未解決未来編 了蠢きの男女。「はい、これで、力の譲渡は完了したわ、これで箱を貴方も使えるわ」「私には感じ取れない、これで」末馬喜一郎は思う、このような木っ端に恐ろしい力が宿っているのが理解出来ない。物事は全てカタチにある。刃物は人を怖がらせ、その形が人を恐ろしがらせるほど形状ほど、切れ味は良い。銃も無骨で得体の知れない形状、そう、殺戮の形があるほど、人を殺せる。「思いの力」「器物100年」は喜一郎にとって何を馬鹿な、というものだ。素晴らしいものにそのような汚物が混じるなど不快だ。かの世界で最も人を不幸にしたというサファイアの例をみれば分かる、美しいものは美しくただあればいい。そこらへんで買った「思い出」が篭った品、反吐が出る、そのような、いとも周囲で見繕える安価なモノを大切そうにする人間の心理が理解できない。宝石なら分かるだが幼い子供が作ったような子供騙しの「思い出」のカタチを見るとカッと胸が苦いもので満たされる。それはこの類だ、悍ましい力があるのなら、もっともっと、悍ましい形であれ。そして思い出す。あの最も今まで見てきた人間の中で最も優れた、美しかった少女、妙子。笑う顔は美しく怒り顔は綺麗で。泣き顔さえも胸を打つ。完璧だ。心に影響しない、美しさがあるのだ。極限まで人間の美を追求したような美貌と肉体。私はあの少女に恋をしていた。思わず、自分の精をその少女に食わせて、混ぜ合わせてみたように。少女の美しい血と肉を己の命、生命を創りだす液体で活動させる、ああ、それはなんとも、楽しいだろうか。体を縛り、極限まで追い詰めた時でさえあの美しさは崩れない、思わず、映像に残しておきたいほど。恐ろしく、美しく、まるで宝石の箱を乱雑にひっくり返したような、凶悪的な美しさ。目がくらみ、それしか思えない美しさ。「ああ、ああ、あああ、タエ、お前は何を悩む何であんなに辛そうにしている、お前にはそんな要素はいらない、そんなくだらない。お前には「心」なんてものはいらない、ただ、ただ美しいままであれ、綺麗なままであれ。あんなにも美しい姿を持って、なんであんなに醜い「殺すわよ、その言葉を口にした瞬間、私は協力関係をやめて貴方を殺す」ふん、お前はそうだったな、そういう女だ」「私にはね、美醜なんてものはいらない、貴方はただダッチワイフが欲しいだけ、最高に綺麗な人間の人形が欲しい変態よね。なぜ、そんな形が、いつか壊れるものを大切にするのかしらね、私が欲しいのは末馬の中身だけよ、外見なんてのはね、人間、モノは言うに及ばず、なんでも誤魔化しが効くものよ、くだらない、綺麗な女の顔なんて一度地面に叩きつけて崩れれば、その価値は崩壊する。そして人は見向きもしなくなる、そして朽ちれば、忘れる、そんなものは私はイラナイ。私は思うのよ、「思い」「意志が」世界を支配している、人間がこの地上で謳歌するのでさえ、その人間の意志が、他の生物よりも高次だからよ、そう、動物に神様はいない、人間には神様がいる、人間は高次、だからこそ人間は強く美しい。容姿なんてのは心を育む一つの要素にしか過ぎないのよ。」荒木夕美は思うのだ、あれほどの高次な精神が素晴らしい。この男のような外見重視の男に傷をつけられ、それでも立ち上がり、前を歩こうと、己から逃げず、努力する心。どんなに自分が苦しくても忘れない、誰かに優しくする心、思いやれる精神。ああ、恋をした、あの少女に。だから傷をつけた、そんなものに傷をつけれた圧倒的な優越感に恍惚を覚えるのだ。「ああ、お前の持論は耳が腐る、そんな無意味なものを求めるなど」「本当に貴方は異常ね、よく普通の人間として社会生活が送れるわね、しかもそれなりの外資系の会社でしょ?」「当たり前だろう、普通の人間の形があるのだから、普通の人間の社会で生きれるのは当然だ。出来ないものは屑、そう、生まれてはならないゴミだ、全て死ねばいい、そういうクズは己の本来のカタチを無視した存在だ。カァカカカカカカカカカカカカカカ!僕はそう、性能がある、立派な形があるんだ、何故だ、何故タエ、僕がお前に最も適したカタチだ何故だ何故、あの時逃げた、ああ怖かったか、恐ろしかったか、悲しかったか、苦しかったか、辛かったか、あああ、そんなモノはいらないだろうに。なければ今ごろ僕との新しいカタチを沢山作っていたのだぞ、ああ、妙」「それは、私が彼女の心を奪った時にして頂戴、貴方に心を壊された人間なんて欲しくないから」「ああだから」「貴方の力はその心を奪う力、世界を動かす意志を奪い取る力よ」「お前の力はその形を奪う力、世界を動かす機能を奪い取る力だ」「そういえば知っている?末馬はまだ、全く変わらない、容姿もその「思い」を何よりも大切にする精神さえも。だけれどね、彼女には息子がいるようね、大事な大事な男の子が―――――」「私はタエの親戚だ、当たり前に知っている、子を一人まともに育てることも出来ない社会のゴミクズに捨てられたゴミだ。それでもあいつはそんなゴミを宝のように大事にしているそうじゃないか、壊す、壊す、その思いを消し去ってやる」「ああ、大事な子を失った、彼女はどれだけ美しい悲しみを浮かべるのか、楽しみだわ」男と女はまぐわいを重ねながら男は溢れ出す性欲の処理、女は情欲の解消を行う。「まずは末馬達馬を殺そう、あいつにゴミなんていらないだろう、あいつの価値を下げた、許さない。」「そうね、まずは末馬達馬を殺しましょう、そうすれば彼女の精神に決定的な罅を入れ、奪うことができる、そういえば、魔法は使えるようになった?努力した?」「当たり前だ、私には元々その機能が、性質があった、ではその機能は簡単に引き出せる、魔法などと言うな、所詮これは兵器だ。銃は誰でも使えるように、これはその機能がある人間なら努力なんていらない、ただ習熟する期間さえあればいい。」「努力してこその才能だと思うけどね、貴方は驕り高ぶっているし、少し不安よね」「大丈夫だ、こんな曖昧な力なんて盾程度でいいだろう、これがある」「銃。へえ、一体どうやったらこんなもの手に入るの?」「形を銃の形じゃないようにわからないようにして海外から手に入れてきた、銃弾は56発ある、機能的に56人殺せるぞ、お前も使うか?」「そんなもの普通の人間に使えるわけがないでしょう、私には匣がある。」「私のは程度が低いようだな、それから悍ましい怪物を呼び出すことができない」「ええ、あなたのは生きていないけれど、それだけで十分、もし管理局の魔導師にぶつかったとしても容易に勝利できる」「起動方法は?」「簡単よ、言葉にして願えばいい、意志を奪えってね」「言葉で起動するのか。便利だな、自己が想起するイメージと言葉で、素晴らしいな」「ええ、これは神様からの贈り物よ」「所詮兵器だろうに」後に管理局によってヘルクライマー事件と名付けられる次元災害級の大事件の幕が開けようとしていた。末馬達馬末馬妙子二人がその本来の物語とは違う、もう一つの物語の主役としてついに舞台に出ることになる。おまけ小話かつてない悪夢末馬妙子、末馬達馬の二人は並んでごそごそとどっさりとコタツの上に並べられた折りたたまれた紙くずを二人で開いては正の字を一枚の紙に書いたり、文字を書き加えたりしながら、アンケートを集計していく地道な作業を行っていた。「ごめんなさい、わざわざ、手伝ってもらって」素直にこの鬼のように時間が掛かる作業――――いや妙子の作業スピードに「この人内職やればどれだけ稼ぐのか」という戦慄を感じながら、謝る。「別にいいけど、たっくんの為だし、でもさぁ―――――――自分の進路くじ引きで決めるってなに?」中学校の進路相談エスカレーター式だがやっぱりそういうものはあるらしい進路希望調査用紙を配られ。はっとした。「なんか俺にあってそうな仕事をアンケートにして知り合いに配って抽選で決めてかくのがいいかも、と思い立ったら吉日です」生徒会はまだ続いている、どうせエスカレーターだし、という理由で延長戦だ。中学校最後のくだらないイベントやってみるか、と思い阿呆なアンケートを生徒全員、各教師に配り、勿論近所の人間にも配りまくった。「末馬、やめろ!人生をまるで紙飛行機で適当に飛ばすようなものだぞ!?進学じゃなくて、変な職業を何時もどおりの悪ふざけで書かれ、それが過半数を占めたらどうする気だ!?」教師にガチギレされた。色々な教師陣に囲まれ、ひたすら説教され続けた。お前せっかく成績もいいし、運動も出来る良い生徒だ――――変なことをしなければ。何が不満なんだ。まるで突然会社やめて世界旅行始めるぐらいの暴挙だぞ、やめろ。その世界旅行先が中東の紛争地域とかそういうレベルだぞ!?10年に一度まるで不発弾が見つかるように、そういう生徒はたまにいる頭が良い癖に、突然学校をやめて、突飛なことをするやつは。だけどな、中学生でする奴はこの学園史上初だ、なんだ、お前、馬鹿なのか。と皆の不安や怒りを煽りに煽った。末馬達馬は素直に言った。「勉強飽きました本当に――――――飽きました」末馬達馬の脳みそがもういいんだ、もうやめてよ、と言っていた。いくら体が無敵でも、脳みそは、もうやだ、と叫んでいるのだ。カリカリとシャーペンを夜中ずっと走らせ、頭をひねられ続けた弊害である。「案外楽しいもんだな、勉強―――――――あ、あ、なんか駄目、そういうの駄目」となる。このままだと、なんか危ない方向に進んでしまう、勉強が好きになりすぎて、やばい。「あー勉強してどうする、やりたいこと、目標もないのに。これではただ勉強するだけの勉強廃人になってしまう!?」お前初期目標忘れてんぞ、というか、すでに達成しただろ、やめろ、もういいんだ。「ということで、もう学校も進学したとしてもテキトーにやりますわ。高校行ったら学年一位から最下位に転落してそのまま退学になります、絶対」「は?」「末馬お、お前、自分の可能性を「広げてもなぁ」広げろよ!?」「やりたいことみつ「あー多分見つかりません」多分!多分で!?」「え、は、すえま………ちょっとまて、お前、親御さん呼ぶから――――」「ウチの母、いえ、妙子さんは許可しましたよ」「な、にぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!?」「高橋教頭!緊急会議が女子中等部でも「な、なんだこの忙しい時に!?」「女子中等部卒業予定の高町、八神、テスタロッサの三名が――――学園をやめるそうです」空気が凍った。「お前まさか三人を―――に「それはない!好みじゃない!絶対勃たん!悍ましい!」ないのか、よかった……良くない!?」お前みんなにぶっ殺されるぞ、本気で。と自分に後悔した発言である。「え、お前あの子達の何が、3人とも「なんか話ずれとりますよーその発言はちょっぴり危険ですよー」まぁいい―――まずは私たちの整理がつくまでまってくれ、イッパイイッパイだ、勘弁してくれ、本当に勘弁してくれ、頭が壊れそうだ、あとアンケートを差し止めろ」「いや、昨日、もう生徒分は集計終わりました「貴様ああああああああああ!」え、なんで怒られんの!?」「おい末馬」「ふざけるなよ」「なんで怒るのか、だと、ふざけんなぁ!」「そうだ冗談にも程があ「冗談じゃないっすよ」冗談だろ!?」「いやあーふざけてないんですよねーこれが、知ってますよね、俺がこういう時―――――いつだって本気でやることを」「そうか!俺たち教師陣がお前を今まで生徒会長としてこき使った仕返しだな―――ああ分かった、そういうことか、あー」教師陣が喜んで喝采する「末馬は4月1日の先払いを行ったのかーあーそういうことか!」などと「楽しかったですよ、生徒会長、恨んでないです――――だからマジです」また空気が凍った。「であえ!」教頭が吼えた!「は、教頭何を――」「各中等部、高等部、小等部もだ!教師全員であえ!であえ!であえ!あと学園長呼んで来い!俺たちの手にはおえん!こいつは本気だ!本気で中卒で今の不況社会の大時化の荒波にダイヴする気だ!しかも救命胴衣なしで!」生徒指導室にある不発弾が暴発した。「滅茶苦茶怒られました、で、なのは達は何かダミーがあるけれど、俺は本当に何にもないから、もうこってりと」「そうなるよ、普通」「そうなのかー」「で、何が一位なの?」でました――――――です。あーなるほど、でもそれって。「えーとついてきてくれますか?」「いいよあとさ――――――妊娠した」「え」妙子はのほほんと「うーんあんまり私たちってそういうの気にしなかったよね」と言った。たっくん、ほんとえっちだもん。こどもはいつでもほしいってだからこづくりしましょたくさんって私本当に一生厚手の服以外着れないよ、と恥ずかしそうにしゅんと赤くなっている。「まじで、妙子さんと俺の子」達馬は気絶した。という夢をみた。「夢オチかよぉおおおおおおおおおおおおおお!?」「うわ、たっくん!?どうしたの!?」あ、でもアンケート「おもろそう」追加末馬達馬の成長1「いやーさっきまで殴りあったので滅茶苦茶気まずいっすね」「お前、そこもう少しなんかないのかていうか、お前一回も殴ってねえし、俺らは一回も――本気でムカつくぞこの野郎!」「理不尽すぎる!?」といって少年は笑う。なんだこいつまじで馬鹿なのか。と高校生たちは思った、「ねえねえセンパーイ全然知らない他校の先輩、喉か乾きませんか?」セコイこの男は奢ってもらう気マンマンである。「そりゃあ――――」「買ってきますから、うーんとひぃふぅみぃ――大体1000円みんなで出してください」「お前が、ださないのかよ」「月の小遣い3000円だし」「ていうか俺らの人数1000円で足りんのか、お前馬鹿だろ、真面目な学校に通ってる割に掛け算も出来ないのか20人だぞ」「え、ちょっくら40円のジュース、スーパーまで買ってくるんですけど、200円余りますよ?」「そこは自販機にしとけ!近くのスーパーって走って10分だぞ」「え、ドヒューンって行ってきますから、すぐですよ」「ドヒューンって……」彼らはぐったりしていた。もう何もいう気にならなかった。彼らからジュースを奢って貰ってグビグビ飲んでいる少年、末馬達馬だ。「ぷはーっコーラ最高!ゴチになります!」実はお酒よりもコーラが昔から好きだった、男である。酒は気合で飲むものである。もう自らパシリを買って出て、彼等の分のジュースが開けられていないのを尻目に一人だけ嬉しそうに笑う。「飲んでからいうな!?そもそもお前の奢ってやるとか誰一人言ってねえ!?」「セコい、40円ですよ」「セコイのはお前だ!?」未だにゼイゼイ言っている彼等は海鳴市でも頭が悪い高校の人たちである。あの野郎、中学生のくせに生意気だシメル的な感じで「おう兄ちゃんワレちょっと付き合ってくれないか」的な。なんというテンプレ。実際あるからね、何時の時代も。ある日何時もどおり達馬が夜のロードワークでまるで人参から逃げなくてはならない可哀想な馬のように走っていると囲まれた、ごつい兄ちゃんたちに。しかもみんないやらしい視線で見てくるのだ。ゲヘヘ、人通りのないところに押し込んで、みたいな。ぞっとした「やだよ!?男!?しかもいきなり多人数プレイ!?やだよ!死んでもやだよ!あ、妙子さんの気持ちが分かった気がする、うんこれは男性不信になるわ」「ちげえぇえええええええええええええ!」囲んでいた男たちもぞっとして叫んだ。「え、違う、だって初対面ですよね、今日の獲物はウヒヒヒヒって顔してましたよ皆さん、女性に話しかけたら即逮捕みたいな。今時大変ですよね、女子高生に話かけただけで通報とか」「おいなにコイツ、普通に生意気だ」「普通にな、つうか腹立つ」ああなるほど、これが絡まれる中学生か、なるほど、と達馬は思った。「うわーこういうのってマジで初めて……なんかドキドキする」あまりにも面白いことが現実に起きたので末馬達馬は緊張していた。こう芸能人に出会ったとかそういう感じで。「きもっ!?」とか言われながら、達馬はえ本気で、ドッキリとかじゃないよね、こういうのええ、あんの、すげえ、すげえと喜んでいた。普段の日常でガチで街一つ火の海に変えられる人間たちと遊んでいた弊害である。こいつ恐怖心ゼロである。ヒグマとかに襲われたら、悲鳴を上げて腰を抜かしながら逃げるけど。「あー空からラピュタみたいに妙子さんが落ちてきて、それを受け止めて―――偶然の偶然、他意がない状況でこう太ももとか触れたらなぁ」あとで「妙子さんの太もも偶然触ったけど、いいなぁ」とかいうパターンにならないと、駄目という達馬のルールである。「すごい爽やかにアホなこといっとる!?ピュアかエロかどっちかにせい!」「そういう浪曼が欲しい、感動的だな―――もう泣いちゃうよ、想像するだけで、二人で「バルス」って感じが。るるるーるーるーるー」「なぁなぁ」「ん?」そしてはやてが茶目っ気でこんなことを聞いてみた。「私が落ちてきたらどうするん?」「受け止めたあと、素直にムスカ大佐に引き渡す」「ひど!?」「おいタツマ、ジブリを昨日見た私たちの前でいい度胸だな」「達馬――――貴様、覚悟は出来ているのか」「すいません、男らしくカッコ良い土下座しますので、そこまで真剣に取られなくても―――」「男らしいのかそれって?」などと冗談言って生真面目に殺気混じりでシグナムとかヴィータに怒られているので、全然怖くないのだ。「えーで、皆さん帰りましょう、夜遊びは楽しいんですけど、ウチの母が心配するので、そろそろ」「あーあーもういい、もういい、帰れ、帰れ」絡んだ男たちは訳がわからなかった、囲んで殴ろうとしたのに一回も殴ることが出来ず、この目の前の生意気で不思議な少年はひたすら「当たらなければ、どうということ――ないげふふふふふふふひはははははは」とかそういう感じで自分達が体力尽きるまで避けた、避けた、避けた。いっさい反抗せず。意味不明である。だが虚しい敗北感を植えつけられ、リベンジの日々である。「今日もっすかー今日はマックがいいです割引クーポンいっぱい持ってきましたし」「あーあーもう、いい、もういいや、うんマックいこうぜ」「よっしゃあああ!」「遠慮しろよ少しは」「何個食べていいですか?100円マック」「うーん4コだなぁ」「えーもうちょいもうちょい」他校の先輩なら問題なし、と生徒会長末馬達馬はあとで教師に怒られる。だがこういう諍いが市内で無くなりつつあるので、結局は問題なしである。アリサにボスザルと呼ばれている、「あーお前、末馬の知り合い?」「あーそうだけど、お前もか、あいつ待ちなんだけど」「あーそういうことね、じゃあワリいな」「いいっていいってこっちから絡んだんだし」「またあんたらくだんないことでバトってんすか、ちょい、おもろーなことあんですけど、皆でやりませんか」「やる」「やる」そういうヤツ等と末馬達馬は性質が似てるためか、馬鹿友になりつつある、で、きっちり人様の迷惑を掛けない、人を傷つけるのは絶対やらせないというかそういう空気にさせない。騒音被害とか法律スレスレに触れても、まぁ交番の人たちに「静かなとこでやってね」と近所の人たちに「まぁ今日も?あらあら、ねぇたっくん上がってよ、美味しいお茶あるんだけど」微笑ましく見られる遊びを楽しくやるので、問題ない、わざわざ、高校から許可とって夜中グラウンド借りたり出来る謎の人脈があるゆえ、至って平和に安全に遊ぶのである。市内のイベントで雪合戦を町内会で若者を集って実行するくらい。馬鹿達のカリスマである。あとそういう人間をちょっとだけ、新しい発見をさせたりして、真面目な道に進ませ、みんなで「火のよーじん」とかやってしまう。基本誰でも男なら、友達になったのである。高校生たちは「今日あいつくんのー?」「何かロケット花火で戦争しよってさ、何かすげえ張り切ってた、やな予感するぞ、まじで」「あいつ洒落にならないことするからなマジでぱねぇ」「この前なんてさー肝試しで、一人だけ姿消してさ――あーまじで怖かったあれ」「ウヒャハハハ、あれ爆笑、お前まじでビビリすぎ!」「うっせえ、海老反りでズズズズズズだぞ、マジで絶叫もんだぞ、写メで撮ったから、ほら」「うわこえぇ!」「あーお待たせしましたー、達馬製、改造ロケット花火でーす」「おお、おい――――全部しっぽの部分折ってあるけど」「はいこれがいい、互いに投げ合って、ハラハラドキドキが」「うおバカじゃねバカじゃね、動画取るわ俺」「逃げんなてめえ!」とかやって「たっくんは?」「あ、たっくん家の母ちゃん、おーいたっくーん、いつも滅茶苦茶綺麗なカーチャンきたぞー」「すいません母さん、まじですいません、近所の迷惑にならないように静かにやりますから――――」「事故になったらどうするの」「そんな事故から皆を護って見せる!」本当に出来るから結構安全である。「ちょっとお説教、帰らせていいですかー」「最近コイツエスカレートしてますから叱ってくださいお姉さん」「この前なんか―――「たっくん」こういうことばっかりやっている末馬達馬の中学生生活である。