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No.38390の一覧
[0] 【習作】ネオ・ジオンの旗の下で【CCA×SEED DESTINY】[彗星ペン](2013/08/31 20:36)
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[38390] 【習作】ネオ・ジオンの旗の下で【CCA×SEED DESTINY】
Name: 彗星ペン◆1002f464 ID:c1b62f72
Date: 2013/08/31 20:36
――C.E.73.10.03

遺伝子操作によって生み出された新人類「コーディネーター」達が住まう新世代コロニー「プラント」群の首都、アプリリウス市。
その市街の外れに位置する軍施設で、金の光沢を放つ髪をオールバックに纏めた男がモニター画面越しに、プラントの行政を司るプラント最高評議会の議長、ギルバート・デュランダルと対面していた。
「ユニウスセブンが安定軌道から外れた?」
確か、2年前に起きた戦争の発端となった「血のバレンタイン」という事件で破壊されたプラントだったな、と男はこの世界に来訪してより収集した、この世界の世界情勢を思い返した。
『隕石の衝突か、はたまた他の要因か。兎も角、ユニウスセブンは動いているのですよ。今この時も。地球に向かってね』
「……それで、貴方は“我々”に何をお望みになる?」
ユニウスセブンが地球へ向かっている。まるで自分達の世界で起きた歴史の再現だな、と思いつつ、男はデュランダルに率直に問い掛けた。
デュランダルの声が自分とよく似ているので、まるで自分1人で会話をしているような錯覚に陥る。彼と出会ってからある程度の月日が経っているが、やりにくさは抜けきっていなかった。
『君達ネオ・ジオンの力を借り受けたい。ユニウスセブンが地球に落下すれば被害は甚大だ。何としても阻止しなければならない』
「具体的なプランは?」
『メテオブレイカーをユニウスセブンに設置し、砕く。現時点で打てるプランはこれしかない』
「軌道の変更は不可能。ならば、ユニウスセブンそのものを砕いて被害を最小限に留めるしかないというわけか。……地球側の動きはどうなっているのです?」
『警告はした。だが、積極的に我々を支援する動きはないようだ』
「コーディネーターとナチュナルの確執、か……」
遺伝子操作を受けて生まれたコーディネーターと、遺伝子に手を加えることなく生まれてきたナチュナル。2つの人種の対立が2年前にプラントと地球連合の戦争を引き起こした。
その構図は、かつて男が存在していた世界で繰り返された地球と宇宙――地球出身者(アースノイド)と宇宙移民者(スペースノイド)の対立という、民族間の戦争を想起させた。
「仮に我々がユニウスセブンの落下阻止に動くとして、我々の存在が明るみになれば、貴方やプラントの立場は危うくなるのでは?」
我々の手を借りなければならないほど、状況が切迫しているというのは理解できる。しかし、我々「ネオ・ジオン」は本来、この世界に“存在しない”軍隊だ。それが公けに動くということは、この世界に跳ばされたネオ・ジオンの存在を秘匿していたデュランダルの立場を脅かすことに繋がりかねない。
『地球が滅びてしまっては元も子もない。我々に協力して頂けるかね?』
男の問い掛けにデュランダルは即答するや否や、ユニウスセブンの落下阻止の協力の是非について、回答を求めてきた。
「……いいでしょう。私はこの世界に対してどう向き合えばいいのか、模索している段階です。その最中に地球に滅びられるのは、私としては本意ではない」
どの道、他に選択肢はない。今のネオ・ジオンがこの世界でその存在を認められているには、あくまでもデュランダルの手の届く範囲に限られる。今後も自分達をこの世界で存続させ、ネオ・ジオンを維持していくためには、デュランダルとのパイプを切るべきではない。
デュランダルと手を切り、プラント以外の陣営と接触し、自分達の存在を認めさせることも考えたが、既にプラントにはネオ・ジオンの兵たちの生活を保障させる見返りとして、ミノフスキー物理学や核融合炉、ガンダリウム合金の生成技術など、元いた世界で確立された技術の幾らかを提供している。技術的な格差からか、プラントはそれらの再現に至っていないようだが、なればこそ、今後も交渉の余地があるということである。
『それはネオ・ジオンの総意ではなく、貴方個人の考えというわけですかな? シャア・アズナブル総帥?』
「私個人の意思が組織全体に反映されるというわけではないのですよ、議長」
だが、男が総帥という組織の上に立つ立場の肩書にある以上、この世界でのネオ・ジオンの兵たちの生活を保障しなければならないのも、また事実である。
『ですが貴方は指導者だ。組織は指導者の意向によって動く。貴方方の活躍に期待しますよ。詳細については部下に追って連絡させます』
デュランダルが男を見据えて言い放ち、モニター越しの交信が終了した。
「……異世界人に過度な期待はしないでもらいたいものだ」
「よろしいのですか、大佐?」
溜息まじりに肩をくすめる男に、ネオ・ジオンの参謀である戦術士官の女性がウェーブの掛った金髪を見せながら問い掛けた。
「良いも悪いもない。今、地球に潰れられてしまえば、困る。我々がこの世界に対してどう向き合うべきなのか、それを見極めることができなくなるからな」
「では、出撃の準備に取り掛かります」
「そうしてくれ、メスタ。万が一のこともある。私が出撃できる機体はあるか?」
男はメスタに尋ねた。前の世界での専用機として駆った人型機動兵器――MS(モビルスーツ)のナイチンゲールは、小惑星「アクシズ」を地球に落下させ、アースノイドを粛正する地球寒冷化作戦の最中、宿敵であるアムロ・レイの駆るMS、νガンダムとの交戦の末に失われてしまっている。
「またご自分で出撃なさるおつもりですか?」
ニュータイプ研究所の所長でもあったメスタ・メスアは咎めるような口調を男に向けた。男の身を案ずるからこそ、1人の女として出た言葉である。
「100年は安定軌道にあるというユニウスセブンが突然、軌道を変えたのだ。人為的なものによるものだと見ていいだろう」
「地球人類への粛清、それを成そうとするものがこの世界にもいると?」
「おそらくはな。この世界で起きた先の大戦、ナチュナルとコーディネーターの対立の本質にあるものを見極めたい」
「分かりました。サザビーを準備させます」
サザビーか。ナイチンゲールの前型機で、テストに搭乗したことがあったな。男は真紅の塗装でボディを包まれたMSの姿を思い起こし、
「頼む」
とだけメスタに告げた。メスタは何も言わずに部屋を退室する。
「……皮肉なものだ。隕石落としをやろうとした私が、地球を守る側に立つとな。これでは道化だよ」
この世界でネオ・ジオンはロンド・ベルとしての役割を演じろと、ララァはそう私を導いたのだろうか。アムロ、お前は今、どこにいる? 私はまたあこぎな事をやって いる、近くにいるのならこの私を感じてみろ。
宇宙世紀という歴史を歩んだ世界で、赤い彗星の異名で呼ばれ、新人類(ニュータイプ)の時代の到来と人々のニュータイプへの覚醒を信じた男――シャア・アズナブルは取り残された部屋で独りごちた。


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