<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

チラシの裏SS投稿掲示板


[広告]


No.37669の一覧
[0] 【習作】進撃の狂人【進撃の巨人二次 オリ主転生】[シラサギ](2013/08/10 12:23)
[1] Act.1 疑心な主人公[シラサギ](2013/05/30 16:39)
[2] Act.2 類は友を引き付ける[シラサギ](2013/08/10 12:29)
[3] Act.3 ウソのようなホントのウソ[シラサギ](2013/08/10 12:32)
[4] Act.4 俺達の進撃はこれからだァ![シラサギ](2013/08/10 12:36)
[5] Act.5 静かに移り行く[シラサギ](2013/08/08 16:37)
[6] Act.6 記憶か否か[シラサギ](2013/08/25 22:43)
[7] Act.7 刻々と這い寄る脅威[シラサギ](2013/09/06 16:32)
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[37669] 【習作】進撃の狂人【進撃の巨人二次 オリ主転生】
Name: シラサギ◆22380c34 ID:7484cfdc 次を表示する
Date: 2013/08/10 12:23
 転生。
 すなわち、輪廻の如く終わらない人生。一つの世界線で天寿を全うすれば、また違う世界に生まれ、生きる。通常なら天国で浄化されてまっさらにされてから生き返るものだろう。現在はレイ・ウィザードと名を儲けているこの身体にも、記憶が消されて魂が洗われた透明な生命が入るはずだった。
 だが、レイは既に数百回に及ぶ転生を繰り返している。最初に死亡した世界から次の世界へ、記憶も精神も全て引き継いで新しい人生をスタートさせる。きっと羨ましがる人も多いだろうが、そんなものは最初の一、二回だけだと定言しておこう。

 ――終わらないんだ、この輪廻は。

 どれだけ善行を積もうとも、悪行に身を寄せようとも当たり前のように次の人生が待っていた。一度は自ら命を絶ったが、結局転生してしまう。まるで神がレイに生きることを強いているように、全てを引き継いで再び生まれるのだ。
 もしかしたら、何か条件があるかもしれない。そう考えて今まで色々なことを試してきたが、目覚しい成果は何もなかった。
 もう、気が触れてしまいそうだ。数百回の人生にて得た友も恋人も、今では区別がつかないほどごちゃ混ぜになってしまった。

「どうでもいいや。どうせ今死んでも次の世界が待っているんだ。……だから、遠慮しないで食べていいんだよ」

 冷めた顔をしながら、レイはこちらに進行してくる巨人に向けてそう吐き捨てた。大きさは7mくらいか。性器のない男性のような体躯、ぎょろりと気色悪い眼。それらを目にして恐怖が全くないとは言わない。第一こんな怪物を見たのはこの世界が初めてだ。
 でも、レイには次の人生が待っている。今回は稀に見るハズレな世界線であったから、次はもう少し平和なところがいいなぁと、そう考えながら巨人の腕に収まった。高温の指に身体を持ち上げられる。生命の終わりとともに、

『ねえ、もしかしたら神様は世界を救って欲しいのかもしれないわよ?』

 これが走馬灯というやつだろうか。大きな口へ放られる寸前に、レイの脳内へそんな言葉が響いた。一体どこの世界の誰だっただろう。エリス? ミリア? ……やめよう、これではまるで遊び人みたいだ。

 
『……それはおかしいんじゃないかな。救うなら勝手に救うでしょ、神様なんだし』
『きっと神様だってどうにもできないことがあるのよ。だからあなたみたいな人をいろんな世界に向かわせているんじゃない? ……じゃあ聞くけど、あなたは世界を救ってみたことがあるの?』
『……ゴミ拾いのボランティアに参加したことなら』
『ほら、まだ試していないじゃない。きっとそうよ。世の中に意味のないことなんてないんだから、あなたが生き続けるのにも意味があるはずでしょう?』
『でもさ、一体何をしたら世界を救ったことになるの?』
『それはその世界によって違うに決まってるじゃない。……でもそうね、しいて言うなら英雄になることじゃないかしら』
『英雄?』
『端的に言えば、人類のために身を捧げて語り継がれるような人になれってことよ。まあ、普通の世界じゃ難しいかもしれないけど、あなたなら大丈夫』

 この記憶を、なぜ今まで忘れていたのだろう。自分は転生者なんだ、という戯言を処理せずに親身になって聞いてくれた彼女のことを、どうして忘れられたのかレイには不思議だった。同時になぜこのタイミングで思い出したのかも、わからない。
 しかしこの輪廻を断ち切れば、天国に行ければ彼女の声をまた聞けるのだろうか。

「諦めた、つもりだったんだけどなぁ……」

 巨人の豪腕に圧されながらも、レイはそう呟く。死んではいけないと促すような彼女の言葉を思い出したら、ほんの少しだけ足掻きたくなってしまった。それに、彼女の言った英雄になるにはこの世界は打ってつけかも知れない。人類共通の敵である巨人を殺し尽くせば、レイは人類にとって世界を救った人間となれるのだから。
 やるからには、思いっきり暴れてやろうか。

「……行くよ」

 両腕に力を入れ、今にも握り潰さんとしていた巨人の手を抉じ開ける。巨人には人を食う以外何の感情も理念もないと思っていたが、レイの馬鹿力に存外驚いているようだった。こいつは奇行種というやつだろうか。
 ともかく、動きが止まってくれるに越したことはない。レイは巨人の両手からするりと抜け出し、全力で右拳を振るった。常人としてはありえない速度で打ち出された拳は、7mもの巨体を軽々と吹き飛ばす。だが騒音を嗅ぎ付けられたのか、3mから10mクラスの巨人が群れを成すようにして、レイの周りに集まって来ていた。
 丁度良い。超大型巨人により放置を余儀なくされたシガンシナ区、鎧の巨人によって壁を貫かれたウォール・マリア。このどちらもに入り込んだ巨人をたった一人で駆逐することができれば、レイは人類に崇められることだろう。崩壊した壁を塞ぐ術はないが、レイがそこで陣取って巨人を殺し尽くし、その間にのんびり壁を塞いでもらえば問題はない。

 早くもルートが見えた。そう思ってにやりとレイが微笑した――その刹那。

「……! ゲホッ、ゴホッ!?」

 
 全身に激しい痛みが走り、レイは膝を折って咳き込んだ。口に手を当てると、赤い液体が右手を染め上げる。それが鮮血であるということに気づいたのは、数瞬後のことだ。

「どういう……ことだ」

 
 こことは全く違う世界で身に付けた能力であるが、覚えた世界線では問題なく使えていた。それから数百年は普通の人間に解け込むために使用していなかったが、用法を間違えているはずはない。それに、一度は7m級の巨人を吹き飛ばしたのだから、問題なく作用しているはずである。
 まさか、この肉体が脆すぎるから?
 理由はわからない。しかし、一度使うだけでここまでのデメリットを被る力など使いものになるわけがなかった。こんなものを使用し続ければ、ウォール・マリア奪還どころがここでレイが食われる危険性だってある。
 だが彼女の声を聞いた手前、この世界を簡単に放棄する気などレイにはなかった。

 
「……力がいる」

 
 不安定な能力に頼らなくてもいいくらいに、強くなる必要がある。この世界の戦闘技術を学び、同時に肉体も鍛え上げるんだ。世界中の巨人を死滅させ、ちゃんとした手順を踏んで死ぬために。
 
 ドシン。
 地響きに振り向けば、既に巨人共は目の前まで迫ってきていた。気持ちの悪い巨体とニヤついた顔付き、それと人間と酷似した体躯に相応な嫌悪感をレイは抱く。
 こいつに襲われるというのは、きっと震えるほど怖いはずだ。今回の騒動で多くの一般人が泣けど叫べど問答無用に捕えられ、数体の巨人に貪り食われる様をレイは想像した。巨人には恐怖などない。だから同族である巨人が殺されても何にも感じずに人類への攻撃を続けるのだろう。
 しかし、人類はそんなに屈強ではない。仲間が間近で食われる様を見たならば、きっと色々な感情を覚えるはずだ。それが巨人に対する怒りか、それとも恐怖かは人によるだろう。それでもそんな状況下で冷静な判断を下せる人物が多いとは思えない。

「ゆえに人類は巨人に後退を余儀なくされている、のかな。……まあ、次はこうはいかないよ」

 迫り来る巨人どもにそう言い放ち、レイはゆっくりと両手を広げる。残念ながら、テレポーテーションなんて便利な技は転生したどの世界にも存在し得なかったため、会得することができなかった。レイに使える移動手段はせいぜい、このくらいだ。

「……待ってなよ。今度僕が姿を現すとき、後退するのはお前らだ」

 捨て台詞に似た死刑宣告を告げる。そしてウォール・ローゼへの後退を決意し、白銀の翼を生やしたレイは壁の内側へと飛び去ったのだ。










 Act.0 残酷な世界を転生者は行く








 
 
「貴様は何者だ!」
「シガンシナ区出身! アルミン・アルレルトです!」
「そうか、馬鹿みてぇな名前だな! 親が付けたのか!」
「祖父が付けてくれました!」
「アルレルト! 貴様はここに何をしに来た!」
「人類の勝利の役に立つためです!」
「……そうか、ならば貴様には巨人の餌にでもなってもらおう! 三列目! 後ろを向け!」

 ……教官冥利に尽きる奴らよ。
 整列して並ぶ訓練兵を次々と罵倒しながらも、キース・シャーディスはそう考えていた。生産者を『腰抜け』と抜かす世論に流されてここへ来た訓練兵は大勢いるだろうが、今期は顔付きが違う者が多い。恐らくはウォール・マリアが堕ちたことで地獄を見た奴らだろう。
 だが、死に優るとも劣らない経験をすることは大切だ。世間からの体裁を守るために来た奴らは早々と天に召されるだろうが、生で巨人の獰猛さを見た者はここで必死に戦い方を学ぶだろう。
 ――グリシャ、お前の息子もな。
 今期は期待できるかもしれない。そう感じたキースは意気揚々と特徴的なボーズ頭の前に立った。

「貴様は何者だ!」
「ウォール・ローゼ南区ラガコ村出身! コニー・スプリンガーです!」

 
 その敬礼姿を目にしたキースは、コニーの頭をがっしりと掴み上げた。ミシミシと音を立てるコニーの頭を余所に、キースは至って真面目な様相で正す。

「逆だ、スプリンガー。貴様の心臓は右にあるのか……?」
 
 そこから、心臓に手を当てる敬礼の意味について説明する。実は数時間前に『公に心臓を捧げる』という意味を伝えたばかりなのだが、こいつは真正のアホなのだろうか。本当に今期に期待してよいものか。そうキースが少し悩みながらコニーへ小言を垂れていると、異様な光景が目に入った。
 芋を、食っていたのだ。
 少し長い黒髪をした少女だ。キースという教官がこれほど近くにいるのにも関わらず、その少女は蒸かした芋を頬張っていた。一応気を使っているようだが、バレないとでも思っているのだろうか。

「……おい、貴様。何をしている」

 ギロリと睨みつけながらのキースの問いに、少女は一瞬だけ動きを止めた。しかし、自分に言われていないとでも思ったのだろうか。少女は再び何食わぬ顔で芋を食し始めたのだ。
 堪忍袋の緒が切れる、という奴だろう。キースは拳を握り締めながら、息を吸って怒号を飛ばした。

「貴様だ! 貴様に言っているんだ! 何者なんだ貴様はッ!!」
「!?」
 

 ようやく対象が自分であると気づいたらしく、黒髪の少女は意気揚々と左胸の心臓に右拳を宛がった。今まで食していた芋を持ちながら。

「ウォール・ローゼ南区ダウパー村出身! サシャ・ブラウスです!」
「貴様が右手に持っているものはなんだ?」
「蒸かした芋です! 調理場に丁度頃合の物があったので、つい!」
「貴様……盗んだのか? なぜだ、なぜ今芋を食べ出した……?」
「……冷めてしまっては元も子もないので、今食べるべきと判断しました」
「……イヤ、わからないな。なぜ貴様は芋を食べた」
「? それは……何ゆえ人は芋を食べるのか、という話でしょうか?」

 世界が、静止を余儀なくされた。
 今まですっと前を見据えていた訓練兵も、横目でサシャ・ブラウスを見ながら固まっている。対するキースもあまりの馬鹿さ加減に目を見開いたまま動けないでいた。
 しかし、その中で一人だけ動く者がいた。当の本人であるサシャ・ブラウスだ。サシャは唐突に「……あ!」と何か気づいたかのような声を上げ、右手で持っていた芋を半分に割った。そして舌打ちの後により小さい方の芋をキースへと差し出したのだ。

「半分……どうぞ」
「半……分……?」
 
 してやった、と言いたげなサシャの表情を見て、キースは刑罰を頭に浮かべ始めた。本日の飯抜きは確定事項として、どうせなら訓練所の周りを死ぬ寸前まで走ってもらおう。そう思ってサシャに刑罰の内容を告げようとしたところで、キースはあることに気が付いた。

「……ブラウス。貴様の隣はどうした?」
「へっ? え、えっと、最初から空いてましたけど……?」

 すっぽりと空いたサシャの右隣に、キースは違和感を覚えたのだ。
 今日は訓練兵は全員出席予定で、体調不良や怪我が原因の欠席はないと最初に報告は受けていた。土壇場になって体調を崩したのなら、許されると思っているのだろうか。むしろ体調管理もできぬ馬鹿野郎などもっての他だ。
 これは、そいつにも刑罰を考えねばなるまい。キースがそう考え始めた矢先に、その声は全体へ轟いた。
 
「すいませーん、訓練生が集まるところってここで合ってますかね?」

 振り返ると、遅刻だと自覚しているとは思えない速度で少年がのそのそと歩いて来ていた。訓練兵の装束を身に纏い、寝癖の付いた黒髪が風で揺れている。数時間前の敬礼作法についての話を聞いていなかったからか、少年はコニー・スプリンガーのように右側へ手を当てていた。そして余程寝起きで腹が減っているのだろう、サシャ・ブラウスのように蒸かした芋を頬張っている。わざとやっているとしか思えない。
 訓練兵は、いやキースすらもサシャが最も今期の中で問題児だと思っていたが、その認識は改めねばならなかった。遅れてきた少年へと、キースは問う。

「……貴様、何者だ?」
 
 顔付きを見ればわかる。この少年は通過儀礼を行わなくても良いほどに修羅場を潜っているだろう。ゆえにキースは儀礼などではなく、単純に少年の度量を計りきれなかったから『何者だ?』という言葉を繰り出したのだ。

「何者……? 自己紹介ですか?」
「あ、ああ。そうだ」

 厳密には違うのだが、キースはこくこくと頷いた。この少年に自主的に発言させたらどうなるか、それが気になったのだ。
 キースの思惑などいざ知らず、少年は少し考えてから口を開いた。 

「……えっと。シガンシナ区出身の、名はレイで姓はウィザード。僕は、この殺伐とした世界を救うために訓練を受け、強くなりにきました! 以後よろしく!」
 
 にこっ、という満天の笑みを見た限り言葉に偽りはないのだろう。シガンシナ区出身ということを踏まえてどこか自信に満ち溢れている風貌を見ると、単なる問題児という言葉では言い表せないとキースは思った。
 
 とりあえず、キースはレイ・ウィザードにサシャと同じ刑罰を言い渡したのだが。



















 後書き

 単なる転生ではありきたりかと思い、こんな感じにしてみた。反省はしていないです。若干最強系な物語を書いていこうと思っています。
 ちなみに、ストックなんて存在しないです。

 
 追加コメント
 2013年5月29日よりハーメルンにも掲載を始めました。


次を表示する
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.024964094161987