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No.37496の一覧
[0] 【習作】私の欲したリビングゴスロリ(現実ファンタジーもの、勘違い、オリジナル)[ケチャ](2013/09/07 00:17)
[1] 食事は辛いよ[ケチャ](2013/09/07 00:27)
[3] 理不尽[ケチャ](2013/09/07 00:28)
[4] 首ぽろり殺人事件[ケチャ](2013/09/07 00:41)
[5] 振り返れば、ゴスロリ服[ケチャ](2013/09/07 00:21)
[6] 魔物の恩返し[ケチャ](2013/09/07 21:27)
[7] ゾンビって何[ケチャ](2013/09/10 05:33)
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[37496] 【習作】私の欲したリビングゴスロリ(現実ファンタジーもの、勘違い、オリジナル)
Name: ケチャ◆4b02ae95 ID:c1b7b4d5 次を表示する
Date: 2013/09/07 00:17
なろうから引越ししてきました、誤字脱字などはたくさんあります。
設定は時々ぶれるかも知れません、更新ペースは遅いと思いますがよろしければ感想などお待ちしてます。
8/30 だみぃひろいんからタイトル変更
9/07 全体的に改訂


『日本の歴史』

日本側の年数に直し、30年程前。
理由も判らないまま異世界との扉が繋がってしまった地球であるが、初めて異世界の国と国交が成り立ったのは偶然に偶然か重なった結果日本であった。
発端は異世界の国の一つ、リクラス帝国においてのクーデターであり、帝国は首都を軍に包囲され、陥落の危機を迎え皇帝とその一人娘の命運が尽きようとしていた。
逃げる場所も無く覚悟を決めていた二人であったが、突如として皇帝が座っていた玉座に穴が開き、皇帝が落下し、それを見て呆然としていた王女もこのまま捕まり捕虜となり、慰み者になるぐらいなら、と玉座に開いた穴に身投げした。

そして二人は会議中の国会に転がり落ちた。
首相も国会議員達も警備員もテレビ中継していた者も、国会中継を見ていた人間もいきなりブラックホールのような穴が空き、誰かが転がり落ちてきた様子を見て、一体何が起こったのかと混乱し、次に目を疑った。

それもそのはず、リクラス帝国はスライムが皇帝のモンスターの帝国であり。
皇帝は人型の形を取りマントを付けてはいるものの、黒い半透明なスライムであったのだ。
一人娘はピンクのスライムであったが落下の場所が悪く、頭から落ちたためか衝撃で気絶していた


リクラス帝国の皇帝サシューも、日本側の首相も初めは何が起きたかわかっていなかった。
お互い混乱に混乱を重ねていたが、初めに気を取り直し、一つの結論に行き着いたのは異世界の皇帝であるサシューであった。

『どっかに召還されたのでは無いだろうか』と。

日本側は地球には魔法なんて物は、この頃は存在していなかったため、テロだの生物兵器だの宇宙人の侵略だの、異世界からスライム召還をしただの。
世界で一番漫画や小説、ファンタジー小説が定着している日本は答えにたどり着いていたのだが、それが本当の答えなんてわかるはずも無く、ただただ混乱していた。

人間が混乱している光景を見たサシューは、相手にとっても予想外な事が置き。
なおかつ聞いたことが無い言葉を使っていたため、別の大陸にでも召還されたと考えた。

そして、言葉が通じない相手との通訳魔法を使い、意思疎通を図り。


日本は、地球はファンタジーの道を歩む事となる。
大量の被害者と加害者を発生させながら…。







『あの、もしかして…完全完璧に死んでますか…?』


                         下校時の一言より









 『この日記が見られる頃には、私こと君塚由葵は死んでいるだろう。』









 『と、思わせぶりな事を書いてみたが、人の日記を勝手に見ないでくれたまえ。
 人には知られたくないことが書かれていたりで、見られたことを知ったら恥ずかしさのあまり首をくくりたくなるかも知れん。

 実際、隠れて見られない限りは、この日記は私の死後に遺産整理とかで見つかるかも知れないが。
 その時は、見なかったことにして焼却処分して貰いたい。

 私だって乙女だ、人に知られたくない秘密ぐらい山のように持っている。
 白い歴史も黒い歴史も、赤い歴史も、様々な種類の歴史がある。

 …いつまで見ている?
 さっさとノートを閉じたまえ。
 重要なことなど書かれていない、さっさと閉じろ呪い殺すぞ貴様。


 普段とキャラが違うな…と思うかも知れないが、私は文章だとこんなものだよ。
 いいからさっさとノートを閉じろ!』







 『ということで一ページ目だ。
 何日続くか判らないが一日一ページを基本としたい。

 日記を書こうとした理由は簡単だ。
 私は将来、小説家というものになってみたいのだ。

 この世界には様々な職種があるが、私はその中で小説家と呼ばれる職業になりたい。
 だから文章を書くきっかけを手に入れるために日記という物を書いてみることにした。

 もしかしたら、日常生活において物凄いネタが転がっているかも知れない。
 都心部では日々犯罪や戦いが行われていて豊富なネタが転がっているが、田舎であるここではそんなことは滅多に無い。

 その滅多に無い機会を拾うために私は日記を書く。


 で、だ。
 今日は初めての日記だ。
 現実的に考えて、人々を夢中にさせれるようなネタは手に入りにくい。
 しかし一年近く書けば流石に一つぐらいはネタを拾えるだろうと思っていた。

 本当なら手に入りにくいはずなのだが、初めて日記で何を書こうか迷っていたはずなのだが。



 見てはいけないものを見てしまった。
 キングオブ見てはいけない物とでも言うのだろうか。
 それとも見てはいけないものestとでも英語っぽく書くべきなのか。



 1ページ目に重要なことなど書かれていないなどと書いてしまったが、初日からとんでもないものを見てしまった。
 あの場で声を出していれば、私は日記を書くことは無く、この日記も一ページ目だけで終わっていたはずだ。
 死ねば何も書けないのだから。

 …ああ違うか、死霊術師がいれば書けることは書けるか…私の意思人格は別として。

 そんなことは置いておき、見てはいけない物だ。
 偶然だったのだ、放課後だけど学校に寄るかなと思っていた時、クラスメートを見つけたのだ。
 いつも私に良くしてくれるクラスメートの筆頭であり、仲自体も良い。

 学校をサボっていてふらついていたわけでは無く、今日は一ヶ月に一度の通院日。
 といっても別に検査をするわけで無く、病院に行き、怪しい女の先生に何かの検査をして薬を貰うだけだ。

 この女の先生、何が怪しいって客層が怪しい。
 普通の病院ならおじいちゃんおばあちゃんがメイン客層なはずだけど。
 この病院は怪我まみれの、人間ではないような体格のおっさんまみれで、私のような少女は私以外いない。
 母親にここに行くよう命じられているが、理由は深く考えたくない。

 下手に首を突っ込んで良い事があるとは思えない。

 心当たりがあるならば…ああいやなんでもない。
 多分気のせいだろう。

 とにかく、私は自分のことを知ろうとしなかったため、まったくもって自分の身体の事を把握していない。

 知るのが面倒になって「体が悪い」って認識程度でもおかしくない。
 私からしたら特に問題ないんだから。

 でも、他のクラスメートからしたら私が何故病院に通っているかが気になるらしい。
 何の病気なのといわれても、細胞が…だの、バランスが…だの詳しくわからないからはぐらかしていた。


 結果、人に言えない重病を持っていると認識された。
 宿題を集めノートを持っていこうとすると、周りにいる人が持ってくれる。
 寝不足で顔色が悪いとすぐに保健室に連れて行かれる。

 初めはちょっとしたお嬢様の気分だったのだが、どんどん引っ込みがつかなくなった。
 私も病弱っぽいふりをしていたため、勘違いは更に悪化した。

「君塚さんは大学まで生きられない身体だったらしい」
「それどころか高校生活すら危なかったらしい」
「余命僅かだったらしい」
「魔法が無ければ今にでも死ぬ身体らしい」
「魔法でも完治できない死病の持ち主らしい」
「短い間でもいいから学校生活を楽しませてあげよう」
「身体の負担になることはしないよう気をつけよう」
「少しでも困っていたら助けてあげよう」


 だので、私は不治の病を持っているということになっていて、定期的に治療魔法をかけてもらわないとダメな身体。
 いまさら身体が元気アピールをしても、誰も信用してくれない、病弱キャラを撤回したら嘘つき女と言われ、いじめられそうだし…



 皆が私に優しくしたくれたのが悪いんだ。
 私はそんなに悪くない、はず。

 にゃああああああああああああああ

 思わず口癖がでる。
 猫が好きというわけでも無いが、思わずにゃああああと口にでる。
 理由はよくわからないが癖なんてそんなものだろう。

 …まあ原因は間違いなくアレだと思うのだが。
 いや気のせいだ、うんきっと気のせいだ


 勘違いは怖い、怖いのだが。
 そんな勘違いはいまはどうでもいい。


 今日見てしまったとんでもないことだ。


 私は視力が良い。
 両目で2,0以上はある、ようなきがする
 学校近くの人気の無い住宅地を通っていると、クラスでムードメーカーの委員長が歩いていた。
 あだ名が委員長なだけであって実際は帰宅部だ。

 そんな委員長であるが
 いつもの元気そうな顔では無く、頭が逝ってる感じの楽しい顔をしていた。

 遠くのほうだったから、私がいた事には気がついてなかったとは思う。
 気が付かれているとやばい。

 なんとなく、気になったというか、何かありそうだから委員長の後ろについていった。
 新しくたったばかりの住宅地であり人はほとんど住んでいないところに何のようがあるのだろう


 そう思っていたら人間の悲鳴が聞こえた。

 悲鳴が聞こえた瞬間私は焦った。
 彼女に何かあったのかと思って悲鳴の先に向かうと、人間に乗りかかり何かをしている委員長を見つけた。
 辺りは血まみれだった、震えまくる足を引きずって即座に隠れた。

 最初のうちはうるさかった人間の女の人は、次第に何も声をあげなくなり、最後に小さな断末魔をあげて動かなくなった。


 ひとがひとを殺す殺人現場だった。
 委員長はあたり一面に血まみれにも関わらず、何故か血を浴びてなかった。
 何かの能力なんだと思う。
 こんな田舎に能力者なんていたのかとちょっと驚いた

 そしていつもの楽しそうな表情でその場を立ち去っていった。
 委員長はいつも通りだった、何もかも、仕草も、表情も。

 呆然としていたせいで、あの場でおきたことは割とうろ覚えなのだが。
 見つからなくてよかった。
 本当によかった、見つかったら絶対私も転がってる死体と同じことになっていた。




 で、だ。
 私は何を血迷ったのか、死体を確認しにいこうとしてしまった。
 足が震えてたせいで、石に躓き転んだ。

 血まみれの死体に倒れこみ、突き刺さっていたナイフが手にかかり、服やら足に血がついた。
 慌てて離れて、慌てて帰ってきた。

 途中クラスメートに出くわして混乱していたせいか、何を言ったのかは覚えていない。
 血がついた上着は脱いでいたし、何故か持ってきてしまったナイフは上着にくるんでいた。

 帰ってからスカートと足にも血が付いてたことが判明したが、転んだ時にできた傷とでも思うだろう。


 実際私は何もしてないのだ、もし逮捕されたとしても、無罪で済むはずだ。
 ああでも逮捕されるとまずい、逮捕されたらいろいろまずい。
 冤罪で死刑になってしまう可能性だってある。


 とにかく今は殺人をしていることを知ってしまったことをどうするかが問題だ。
 表情にはださない自信はある。
 隠し通せるはずだ、何かを隠してるということはばれると思うが。

 私と委員長はそこそこ仲が良い。
 良いはずだと思う、親友だったら見逃してくれないかなあ…。

 死因、クラスメートの殺人を見て証拠隠滅のためとは笑えない。

 とはいえ、あちらからはこちらが見えなかったはず。
 見えてないはずだ、不安で不安で仕方が無いが、その結果は翌日わかるだろう。

 学校にいって出会って、何か起きればばれていて、何も起きなければばれていない。

 どうして私はあの時、住宅地なんかに行ってしまったんだ。
 そうすればこんな目にあわなかったというのに。

 女子高生になったばかりというのに、いきなり死にたくない。
 彼女が人を殺してる場面なんて見たくなかった。
 ただの人のいい委員長だとおもっていたのに、何がどうしてああなっているのだ。
 そういうのは田舎には無縁のものだろうに。

 確かに、今の世の中
 魔法使いだの、魔物だの、怪人だの、悪の秘密結社だの、正義の味方だの日本では様々な戦いがあり、テレビで放映もされている。
 アニメでは無い、現実に起きていることだ。
 でもそれはこんな田舎では無く、都会の出来事だ。

 正義の味方に憧れた時期もある。
 元の素材を生かし戦うために体を鍛えた時期もある。
 そこそこ自信はあるつもりだ、そこそこは。

 いざ敵に襲われたら、そう簡単には負けない、はずだった。
 気配には敏感だし、動きも早いし、そこそこ強いのだ私は。
 でも、実際現場を見たら無理だとわかった、体の震えが止まらないし、戦う気も起きない。

 いくら身体能力が勝っていたとしても
 殺す気の子供に、殺す気のない大人は勝てない。
 お互い殺す気の正義の味方と悪人は凄いと思う、相手を殺せるというのはすごい決断がいる行為だ。

 警察に捕まってしまえば、こんな心配もすることはないが。
 あの場で私がいるのを知っていて、わざと見逃されていて、言ったらばれて殺されるかも知れないから怖くて誰にも言えない。
 しかも相談相手が誰もいない、他の同級生がグルの可能性や、彼女にばれて二人揃って殺されると思うと相談ができない。

 考えれば考えるほど、ゆううつになってきた
 というより怖い、ゆううつという漢字がわからない。




 あった憂鬱だ。
 携帯で調べた。




 私が通報すれば彼女は捕まるだろう。
 何人殺したかわからないが、殺人なのだから死刑になってくれると思う。

 でも、もし死刑にならなかったら怨まれて殺されるかも知れない。
 かといって自分の中に溜め込んでいると何かの拍子に口が滑りそうだ。
 そう考えると、怯えながら日記を書く以外に方法は無い。

 もし私が正義の味方ならば
「どんな理由があるかは知らないけど…止めるよ友人だから」
 みたいなかっこいい台詞を言いながら、委員長を止めるかも知れない。

 でも無理、怖い。
 普通の人間と思っていた委員長があの瞬間から、とてつもない化け物に思えてきた。
 明日からどうしよう、へんな対応したらばれる。
 とにかく黙っていよう、犠牲者増えるかも知れないけど、わたしが襲われても逃げることはできる、はず。

 99人の知らない人間より、1人の自分の命が最優先だ。
 知らない人間のために私が犠牲になるなんて絶対に嫌だ。


 あの場に遭遇してから何時間もたったのに、何かしてないと頭がおかしくなってしまいそうだ。
 人の殺意がこんなに怖いものだとは知らなかった。

 私には向けられてない、誰か知らない人間に向けられたそれは
 心臓を鷲掴みにされたように感じ、呼吸を忘れるほどだった。
 何だあれは、私はあんなもの知らない。

 …わたしのお母さんとお父さんが怒ったときもあんな感じだった気がする。
 殺人してるひととおなじぐらいこわいってどういうことなのよ
 元々それとかあれ関係だったり、しないよねまさか。

 あと、大事なこと。

 この刺さってたナイフどうしよう。
 慌ててたせいで持って来ちゃったけど、なんで持ってきちゃったんだろう。

 血まみれだよ、持つところは微妙にぬれてないけど血まみれだよ
 もう乾ききってるけど血まみれだよ

 どうやって隠そう。
 親に見つけられても、終わってしまう。

「まさかあの子が…」みたいな勘違いされたら色々終わる。

「いっそ私たちの手で」みたいなことになってしまったら本当に殺されてしまう。
 違うよおかあさんわたしはやってない、やったの委員長だよ。

 考えれば考えるほど怖くなってきた。
 今日は眠れそうに無い。

                                          一日目 終わり。  』                   



『10月10日 21:32(日本時間) 豊下市。君塚由葵の自室』



「眠れそうに無い、と」

 学校の赤色のジャージを着ながら机に座り、日記を書いている一人の白髪の少女。
 外出嫌いなのか肌はまったく日焼けしておらず、目を離してしまえば、そのまま家に帰ってしまいそうな自堕落そうな雰囲気。
 見方を変えれば病弱で雪のような肌を持ち、今にも溶けて消えてしまいそうな儚さと、庇護欲を感じさせる少女。

 眠たそうな細い目に、クラスメーと達に口が滑り余計なことを話さないように閉じている口、時折思考が停止し動かなくなるいくら食べても太らない細身の身体。
 皆を母親のような目で見て、歯を食いしばっていて、皆に心配させないよう調子が悪いであろう身体で無言で耐えている少女。

 先入観という物は時に誤解を生む。
 価値が無い壷でも価値があると思えば、それはその人物にとって価値ある壷であり。
 病弱だと思われてしまえば病弱であり、余命が少ないと思われたら余命は少ないのだ。

 そんな勘違いをされている少女、君塚由葵はひたすら悩んでいた。

「にゃああああああああ、もうどうしたらいいのよ」

 持っていたボールペンを机に置き、頭を抱える由葵。
 その行為はとても慣れ親しんだ動きであった。
 何度も、何年も頭を抱え続けたのだろう、その行為は「私とても困っています」と一目で判るほど困っていた。
 殺人現場を見たのだから困るのも当たり前なのだが。

「良い人だと思ってたのに、明るい馬鹿系の賢いキャラだと思ってたのに、殺人鬼キャラだなんて思ってなかったわよ」

 頭を抱えたまま天井を見上げ首を振りながら、呟く。
 彼女のことを勘違いしてるクラスメートが見たら「死にたくない、私はもっと生きていたい」などと言ってるに違いないというぐらいの悲壮感溢れる行動だ。


「こうなれば学校が秘密結社のテロで壊滅するのを期待するしか…」

「違うわね、魔物に襲われて委員長が死ねば…」

「私がいないときに、異世界に転移してしまえば…」

「全部、夢だった、それで押し通せば…」

「そうか、あれは胡蝶の夢…委員長が殺人している現場は蝶の私が見てた…そうに違いない…」

「夢なら完璧ね、そうか全部夢だったんだ」

 由葵が住む日本社会であれば、僅かな可能性があることを次々と提案していく。
 提案するだけで実行する行動力も地位も何も無いのだから、想像するだけ無駄であるにも関わらず。
 由葵に出来ることは現実逃避ぐらいであろうか。
 全てが夢だった、そうすれば今日の出来事は全てなかったことになる。
 しかし。

「…血塗れのナイフ」

 上着に包んで持ってきてしまった血塗れのナイフ。
 これが今日の出来事が現実だったことを表している。

 夢の出来事ならば、今この場に血が固まり赤黒くなったナイフなどあるはず無いのだから。

「夢と思ったけど夢じゃなかった…にゃああああ、もう誰か助けて!」


 由葵が喚き苦しんでいるその時、自身の携帯にメールが届いたのだが、気が付くことは無い。
 それどころでは無いのだ。

 とはいえこのメールに気が付かなかった由葵は幸運であると言える。
 何しろメールの送り手である幼馴染の少女が由葵を殺すために呼び出したメールだったのだから。


「スノウちゃんなら、スノウちゃんなら何か良いこと考えて…だから相談できないにゃあああああ」


 そうとも知らずゴスロリ服を着た変な話し方をする自称知能派の幼馴染の少女を頼ろうとする由葵。




 これは、勘違いされ、勘違いされ続け、引くに引けなくなった少女の物語である。


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