<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

チラシの裏SS投稿掲示板


[広告]


No.36636の一覧
[0] 【一発ネタ】ラウラさんのご機嫌な休日 【IS インフィニット・ストラトス】 [unt](2013/01/26 16:45)
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[36636] 【一発ネタ】ラウラさんのご機嫌な休日 【IS インフィニット・ストラトス】 
Name: unt◆864d9cc3 ID:89442ecb
Date: 2013/01/26 16:45
 私だ、ラウラ・ボーデヴィッヒだ。私は今、単独任務に就いている。

「全部~愛しって欲しいの~♪」
 スキップしながらランランと歌を口ずさみ廊下を走っているのは任務についていると思わせない為の偽造工作だ。決して嬉しいからこぼれ出る笑みが止まらないからではない。

 そう、今日は珍しく休日だというのに箒もシャルもセシリアも中華も出払っているから一……ターゲットと接触するチャンスだとクラリッサも助言してきたので楽しみにしているわけでは決してない。

「ずぅ~っと大切にして欲しいの♪」
 これも然り、早くターゲットに会いたいわけではない。これはあくまで偽造工作なのだ。もうそろそろターゲットに会えることから更に笑みが止めどなく溢れ出ている。

「ぎゅぅ~っと抱きしめて欲しいの♪」
 ターゲットの部屋を確認、これより突入する。ふふふ……待っていろ、一……ターゲット!
 慎重にドアの前まで忍び歩きをし、ターゲットにばれないように移動する。
「すぅー……ふぅー……」
 興奮した心を深呼吸で落ち着かせ、音を立てないようにドアノブを握り締める。よし……準備は出来た。


「一夏!今日は私と―――ん?」
 そう言いながらドアを開けてみるが反応がない。……いないのか?いや、椅子に座ってる……?
「一夏……?」
 問いかけてみるも、返事が返ってこない。……? 何か様子がおかしいな。

「一……ッ」
 そう言いながらこっちを一夏を正面から見ていると――――寝ていた。どうやら疲れきっているせいか、気持ちよさそうに寝ている。
「全く……こんな所で熟睡すると風邪を引くぞ?」
 そう言いながら一夏の肩を抱え、一夏を抱き起こすが起きる気配が微塵もない……可愛い奴だ。仕方ないのでこのままベッドに一夏を運び、布団を掛けてやる。
「手のかかる嫁だな……本当に」
 ぐっすりと眠る一夏は無邪気な子供のように憎らしいほどに可愛らしくて――――その寝顔を見下ろすと一夏の唇……

「いや、しかし私にはまだ覚悟がっ……!だがっ……」
 だが、このチャンスを逃すと一夏の目が覚めてしまうかもしれない。だが、まだ心の準備がっ……!
「そうだ、クラリッサに相談だ!」
 思いついたが吉日、ケータイを取り出すと一夏を起こさないようにクラリッサの番号を押し、電話を掛ける。

「大尉?私だ」
「どうしたんですか? 急に電話を掛けてきて……」
「いや、それがだな……かくかくしかじか」
 簡易暗号を使いクラリッサに今おかれている状況、その他諸々の状況を伝えた。
「なるほど……」
「ど、どうすればいい?支援を」
「この……愚か者!!」
 突如クラリッサが言葉をさえぎり、大声でこちらを怒鳴りつけてきた。慌てて一夏の様子を確認してみるが、どうやらよほど疲れていたのかまだぐっすりと熟睡しているらしい。

「し、静かにしろクラリッサ!ターゲットが起きてしまう!!」
 出来る限り小声でクラリッサに叱責するも、更に炊き付けたのか語調が更に荒い調子で返してきた。
「なぜこの状況でアタックをかけないのです!?フラグがビンビンに立ってますよ!?」
「ふ、フラグ?フラグというと……手榴弾か?なぜそんな物騒なものが……?」


 そういうとクラリッサはこちらにも聞こえるほど露骨に舌打ちをしている。一応、私が部隊長でクラリッサは副隊長のはずなんだが……。
 少し落ち着いたのか、クラリッサは落ち着いた様子で話しかけてきた。
「いいですか? これはチャンスなんです、ね? 早くターゲットの布団に入って寝顔を撮って後は思うさま本能の赴くままに身を任せればいいんです」
「ほ、本能の赴くままに……?」
「私が指示できることは以上です、更新を終了します。幸運を」
 そう言うとクラリッサは一方的に電話を切ってしまった……私、クラリッサの上官……の筈なんだが……?


 しかし言われたからには仕方がない。一夏を起こさないようにそっと掛け布団を捲り、忍び込む。
 一夏の洗い立てのシャツの匂いが鼻をくすぐる。ほのかな暖かさが体を包みこみ、とても心地が良い……。
「一夏……」
 ずっと……このまま、時間が止まってくれないだろうか? このまま……ずっと、ずっと――――

「んー……」
 キュッ。
 そんな音が似合うかのように、寝返りを打った一夏の腕が私の腰に……ッ!
「い、一夏ぁっ……!」
 小声で一夏の名前を呼んでみるも反応がない。いや、それよりも私の胸の鼓動がさっきとは比べにならない程の高まり、どんどん熱くなってくる……?な、なんだこの感じはっ……いつもと一夏が違って見える。
 それに何か、私の中で激しい衝動が私の体を支配しようとして――――
「あ、頭が沸騰しそうだ……っ」
 もう、私の理性が――――


「ん……ラウラか?」
 私の理性が途切れるか、途切れないかの瀬戸際で一夏が目を覚ました。
「い、一夏っ……!」
「椅子で寝てたんだけど……もしかして、わざわざベッドに運んでくれたのか?」
 ――――一夏っ、そんなことより腕が私の腰にっ……あ、当たってっ……!
 そんな私の想いを知ってか知らずか、一夏がにっこりと微笑む。い、いかん。これを見たら私の頭が本当にどうにかなってしまう!
 慌てて視線を下に向け、目をぎゅっと瞑る。こ、これは私の忍耐を鍛える訓練なのだ! そうだ、きっとそうに違いな――――
「ありがとうな、わざわざ気を遣ってくれて」
 一夏が、私の頭に手を置いて頭を――――――!!!!!

 突如の一夏の予想外の行動に頭の思考回路がショートした私は――――
「い、一夏ぁっっ!!」
 ――――本能の赴くままに行動することにした。
「ラ、ラウラァッ!?」
 驚いて身動きの取れない一夏のマウントポジションを取り、一夏の服を一枚一枚剥がしにかかる。

「ふっ……ふふふふふっ……私が悪いのではない……一夏が……一夏があんなっ……破廉恥なことをっ……!」
「お、おい落ち着けよラウラ!目が据わってるぞ!? それにどっちといえば今破廉恥な事をしているのはお前――――」
 そこまで話しかけていた一夏の口を近くにあったタオルで塞ぎ、しっかりと解けない様に結ぶ。やれやれ、手間をかけさせる嫁だ。

「んー!んんんーー!んんんんんー!」
 ”誰か!助けてくれ!”とでも言っているのだろうが、無駄なことだ。ここは個室でしかも休日。誰かが来るはずもない。
 
「ドイツ人は体をよぉーく知っているんだぞ?一夏……」
「んっ!?んー!んんー!!!」
 ”えっ!? う、嘘だろ止めてくれ!”……ふふふ、残念だがもう私の理性だけでは止められそうにない。さぁ、もう最後の一枚だ一夏……。

「なぁ、一夏……」
「んん?」
「責任……最後までちゃんととってくれ……♥」
「んー!んん!?んー!んんー!!」
 何を言っているのか分からないが、一夏の最後の一枚に手を掛け――――

「一夏、さきほどの補習の件だが……」

「んー!んんんんー!!!!」
「一夏の……意外と大きいな……胸板」 

「……お前達、何をしている」

「ん!んんんん!」
「”ち、千冬姉ぇ!”だと……? きょ、教官!?」
 慌てて振り向くとそこには教官が!? こ、この状況は一体!?
「きょ、教官! こ、これはですね!」

 それを言い終わった直後に教官の手元が一閃、直後に私の前頭葉を中心とした部分に鋭い衝撃が走る。
「――――っ!痛ぅ……」
 頭をやられた痛みと衝撃でベッドの上を転がる私を尻目に、教官は一夏の前に仁王立ちした。
「どういうことだ、説明しろ織斑」
「ん!んん!んん!」
 必死に弁護をしている一夏の前頭部に教官の無慈悲な一撃が加えられ、同じく一夏も私と同じようにベッドの上を転がることになった。

「”千冬姉ぇ”ではなく、織斑教官だろう?」
 どうやら、あのどう考えても解読不可能な発言を教官は解読したらしい。流石は姉弟、血縁者になだけのことはある、私でさえ勘でやっていたというのに。

「ん!んんん!んー!んー!!」
 一夏が教官に何かを訴えかけ、さらに教官の一撃が寸分と変わらぬ場所へクリーンヒットした。……教官は何で一夏の頭を叩いているのだろうか、まったく手にどんな獲物を持っているのか分からない。
「まったく……ほら、大人しくしていろ。ラウラ、そこに正座しろ」
「は、はい」

 教官は一夏の口枷を解き、一夏にも私の隣を指差した。どうやら一夏も正座しろということらしい。
「これだから盛りのついた娘は……山田先生にも来てもらうからな。二人はここで待機していろ」
「「は、はい……」」

 二人で返事をすると教官はつかつかと部屋を出て行き、辺りに気まずい雰囲気が漂う。一夏に、何といえばいいんだろうか……。と、とりあえず行動だ! 行動しなければ成すものも成らない!
「い、一夏……」
「どうした?」
 くっ……! 何と言えばいいのかが思いつかない、何か……何か言うことがあるだろう! そう、たとえば……たとえ……ば? ……何があるだろうか? いや、何かあるはずだ。

「一夏……その、さっき」
 そこまで言うと、一夏手が私の頭にまた――――
「お前だって、良かれと思ってやったんだろ? まぁ、さっきは驚いたけどな」
「い、一夏……」
 私があれほどまで暴走したのに、ここまで尽くしてくれるなんて……っ! 流石は私の見込んだ嫁だ!
「おいおい、何も泣くことはないだろ?」
「な、泣いてないぞ! 泣いて……ぐずっ」
 今こうして流れ出ているのは涙ではなく……心の汗だ!

「っと……ほら、山田先生が来たぞ」
「ラウラさん、織斑君! 織斑先生からお話は聞きましたよ! そこに正座してください!」
 私が涙を拭いた丁度その後にタイミングよく山田先生がやってきた。普段温厚なせいか特段怒っているように見える。

「先生、俺らもう正座してるんですけど……」
「ううっ……と、ともかくそこに座りなおしてください!」
 先生は事実を指摘されて少したじろいだが、なんとか持ち直したようだ。
「いいですか? いくらお二人が思春期でそういう事に興味があるからといえですね、社会にはルールというものがあるのは各々重々承知しているはずです。違いますか?」
「「はい、その通りです……」」
「そういった如何わしい行為を先生は絶対に認めないわけではありません。ですがね? これだけは、これだけは言っておきたいんです……!」
「は、はぁ……」
 少し先生のお小言に熱がこもってきている、どうやら先生には私達のした行動でどうしても許せないことがあったようだ。な、何がいけなかったのだろうか……?

「そんな年齢で男の人との甘い一時を過ごすのは駄目です! 許せません! 先生がそのような時代ではですね―――――」
 そう言うと先生はお小言はどこへやら、当時の学生時代を熱弁し始めた……。
「な、なぁラウラ……」
 ここで一夏は小声で私に話しかけてきた。山田先生の熱弁は暴走になり、一人でさめざめと泣いている……よほど辛いことがあったんだろう、可哀想に。

「これ……何時まで続くんだろうな」
「私に言われても……」
 先生をチラっと見てみると、少しは落ち着いたようだが、まったく落ち着く様子はない。多分10分ぐらいはこのままなのだろう。
「待つしかないか……」
 そう言ってはぁ……とため息をつく一夏。
 と、そこに。
「山田君、ちょっと席を」
 教官が再び部屋に来て先生に席を外すように促した。さすがにそれに気づいたらしく、先生は暴走が止まり、大人しく部屋を後にした。
 それを確認した教官は、おもむろに話し始める。

「お前達の処分はとりあえず一つ」
 一つ……ということはおそらくまだいくつかの処分があるということか。
「一つってことは他にもあるのか?ちふ……織斑先生」
「そうだ、普通の高校だったら停学処分の所だったがな……いや、そんなことはどうでもいい。ラウラ」
「はい、なんでしょうか」
「お前には一人恩師がいるそうだな、私以外にも」
「恩師……ですか?」
 私に……教官以外の……恩師が、いたのか?

「ISでの、話……ですか?」
「いや、ISが開発される前から世話になっている人物だ」
 私がISを仕込まれる前から訓練を受けている恩師――――と、するともしや……
「教官、もしやその恩師は……」
「そうだ、ハートマンという名前の人物だそうだ。明日、ここに訪れて特別訓練をするそうだ」
「えっ……」

 いや、おかしい。そんなことはありえない……あの方がISと何の関係が……? そもそもあの方の特別訓練は血が流れてもおかしくはないぞ……!?
「お前達二人は、明日その人のアシスタントだ。しっかりとしごかれて来い、では解散だ」

「きょ、教官!く、詳しい説明を……!」
 懇願するも教官は颯爽と部屋を去っていった――――
「なぁ、ラウラ。そのハートマンて人は……」

 なんてことだ、あの方が来日? そもそも何故……風の噂ではあの方はもう軍を退役したと聞いたはずなのに……?

「おい、ラウラ? 聞こえてるか?ラウラ」

 とりあえず……明日か、教官の話では明日を耐えればあの方は帰るはずだ。希望的観測は油断の元だがそうでもしていないと明日を乗り越えられるか……どうか……

「おいラウラ! 大丈夫か? 熱でもあるのか?」
「い、いやなんでもない! 大丈夫だ、私は大丈夫だ!!」
 気づけば一夏のか、顔が覗き込むようにして私の近くに……!
「顔が赤いぞ? やっぱり熱があるんじゃないか?」
「だ、大丈夫だ!」
「ほら、熱あるか確かめてやるからじっとしてろって」

 そういうと一夏は更に顔を近づけてきて――――おでことおでこがぴったりとくっついて……!

「んー、熱はないみたいだな。とりあえず、外の空気でも吸いに行くか」
「わ、分かった……」
 私が頷くと一夏は私の手を優しく引きながら部屋から連れ出した……


                      ※


 一夏が連れ出したのは寮の外で、そろそろ夕方が近づいてきたらしく少し空が赤みを帯びてきた。私と一夏はベンチに腰掛け、一夏は大きく伸びをしている。

「明日……だっけ? 確かハートマン……って人が来る日は」
「ああ、そうだ。一夏には話をせねばならんだろうな……あの方の事を」
「どんな人なんだハートマンって人は? 少なくともお前は知ってるらしいけど」

「ああ、ドイツ系アメリカ人でな……私達の読み方ではハルトマンという名前だ。新兵の教育に定評がある方でな……私がドイツに居た時、アメリカでの優秀な成績をかぎつけた私達の上官が特別な教官として一時的に雇用したのだ。そうだな……教官が私にISの訓練の面倒を見てくれたのは一夏も知っているだろう、あれと似たようなものだ」

「なるほど……」
「あの方と出会ったのは今でも忘れられない」
「そうか……よほどの思い出だったんだな……」
「ああ、何せ―――――」

 目を閉じると、私の脳裏には今でもあの方と初めて出会った時の光景が鮮明に、驚くほど鮮明に蘇る。ああ、そういえばこんなこともあったな……。

「何せ――――初めて出会った瞬間から罵倒されたからな」
 そう、あの罵倒は今でも忘れられない――――


                        ※


「いいか? この男の粗末なモノしか咥えることのできない●●●●共! 私がお前等を今日から鍛えることになったハートマンだ!ここではハルトマンとも呼ぶが貴様等が呼ぶのには教官で十分だ! 命令されるまで口を開くな、言葉の前後にはサーをつけろ!貴様らにはドイツの言葉は不要だ! その程度の価値と存在でしかない! いいな?」

『サー、イエスサー』
「ふざけるな! 男のを咥える時ぐらいに口を開け!」
『サー、イエスサー!』
「貴様らは俺の鼓膜を破る気か、黙れ!」

 そう言うと教官は私達の前を通り、一人一人の顔をじっくり、じっくりと見つめ、一人の前で止まった。

「お前!お前の名前はなんだ!」
「サー! ブリギッタ・アーベルです、サー!」
「貴様の名前はお喋り雌犬で十分だ、分かったか!」
「サー!イエスサー!」

 そういった会話を何人かとし、次に教官が目をつけたのは見た目からして気の弱い奴だった。

「おい、そこのベソかき娘!お前の名前は何だ!」
「サー、クラリッサ・ハルフォーフです、サー!」
「声が小さい、もう一回!」
「サー、クラリッサ・ハルフォーフです、サー!」
「もう一回だ!」
「サー、クラリッサ・ハルフォーフです、サー!」

「同じ事を何度言わせる気だ!? ふざけているのか、大声を出せ!」
「サー!クラリッサ・ハルフォーフです!サー!」
「黙れ!貴様の名前はベソかき娘で十分だ、いいな?分かったら返事をしろ!」
「サー、イエスサー!」
「声が小さい、スクワット10回!」

 そう言うと教官はクラリッサという名前の自分とそれほど年齢の変わらない小女を全員の前に連れ出した。どうやらそこでスクワットを10回しろということらしい。

「スクワット始め!」
「1、2、3、4、5、6、7、8、9」
「その泣きそうな面はなんだ!もう10回!」
「サー、イエスサー!」
「声が小さい、もう10回!」
「サー!イエスサー!」
「返事をする暇があったら体を動かせ!もう10回だ!」
「サー!イエスサー!」

 そう言い終わるが遅いか速いか、教官は私達の方を振り向いた。
「お前等、何をボサッと立っている!? お前等もコイツと同じ数だけスクワットだ!」
『サー!イエスサー!』


                       ※


「……ということが昔はよくあった」
「そ、それは……大変だったな」
「当時の私はそれが当然だと思って何の疑問も抱かなかったが……今思い返すと物凄いことだというのがよく分かった」
「本当に大変だったんだな……」
「あの方はしごきは酷いがちゃんと私達を思ってのことだったのだろう」
「そ、そうなのか」

「うむ、私達は特殊部隊員だから出身の判明はタブーであり、英語とか外国語を話して身元判断の撹乱をしなければならないし、当時のクラリッサのような泣き虫では真っ先に死ぬだろうからな……それに理不尽な態度は理不尽な状況に慣れさせるためだったのだろう」

「お、おう……とりあえず厳しいけど、教え子思いだということはよく分かったぞ」
「今では懐かしい思い出ではあるな……特にあの罵声が」
 深呼吸をして目をそっと閉じれば今でもあの声が――――

『おい、そこのマス●きしてる二人!』
 ああ、そういえば確かあの方の声はこんな感じだったな。そうか、明日か……確かに大変かもしれないが、久しぶりに会えると思えば悪くはないかもしれない。

『おい、聞いているのか貴様!? 聞こえているのならはいと言って見せろこのおフ●ラ豚!!』
「す、すいませんでした、サー!」
『英語で話せマ●かき女!』
『すいませんでした、サー!』
『やかましい!口で言う前に行動で示せ!スクワット10回、始め!』
『サー、イエスサー! 1、2、3……えっ?』

 つい体が反応してしまったが、目の前にいるのはハートマン教官!? どういうことだ、明日ここに来るはずじゃ!?

『”えっ”とはなんだ、貴様!ふざけているのか、もう10回!』
『サー、イエスサー! 1、2、3……』
 スクワット20回を即座にこなし、気をつけの状態で待機する。
『誰が気を付けをしていいといった!』
『すいません、サー!』
『俺の名前を言って見せろ、ラウラ!』
『サー、ハートマン教官であります、サー!』
『休んでよし!』
『サー、イエスサー!』

 休めの姿勢をとると教官は、先ほどとは違った話し方であらためて私に話しかけてきた。

『……久しぶりだな、ラウラ』
『サー、お久しぶりです教官殿』
『いや、私はもうお前の教官ではない。それに私よりお前の方が上官だ』
『了解しました。ですが私にはこちらの呼び方が違和感がないのでこちらで呼ばせていただきます』
『別に構わん。私が今日来たのは明日、ここの生徒達と訓練をするためだ』
『こちらもその話で、教官殿のサポートにまわるように命じられました。彼が私と一緒に教官殿のサポートをします……一夏』

 一夏に話を振り、隣を見ると一夏は英語で話していて、さらに今まで置いてけぼりにされていたからかよく事態が把握できていないようだ。

「一夏、この方がハートマン教官だ。明日、私達がサポートをする人物だ」
「え、えっと……この人がハートマン?」
「そうだ」
『え、えっと……私の名前は織斑一夏です、はじめまして』

 一夏がぎこちないが、英語で自己紹介をして手を差し出すと教官殿も同じように手を差し出し、自己紹介をした。
「ワタシノ名前ハ、ハートマンデス、ハジメマシテ」
「は、はじめまして……」

 教官殿は慣れない日本語で挨拶をする。仕方ないことだが英語での口調と日本語での口調が違い、先ほどとは雰囲気も違っているので一夏も少し戸惑っているようだ。

『ラウラ、この青年の様子がおかしいのだが、私の話す日本語がおかしかったか?』
『いえ、特には……』

 おかしそうに首をかしげる教官殿だが、おそらく一生かけて理解は出来ないだろうな……

『まぁいい。明日また来るからお前達の仕事は明日話すぞ』
『了解しました。では』
 軽い敬礼をして教官を見送り、一夏の方を振り向く。
「一夏、明日は大変になるぞ。外の外気に冷やされると体を壊すから早く中に戻るとしよう」
 そう言って一夏の手を取り、寮へと歩みを進める。
「お、おう。元気になって何よりだ」
 


                     ※



「……と、いうことがあったのだ」
 寮に戻り、夕食を済ませてクラリッサに今回の報告をする。夕食の際に一夏を連れ出したことがシャルル達にばれて色々と言われたがまぁ、いつものことだ。

「なるほど……ハートマン教官がそちらに、ですか」
「ああ、昔と変わらず元気そうだったぞ。いささか角が丸くなったような感じもするがな」
「そうですか……あの方が……」

 どうも先ほどから、強いて言えばハートマン教官の話題を持ちかけた途端にクラリッサの表情が曇り始めてきた。よほどのトラウマがあったのだろうか。

「どうしたクラリッサ、やはりあのスクワット地獄を思い出したか?懐かしいな……あの頃は理不尽の連続だった」
 私がそうクラリッサに質問すると、クラリッサは冷や汗を流しながら重々しく答えた。

「いえ……ただ今こうして日本の文化情報を輸入している私を見て教官は何と言うかを考え出してしまい……」
「確か、一度荷物を教官に皆の前で晒されたことがあったな……あの時のお前は、今思えばよく生きていたなという程の目をしていたな」
「あれを乗り越えなければ私は今頃ここに居なかったと思ってます……いや、その話はひとまず、隊長」
「なんだ?」
「先刻隊長が行なっていた潜入ミッションについてのことですが……」

 ああ、すっかり忘れていた。そうだ、元々私はクラリッサに一夏との出来事を報告するために連絡をしていたのだ。

「私の嫁は……」
「私の嫁は?」
「結構胸板が大きくてな……それに肩も広くてな……」
「なるほどなるほど」
「あまりに刺激的な為私の理性ではもうどうにもならなくてな……」
「それで、どうしたんです!?」
「うむ、ついカッとなった私は口を無理やり塞いで本能の赴くままに―――どうした、クラリッサ」

 ふと気づけばクラリッサが画面からフェードアウトしている。何かあったのか?
「い、いえなんでもありません。ただ私には少々刺激が……」
「ふふふ……私が最初に一夏のところへ夜這いをかけたときはこの程度で済まされ―――おい、クラリッサ? 応答せよ、クラリッサ!?」

 突如、何かが噴出すような音と共に何かが倒れる音と共に一瞬赤い液体が空を飛んでいるのが見えた。もしや襲撃か!?

「あ、隊長。すいません、今お姉様の持病と発作が……すぐに回復すると思います」
「そ、そうか……持病と発作なら仕方ないな。クラリッサも大変な病を患ったな……とりあえず今回は無事に潜入も成功し、多少のハプニングはなかったと伝えて――――あ」

 そうだ、とても大事なものを忘れていた。ついつい本能に赴くままに行動したせいか果たし忘れていたことが一つだけあった!
「ど、どうしました?」


「一夏……私の嫁の寝顔写真を撮り忘れていた……」



                                      続くのか?





ここで初めて投稿させていただきました。この小説は現在アットノベルスとpixivでも投稿させていただいております。

元々、この小説はpixivで書いた小説をリメイクしたものです。一応、リメイクしていない方ではこれの続きもあるのですか、リメイクしたら続編のハードルが上がりすぎたので心が折れてしまいました。情けないね♂

元の方も見てみたいという方はどうぞ、TINAMIかpixivにて。私の黒歴史として貴重に保管されております。これも数年したら立派な黒歴史に(ry

なお、今のところ続編は未定です。折れた心が再生したら書くかもしれませぬ。


感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.038368940353394