ところで、皆さんも知っての通り、私のかつて住んでいた場所では、女の子がレオタ衣装で空を飛んだり戦ったりすることは普通でした。
そう、普通普通。レオタードだったらCEROも当然のようにクリアできますし、無問題無問題。レオタードは合法。トト○ーリアちゃんもCERO:A。
これはパンツですか? いいえ、レオタードです。
それに、最近は神様が女の子にされるなんてよくあることだし。戦国大名とか三国志の武将も対象になってるんだから仕方がないね。
ほら、どこぞのヘパイストスも眼帯巨乳赤毛のお姉さんだしさ。宇宙的恐怖だって萌えキャラ化するのが当たり前だし。ラブクラフト最大の誤算だし。
何が言いたいかというと、
「わたしは悪くない」
『現実を直視してはいかがですか?』
おや、巫女巫女通信が繋がったという事は、この神殿の霊的な守りが陥落したということでしょうか。
やっぱり、話合いって大事ですね。ラブアンドピースは世界標準ですよ。争いからは何も生まれません。
『いや、おそらく貴女の頭の上に居座るその仔がヘパイストス様を空中コンボで256HIT決めた挙句、貴女の影響下にある大釜に沈めて、いつもの展開になったからでは?』
「ハハ、何ヲ仰ルヤラ」
ヤバイと思って大釜から引きずり出したが手遅れだった。オヤカタッ、釜から女の子がっ。予想通り? オチが見えていた? いやいや、想定外ですから。
私は3秒ほど反省し、3秒ほどどうすればいいのかを未来志向で創造的に熟慮し、そしてすっぱり諦めた。
『最近、未来とか創造とかそういう耳触りのいいタームが無駄に浪費されている気がします』
「ビバ大量消費社会。サスティナブルでエコロジーな生活を目指したいですね」
『持続可能な社会って緩やかな衰退と何が違うのでしょうか…。それはともかく、久しぶりにお便りのコーナーです。最初のお便りはシュラクサイ出身の味素さんから。この場合はガイノイドになるんだろうか? だそうですけど?』
えらく久しぶりのお便りのコーナーである。しかし、リスナーとは何者なのだろうか。どこからお便りが来ているのだろうか。謎である。
「まあ、ガイノイドっていうのは女性型の人造人間ですけど、これ、たぶん、サイボーグって言った方が良さ気では?」
生の人間というか神と機械を混ぜたのだから、人造人間ではなく改造人間のほうがしっくりである。
ちなみに、ガイノイドはギリシア語を組み合わせた造語で、ギリシア語の女を示すギュネーgynēと、~もどきを示す-oidを組み合わせた造語だ。
でも、人造人間といえば、アンドロイドとする方が知名度高いんですよね。
男を示す言葉がアネールanērで、これが接頭辞のなるとandro-となり、これと-oidを組み合わせた造語がアンドロイドということになるのだけど、
このandro-を男と直訳するよりは、人間としたほうが色々と今後の創作的な意味でも波風立たなくていいのではないだろうか。
ほら、英語のmanには人という意味を持たせていることが多いように、警官がポリスマンだったり、実業家がビジネスマンだったりするのと同じだ。
まあ、フェミニズム的な意味でヒューマノイドっていうのが今後のメインストリームになる可能性もあるんだけれど。
『言葉狩りの一種ですか?』
「無理やり感ありますよね。まあ、女性の社会進出的な意味で男女で書き分けるのメンドイから、一つの単語で統一してしまおうぜ的な感じで理解しましょう。ほら、男を看護師で女を看護婦に厳密に分けて使うより、ぜんぶ看護師にまとめた方が役所的にも気楽というか」
なお、細かい議論は炎上しそうなので、長いものに巻かれろ的な感じで言葉狩り万歳と叫んでおきましょう。
戦争という言葉は暴力的なことを連想させてしまうので、使用してはいけないとか、そういう風にすればいいのだ。ネットで誰かがそう言ってた。
「外交および内政上の問題における非平和的な解決手段?」
『意外に真理を突きましたね。しかし、問題という言葉は問題がある事を連想させてしまうのでやり直しです。さて、次のお便りですが…、どうやら複数のリスナーの方々がヘパイストス神の件、男の娘を所望していたようですよ』
「レベル高いなそのリスナーども」
何のレベルが高いかはあえて言及しませんが。
しかし、どうしてこうもチ○コがもげる結果となったのか。私にもわかりませぬ。まあ、チ○コなんてアタッチメントで付ければいいんですし、無問題。
『あれって…外れるんですか?』
「……え?」
『え?』
え、なんなのこのヘカテー様の疑問。まるで、チ○コには骨があるんだよって言われて信じる女子的な反応じゃないですか。
なお、人間の男性器には骨は入っていませんが、多くの哺乳類の男性器には骨が入っています。
なお、セイウチのブツの骨は武器になります。凶器はセイウチの…なんていうニュースが流れたらなんて想像したら興奮しますね。
「しかし、男の娘ですか…」
『ところで、貴女的には男の娘キャラを婿に迎えるのは有りなんですか?』
「答えにくい質問してきますねヘカテー様。いちおう、前世ではそっちの属性なかったので。私、おっぱい星人ですから」
『ああ、なるほど。おっぱいついてたらOK?』
「それはもう男ではないような…」
もう、ついててもいいや…なんていう境地には至っていませんので。メスケモとかモンスター娘とか触手属性あたりに匹敵する修羅道ですよあれは。
この辺りの薄い本は絶対に他人に見せられませんよね。いや、まあ、10歳未満のペドよりかはマシかな…。
「しかし、この話題についてはえらく絡んできますね」
『さっさと子作りして、子孫を残しなさい♪』
「嫌です♪」
結婚とか出産を急かす女性ってウザいですよね。なんというか、お節介が迷惑なレベルに入ってるのがオバさんっぽいっていうか…。
その時、世界が凍てついた。
「さ、寒気が今っ!?」
『……コホン。さて、そろそろ現実を直視しましょうか』
うん、確かに、実際どうしようコレ。
腰まであるだろう髪は黄金のような金髪です。先端が赤みがかったストロベリーブロンドになった、グラデーションのかかった金髪。
まあ、黄金製の侍女を素材にしている以上、構成元素的にも金が主成分で、銅とか混ざったりしていれば、そういう事もあるでしょう。
オッパイは控えめですね。おそらく本妻への反逆でしょう。あと、処女厨でしたしね。
どことなく幼さのある、しかし、女性的な丸みをもつ中学生ぐらいの容姿はロリコンの気持ち悪い願望によるものでしょう。
身に着けているのは白いレオタード的な未来未来したもので、白が異様に似合うのは天使的な愛らしい容貌によるものでしょう。
四肢の接続部分などに球体関節っぽいギミックが見えるのは、やはり機械機械していたアンドロイドを素材にしていたからか。
しかし表情筋は完全に自然のものだ。瞼も自然で、顔の造形は可愛らしくも綺麗なもの。胴体の曲線ラインも柔らかく、触れれば人体の柔らかさと温度を返してくる。
本物の生き物っていうか神と融合しているので、サイボーグと認識すべきだろうか。いや、でも、混ざったの神様だしな…。
どちらにせよマニアックなチョイスを…。
「メ、メディアよ。こ、この女子がまさか…ヘパイストス神だというのじゃあるまいな…?」
「おや、ペリアス、何故そう思うのです」
「いやいやいや、今までの経緯とお主の前科から考えれば間違いなくそうじゃろうが!?」
「ハハ、まっさかぁ。あのキモかったヘパイストス神がどうしてこんな天使のようなナゾの美少女に生まれ変わるというのです。これは別人。無関係の美少女。このナゾの少女が目が覚めた後に何を主張しようとも、別人です。だから、わたしは悪くない」
幼女ペリアスが蹲り気絶している少女を指差してなにやら不可解な事をのたまっていますが、そんな非現実的な事、あるわけないじゃないですか。君は実にバカだな。
呆れた顔で、「もう知らん」なんて言い捨てて離れていくペリアス。
とはいえ、証拠を隠滅するなら今の内だ。もう一度、釜の中に放り込んで「ナニカ」すれば、あるいは元に戻ったりするかもしれない。
元に?
え、この美少女と言っても過言ではない存在を、あのキモオタに戻すの? そんな事、許されると思ってるの? 馬鹿なの?
なんて思っていると、
「ぷはっ!!」
「あ…」
がばっと、勢いよく大釜から引きずり出したナゾの少女が目を覚ますと共に起き上がった。
ナゾの少女は今自分がどのような事態に身を置いているのか上手く理解できていないようで、少しばかり呆けた表情で周囲をきょろきょろと見回す。
「ワタシは一体…、うっ、頭が痛いデス……」
「思い出したくない事は思い出さなくていいんですよ」
『そうやって、また詭弁を弄する』
「たしか、64回ほど殴り倒されたような気がするデス…」
「HAHAHA、蜥蜴の尻尾で256HIT空中コンボ食らうなんて、そんな非現実的な事あるわけないじゃないですか。悪い夢を見ていたんですよ」
『目が泳いでいますよメディア』
とにかく誤魔化そう。なに、記憶も混乱しているようだし、押していけば嘘も真実に変わるのですから。
ん? そういえば、この鍛冶神、口調とか一人称とか語尾が変わっているような?
「うう…、しかしこの体の痛みは尋常なものではないのデス。……ンン? そういえば、声が高いデスね」
ナゾノショージョが喉の調子を確かめるように軽く咳き込み、喉元に手を当てる。そして少し眉をひそめ、違和感の正体を確かめるように自らの手の平を見た。
そしてナゾノショージョは固まってしまう。ああ、可哀そうに。いったい彼女にどんな悲劇が降りかかったのか。もちろん私には知る由もありませんが。
あー、大変ダナー。
「えっ? えっ? ええっーーっ!?」
再び再起動したナゾノショージョは、ペタペタと可愛らしい手で顔や体を確かめるように触れていく。
「えっ? 何なんデスかコレ? えっ、ワタシの声、違う…デス? というかっ、一人称も口調も変わってないデスかっ!? え? え? エエェェェェェッ!?」
おお、混乱の極み。
『また被害者が…、グスッ』
「あ、私、この後に約束あるんで早引けしますね」
『待てやこの駄巫女。この事態を早急に収集しなさい』
いや、収集ったってどうしようもないですし。
だいたい、私的にはこっちの方が世のため人のためになると思うんですよ。変態紳士よりも残念な美少女の方が需要あるんですよ。
変態はステータスなんです。(※ただし、美男美女に限る。)
それはそれとして、ナゾノショージョはというと、
「そうデスっ、鏡はどこデス!? たしか…ここデース!」
勝手知ったる我が家のように、この部屋に置かれているモノを漁りだし、そして一枚の壁掛け時計ぐらいの大きさの円盤状の鏡を手に取って、それを覗き込んだ。
はは、まるでこの部屋の元の持ち主のように奥に収納された鏡を取り出しましたね。彼女ハ一体何者ナノデショーカ?
……そろそろ現実から目を背けるのを止めましょうか。
「で…デース……」
「ああっ、なんということでしょうっ! おいたわしいや、ヘパイストス様。どうしてこんな御姿にっ!」
『なんて茶番』
ヘカテー様の冷静なツッコミを無視しつつ、私は両手で口を覆い、どうしてこんな悲劇になってしまったのか見当もつかないと言わんばかりのリアクションで嘆いてみる。
何てことだ。誰がこんなヒドイことを。こんな恐ろしいことをするなんて、私は絶対に許さないぞ!
なんて茶番していると、突然、少女と化したヘパイストス神がこちらに振り向いた。
「メディア姫!」
「ひゃい!? ごめんなさいっ」
突然話しかけられて私は変な声で返事して、条件反射で謝ってしまう。しかし、ヘパイストスはそんなこと無視して、ズンズンと私に早足で近づいてきた。
「メディア姫っ、この身体のことデースがっ」
「すみませんすみませんっ」
「とてもグッドだと思うのデース」
「ふぁ?」
気の抜けた声で目の前の少女と化した鍛冶神を見つめる。手鏡をナルシズム全開で顔を赤らめながら覗き込む鍛冶神ヘパイストス。
……結果オーライ?
『どこぞの駄巫女と同じ匂いがしますね』
「いったい誰ですかねソレ。それはともかく、なんか気に入ってるみたいですね」
『醜悪な姿にコンプレックス持っていたようですし』
「そうデース。今の私は蝶、バタフリャイ」
「また噛みやがったな」
「醜い芋虫から、美しい蝶に羽化した華麗なる変身譚デース。これが私の真の姿なのデース!」
誰かそれは違うとツッコんであげてください。私? ハハ、何で場を改めて混ぜっ返したり波風立てたりしなきゃいけないんですか。
WIN-WINの関係なんだからこれで良いのです。超法規的措置。
『女の子になったことには特に思い入れはないようですね』
「どうなんでしょうね。私は触れるオッパイの使徒なので、たいして有効な使い道の無かった棒よりもオッパイわっしょいだったんですけど」
「オッパイは大小が問題じゃないのデース。触れるか触れないかが問題なのデース」
その時、私たちは互いに目を合わせ、魂の根幹の部分で共鳴するもの、シンパシーを感じ取った。
そう、真理を受信したのだ。
「オッパイ最高!」
「オッパイわっしょい!」
「「オッパイっオッパイっオッパイっオッパイっオッパイっ!!」」
『ダメだこりゃ』
奇怪なダンスを踊る外装は女子な二人による世界の中心で乳を叫ぶ獣に、頭痛を感じたように呆れ声のヘカテー様。ふふ、貴様ら地球人には分かるまいよ。
「メディア姫、お前に出会えたことには運命を感じるのデース」
「そんな運命犬にでも食わせてしまえって感じですけどね」
「照れなくても良いのデス」
「(性格まで変わってないですかこれ?)」
「それはともかく、ゴムについてデース」
「ふむ」
美少女と化したヘパイストス曰く、あのゴムという素材はとても興味深いので、どこに行けば入手できるのか同じオッパイ星人のよしみで教えてほしいとのこと。
ああ、技術神としての側面までは改変されていなかったようですね。とはいえ、ゴムの木というのはギリシア文明圏での栽培は困難のはず。
あれは、熱帯のジャングルを切り開いて貴重な生態系を踏みにじり、文明化という美名の下に未開な土人どもをプランテーションに組み込んで労働力を搾取することで獲得できる類の資源だからだ。
詳しくはコンゴ自由国を検索してみてね♪
「ええっとですね、ゴムの正体は植物の樹脂です。これを採取できる植物は限られていまして」
「ナルホド」
「プロメテウスが磔とされたカフカス山を越えてさらに北東、偽りの海を越えた先、イッセドネス人たちが住む平原に、ゴムの原料たる樹液を採取できる根をもつ黄色い花が自生すると聞いています」
現在のカザフスタン北部とウズベキスタンあたりの草原地帯に自生するロシアンタンポポの根はゴムの原料となる乳液を含んでいる。
まあ、収量とかコスト的なことを考えれば熱帯でゴムの木を大規模に栽培した方が安くつくんでしょうけど。
ゴムの木の代替というのは、第二次世界大戦時の海運が不全を起こしていた時には盛んに研究されていたが、戦争が終わったり合成ゴムが一般化すると注目度は下がってしまった。
再び注目を浴びだしたのは21世紀ぐらいから。熱帯雨林の生態系サービスの価値が希少なものとなり、熱帯での生ゴム生産が相対的に非効率となり始めた頃からだ。
さすがにこれ以上、熱帯雨林を切り開いてゴムの木の林に変えるのはヤバいと気が付いたらしい。人類もちょっとは知恵を身に着けたようだ。
「ギリシア世界の向こう側デスか。遠いデスね」
「そんなことありませんよ。一っ跳びですよ」
「いや、私は空なんて飛べませんデスから…ん? んん? なんだか、行けそうな気がするデース」
そうだ。やる気があれば何でもできる。ヘパイストスは体がムズ痒いのか、そわそわしだした。よし、あと一歩だ!
そんなヘパイストスと同調するように、傍の大釜が震えだす。液面が波立ち、気泡が沸き立つ。そして、液中から勢いよく、バチャーンと何かが飛び出した。
未来的な航空機というか双胴タイプの宇宙戦闘機的流線型フォルムの純白の飛翔体。それが大釜から飛び出すと、それに合わせて少女と化したヘパイストスもまた宙に跳躍した。
『何が始まるんです?』
「大惨事大戦だ!」
「か、体が勝手に動くデース!?」
宙にジャンプしたヘパイストスに後ろから白い飛翔体が近づいてきて、寄り添うようにドッキング。
すると、飛翔体はいくつものパーツに分解してヘパイストスの体にガチャンガチャンと接続されていく。超カッコイイ。
『何やらかしたんですか貴女は…』
「流行なんですよ流行」
鎧のような具足と胸甲を模しながらも、SF的な流線。白い具足の脛の辺りからブレードが上向きに突き立ち、バイザーにはユニコーンのような角にも見えるアンテナがそそり立つ。
腰のあたりには青色のアフターバーナーを噴きあげるスラスターが付属するバックパックが接続し、
そこからマニュピレーターによって空力的なことを考慮したと思われるフォルムの未来未来したキャノン的なものが一対付属する。
両手には人間工学も基づきました系の短機関銃と、逆に取り回しがきかなそうな長大なビームライフル的なものを装備。
そして、彼女の周囲に浮く2対2種のビット。射撃用と斬撃用。いったい、何と戦ってるんだ?
しかし、そんなゴツそうな装備とは裏腹に、太腿とか二の腕は隠さない絶妙な露出度。バイザーはもちろん顔は隠さないし、グラデーションのかかった髪も隠さない。
ジャキーンと空中でギミックが映えるポーズをとって変身完了。スゴイカッコイイ。
なお、一連の変身シーンは強制でキャンセル不可能ですが、次から最短0.5秒にまで短縮できます。
「な、何なんデスかコレェェェ!?」
「ロボ娘は正義。旧ヴァージョンもいいけど、私は天使型がいいとおもうの。アニメのヒロインも張ってましたしね」
『何ドヤ顔してるんですかね、この駄巫女は…』
「しかし、口調がイメージと合わないのはどうも…」
それはともかく、女の子にメカメカしくてゴツい装備させるのは時流ですので。大事なのは萌えを失わない事。
腰のくびれと太もも、あと鎖骨とか女体美を隠さず、しかしカッコよくデザインすべき。防御力? そういうのはバリアー的なもので補いましょう。
「こここの姿はイッタイ…?」
「それが、未来世紀のフィギュアのあり方の一つです」
「こ、これが…。確かに、凛々しさと可愛らしさとエロさがアンバランスの中で絶妙な調和を醸し出しているような気がしないでもないデース。姿見は…」
天使型ヘパイストスが部屋の奥から姿見を取り出して、その前でいろいろなポーズを取り出す。
うん、まあ、女の子の体ならセクシィポーズを鏡の前で取りたくなっても仕方がないね。私も通過した道です。
『幼女のころの貴女は微笑ましかったんですがねぇ』
「幼女には幼女の素晴らしさ、少女には少女の素晴らしさがあります。年上のちょっと崩れた体型も美味しくいただけます。でも、スルメは勘弁な」
おっぱいがスルメと化した様を見るのは実に悲しい。なんつーか、その、うん。もう、萌えられないっていうか。
いや、それは今はどうでもいい。
「そのフォーム、ペガサスモードの貴女なら世界の果てまでひとっ飛びで行くことが出来るでしょう」
「ほ、本当デスか?」
「もちろんです。さあ、世界の果てを目指し、文明の新たな礎となるだろう幻の花を手に入れるのです!!」
「ま、なんだかよく分からないデスが、なんとなく行かなければという気がしてきたのデース。分かったのデース、私は今、音を置き去りにするのデース!!」
私の言葉にまんまと乗せられた…、じゃなくて、賛意を示した天使型ヘパイストスは、神殿の外まで軽快に駆け出す。
「素晴らしいのデース、この身体、ものすごく軽快に走れるのデース!!」
◇
両脚に深刻な障害を抱えて生まれ落ちたヘパイストスにとって、新しい肉体の正常、いや、通常のそれを上回る優れた脚が生み出す軽快な走りは新鮮なものだった。
まるで、今までの肉体は鉛の塊だったかのよう。醜く、愚鈍な肉体に捕らわれていた自分はもうこの世界にはいない。
体が軽い…。こんな幸せな気持ちで走るなんて初めて…。もう何も怖くない。
そして、バックパックに接続するスラスターから青い炎が噴き上がり、驚くほどの、しかし不快と思わない、むしろ戒めから解放されるかのような加速度を体に受けながら、ヘパイストスは重力の楔を振り切った。
◇
『彼女…と言っていいのか分かりませんが、あの子、微妙に死亡フラグを立てていきませんでしたか?』
「第3話じゃないから大丈夫ですよ。ともかく大勝利です。次に行きましょう」
『でも、良かったんでしょうか。ヘパイストス神を一人中央アジアに行かせてしまって』
「無問題無問題。あのヒトもバカじゃないでしょうし、タンポポ採取するだけですから、さほど問題はないでしょう」
シルクロードが成立しているかどうかという時代ではあるが、一部の変わり種のギリシア人が到達している可能性のある土地ではある。
その地にすむというイッセドネス人は人食いの習慣があるというが、神様なら大丈夫だろうし、その向こうにいる単眼人種も大丈夫だろう。
そう、この時の私には知る由もなかった。太陽神を信仰する彼の土地の人々の間に、機械の女神なる新しい技術神への信仰が芽生えるという未来など。
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天使型あーんばるがいいと思うの!
CVは口調的に東山奈央あるいは上坂すみれ かもしれん。阿澄佳奈という線はないでしょうたぶん。
予想以上にヘパイストス関係の話が長くなったので(8500文字オーバー)、投稿します。どうしてこうなった。アフロディーテ出す予定だったのに。