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No.38213の一覧
[0] 【ネタ】はいすくーるN×N (ハイスクールD×D)【完結】[EN](2013/08/15 00:12)
[1] 第二話 王は課金厨の心がわからない[EN](2013/08/08 00:12)
[2] 第三話 イザナミだ[EN](2013/08/19 00:24)
[3] 第四話 マイノリティ・リポート[EN](2013/08/10 00:16)
[4] 第五話 兵士は畑で採れる[EN](2013/08/12 00:10)
[5] 第六話 おれの名をいってみろ[EN](2013/08/12 00:10)
[6] 第七話 もう何も怖くない[EN](2013/08/13 00:10)
[7] 第八話 偉大な人間には三種ある[EN](2013/08/14 00:13)
[8] 第九話 そげぶ[EN](2013/08/15 00:11)
[9] AFTER ハッピーパウダー250%[EN](2013/08/17 00:10)
[10] AFTER 2 うみねこのなく頃に[EN](2013/08/19 00:17)
[11] AFTER 3 『その甘さ』 『嫌いじゃあないぜ』[EN](2013/08/20 00:26)
[12] AFTER 4 エル・プサイ・コングルゥ[EN](2013/08/24 00:09)
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[38213] AFTER 2 うみねこのなく頃に
Name: EN◆3fdefd77 ID:71ec6b22 前を表示する / 次を表示する
Date: 2013/08/19 00:17
「最近、母(ママン)が魔法少女コスを普段着にし始めてな。それが可愛いのなんのって……。何で本体(キング)さんはあの状態の母にじゃれ付かれて賢者保てるのかなーって」
「そうなのニャ」
「ああ。永遠の謎だな……」

むしろこの状態こそが謎だ。
はぐれ悪魔『黒歌』は死んだ魚のような目で水平線を眺める。

何故自分は筏に乗って海上遭難しているのだろうか。謎である。しかも同乗者は謎の銀髪オッドアイ。本当に謎である。そして何故自分はこの銀髪オッドアイの語りに律儀に相槌を打っているのだろうか。謎過ぎる。

「あ、釣れたにゃん」
「マジでか。俺未だにボウズだぜ? だぜだぜ? だぜだぜだぜ?」
「うざい」
「あ、はい」

波間に揺られる筏の上。二人のんびりと自作の釣竿を振るって食料を確保する。
空を見上げれば悪魔の身をじりじりと灼き上げる太陽が輝く。本当にどうしてこうなったのか。

切欠は、そう。――『無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)』の失踪だろう。

妹を守るため悪魔へと転生し、更に妹を守るために主を殺し、黒歌は見事はぐれ悪魔となった。
その後は冥界に残してきた妹の無事を想いつつも生きる事に必死で、転げ落ちるように犯罪者としての立場を確立してしまった。
仮宿のつもりだった。犯罪者として後ろ盾も無く生きる黒歌は、己の身の安全を確保するための一時の傘を求めて『禍の団(カオス・ブリゲード)』へと身を落ち着けて、――組織が潰れた。

にゃんでやねん、である。

旗印である『無限の龍神』の力こそを求心力として成り立っていた組織の、その一番肝心なドラゴンさんが失踪。それから四ヶ月が過ぎる頃にはもうボロボロだった。
まず真っ先に旧魔王派が離脱。どうしようもなくプライドの高い彼らは「『無限の龍神』が居ないというのなら、他の有象無象と組むなぞ御免被る!」とか何とかそれっぽい事を言って禍の団を抜け、現魔王達に喧嘩を売ろうとヤンチャした結果――【見せられないよ!】になったらしい。恐ろしい事だ。そして自業自得である。ざまあ。

一番声が大きくネームバリューも抜群だった旧魔王派が離脱した事で日和った者達や、利に聡い者達が少しずつ、櫛の歯が欠けるように禍の団を離れ始めれば、後はもう転げ落ちていくだけ。
各人にテロ組織に属した理由があったのだろうが、己の力だけで現体制に歯向かうだけの気概を持たず、群れなければ事を起こそうと考えられない時点で瓦解は約束されていたようなもの。気が付けば自然解散の流れへと落ち着いていた。

黒歌自身も構成員の四分の一が姿を消した時点で見切りを付けた。
実はもう少しくらい残っていても良かったのだが、彼女にとっては組織の先行き等どちらでも良かったのだ。仮宿は仮宿、要らぬ苦労を背負う前にとスタコラサッサ。その後しばらくは同時期に組織を抜けた『猿』と同行していたが、言動が下品過ぎたのを耐えかねて途中で撒いた。あれで意外と情が深い方なので、はぐれたのかと心配して今でも黒歌を探しているかも知れないが、黒歌本人はそこまで深く考えていなかった。嗚呼外道。

「ルフェイ達は今どうしてるのかにゃー……」
「にゃー」
「うざい」
「すいません」

そしてこの銀髪オッドアイも割合下品なのだが、顔が良いから辛うじて見逃している。イケメンは得である。

「畜生! 本体さんは今も母とチュッチュしてるだろうに、何で俺はこんな所でマゾ垂涎のプレイに身を窶しているんだ……!」
「馬鹿だからじゃないかにゃん?」

あとは変態だからではないだろうか。割と本気で黒歌はそう思った。
いい年してマザコンらしい銀髪オッドアイの母親大好き発言はそろそろお腹一杯なのだ。本体(キング)さんとやらがそのお相手だろうか。銀髪オッドアイがうざいので、是非とも仲睦まじくあって欲しい。完全な嫌がらせ目的でそう願う。

「あ、また釣れたにゃーん」
「魚類は俺が嫌いなんですかね」
「大丈夫、私も嫌いだから」
「……へへっ、ガラスのハートに、響きやがるっ」

この阿呆なやり取りが楽しくなってきている自分を若干危険視しつつ、黒歌は釣り上げた魚を調理し始める。
爪で適当に捌いて、魔力を使って火を付ける。あとは焼き具合を見るだけで良い。

「すげー、人間チャッカマンだー。え、手品ー?」
「いや、悪魔だからだにゃん」
「ん?」
「にゃ?」
「悪魔って何?」
「えっ」
「えっ」
「えっ」
「えっ」
「……」
「えっ」
「……」
「えっ」
「うざい」
「はい」

どうやら実在する種族としての『悪魔』を知らないらしい。どういうことだ。黒歌は若干の冷や汗が頬を滑る感触に背筋を震わせた。

黒歌は元『ねこしょう』と呼ばれる妖怪であり、仙術の使い手である。
難しい事を割愛すると、気や生命力的な なんやかんやを知覚出来るデキル女なのである。その感覚が言っている。――あっ、こいつ化け物だにゃん。具体的に言うとドラゴン的な何かね!――と。

この独特な気配には憶えがあった。かつて目にした『無限の龍神』にも通じる生命の鼓動。あれとは比べ物にならない程みすぼらしく見えるが、同種であろうと理解出来る。
なのに悪魔を知らないらしい。どういうことだ。ひょっとして出来の良いパチモンなのだろうか。

「まあいいか」
「えっ、ここは解説シーンに突入する流れじゃね?」
「だってめんどいにゃん……」
「本当に面倒そうだ!?」

だって本当に面倒臭いし。

いい具合に炙った魚に齧りつく。美味しい。元が猫っぽい何かである黒歌としてはこんがり焼いたものよりも表面だけを加熱処理したものの方が舌に合う。調味料の不足に関しては釣りたての鮮度によって相殺出来た。
そんな食事風景を物欲しげに見つめる銀髪オッドアイはガン無視する。

「放置プレイ キタコレ……! 悔しいでもビクンビクン……ッ!」
「きもい」
「ありがとうございます」

めげない変態である。小さく溜息を吐いて、複数釣った内の一匹、ちゃんと中まで火の通った焼き魚を対面へと放る。

何故自分がこんな怪しげな生命体に食事を恵んであげなければならないのか。愚痴愚痴と考えながらも、姉属性完備で妹の世話をしていた過去故 見た目に反して面倒見の良い黒髪美女である黒歌さんはちゃんと変態の分の食事を用意していたのだ。でもそんな自分の行動が若干不服なので、魚を分けてあげながらも視線は相手から逸らし、言葉も無く一心不乱に自分用の魚を齧っている。

ツンデレだった。

「マーベラスや……っ!」

海上遭難の同道者たる銀髪オッドアイは、そんな彼女の姿に胸打たれていた。
まさか現世にこれ程のツンデレ強度を誇るオナゴが存在したとは! 二次元の外も捨てたもんやないで工藤! 放り投げられた焼き魚を丁寧に食べながらも、銀髪オッドアイは感動に打ち震える。なんちゅうもんを見せてくれたんや…なんちゅうもんを……!

手早く焼き魚を食べ終えた銀髪オッドアイはパチンと両手を合わせると、黒歌に向き合った。

「お姉さん!」
「……何にゃ」

大きな声で呼びかければ不服そうな声音で返答が返ってきた。思い返せばこの美女は逐一自分の物言いに言葉を返してくれていた。日頃、本体さんに「うるせえ!」としか声をかけてもらえない銀髪オッドアイは、ちょっと涙目になる。いつか本体に下克上をしよう、と。

真剣な瞳で黒歌を見つめれば、金色の猫目がぱちりと大きく見開かれた。この銀髪オッドアイ、顔だけは良いので真面目な顔をすればそれだけで異性からの評価が上がる男だった。口を開けば底値を割るのが難点だが。

「俺はッ! ――あっ、母とアニメ観る時間だ」
「えっ」
「ごめす。俺帰りますねっ☆」

そう言うが早いか、爽やかな笑顔を浮かべながら黄金色に輝き、――消えた。

ぽつんと残されたのは黒歌一人。筏の上で遭難中のはぐれ悪魔である。
数秒前までとある阿呆が座っていた場所を見て。広がる海と水平線を見て。空に輝く太陽を見て。

「……うん。次会ったら殺そう」

心からの言葉を口にした。



○変態
その場のノリだけで現世を生きる、銀髪オッドアイの変態の方。
黒歌が遭難したのはこいつのせいであり、呼吸をするより早くフラグを立ててはすぐに折る、一級建築士。
唐突に「『明日』を探して来る」とのたまって遠出したら黒猫と出会った、ロビンソン・クルーソー気取ったら遭難した、24時間耐久魔法少女アニメ鑑賞会の時間なので『王冠』に帰還、の3連コンボである。
『聖女事件』において分身二号を影からサポートしつつ、身代わりに二百とんで三回くらい【ウボァ】された影の功労者。それ故に二号からは「お陰で友達を最後まで手助け出来た(意訳)」と感謝されている、分身達の長兄。でも基本的に頭おかしい言動が多い。
こいつのせいで後に黒歌の罪状が歴史に残るレベルで重くなる。

○黒歌
猫耳であり元妖怪であり悪魔であり姉であり指名手配犯であり和服であり巨乳であり美女である、属性過多のはぐれさん(発情期完備)。
大よその引き際を見極めて禍の団から離脱した、ちゃっかりした猫。だが後にとある変態と出会う事で己の運気が底辺を抜くまで落ちる羽目になるとは、この時彼女は知らなかったのです……。
数ヵ月後 銀髪オッドアイのニートの方を襲撃(人違い)してしまったために、穏やかな心を持ちながら激しい怒りによって目覚めたスーパーニート(幼女)が爆誕する。これが後に言う『龍猫(どらねこ)大戦』である。決着は一瞬で着いたが、周辺被害だけで最終戦争が勃発しかけるという歴史的大事件。
一瞬過ぎたせいで何者か判然とせず『正体不明のドラゴンっぽい何か』と見なされたニート1号と違い、身元がばっちり判明した黒歌は当該事件の主犯として数多の勢力から指名手配される。
やばいレベルの刑罰が彼女を襲ったが、被害者であるニート2号が攫って逃げたので無事に生き延びており、しかし代償として裏社会における賞金首トップの座を不動のものとする。
それを知った彼女の妹は「黒歌姉様、やっぱり仙術のせいで……!」と姉との溝を更に深くした。以降、はぐれ悪魔『黒歌』の所業とされる数々の事件に対して「大体仙術のせい」というフレーズがあてられるようになるが、割愛する。


~あとがき~

これも全て仙術ってやつのせいなんだ!
変態と共に在る事によってお淑やかに見える黒歌さんの話。

ネタが無いので以降続いても後1,2話です。


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