時間軸は未解決未来編前だと思うよ。末馬美里の危ない日「どうぞー」「お、たつぼーおひさ、遊びにきた、タエ姉さんは?」「あ、習い事教室行ってます、電話かメールしときます?すぐに帰ってくると思いますけど」「いいわ、ただ寄っただけだし、休みだから海鳴でドライブして、その寄り道気分で突然きただけだし、はい土産、あ」「あー見苦しい格好ですみません、ちょっと着替えてきますから、それまで居間で寛いでてください」「お風呂?」「はいちょっと、筋トレしてたんで、汗流してました」達馬は暇になると、妖しい気持ちになるので何時も通り、自分の肉体を極限まで虐めていた。そんな達馬を見て、末馬妙子はある日達馬が学校に行ってる日、翠屋が休みの日を見計らい。床を丈夫にしたり、壁を張り替えたり、ペンキ塗ったりあるだけ大手のスポーツショップで買ったマット引いたりインターネットで色々買ったりして。「来週にはマシーン届くから、たっくんは全くおねだりしない子だから、私からのプレゼント」「え?」いい女ぶりを発揮していた。3LDKは二人では広いので、いくつか部屋が余っている、そのうち一つを達馬専用に妙子がトレーニングルームに一日で改装した。そこで基本的に休みの日は筋トレに励むようになったが、悩みが尽きない複雑な気持ちになるが取り敢えず鍛えていた。今日も今日とて、鍛え、かーっとコーラを飲んで風呂入ってかーっとコーラを上半身裸で飲んでいると。思わぬお客様が来てしまい、なにとなく、郵便かな、まあいっか、と思い首にタオルを掛け、玄関に向かった。というのが話の始まり。「看護婦やってるけど、君みたいな体の人初めてみたわ」「そうですか、あんま肉つかないんですよね、ちょっと悩んでます、背は一応高いんですけど、やっぱガタイがないとなーって感じで」と達馬が苦笑する、それを見て美里はすぐさま。「そのままでいいんじゃない?てか、そのままでいいよ」と言って、思う。これはシャープだ。日本刀とか、錬られた鋼だ。実用性が極まり、美しく、とかいうそういう物だ。凄い、どれだけ鍛えれば、どうやったらこうなるの?ムキムキとかそういう感じじゃない、ギチギチだ。過去に「たつぼー風呂入ってる、よーしお姉さんが流してあげよう」「きゃああああああああああああ!」「きゃーって、きゃーって……面白いねほんと、たつぼーは」などと風呂に乱入して一緒に入ってお風呂での遊び方教えようかな、とか思ってたら、普通に遊びの上手さで負けたりした子供。かわいそうなくらい痩せてるなーでも何か丈夫そうだなーとか思って見てたものだ。今は違う別に痩せているわけではない。密度が半端ない爆弾の爆発を押し込めて固めたような肉体だ。絶対この子、注射針刺さりづらい、ていうか刺さるの?と美里は思った。「凄いね、どうやったらそんな体になるの?」「日々のトレーニングですけど?」「崖から落ちたりする、トレーニング?」「(音の壁、熱の壁とぶつかる超音速で走るための体作りのトレーニングですとか言えない)まぁ普通のやつです」「妙姉さんの子だから、普通じゃないんだろうね、きっと」「普通のですよ、あはははは、普通ですって(医療関係者だごまかさんと、やばい)」「ガタイは多分それ以上にはならないね」「やっぱり………」「幼児の頃の栄養状態が結構大きいからね、別に絶対ってわけではないけど、やっぱりね」「そうですか」遠くを見るように少年が苦笑した。眠たそうな眼をしている少年。でも何かを思い馳せるように、複雑そうに、苦笑する。いいかな今なら。「―――――姉さんもいないし、突然の話!」「え、なんですか?」「君の産みの親、今どうしてるか私知ってるんだけど、聞きたい?」偶然知ったこと。聞きたくのないのなら、言わない。教えて欲しいなら教える。ただそれだけの話。妙姉さんは、あの人は、本当に子を持った母親らしく「文字通り完全に縁切った、もう私の子だから、これから関係ないから貴方たち、そのお金で十分でしょ、もう会わないから、会わせないから、ばいばい。あと、子供一人置いて、貴方たち何を考えてるの?そんな人と友達になる気もないから、一生さようなら」恐ろしい厳しさを発揮したので、口に出す気も起きない。妙姉さんはそういうとこ本当に怒る人だし。そういう人間見つけると全力で戦争する人だし。で負けたこと見たことがない。でも、達馬はどうだろうか、と思った。そろそろ大人になったし、いいかな、と思って、大人として扱うことにする。「聞かせてください」悩まず、末馬達馬はそう言った。男の顔だった。それしか言うしかないくらいの男の顔。覚悟が見える真剣な表情。自分のことなのだから。受け止めると背負うと逃げないとそんな顔だった。もったいないことしたな、あの夫婦は、と美里は思った。こんなに立派に育った我が子を見る前に捨てたのだから。気味が悪い?ああ?ふざけるなよ、どいつもこいつも、と世界を呪いたくなった。こんな男の子捨てて―――――優しい妙姉さんからいっぱいお金貰って、そのあとから幸せそうに――――やめた、私が怒ることではない、な、と冷静になる。私は関係ない人間だ。素知らぬ顔で「気味が悪いって捨てられる子がいるんだって」と言った他人でしかない。怒っていいのは、妙姉さんだけだ、どんな子でもいいから、育ててみる、と言った妙姉さんだけだ。ああ、いいや、うん。いや、十分か、彼らはこんな少年を生むことで。十分だったのかもしれない。「あと、ちょっと服来て来るので――――」「あ、うん、ごめん」「いいですよ」「――――――」「―――――――――」「――――――――――」「おひさ姉さん、上がってた」「久しぶりーたっくんは?」「たつぼー、いやもう、達馬君だな、あの子凄い良い子に育ったよねていうか、良い男になった、イケメンじゃないけど、こうなんか―――濡れる、潤とする、やばい」「いきなり何!?」「すげーすげー、何なの本当に、駄目だ―――もう達馬君一人の時この家これないわ、私」「なんで!?」「じゃあ、もらっていい?あの子」「なんで!?」「欲しい、あれは欲しい、やばい、逆光源氏する前に出来上がった子だよ、あれ」「だから何!?」「今日は私のアパートに泊まるって」「はああああああああ!?」「で、今日は私は此処に泊まる」「え――――意味わかんない」「あー勿体無いことしたなぁもう!」その頬には涙が流れていた。とめどなく、遮るものもなく。一言も言わず、ただ、聞いて、何も言えず。泣いていた少年。涙だけで、彼は己の心の裡で密やかに、どんな世界の誰にも知られないように、ただ、涙だけ流す。言葉に出来ない感情を涙で流していた。「大丈夫?」「ん、大丈夫っす」ふっと涙を拭わず、私を心配させないために笑った。うん、だめだ。私の胸で泣いて欲しい、とかそういう感じあぶねえ、つい、お姉さんとほにゃららとか犯罪発言でるとこだった。押し倒しても、おっけーじゃないか雰囲気的に。どーせ血繋がってないんだし。ああ、惜しい!あ、犯罪か。「何処で泣いてるのかな」「え?なんのこと」「姉さんには教えない」達馬君嫌がりそうだし。達馬は泣きながら一人山の中に居た。「嗚呼…ああああああああ!」あの人たちが幸せになってくれた―――――。やっと。やっと。忘れていない。ずっと、忘れなかった。幸せになって欲しいと、願っていた。俺が願うのはおこがましいかもしれない。俺が願えば彼等は不幸になるかもしれない。俺がいれば、不幸なままかもしれない。ああ、俺さえいなければ―――――彼等は「―――――――うあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」本当はよかった、と言う権利は俺にはないのだ、でも幸せになった、それだけで。なんて言えばいいのか、俺は馬鹿だから、何も言葉に出来ない。嬉しいと、思っていいのか?俺がわからない、でも―――――。今日はただずっと泣いていようと思う。涙だけ、言葉にならない声だけが、出る。だから今日はずっと泣いておこう。一人で、このわからない感情を噛み締めておこう。その日はお腹も空かず、いっぱい泣くことが出来た。気づくと次の日の朝だった。俺は顔を袖で拭き、あまりにも顔が汚れているのに気づき、苦笑する。どろどろ、ぐずぐず、パリパリと塩っけが顔から落ちるのを見える。よく脱水症状で、ダウンしなかったな、と思うぐらい。確か、川あったなこの近く、よく高町兄妹が修行している秘密スポットで、自足時給っぽいことが出来るいい場所だ。喉渇いた腹減った、取り敢えず何か飲んで食いたいな、と思った。しかも喉がガラガラで、あー単純でいいな、と思った、こんなふうにいっぱい泣いて、腹減るって。何が良いとは言えないけど、何か良い、と思う。ぐるるるるるる、とまるで動物が唸るような音が響く、出処は決まっている。これはキツい、今なら、白米と塩だけでもご馳走に感じるだろう。取り敢えず川に向かってみる。5感は今日はとても優れている気がして、多分こっちだな、と川の方向を告げる。水をゴブゴブと飲みたくなってきた。さわさわ、川の流れを感じる。周囲は昨晩はずっと自分一人だと思っていたが、違うように感じる。木々が揺れ音を立てる。凄い気持ちがいい、自然を感じるとはこういうことか、と思う。草をかきわけ、進む、小さい虫が手の甲に伝っている感触を感じ、ふと、見る。食えるかな?蛋白源だと言うし、高品質の完全食とか言うし。と思う当たり、俺は良い性格をしていると自画自賛する。一匹の蝶が逃げずに止まっていた。あー泣いてた時、手の甲で涙を拭い、そこに留まり涙が固まって、くっついて逃げれなかったみたいだ。不味そうなので離してやる。綺麗な羽をした黒茶と美しい青藍色――――――ルーミスシジミィ!?絶滅危惧種、激レア!海鳴にいたのか――凄い、え、まじで本物か――昔図鑑で見たことがある、国でも指定され保全が決められた、まず普通にはお目にかかれない幻の蝶だ。紀伊半島にしかもう生き残ってないと言われた、たまたま見たことあるだけの特に思いれもない蝶なんだけど。多分本物。流石海鳴。ツチノコ探せばいるかもしれん。俺の手を離れ、ひらひら、じゃなくて結構素早くと飛んでいく姿は感動的だった。うわーいくらになるんだろうか、とかゲットしたら、犯罪になんのかなーとか、そういうこと思いつつ、その美しさに驚く。多分珍しいから感動してるだけだが、まー幸運な気持ちになった。「何を見ているんだい」横に男がたっていた、飄々と、いつの間にか。で「え、ルーミスシジミ――「何処にいった!」あっちっす」俺がルーミスシジミが飛んでった方向に指を指すと。「きょうや!ルーミスシジミ!あっちだ!追いかけろ!」「なんだ父さ、え?本当か!今行く!」「え、ルーミスシジミ?本当?」一人目は高町士郎さんだった、横を神速で通って消えていった。二人目は高町恭也さんだった、また俺の横を神速で通っていった。三人目は高町置いてかれたようで、なんか周囲を見回して。俺の顔を見て、「あー」という笑顔をしてどっか消えた。知ってる人なら紀伊半島以外にいるとか知れば――新聞の一面レベルだから、そりゃいくな、でも此処修行所として使えなくなるかもしれないぞ、士郎さん。あんたたち紀伊半島の山篭ったことあんな絶対、で、過去に情操教育で士郎さんが教えたとか、そういう感じか?弱い奴は絶滅する、それが弱肉強食だ、とか?多分違うと思うけど。ん、何か魚が美味しく焼けているような匂いが―――――「まさか―――――あの人ら」なんだか、もう恥ずかしい気持ちでいっぱいになったぞ、俺。このお人好しどもめ。あれだろ「何を見ているんだい?」から始まる大人トークだろ。ちょっとこう何か深そうな会話して、「余ってるけど食べるか、とか」くくっはははははははははははははははははははは!はははははっあはははははははっははあはっははははっはは!ハハハハハハハハハヒーっハハハハハハハハハハハ「はは…………」喉の痛みが気づくと取れていた。ひとしきり末馬達馬は笑ったお腹を抱えて笑った。「すごいな―――すごい」格好良いな、思わず、泣けてくるほど格好良い。で食べていいのか?香ばしい、かぐわしき、プリンじゃなくて魚。パチパチとか聞こえそうな、この匂い、この匂いだけでご飯食える。という餓死しそうなくらい腹減ってんだけど。「食べていいのかなー勝手に食べてもいいかなー絶対俺の分とかありそうだしー」「いいけど」「うわ!美由希さん!?」気配とかどうせわからんが、気配0だぞ、お主ら!忍者でござるか!?という感じのハイレベル達人が一人、ばつの悪そうな顔で横にいた。「置いてかれた………一緒に食べよっか?焦げるし」「二人のは保温しときますか、ちょっと火から離して置き火でじわじわと、水分抜けますけど」「アルミホイルあるから大丈夫だよ」何か夢が壊れた気がする。アルミホイルって………何か複雑。「そう、で、すか」「父さんが釣ったばっかのやつだから美味しいよ?」「まじすか!?え、何の魚!?」「ニジマスとヤマメ」「うわ御馳走………」じゅるり、と口につばがたまってくる。あれだろ、木の枝で刺したやつ。置き火でじっくりのもう最高なやつ、口に入れたらうますぎて笑ってしまうやつ。塩もぱさーっとがっつりな、身がホカホカの柔らかいのなんのって「メチャメチャ腹減っとります、どんぐらい食べていいですか!?」「あーうん、私の分あげるよ、いっつも食べてるし、おにぎりだけでいいや、あ、おにぎりもいる?」「まじすか!?いただきます」おにぎり、え、勿論、塩おにぎりだよね?「塩おにぎりですか?」「色々あるけど、じゃあたっくんは塩おにぎりね、あんま人気のない様式美だけどね、父さんの絶対一つはいれろ、とかそういうの」「味噌汁とかついちゃったり?」「うん、勿論、山菜とれたから山菜の味噌汁」「山菜―――嬉しすぎる、これは夢、何その最高の朝飯、贅沢すぎる」「そうかなー結構あきてきたけど」うわあマジでラッキー!「ご馳走になります」「うん、今日は私が味噌汁担当なんだけ「大丈夫です、俺今なんでも食えます」たっくんこのやろー!」「いたいっす、頬つねらんでください――「うん元気になったね」「勿論、焼き魚、おにぎり………みゆき味噌汁」「たっくん―――――お姉さんと全力で戦ってみる?」あーすんません、でも貴方シャマルさんクラスなんで。「すんまそーん」「絶対反省してないね、あと冗談じゃなくて、本当に手合わせしてみる?なんか此処数年凄い鍛えてるし、喧嘩用にしては実践的な感じの」「貴方たちとは戦って勝てる気がしないんですけど、正直天敵ですから、貴方たちは」なのは達よりも勝てる気がしないメンバーだぞ。九鬼流系の人とか絶対俺の天敵、あと比古清十郎とか。どんなにパワーやスピードが優っても絶対に勝てない系ですから貴方たち。一番戦いたくない人たちだ。この人たちはマジで強い。刀もって目の前を歩かれると怖すぎてびびる。本当に天敵目の前にした気がするんだよ、この人たち。超音速でもひょいって避けられる気がする。「そう?今なら君―――相当強いよ?」んな馬鹿な。一日中泣いてコンディション最悪だぞ?「じゃあ、ご飯くったあと、ちょっとバトってみます?こう昔やってくれたみたいにチャンバラ」「手加減しないから、あと、君、無手でしょ?私木刀使うけどいい?」「いいですよ、無手って」「無手でしょ?」「あー手の平でやりますね、空の境界で素人はそれがいいって両義式さんが言ってましたから。え、手加減なし!?俺を殺すの山中に埋めるの、なんで!?なのはのパンツ見たから!」「ほんとーに君、面白いね、なのはのパンツみたの?どうだった?」「あー面白いと思うのなら、爆笑してくださいよ、微笑ましい感じで見られると本当に恥ずかしいですから――あとなのはに戦闘用ハーフパンツ買って上げてください、まじで」たっくんのエッチスケッチワンタッチドカーンされたし。「戦闘用ハーフパンツって……」よくわからんが、ご飯食べて、体を動かすのは健康的だな、と達馬は思った。末馬達馬どこの主人公だお前、という感じになっている。一生会わない弟がいる。