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No.36072の一覧
[0] 【習作】転生者のお母さんはTS転生者(守銭奴)【ラブコメ】みさりつの短編集 短編追加[みさりつ](2013/10/12 03:21)
[1] 妙子さんは一生困惑してるけど正直どうでもいい俺、おっぱい 妙子さんUSO追加[みさりつ](2012/12/09 08:19)
[2] 初恋ハンター妙子幼稚園編 ちょっとした小話集[みさりつ](2012/12/13 23:02)
[3] 【伝説の鉄人の伝説】息子は嘘つきです、これは全部嘘です 妙子さんUSO追加[みさりつ](2012/12/18 15:31)
[4] 俺の人生の大体のスタンスが二日で決まった人生気疲れベリーハード 小話追加[みさりつ](2012/12/10 07:30)
[5] IFもしも彼女と彼が逆だったら(15禁)大変下品なメタギャグ 小話追加[みさりつ](2012/12/12 06:25)
[6] たっくんの通信簿は賞賛か小言に満ち溢れているby妙子[みさりつ](2012/12/12 01:19)
[7] キボウ エンド [みさりつ](2012/12/12 06:01)
[9] いつまでたってもはじまりません!魔法少女リリカルなのは無理[みさりつ](2012/12/12 12:06)
[10] それは過大評価すぎる、そのまま俺が過大な重力の輪に取り込まれるからやめて!?だって軽いですもん僕by達馬 [みさりつ](2012/12/12 20:34)
[11] ねぇ妙子さん取り敢えず今から海外旅行行きましょう。 プロローグ[みさりつ](2012/12/12 22:58)
[12] 世の中こんなもんでしょう、ちょっズボン!?脱ぐな!完結[みさりつ](2013/03/03 16:12)
[13] 未解決未来編 1[みさりつ](2013/02/21 12:24)
[14] 未解決未来編 2[みさりつ](2013/02/21 19:03)
[15] 小話 末馬達馬の覚醒 暴走編 [みさりつ](2013/02/20 18:46)
[16] 末馬達馬の覚醒 バトル編[みさりつ](2013/02/21 21:11)
[17] 末馬達馬の覚醒[みさりつ](2013/02/23 02:15)
[18] 未解決未来編 了 ヘルクライマー事件 開幕[みさりつ](2013/02/25 19:12)
[19] 学校の帰り道 なのは編[みさりつ](2013/02/27 16:42)
[20] 主人公たちはついにデバイスを手に入れた 妙子の悩み追加[みさりつ](2013/03/03 14:18)
[21] 末馬達馬の流儀[みさりつ](2013/03/18 03:01)
[22] IF2彼と彼女が逆だったら、暗黒編1話【15禁】[みさりつ](2013/03/20 10:28)
[23] IF2彼と彼女が逆だったら、暗黒編2話【15禁】[みさりつ](2013/03/21 04:07)
[24] IF2彼と彼女が逆だったら、暗黒編 閑話 アンサイクロペディア編3/26追加【15禁】[みさりつ](2013/03/26 18:11)
[25] 短編ネタ 機巧少女は傷つかない二次創作[みさりつ](2013/10/13 20:22)
[26] 末馬達馬の事件簿2 幽霊編 小話さらに追加 226 さらに追加[みさりつ](2014/02/26 02:50)
[27] 末馬達馬の事件簿2 幽霊編 閑話 末馬家の最近の晩ごはん[みさりつ](2014/02/06 06:16)
[28] 末馬達馬の事件簿2 幽霊編 閑話2 沢山食べる君が好き by山田ゆかり[みさりつ](2014/02/06 11:43)
[29] 末馬達馬の事件簿2 幽霊編 悪夢と悪夢のような事実[みさりつ](2014/02/08 03:19)
[30] 末馬達馬の事件簿2 幽霊編 達馬の新能力[みさりつ](2014/02/10 06:15)
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[36072] 未解決未来編 2
Name: みさりつ◆2781aa24 ID:4563c076 前を表示する / 次を表示する
Date: 2013/02/21 19:03
グレート生徒会長末馬達馬

学生の楽しみは放課後のカラオケとか買い物、ゲーセン、マックとかでの飲み食いだ。
達馬はタダで翠屋の厨房で何か食べれるから行かない。
厨房で女神の鼻歌を聞きながらシュークリーム食べれるし。


それはいいとして。

部活動も楽しいが、帰宅しない帰宅部なんてのも楽しいものだ。
前世の頃はいっつも校則を突き抜けて法律ギリギリの遊びをしていたものだと、昔を懐かしむ。
過去は部活動に入らず、密かに花火の会とか理科部とか作って、気の良い仲間たちと夜の学校の設備やグラウンドでの――――おっとこれ以上は危ない。

とりあえず、今はそういうことはせず真面目にやっている。

積み重ねた悪事から身を引いて、一気に優秀にして内申が良い生徒になると教師の信頼は厚いのだ。
不良が雨の日に子犬を――とかそういう効果で。
何故か土日はよく教師の家とか校長の家とかでビ―――――じゃなくて麦茶をごちそうになるくら信用されていた。

「俺、魂は20ですから」

「まぁいいけど、14は早くないかい?」

「好きにアルコールの分解を自由自在に出来る体質ですから――嘘じゃないですよ?」

「え、アルコールチェッカー持ってくるからやってみせてよ」

「いいですよ」


「あ、本当だ、君――――人間なの?ターミネーターとかじゃないよね?」

「できるからやってまーす、わかりません」

「何か凄い狡いね君、あっはっはっは。飲んでもいいけど、帰る時それやってね」


「あなた今時なにやってるの?子供に―――」


「こ、こここいつなら大丈夫、あの鉄人2号だよ?噂の」

「あ、君があの――」


と昨晩は楽しかった。



妙子さんに怒られたからもうやらないが。




転勤引越しの手伝いとか無駄な身体能力を生かして働いていると、教師の推薦。
未だに卵の殻入り弁当は不味い。

凄いやりたくなかった生徒会長、結局ネクラとか無理だった。

断るとその無駄な丈夫さ生かして海外への交換留学とか打診された(妙子さんのハンコつきの書類有り)。

なんだそれ。


就任時ヤケクソになり学校に喧嘩売った。
全校集会での第一声達馬は本気で学校の校則を一つ破壊した。
どうせあってないようなものだけど、明言したのが問題になる筈だった。




「はい、長ったらしい話めんどいから省略、俺おめでとう、イケニエだね、覚えてろお前ら。あと取り敢えず校則変えたから。
男子中等部は帰り道に飲み食い寄り道は校則で原則禁止だけど、まぁ道行く人々とかに不快な気持ちにさせるみっともない言動さえなきゃ全面オッケーにするわ。
代わりにそういうのやったらしばく、絶対俺がしばく――――以上、生徒会長の挨拶終了です」



という今期生徒会長のありがたいお言葉。

凄い掴みはおっけーだったらしく、何故か番長とか呼ばれるはめになった。


道行く生徒達に、今日も

ばんちょー今日も待機中?

とか聞かれる。

「街に遊びに行くのいいけどさぁ、帰宅時間守れよ、問題起こしたらシメるからなオッケー?」

「うわ、独裁」

「圧政だね、シメるとか古臭い」

「問題起こしたらお仕置き部屋な、教師がやったら体罰問題でも俺なら問題ないからな―――マジで」

「帰宅時間ギリギリまで正座とか勘弁だな、たっくん」

「たっくんキモイ、何か偉い人たちのひたすら説教をCDに録音したやつをヘッドフォンで大音量垂れ流し正座とか
あと親に手紙とか電話―――「あん?」いやまじでもう問題起こなさないです、この前の件は本当助かりました」

「取り敢えず、お前ら財布に金入れすぎんなよ、あると余計なことしたくなるし余計なトラブルできんだから」

「あの変な新しい校則なんだよたっくん―――「買い食いオッケーだが、基本奢るのも奢られるのもなし、財布は欲しいもん買う時とか事情がある場合以外は3000円までしか入れるな」とか」

「賭け事も禁止な―――この前のトランプ大富豪賭博とか、高等部のやつとやった煙草飲酒とかデカイ騒ぎにならんように一応隠蔽してやったけど。
次は下手すると―――「わかったって!」

「あ、忙しいからそれあとでたっくん!」

「逃げろ!」

「いっとけどこの学校の親御さんとかPTAからも認可降りてるからな俺!逃げてもいいけど覚えておけ!虚偽の申告しても無駄だぞ!」

モンスターなペアレントなぞ、既にこの学区全て改心済みだ、女神の手によって。


「なんであんなやつ生徒会長なのよ!」

「ふざけんな!とことん俺たちを地獄に叩き落しやがって自分は彼女には奢るくせに、あといつも財布に万札数枚はいってるし」

「走んなボケ!老人ホームで休みの日に強制労働させるぞ!?走ることの恐怖を教えてやるぞ!あと山田は彼女じゃねえ!あとそれ家の生活費だし!」

と怒声を発するが逃げられる。

どいつもきゃあきゃあとそろそろ野太くなってきた声でうるさい。
最近はつきまとってうるさかった少年達も達馬の手から離れ、自分から自分の好きなことを見出している。

でっかくなったなぁ、時は残酷だ―――俺より早く玄人を知る前に脱童貞したやつとか出始める時期だし。


まるで親戚の独身のおっさんのような気持ちになり、俺ももう、精神は34かぁと思うが、取り敢えずそこは無視している。
最近はこやつらに父性愛を感じてきているが、そこも無視。


男子学生こそ性の暴走がある、ということで、全校集会でコンドーム配ったりとかやって教師達を唖然とさせた生徒会長は今日も生徒会の仕事に向かう。
学校の体育館用のスクリーンで全校集会で欧米の性教育ビデオを垂れ流し(全音声達馬翻訳、萎えると大評判)とかやっても首にさせてもらえないから仕方なく仕事をする。

こんなアホなことをしてもそれなりに正しいことを選択し、他人に信用される圧倒的な才能が達馬にはあった。
それが達馬という人間の本来生まれ持つ潜在的な才覚にして非凡な部分であった。

あいつならしょうがない、という才能が。

それは前世では無駄なバカ騒ぎに生かされていたが、この世では違った。
ちょっとは真面目な方向に進んでいる、確かに間抜けっぽいことだが、結局みんなの為になるようなものだ。
みんな全校集会が一種の楽しく学べる行事になってきている。




「首にするのはいいけど――――正直あれいると楽だよね?皆さん?」という職員会議により高等部に上がった場合、最初から生徒会参加が勝手に達馬の知らないところで決定した。



学校始まって以来の名生徒会長と昼のどうでもいい時間に放送するつもりのテレビ取材とかが来た。
テキトーなことを言ってテキトーに乗り切ることでよくわからないが他県の学区の交流会の仕切りとかやらされ始めた。

何故か問題が全く発生しない不思議な男子中等部の生徒会長として、同じ生徒会長達に問題のスマートなもみ消しかたとかを教えている。
大抵皆「普通じゃ無理」というもので不人気だが。

基本粛清シベリア送り的な恐怖政治はダメらしい。

学校とは関係ない、達馬個人で人脈がある幼稚園への強制労働とか老人ホームでの強制労働とかああいうの罰として一番楽なのに、何故だと達馬は不思議に思う。
不真面目な彼等の気恥ずかしい真面目な仕事の様子とかを記録しそれを弱みにするのもダメなのだ――何故だ。

次やったら、その真面目な活動を学校新聞として張り出す、教師や親に見せる、あと全校集会で褒めるとか言えば大抵反省するのに。


闇討ちされそうな圧政だが、全校集会で毎回一発芸でコーラ瓶などを手刀で切断するとかやって見せつける示威行為が功を奏していた。
その圧倒的なその人外身体能力は男子中等部全校生徒の記憶に刻まれているからこそできる独裁である。
目の上のたんこぶの男子高等部さえも寄せ付けないパワーである。


男ってのは強いのが基本好きという当たり前の話。


そう――――清祥学園男子中等部に漫画のような生徒会独裁時代が幕を開けたのだ。

2年後が恐ろしいと今の清祥男子高等部一年は戦々恐々しているらしい。
なにせこの生徒会長はバリバリだった

現高等部生徒会長が

「うわ、俺も真面目にそういうのやるべきなの?アレ真面目にバカやってるけど」

と感じるくらい。








とぼとぼと生徒会役員室に入ると達馬はぐっと息を吐き出す。




「白ランとか俺似合わんよなぁマジで」

清祥の中等部の男子の制服は白だった。
しかも無駄にカッコ良い白ラン。


爆笑ものである。


結構値段が張るものであり、ガチャガチャしている男子共を封印するには便利なものである、シワとか目立ちやすく不便なところとか。
取り敢えず、入学当初は何故か、俺がよく破ってしまったヤツの制服を女子中等部のミシンがある家庭科室を借りて繕った記憶があるような気がする。


それはいい。

白ランってのは取り敢えず眉目秀麗キャラの服なのだ、そして大体生徒会長。

そして俺は生徒会長。






フム、と達馬は己の額に筋を張る、ぴくぴくとさせ――――そして取り敢えず、上着を脱ぎ、ぶん投げた――――ではなく折り目正しく綺麗に畳んだ。
ほんとは「似合わないーマジでウケル」とぶん投げたいがコレ人のお金で買って貰ったものだし、それはやらない。

そして折りたたみ椅子の上に置き、自分は白く長い折りたたみ机の前に座る

「苦痛だ」



唸るようにそういい、ため息をつく、そしてもさもさとアンケートの集計プリントの整理を始める。
一人で机にプリントを幾つか配置してぐるぐる机の周囲を廻ることもある諸作業だ。
所詮生徒会ってのは学校の備品である。
教師よりも使いやすい賃金がかからない小間使いであり細々とした仕事が日々あるのだ。
俺は本来こんな頭が良い学校に入る男じゃないんだ、とつくづく思う。
そんな中に馬鹿としているからこうなるのだと己を呪った。

中学校のべんきょうってこんなに難しいの、へ?と思わされる毎日である。

でも何故か生徒会会長であるのが不思議でならないと。これって現実かな、と魔法を初めに目にした時よりも周囲をきょろきょろと見渡す。


「生徒会役員室だよまじで、生徒指導室の方が馴染みあったのに」

中学高校で三年になるとギリギリで「まだ進路きまってませーん」とか言って迷惑かけてたし。

それでもここは生徒会役員室だった、別名はカタパルトとかお仕置き部屋である。


今日は生徒会がない日だったので誰もいないが、達馬は必ず仕事を行う。

実態的には他の役員たちは好きにさせている。


めんどーだから帰っていいよーと快く帰らせている。

「そして一人働く男に対し、みんなの罪悪感を煽る、ふふはは独特な大人の嫌らしさだぜこれが、小僧ども、帰れないだろう」


とか思っていた。


でも普通に――――みんな帰る、来なかった。

昔の死因を思い出す虚しさだった。

「―――本当にめんどい時全力投球してやる」

で。


凄いめんどーならいつでもどこでも暇そうなやつに対して緊急全校集会開いてやらせればいいのだと思いついた。
どいつもこいつも頭いいし。

教師にぐちぐち言われても生徒に「部活動あんだよふざけんなボケ」とか「今昼休みだぞ!?」とか言われても知らん。

必要なら高等部の生徒会だろうがひっぱって使う。


その代わり、何かあると大体の中等部男子生徒達のアドレスが入った専用携帯に緊急の連絡が入ると学校を飛び出し、問題解決をしにいく。
なに、これは善意ではなく、俺の平和のため、妙子さんが出張ると余計なトラウマ発症してしまうからしょうがなくだ、しょうがなく。

24時間対応可能という謎の鉄人2号である。
その代わり、「今妙子さん中」だと使えないのがタマにキズ。



誰も彼もそこそこ真面目に手伝ってくれるのはそこにあった。

こいつ地味にまた無駄に霧間凪とかああいうの――――生徒会の名簿はあるが実質として生徒会は会長のみの生徒会となっているが本当のトコロ。

内申点が入らない生徒会である。
超級バカ認定生徒会と教師から信用されている。

まぁこの学校の生徒たちはどいつもこいつも育ちがよく頭がよいので、そんなに生徒個人での問題は起きない。

が、それでも世の中因縁というものが働き、問題が発生するものだ。
たまには達馬の人外の腕っ節によりインネンつけて喧嘩したがる子供を優しく抑えたり、隣の県の親の元まで家出少年を背中に暴れても落となさないまま背負って走って持っていったこともある。
そして発覚した荒んだ光景に、中学生が行政に物申したり最終兵器母を召喚したり。


ある日周囲に「お前存在が中二病」と言われた日には大変落ち込んだ。

ふざけて目安箱設置したら周囲に言われた。

どうでもいいことを大量に書かれるので―――仕返しにマジで実行したのがいけなかった。

そしてある日、目安箱は達馬の知らないうちに消えていた。

「許さん」

いつか絶対やめてやる――こんなの。



書いている文字が毎回変わる扇子でも持ってやろうか、とよく母に愚痴る日々である。




ちなみに中に着ていたインナーはメイドイン妙子のTシャツ。
赤色であり、何かと己は黒、たっくんは赤と勧める妙子の趣味だろう、案外長い間続いている妙子さんらしい可愛い嫌がらせだった。

私の気持ちがわかる息子になって欲しいという願いが篭った、達馬が契約しているピンクの携帯電話と生徒会用のキ○ィちゃん携帯などなど。


達馬としては男がそういうもの、女がそういうもんってのは安直だろう、と微笑みが溢れるほど可愛らしいものだった。

それに結局其処には好意が見え隠れしてて嬉しいものだ、どれもこれも達馬が恥をかくものではない程度あたり。

お茶目程度で、むしろ、抱きしめたい。

前世で走るお馬さんが好きだった達馬の為に、制服など名前が必要な衣服の裏地に小さな糸で繊細な馬の刺繍までいれてくれているなどの細やかな配慮。

「名前略するとウマウマだから二頭入れてあげる」と

そこらへんの製品なんか裸足で逃げ出すぐらいの、洗練されたデザインの――――。



毎日肌に通す時嬉しすぎてにやける。

中学の専用ジャージに胸の所に堂々とこれ入れてもらった、マジでセンスいいし見せなきゃ勿体無いとやってもらった。

俺の服は全て「妙子さんの」って入ってんだぜケケケと達馬は笑う。

この前見せびらかしたとき何かダーヤマに一着奪われたけど、それほどデザインがいいのだと誇らしい気持ちになった。

学校ジャージはちょっと躊躇したそうだが。

「いいのこれ、見えるけど、やっぱり糸抜こうか?」

「大丈夫ですよ、許可とります」

実はそれが生徒会加入する際の達馬が教師に出した条件だった。

せっかく妙子さんが―――わざわざと無駄にできるか。

というくだらない理由。

「いいのかなー?」

とか言われたけど。

権力は使う為にあるのだ。

前世では破滅的に家事ができない母に繕いは基本的「自分でやって?」とか言われ続けた俺にここまでしてくれるその愛情に惚れる。

「うわーまじで俺。妙子さん好きすぎる、最近妙子さんなら男でもいいかとか思い始めてるし」

仕事を終え、達馬はこっそり持ってきた漫画の文庫版「天使は小生意気」を読んでダラダラと教師たちが差し入れにくれたコアラのマーチをつまむ。
一人の時は妙子さんと名前を堂々言える自由な時間。

しかし、正直山田のアドバイスで母と呼び始めたのは失敗だったのかもしれないと、達馬は思い始めている。

背徳感とかやばい。


萎えるから良い、という策だったらしいが失敗だし、本来の目的から遠ざかった気がする。
何か息子認識が深まってるし。

「今日も妙子さん翠屋だから、よって帰るかー」

と自分の中で決めた帰宅時間がすぎるとそう言って生徒会役員室に鍵を掛け、鍵をカバンの中に入れて学校を抜ける。




案外こいつも大概立派なオリ主やっていた。

変な方向に。



すずかから「ライトノベルの主人公みたい――――何かバカっぽくて軽いし、生徒会で内政チート(笑)」とか大変悪し様に言われる。

ちなみに女子中等部は山田ゆかりが生徒会長をやっている。




末馬達馬。

一般視点だと本当に怪物。
肉体強化で寝なくても大丈夫で腹減りさえなければずっと活動出来る。

肉体がいつでも回復し疲れないので基本常時やる気がなくならない。
腕とかちぎれても生えてくるタイプ。

将来土方の肉体仕事で普通にサラリーマン収入の数倍たたき出すチート。

現在、追い詰められていた妙子の時代のリピートをやっている。


とてもフリーダムな学生だが、代わりにストライクとして出撃している。

小遣い月3000円。





妙子さん

最近は落ち着いた。

30突入した瞬間、鉄人引退気味。
やっと人生を穏やかに楽しみ始めているそうな。

翠屋正社員。



山田ゆかり


ジャージくんくん。



シリアス前のお話。




「センスいいわよねーこれ、でもこれ女子中等部とジャージ自体違うから着てったら……まぁいいか」

競争率へらしてあげるわ、と山田は含みを持たせる示威行為の為にこれを次の体育の授業で着ることを決意した。
狙った獲物は大きい、あんなバカみたいな凄いやつなんて二度と出会えないのだ。

誰よりも優しくてお人好しなおバカ
普通の顔だけど優しそうな顔をしていつも笑うバカ。
悪びれないし、媚びないし、怯まない、自由に飄々と、ただそこに居る。



そしていざとなると、モノ凄い格好良くなる。

昔、「大丈夫」と笑って助けて貰った時なんて、すごいカッコよかった。

絶対カッコ良い。

見た目はお世辞にもカッコ良いとはいいきれない、何かいっつも眠そうなやる気のない顔だけれど。

それが私には大きな強く優しいドラゴンに見える。
よく漫画とかに出てくる、年を召したそういう動物。

過去に虐待され、気味悪がれ、捨てられた少年というのは知っている。

昔、無神経に聞いたとき、凄い悲しくなった。
自分を罵りたくなった、馬鹿だと。

笑って許してくれた。
あの眼で、優しい眼で。

そして全く、恨んでないのだ、あいつは、本当に―――。

強く優しい。

この世の誰よりもだ―――きっとこの世界に一人しか、いや妙子さんがいるか、でも異性だからノーカン。


そう思った瞬間から

絶対に譲れない乙女の絶対の守備ラインに達馬は入っていた。



実は母と呼ぶことを策として与えたのはアドバイスでもあるが。目的は別にある。
確かに妙子さんは良い人だけれど、私の恋とは別の話、世の中弱肉強食なのだ。
達馬の相談役やってるのも正直、情報収集だし。
あとデート。

若干あまりにも、遊びスポット知っている風なので、ちょっと不安になるときがある。

私以外遊んでる子いるのかな、とか。
でも今のところ、いないようで安心する。

でもUFOキャッチャーで「ドサドサドサドサ」
メダルゲームの競馬のやつとかで一気にメダル枚数「ゴバー」

とか当たり前にやってしまうし。

案外普段昔口にしていた前世説も嘘ではないのかもしれない。

あれは暇人の無駄な無駄使いの果てに可能とする匠の技だし。


でも前世があろうとなかろうと関係ない、いつだって。

「若い方がいいに決まって――あれ?妙子さんって―――まだ20代よね?あれ?」

あれ?あれ?

あ、そういえば確か今年で三十路だった――シミ一つない肌――下手すると十代。

何か怖くなってきたゆかりである。


ちなみに達馬は根っからのお姉さん系好きである。




「それはいいとして」

山田ゆかりはジャージをつい何故か、顔に寄せ――――。


嗅いでいた。



「変態みたいね、私―――」

あの馬鹿よりもましだけどね、と山田は思う。
どこにコンドームを学生に配る生徒会長がいるのか―――馬鹿め、馬鹿め、馬鹿め、と山田は顔を赤くして一人罵った。
正しいのだろうけど、あんな馬鹿やるなんて―――絶対バカすぎる。
顔面にジャージを当てながらゆかりはそう思った。

「頭ワル……でも良いに「なにやってんのゆかり?」あ―――姉さん!?」

末馬家は柔軟剤はダウニーなので洗濯モノは良い匂いがする。
達馬は基本的に自分の肉体を調節し、無臭である。
妙子さんに男臭いと気持ち悪くなって吐かれたくないために無駄なことやってる。



「ふーん、噂の子のか、口は達者だと思いきや鼻まで達者だったのか「ちが――」ま、あの男ギライの末馬が自ら引き取った男の子だからしょうがないか。絶対何か持ってる子なんだろ




あれの周りは面白いからね、長く近くにいる人間は大抵バケモノ級なのだと、ゆかりと大きく歳が離れた姉は笑う。
いつのまに、実家に里帰りしていたのか?
普段は南米で何か怪しいオカルトの研究をしていて、滅多に日本に帰ってこない姉が。


「え?」

そして滅茶苦茶聞き耳立ててまんがな、とゆかりは思った、そして腑につかない言葉。

「いやさ、めんどっちぃ方の末馬と私友達なんだ、学生時代からの、今もメールでやりとりしてるよ、たまに、めんどっちぃから実家に帰っていてもメールですませるけどな」

あと海鳴に住むこと勧めたの私だしね、という姉。

「え?本当に」

「言ってなかったけ、か……何か聞くことあるか?」

「何…妙子さんのこと?」

「どうやらアレだろ末馬息子に惚れたけど最大の敵があいつだろ、変態っぽいがあのアラキ達と違ってまぁ、まともそうな恋心だから応援するよ」

「いや変態って」

「変態性癖で好きな男のジャージくんくんするのはいいけど、性別逆だったら普通にもっとへんたいだぞ、まじで」

「………わかった私ヘンタイでイイから役に立つ話あるなら聞かせて姉さん」

「その変わり身の良さ、あのめんどっちぃヤツにも見習って欲しいねそれ。まーうん、でも全然役にたたないかも、スマンくくくくくくくくっ」

「はい?」

「まーまず顔面からジャージはなせ、話はそれからだ、な」

山田ハナミというゆかりの姉は度入り眼鏡の奥にある眼を細めた。
それは妙子が普段掛けている伊達眼鏡と全く一緒のフレームだった。

「それ―――」

「ああ、これまだ一緒だったのか、相変わらずそういうのは無駄に大事にする女だな、30にもなって正直ちょっと重いほど、めんどっちぃ―――」

「それよりさっさと人の部屋からでてけ、バカ姉――――――あとで聞かせてね」

「なに?オナニーでもしたくなったのか?ハイハイ退散しますよ」

「違う!今は恥ずかしいから落ち着くまで出ていけといってんの!?」

「そんなので恥ずかしがるんてガキだなぁ、あいわかったよ」


妹の部屋を退出し、昔の自分の部屋に向かいながら。

ハナミは手の中にある木片のようなものを遊ばせた。
そろそろかな、と思っていたのでそろそろもう一度あのバカをわざわざ助けに日本に舞い戻ってきたのだが、面倒そうだとハナミは思った。

まるで生きたように脈動する木片のようなものは酷く生々しく、まるで心臓のようだった。
十数年ぶりにこれが蠢きはじめた。


「アラキのクソ野郎め、また使う気か……」

完全に使用するための片割れは自分が持っているが、どうにも落ち着かない。

ロストロギア「地獄の生き物」の半分。

これは問答無用でなんでも喰らう危険物なのだから。

ほれ、と言い、脈動を停止させる。
これがずっと、死んだままでいてくれれば良かったのだが、いちいち管理者権限で止めるのが面倒でしょうがない。


まだまだ新人なのに無理を言って、仕事を休み、ミッドチルダから帰ってくればこれだ。
無重力な夢の空間からわざわざ帰ってきてのいきなりの面倒事。


こいつで記憶を奪ったけれど、やはり、戻ったか、アラキ。
もう半分は見つからなかったけれど、やはり持っていたか。


アラキめ、あの頭が良い異常犯罪者のような末馬の従兄弟と手を組んで何する気だ。
今度は前みたいに済まない、人が沢山死ぬぞ、とハナミは恐ろしくなった。


『恐怖を感じます、これは、初めてみるものです、いつも貴女が私に見せてくれない、貴女の金庫にあったと思われる掃除道具「ジゴちゃん」がこれですか?』

眼鏡が囁く。

ある女性のそっくりな声で。

ハナミのデバイスの待機状態である。

「ああ、怖いよ、怖いものだぞ―――――でも、あいつはこれが完全だったとき、なんで意図も簡単に真っ二つにできたんだ?」

定規で真っ二つだぞ、Sランクの砲撃魔法も容易く食べてしまうこれを、と少し笑ってしまう。

『管理局に通報しましょうか?現在日本の海鳴に滞在する魔導師は多く。あのハラオウンなど誰も彼も精強です、中には噂のユ―――「ああ、ダメ」』

『何故でしょうか?』

「こんなもん持ってたんなんて言ったら捕まるぞ、私が。あとこれごみ捨てに便利だから勿体無い」

『貴方はいつもクレイジーですね』

「ああ、なんとしてでもあいつを巻き込まないと人が死ぬ、沢山死ぬ、地球が無くなってもおかしくない、それに」

『それに?』

「本当にこれの片割れを破壊出来る魔導師なんてどんな世界にいない、下手につつけば、どかん、だ、末馬以外でこれをなんとか出来る人間なんかいないんだ、多分。
管理局の少年少女には荷が重すぎる、しかも上司の知り合い死なせるわけにはいかないだろう、これ高ランク魔導師とか大好きだぞ、絶対犠牲者が出る。
周囲20メートルの術式の発動が対魔導モードの発動条件。
ましてや今通報したらその最初に来る人間が絶対死ぬ、それは駄目だ、初見殺しなんだこいつは、管理局で働いているような優秀なデバイスマイスターでもダメだ。
こいつは管理者以外となると勝手に人間の意識誘導だってやる、管理局員の好奇心を動かして術式を無意識に使わせるぐらいは自動でやってしまう。
まさしく「地獄の生き物」だ。
基本的に殺戮が大好きなんだよ。
あの時は魔導師がいないからこそ出来た平和な解決だ、それでも集団催眠事件になったんだぞ?そしてあの末馬がいなければもっと酷いことになっただろうな
あの学校の生徒全員が殺し合いを始めるくらいの、な。」

『…貴方は大丈夫なのですか?よくそんなものを十数年掃除道具として愛用してきましたね』

「前、私は昔はAランクの魔力保持者だったと話をしただろう?
管理者の私でさえ解析中にごっそりと魔力を食われて、生涯に使うだろう魔力の半分が喪失して、今はDランク。
完全に破壊出来れば、もしかしたら、元に戻るのかもしれないな、あとジゴちゃんは便利だぞ」

『貴方はやはり変です、ゴミ捨てより、そっちの方が大事では?』

「私、捨てれない女だから、これないと部屋がすぐに腐海になるんだよ、そっちの方が生活に関わるしな。
これあれば「部屋綺麗にして」で一発なんだぞ?私の家宝だ」

『それはクレイジーですね、貴女がそう言う人間だとは知ってましたが』

「なら言うな」

本当にクレイジーだ、とハナミは笑った。あの時は、全くそういうものではなく、あの学校で噂になってそのまま消えた
ただの「不思議な生きた箱」という怪談の小道具だとアラキも私も思っていた。

特に私は「これはかの有名な―――コトリバコだ」とか思っていた。

末馬?

あいつ普通に「集団催眠の原因がこれ?バカみたい、こんなの……えい!」だし。

まさかこれがアルハザード製の対魔導師兼次元災害事象発生用の生物兵器とは思わなかった。


「それをまぁ、なんとも簡単に――――ただの学校の教材用のデカイ定規ですっぱりと切断したからなぁ、「えい」で」

今度はキチンと壊して貰わなければ。

次は「やぁ!」とか言いながら壊してくれるだろう、見事に。

なんでそんなありえないことが出来るのか不思議だ。

あと私のは壊さなくてもいいけど。

「なあジゴちゃん」

お前を胃の中に飲み込んだ間抜けはどうすればいいのかな?

そもそもあの間抜けはこれのことをなんなのか知ってるのか?本当の使い道知ったら、気違いが発狂するな、ワハハ。

「さっさとお前の力であいつの腹からウンコになって出てきてくれないかね?いや、既に出てきて使われているかも、ああ、めんどっちぃ」

早く帰らねば、あの若くて可愛い司書長様が過労で死んでしまう。
欠員ひとりはでかいんだぞ、あそこ。

それかノイローゼーだ。

めんどっちぃことになってきたぞ、おいおい、あの可愛いユーノ様のノイローゼーとか超みたいぞ。
ノイローゼーで膝丈が普段よりも、もっと短い短パン履いてくれるかもだぞ、おいおい。

それはいいとして。


「末馬め」

お前が息子と最近ミッドチルダに遊びにいかなければ、こんなことにならなかったのだ。
なんでお土産に、こいつらを復活させる餌を買ってきた。

「わー綺麗な、宝石だね、うんハナミこういうの好きだし、買って帰ろう」

「へぇ、中で虹色がくるくる回転してますね、面白いですね……でも本当にこれでいいんですか、なんか不気味ですよ?例のハナミさんっていう海外に居る友達、喜びますか?」

「ハナミ、オカルト好きだし、昔もね、変なただのちっちゃい箱で騒いだもんだよ、「これはコトリバコだ」とか言って、ふふ。
あと今は南米でそういうのを研究してるんだ、面白い友人だよ、でも極端に掃除が出来ない人でさ、いっつも私が寮の部屋掃除してあげてたんだ」

まぁ南米じゃなくて異世界だってのを黙っていたのは悪かった。

だがお前いつの間に魔法とかそういうの知った、誰だ、余計なこと教えたの。

あとお前みたいな災害レベルの怪物が魔法の世界に来るな、混ぜるな危険すぎる。

「まぁこの世界なら何買ってきてもオカルトですから、いいんじゃないですか?そこのテーブルだって異世界のテーブルですよ?」

「カイゼルファルベの血石だって、文章は『かの物の血こそ…あ、掠れてて読めない」

「ふーん(なんかどっかで聞いたことあるような)あと多分古代ベルカ語っぽいの読めるんですね?あとエイジャの赤石みたいな名前ですね」

「大学とかでドイツ語ちょっと齧ってれば、MS明朝か楷書体かって感じの差で普通に読めるよ。あとジョジョ、日本に帰って読みたくなってきた」

「へー……(もう突っ込まない)母さんは何部が好き?」

「私は一部、昔(前世)子供のころ、波紋練習したし」

「俺はズームパンチ練習しましたね、今はできるけど痛いからやりませんね、関節って外すと癖になるし。あと多分母さんも今なら出来ますよ、波紋」

「帰ったらやってみるかな?」

「とりあえず、真に受けて、出来てしまっても、無駄に長生きしないでくださいね?ただでさえ若作りなんですから。
流石に俺でもテロメアとか弄るの難しいんですよ?あとレベル30くらいの経験値必要なんですよ?」

「爪は好きに伸ばせるのにね、ゾルディックみたいに」

「黒板ひっかくと凄い音でるんですよ、あれ」

「うわーやだやだ、想像するだけで苦しいからその話はやめにしよう、あとレベルって?」

「レベルじゃなくて熟練度的な感じ?かも、使いこめば結構色々出来るようになってきました、静電気好きに出したり、体に溜まった乳酸減らしたりとか、イルカみたいに半分寝て半分起きるとか色々です」

「へー相変わらず面白いよね、ちょっと羨ましい」

「学校の勉強できた方が便利ですよやっぱ、使うとお腹減って食費かかるし」

「私がいつでもいっぱい作るから大丈夫だよ、あとそういうの気にしないで」

「………(この人と早く結婚してぇ)」

とか言いながら息子と一緒に選んで買ったらしいが。


どんな確率で骨董品屋で、そんなもの見つけてお土産にするんだ、お前は。
前に石垣で買ってきてくれた沖縄の古民家の屋根の上にあったらしきシーサーよりもレアだぞこれ。

届いた瞬間にカービィみたいに吸い込まれて復活したんだぞ、どうしてくれる。
今までは休眠状態でよかったものを、共鳴してアラキの方も復活しただろ。
あれの中に魔導師の知識が入ってるから、犯罪に使われそうだぞ。

基本的になんでもお前のせいなんだ、全て。

「さて、末馬妙子、これはお前の出番だぞ?」

お前ならこの虚数空間にでさえ、投げ込んでも戻ってくるこいつを倒せるだろう。

どんな物理現象、魔法現象にも耐えうる、怪物を。


多分。


で。

あとお前の息子はどんな生き物なんだ。
近況のメールだと、すごいことになってるぞ、イメージだと超人ハルクみたいだぞ。




つづく?



金属釘バットがアップを開始しました。

チートキャラにはチート問題。


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