミッドの皮を剥がしてしまったのだろうか? 太陽(おじいさま)に代わってお仕置きしなきゃ。
それはそうとて、今私たちは太陽神信仰の中心、エジプト神話体系の原点とも言えるヘリオポリス、現地の言葉ではイウヌウと呼ばれる都市を訪れている。
幾つもの神殿や動物を象ったモニュメントが立ち並ぶ様はエジプトのメッカとでも言うべきなのだろうか。そしてひときわ目立つモニュメントが、
「メディア、あの柱は?」
「オベリスクですね」
『オベリスクとはギリシャ語で「串」を意味する言葉なんですよ。現地の言葉ではテケン(守護)と呼ばれ、太陽神ラーの象徴、モニュメントとして建設されたものです。ちなみにあれは660年前にセンウセルトⅠ世が建立したものですね』
花崗岩の柱、細長い四角柱の表面には王や神を賛辞するヒエログリフが刻まれており、先端は四角錐は黄金の板で飾られ、エジプトの強烈な太陽の光を反射して輝いている。
特に大きな台座を含めて高さ30mのオベリスクが神殿前の広場に2本そそり立っており、その威容はこの国の強大さと豊かさを顕現していた。
『その起源はこのヘリオポリスに存在する聖なる丘『ベンベン』を模したことにあります。聖石ベンベンはエジプトの天地創造神話において、原初の大洋に出現した島なのです。太陽神はこの島の上で天地創造を行ったと神話では語られています』
「へー。詳しいんですね、ヘカテー様。ところで、なんで観光ガイドみたいなことしてるんです?」
『ええ、本当はこんなことはしたくなかったのですが…』
「?」
『今日は特別なゲストをお迎えしております』
「ゲスト?」
『オリュンポスの主神ゼウス様です。わー、パチパチ、どんどん、ひゅーひゅー』
「久しぶりだなヘカテーの巫女…、いや、メディアよ」
「へ?」
唐突に目の前に一人の少年が現れた。焦げ茶色の艶やかな髪をもつ凛々しい顔立ちの美少年。イオルコスの競技大会において出逢った、ギリシャ神話の頂点が変身した姿。
私は唖然とその少年を見つめ、間抜けな声をあげてしまう。
「ん? メディア、この少年はお前の知り合いなのか?」
「え、ええ。とても名のある名家の御曹司さんなんですよ。あはは」
ものすごい厄介なのに目を付けられたような気がする。しかも、名前まで憶えられてるし。
主神ゼウス。言わずと知れたギリシャ神話体系における神々の王だ。インド・ヨーロッパ語族系における天空神であり、信仰は北欧からインドにまで広がっている。
雷を司り、その雷霆(ケラウノス)は全宇宙すら焼き尽くすとされる。そう、全宇宙を焼き尽くすのである。つまり、焼いたことがあるのである。
よって、この神様、基本的に人類にやさしくはない。どこぞのスーパーゼウスみたいな好々爺とは違うのだ。
そして、最も重要なのが、この神様、すごく女好きなのだ。そして、今の私は美少女である。
加えて、このゼウスの正妻である女神ヘラは嫉妬深いことで知られている。ヤンデレさんである。
そして、ゼウスにちょっかいをかけられた女性たちをことごとく呪い、不幸にするという経歴をもつ。この時の死亡率は極めて高い。
そして私は美少女である。重要なので二回言った。
「わ、わたくしめに何の用でしょう?」
「そう警戒するでない。お主の事が気に入ってな。会いに来たのだ」
エリマキトカゲのように威嚇する私に、主神様が軽く死刑宣告。私は涙目でヘカテ―様にヘルプを送る。助けてコールセンター、私の人生に特大の死亡フラグが建立されたんですけど!
『おかけになった電話番号は、現在、使われておりません』
「オワタ」
いや、まだだ。まだ諦めるな。体を許さなければいいのだ。白鳥とか白い牛とか、あと、黄金の雨に打たれたりしなければなんとかなる。
私はなんとか気を持ち直し、作り笑顔を顔面に張り付けた。
「お、お戯れを。貴方様にはもう何人も素晴らしい女性がいるではありませんか」
「ふふ、これも我の性分でな。さあ、参ろうか?」
ヤバイヤバイ。この主神様、本気だ。本気で私と子作りしようと考えてやがる。
アカンでこれ。主神の的中率の高さは定評があるから、一回でも体を許したら最後、絶対に妊娠する。妊娠したら最後、女神ヘラの嫉妬攻勢でブチ殺され確定である。
欲望をあどけない笑顔に隠して近づいてくる主神。もうだめだー。最後の手段! 私は明後日の方向を指さし、
「あっ、あんな所に女神ヘラ様が!」
「なにぃっ!?」
少年の姿をした主神様が私の指さす方向に慌てて振り向く。同時に私は後ろに向かって全速前進した。
「はっ、しまった!?」
「あばよ、とっつぁん!!」
さあ、逃避行の始まりだ。
◆
「ふっふっふ、あーっはっは! どこだメディア姫! 隠れていても無駄だぞ!! お前を探しておられるのは、ギリシア最強の神、ゼウス様なのだからなぁ!!」
「イキの良い幼女だな」
「……」
先頭を歩くのは幼女ぺリアス。得意満々の表情で練り歩くのを、後ろでアタランテは苦々しく感じた。
隣にあられる焦げ茶色の髪の少年、しかし恐ろしいまでの神々しさを放つのは主神ゼウスだ。
彼は私たちに逃亡したメディアを共に探すよう命じた。神々の王に逆らうことなど弱肉強食が理のこの世界にはあってはならないが、しかし、かの神の伝え聞く今までの所業を思えば躊躇してしまう。
「しかし、メディアはどこに行ったのか」
今我々がいるのは古都アヴァリスだ。かつてエジプトの王都が置かれたとされる歴史ある都市であり、そして現在は急ピッチで再開発と拡張工事が行われている。
話によると、将来この場所に新たな王都が築かれるのだという。
その工事の規模、投入される人員は途方もないもので、ギリシア本土ではおおよそ見る事の出来ない、超大国の威容を垣間見せている。
これだけの人間の大海から一人の女を見つけ出すことは難しいだろう。
ここで周囲を見回しても、身なりの良い貴族、労働者や奴隷といった無数の人込み、立ち並ぶ屋台、ダンボール箱ぐらいしか見えない。
「ゼウス様はこの街のどこかにメディア姫がいると言うが、探すのはたいそうな苦労であるな。見回しても、人、人、ダンボール箱ぐらいしか見えぬ」
「父上、空から探してみたけど、いなかった。人と建物、屋台やテントとダンボール箱ぐらいしか」
「そうであるか。あるいは、もうこの街から離れたのかもしれぬ」
翼をもつダイダロスとイカロスの親子も、流石にゼウスには逆らえず渋々メディアの捜索に参加している。
だが、どれだけ探せど人ゴミと雑多な建物、あとはダンボール箱ぐらいしか見当たらないようだ。
痺れを切らしたのか、主神ゼウスは空に向かって、おそらくはメディア姫に神託を授ける魔術の女神ヘカテーに交信を試みている。
「ヘカテーよ、アレはお前の巫女だろう。探し出せんのか? …うむ、いや、しかしだな」
どうやら、かの女神はメディアを助けることはしないまでも、ゼウスの企みには加担する気はないようだ。
主神の手前、捜索に手を抜くことは出来ないけれども、私はメディアがこのまま見つからないでいることをアルテミスに祈った。
「…ん、あのダンボール箱、あの場所にあったか?」
「何してるアタランテ、さっさとくぞ!」
◆
「フフーフ、行ったようですね」
あっぶねー、目の前通ったよあのエロ主神。AMAZONESのダンボール箱が無ければ間違いなく見つかっていた。
アタランテちゃんが鼻をくんくんさせて私を探していて少し可愛いと思ったけれど、その程度は考慮済み。ダンボールの力ってすげぇ。
私は慎重にダンボール箱を被りながら、忍ぶようにその場から離れる。
「ママー、あれなにー?」
「シッ、見ちゃダメよ」
誰にも怪しまれずに、私は町中を屈みながら進んでゆき、ナイル川のほとりに出る。
さて、この後どうするか。紅海からインド洋に出て、そのままアジアでも目指そうか。
この時代、中国は殷王朝で、青銅器を使った野蛮な儀式に明け暮れているはずだ。あいつら生け贄を確保するために他の部族に戦争仕掛けてた殺人狂だし。
日本は卑弥呼だっていない縄文時代。米だって焼き畑で作ってるような原始人たちの巣窟だ。ワビサビの精神の欠片もないし、ソメイヨシノもないので魅力は半減だろう。
ぶっちゃけ、天孫降臨すらもされてない可能性すらある。一応、日本書紀的には179万年前とか言ってるけど、あれ桁とかサバ読んでるんじゃないだろうか?
日本人は4世紀中ごろまで現在の春夏秋冬を2年と換算していたという説もあるし、享年950歳のノアさんと同じく、盛った可能性は高い。
そもそもホモ・サピエンスの登場が25万年前で、出アフリカが7万年前、日本列島にホモ・サピエンスが到達したのが3万年前ぐらいだから、179万年という記述の誤謬についてはお察しなのである。
なので、神武天皇即位(これが前660年というのも怪しいのだが)から90年前というのが妥当なのではないだろーか。
まあ、そんなことはどうでもいいのだけれど。
そんな風に川辺で流れの音に耳を傾けて思案していると、隣に一人の男が腰かけた。男は盛大に溜め息を何度もつき、かなりうっとおしい感じ。
ブラウンの髪の色白の男で、身なりはかなり良いので貴族か金持ちの息子だろう。どうせ恋とか何かのしょうもない悩みを抱いているに違いない。
すると男は呟いた。
「なんであの男を殺してしまったんだろう…」
「ぶっ!?」
突然の殺人の告白。いや、そりゃ悩みますよね。殺人事件の犯人ですものね。バレたらこの時代、即打ち首か吊るされるかですものね。
吹き出してしまったことで、隣にいた男は驚きこちらを注意深く見てくる。
「い、今、このダンボール箱から声が? まさか、今のを聞かれて?」
「いや、まあ、聞きましたけどね」
「キェェェェェェアァァァァァァッ シャァベッタァァァァァァァ!!!?」
腰を抜かして驚く男。リアクション芸人か何かなのだろうか?
「まあ、落ち着きなさい、ヒトの子よ」
「あ、アナタはいったい…?」
「それはアナタ自身が判断する事です。それよりも、今はアナタの事では?」
ただの野次馬根性で彼の罪状を訪ねる。いやあ、殺伐としたこの世界で純粋な殺人事件なんて珍しいので。
ほら、だってこの野蛮人どもったら、人殺しに罪の意識も何もないから。ヘラクレスさんは別ですけどね。あのヒトの人殺しは罪じゃない。いいね?
「では、貴方の名を語りなさい」
「え、はい、私はモーゼ。ヘブライ人のモーゼです」
やだ、これ、絶対に厄介ごとだ。
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7時のニュースです。本日午後5時、王国北東の都市アヴァリスにて男性の遺体が発見されました。警察はこれを殺人とみて、捜査本部を設置し捜査を始めています。
現場のカトリさん。
はい。こちら、アヴァリス郊外の建築現場です。この付近では連日、多数の戦争奴隷を投入しての神殿の建設工事が行われております。
被害者は土木作業を監督する現場責任者の男性で、遺体はスケキヨのごとく砂に逆さまに埋まった状態で発見されました。
警察は犯行が早朝に行われたと見ており、犯人は遺体を砂に埋めたものの、風によって砂が飛ばされたことでスケキヨのごとき状態の遺体の発見がなされたものと見ております。
現場からは以上です。