末馬妙子という少女が居た、とアラキは思った。弱くそして誰よりも傷つきやすいガラスのような少女だった。パコリと刺身が盛り付けられていた発砲スチロールを折り曲げ、アラキはゴミ箱に投げ入れる。だが、そうではないのかもしれない、とアラキは思う。こんな風に折れたりもしないし、砕けたりもしない、だが傷つく。曲がることもない鉄のような少女だった。そうだ、金剛石だ。ダイヤモンド。「末馬……」夕飯の片付けを終え、アラキはワンルームにでん、と構えるベッドに潜り込み、身にまとった衣服を脱ぎ払い、しばしの性の欲求の高まりを満たす諸作業を行うことにする。「末馬、末馬、末馬、末馬」下の名前で呼ばないのはアラキなりの欲求を高め解消する手段だった。彼女に最も不要なあの下の名前は、言葉にすると、まるで叱られるような気分になる。自らを辱めるアラキは、その自分の体ではなく、あの末馬妙子を辱めていた。同じ女性の体を利用したダッチワイフがわりに自分を犯すのだ。倒錯した熱情がパチパチと燃え盛り、体が熱を持ち、熟れた果実からその汁が漏れるように、潤と、「末馬」とアラキは名前を囁き続けた。あの宝石を諦めない、とアラキは決意していた。そして過去にあの宝石のような想い人に壊された、あるものをまた手にすることを決めた。唐突にやっと十数年かけて思いつき、決めた。なに簡単だ。末馬妙子がかつてその圧倒的な才覚で何も知らず破壊したあの匣はまだアラキの手に欠片が残っている。これでも十分、遠い場所に行き、恐ろしいあの魔法の杖のようなものを手にいれることが出来るのだ。あの醜い、決定的な末馬妙子の弱さの源泉となる小男も協力してくれるだろう。醜悪だが。あれでも―――使ってやろう、分け前は体と言うだろうが、私は構わない。器なんてどうでもいい、あの宝石の中身が欲しいのだから私は。匣は確か器と中身を選別する。匣に納めるものこそが真の宝だ。達馬の難しい年頃、忍び寄る何か 1此処数年で自分の息子になった少年、達馬はとても当初見たときよりも何処か鋭く、遠い何かを見ているような深い眼差しを得たような気がする。大人になった?そんなことを思うのは達馬にとって失礼であろう。元々は20歳の青年だった彼は今はまた14歳の中学生になった。肉体年齢と精神年齢の大きな差は広がる一方だ。だけれど、小学生だった時の彼は、のびのびと人生を楽しんで居た、そこがつくづく羨ましいと思っていた。でも最近は。「母さん、今日の休みは少し出かけて山田と遊んでくる」中学に入学してから、妙子さん、とではなく母と達馬が自分を呼び始めるようになった。まるで戒めるような風にそう呼ぶのを妙子は知らない。「え、デート?たっくん、山田ちゃんと?最近多いよね?」最近自分とよそよそしくなった気がしていたが、そうか、そういうことか、と妙子は思った。お母さん子である男の子の旅立ちの一歩であろう。山田ちゃんか、と妙子は思った。喧嘩友達のアリサちゃん、そしていつのまにか仲直りしたすずかちゃんや、昔からお兄さんのように妹扱いしていたなのはちゃん。大人しいフェイトちゃん、いつもたっくんに驚かされる、可愛い子いっつも二人で面白い悪戯を企てていたはやてちゃんでもなく、山田ちゃんと言う、仲良く雑談を交わし合う女の子。息子の恋の行き先は山田ちゃんなのか、と妙子は思った。みな、凄い美少女になってきたけれど、そうかそうか、と妙子は想い含む。「デート?なんで?」「女の子と二人きりなんでしょ、デートだよ?」「あ……え、そうなるのか―――そっか、そういう歳だっけか」酷く驚いたような顔をした。そして深く頷く。息子ながら、中々、その顔は精悍で真剣な表情。近所の母友達の中でカッコ良い子になったわね、と褒められるほどは見栄えの良い表情だった、顔の作りは少し彫りが深いぐらいで、他は平凡で、美とか醜とか付くような顔ではないはずだが。だけど、話に聞くと人を惹き付け魅了させられる顔だと、こっそりとこの前、達馬が居ないときに突然来た名前も知らない女の子が自分にわざわざ言いに来た。その子は達馬のことが好きで、でも絶対に振られると言う。大きなモノを背負ったような彼は見向きもされない、だからどうにか向くようになるために一番知っている人に聞くのが一番ということで母である私のところにきたのだ。なんだか、過去の自分が虚しくなってくる瞬間だった。自分はストーカーが来ていたのに、たっくんの場合は想いを秘めた可愛らしい少女が真剣に恥をかいてまでその想い人の母のところにくるのだ。私には全く感じ取れない、たっくんの悩みとか決意のような何かを探し当てるために。多分あれだろう、たっくんは勘違い系転生者タイプなのだ。ため息がでてくる。同じ転生者なのにこうまで違うと嫉妬とかしてしまう。たっくんずるい、ほんとずるい。よく人のことをチートとか言うくせに、こういうところは元男として反則的だ。最近覚えた言葉で「もげろ」という言葉。それを息子に贈りたい。それでも救いなのが達馬の幼馴染達の反応だ。彼女達はそんなたっくんの反則惑わし行為に何も感じないそうである。「雰囲気イケメンですよ、所詮。私たちにはその雰囲気とか、1000円の加湿器ぐらいにしか感じないから大丈夫です」とアリサちゃんは言う。「それは噴霧器」「そんな感じですから」「でもモテるよね」「そうですね」アリサちゃんは我がことのように、うんうんと頷いて誇らしげだ。その時のアリサちゃんを見て何か複雑な気持ちになった。私も、たっくんと学校いきたい、とかそんな親バカの気持ち。とりあえず何かと迷惑掛けていたことに妙子は感謝をアリサに捧げる。未だにアリバと呼ばれ達馬を蹴るのも大変だろう、最近は全部よけられる、と文句を言われた。「妙子さんが代わりに蹴ってください、あの男、ウチの中等部の敵ですから」うちの息子はどうやら女の敵らしい。妙子が耳にする評価では、達馬という少年は中々海鳴では有名な好青年として名を馳せているそうだ。過去に予言した、真面目にやっていると生徒会長にさせられるよ、という言葉通り、末馬達馬は中学に上がり、早いうちに学校の生徒会運営に駆り出され、なんと、誇らしいことに、私立の頭の良い、学生達が集まる清祥学園男子中等部の生徒会長として日々を忙しく過ごしている。彼の小学校の担任だった女性でいつも達馬に面倒を掛けられていた彼女は、ガキ大将のまま大きくなったと言う。ちょっと真面目になったのかな、と微笑み、将来楽しみだとうれしそうに言う。何故か、妙子はどう、反応したのか思い出せなかった。そして昔から今でもそうであるように同学年の少年たちにとって達馬は人気があるそうで、何かと催し物ではど真ん中に立たされるそうだ。身長が伸び、既に息子は母である自分の隣に並ぶと、頭が抜き出る。本当に大きくなった、手は、最初のプニプニとしそうな柔らかさを失い、鋼のように硬く、そして男らしい鍛えあがった手だった。特殊な力である、身体能力の強化を極限まで引き出すように尖らせた肉体を達馬は獲得し始めた。妙子が夜に風呂に入る時間ぐらいにはいつも腹筋をしていた記憶がある。どうやらいつのまにか体を鍛えるのが趣味になったみたいだ。9歳の時二人で行った沖縄旅行を過ぎてからの気がする。何かあったのか、と思うが、特に何もないような気がするが。まあ、健康でいいことだね、と妙子は微笑む。「デート楽しんできてね」達馬はそう言った妙子の微笑みを見て、冷や汗をかいていたのを妙子は気づかなかった。達馬は最近とみにキツイと感じている。でるもんでるようになった、ようは精通を確認した沖縄の夜、あの永遠に黙したいあの夜だ。下半身にもう一人の獣の僕とかそんな感じに暴れ馬の人格が生まれた。もう、もうキツい、キツイ、と叫んで走り出したい14歳。己の母である、末馬妙子がお風呂に入るたびに腹筋を鍛える日々。「一緒に入る?」とか言われるとさらに夜のロードワークである。街を疾走してその欲望から逃げるのだ。海鳴り交番のおまわりさんには「流石鉄人2号だね、達馬くん、将来警察入ってくれないかい、絶対君ならいいよ、君たちどっちか街にいるだけで私は凄い気が楽なんだよね、だからさ、犯罪見つけてしょっぴいたあとの処理もして欲しいんだよね、お願いだよ海鳴の鉄人2号。絶対おすすめ、ていうかウチら全員欲しがってるよ君のこと、真面目だし、正義感もあって優しいし、この前なんか、君に助けて貰った人が僕にお礼の品を持ってきて「あの人に渡してください」とかなるんだよ、女性とか女の子とか、わざわざだよ?わざわざ?君絶対なるべきだよ警察官、じゃないと凄い悪党になるからね、君。」と勧められる。違うんだ、と達馬は叫びたい。最近、好青年とか立派とか言われるたびに達馬はつらい。賢者になるしかないから賢者になるのだと、現実と壊してはならないものが訴えるのだ。まさか、好青年をやめて下衆にはなれないのだ――――決して。心と体が欲しがるものを抑えるための反動でしかない、こんなのは。グレることが出来れば楽なのだが、そうすると悲しむものがあるのだ。真面目真面目と成長する表面の中はドロドロにマグマのように蠢く欲望がある。やべえ、やべえ、と達馬はもうあっぷあっぷで欲を捨てるために走るしかないのだ。そりゃあ走れば走るほど鍛えられるというものだ。「そういえばエロ本とかないの?たっくん買う年でしょ?」とかもう言われた日とか最悪だった。右手の上下運動する気分になる瞬間には一人の女性しか浮かばない、で、結局その浮かぶ女性を心の中でさえ汚さないように別の運動をするしかいないのだ。筋トレだ、体を疲れさせ、夢に見ないように泥のように眠り、己を責め立てるのだ。難しい勉強をして脳をそれいっぱいにしてその汚れた思考を防ぐ。今では逃げるために己を鍛え上げる機械になっている。達馬は彼女を傷を付けないために血反吐を吐くのもためらわないのだ。過去に見たあの脳裏にまざまざと浮かぶ女神の裸の姿とか絶対に見ないように。だって白い血ださないためだもん。既にこの時過去、妙子がナポレオンの睡眠時間であったように達馬もそうなっていた。周囲の評価はカエルの子はカエルだ。海鳴の鉄人は代替わりをしたのだと、街の人々は口々に言う。今まで妙子の行ってきた奉仕活動が達馬の方にシフトし始めている。そして現実逃避手段。達馬の場合金儲けではなく現実逃避手段が筋トレとかそういう方向に向いていた。シグナムのレヴァンテインに拳を合わせ、弾き、防ぐぐらいはやってのけるくらい達馬は自らを鍛えた。なのはのシューターを回避、鼻先を掠ろうとも、眉一つ動かさない精神。最強の恐怖が身に宿っている故に、体が痛いと思うものでもそれは恐怖ではなくなっていた。時にはあの甘味大魔神の所に身を売り、和菓子を作り、極限まで己を飢えさせ、魔法使い達の仮想標的役というアルバイトをする。人間ガジェットとヴィータは命名したアルバイトである。ちなみになのははこの仮想標的との訓練で多くを学び、戦いとは耐えることと深く学び、目の前の機械のようにならないように休みをとることの大事さを学び、なんと撃墜事件が起きず、また一つ不幸なお話は明後日に消えた。なんでも、ああいう非人間的な人間は怖いのだ、となのはは思ったのだ。人間ゆっくりとした呼吸で生きないといつか倒れるのだ、と思ったのだ。案外、未来という奴は、良い方向に向かっているのかもしれない。だが達馬は不幸だった。己をとことん鍛える達馬は、今日はその悩みをぶちまけるために、よく相談にのってくれる友人のところに逃げるつもりだった。休みの日でも達馬の心と体は油断できないのだ。此処9年で妙子さんは大分、落ち着いてきたようで、あまり日々をボランティアに自らをすりつぶさないようになり今は大体休みの日は家にいて、ゆっくりとしている。伊達めがねを外し、惜しげもなく封印したようで封印されていない美貌をさらけだしながら。ソファーで寝っころがり、映画を観るという、昔にはありえない休みの仕方。リラックスだ、そう女神のリラックス。なんかアホみたいだけれど、達馬にとってそのソファーの隣に座って、それを見て、冷や汗をかきながら2時間過ごすのは地獄なのだ。ときたま、息子に微笑ましいちょっかいをかけてくるのだが――それがいけない。ノーブラジャーのまま、抱きつくな!と叫びたいが叫べない地獄。やめてやめてやめてやめてやめて、まじで死ぬ、俺が死ぬ。俺はもう、耐えられない、と悩んでいる。人から言わせれば贅沢な悩みだろうが、それはそれ、達馬にとって贅沢病は死に至る病なのだ。本格的に男として末馬妙子という女性を愛している達馬は――その中で絶対防衛ラインを越えないように此処数年頑張っていた。触れれば溶けて失くなってしまう雪を守るために、決して自分でそれを壊さないために、耐え忍ぶ。ぶっちゃけ、もうマジで押し倒して滅茶苦茶にしたいとか、そういうレベル。ぴたりと脳にその思考が浮かぶと「よーし80キロくらい走ってくっかなーそれとも早すぎる大学受験勉強するかなー」「えー、一緒に映画みようよー。だーめー」ギュッと抱きつかれ。ギョッとする。今日もまた、妙子さんが創りだす天国地獄から抜け出し、達馬は真剣に街のマックで昔からの友人に相談する。これが達馬にとってに人生の休憩だった。真面目に聞いてくれる人間が一人しかいないという絶望を感じる瞬間であるが。他の奴はこんな感じ。アリサは「ハイハイ頑張って、頑張って」と流されすずか「そういうの現実にあるって夢みたい」と自分の好きな小説の事(禁断の愛系の小説)の話をし始め相談にならない。なのは「たっくん、昔からでしょそんなこと、それよりも新しいシューターのバリエーションがっ」役に立たない。ユーノ「羨ましい、もげればいいのに…てゆうか僕の方がむしろ忙しいんだから」睨まれるリンディさん「そんなことよりも和菓子、あの安っぽい味をお願い、まずそれから考えましょう」殺される。はやて「ええなぁ、甘酸っぱいなぁ――――」ババアかお前はクロノさん「苦労しているね、そうだよね僕も―――」俺よりもこの人の方が大変そう。フェイトにはちょっとナイーブな話なのでやめておいた、だって天然キャラだし、まずバトルだ。原作キャラ(笑)の癖に、超人どものくせにどいつもこいつも――――恋愛系じゃなくてバトル系だから参考にならない。ヴォルケンズはそんなことよりも体鍛えろ派なので相談しても無駄。シャマルさんとか面白がり余計なことをするだろうからやめておいた。ヴィータさんは顔真っ赤にして殴るし。ザフィーラさんは格闘技術の先生として守護の技―――それかっちょいい、男の男だぜ、心に秘めて鍛えるとか――変な方向に行く。シグナム、ああ、決闘だ。「ダーヤマ、どうしよ、まじでどうしよ」「別に血とかつながってないんでしょ?戸籍上も義姉弟―――――ヤレば?もうそんな鈍い羊なんか狼に食われて当然でしょ?」ずずっとバニラシェイク(全部俺のおごりで相談料)を飲み干し次に紅茶を飲み始める目の前の友人に俺はそんな身も蓋もない発言に呆然とする。「それできないから、ていうかそんなこと適当に口に出すなよ――――殺すぞ」「うわ……マジで人殺せる眼になってるわよ、達馬?でもそれ良くないかな、べっつに14でも子供さえ出来なきゃ「おい!」ってもいいんだし。ちゅうか、アンタの性欲事情なんか聞かせられる私の身になってよ、まぁ面白いからいいけどさ。ま、私から見ても妙子さんって同じ性別でも誘われたらうんとしか言わないぐらい綺麗だし、可愛いものね。そんな人の血の繋がらない息子になってしまった不幸は同情に値するわよ、でも、結局そんな悩み私にふっても意味ないと思うわよ?一言。アタって砕けろ、とかそんな言葉しか、言えないわよ―――ていうかもう一つセット頼んでいい?」「……別にいいけどさ、太るぞ?、ちょっと足ふと―――「え!?本当!?」いてっ!」どうせ小遣いなんてもんはコイツに悩みを聞いて貰うときのおごり代でしか使わないのだ。朝から夜まで映画とかカラオケとか奢って付き合って貰って悩みを聞いて貰うのが使い道だ。あれ、なんかおかしくないか、俺悩み聞いてくれるホステスとかに貢いでるような―――とか考えながら顔面痛くなってきた山田という少女、まるである女性の真似をするかのように伊達めがねを掛け、ある女性を真似るかのように肩まで掛かる髪を持つ少女は豹変した。そして目の前に座る少年の顔面に張り手を行なった。「なにすんだ――――ユーカリ!」「あんたが変なこと―――馬鹿っ!」山田ゆかり、という名前でもっぱら、達馬にダーヤマ・ユーカリと呼ばれるのがそろそろ嫌気がさして来た少女はもう一度、次は拳を握り締め少年の顔面を殴った。カエルの子はカエル。どこまでも、末馬の親と子はニブチン大魔王であるのだ。はやて、なのは、フェイトなど、どこか隔絶した人間性を持っている彼らは己の運命に沿って生きていた。それが原作という何処かのお話なのではなく、彼等の意志がそうさせていた。その意志に達馬という一人の少年の個人的な決意はまったくもって介在せず、普通の友人関係となっている。むしろ、彼女たちにとって妙子の方が影響している。妙子の横にいるバカはバカのままなのだから。だがしかし、山田ゆかりは違った、ずーっと横にいる馬鹿が、モノ凄い馬鹿であり、モノ凄いヤツになっているのを見てきたのだ。馬鹿な奴は、馬鹿でいることを妙子という女の前以外やめて、真面目になった。山田ゆかりは普通に恋をしていた。馬鹿なお調子者だと思っていた幼馴染のような少年の成長にギャップを感じ、気になってしまって大分のめり込んでいた。大人になってきた達馬は学校や外では大人として振舞うようになり、いい加減馬鹿な大学生のつもりをやめている。母を尊敬していた、どんなに現実逃避手段でも人に優しく誠実に振舞った妙子の真似をして、うん、聖人やりはじめてるのだ。根のところは、相応しい男とか、そういうのが源にありそうだが。思春期に入った周りの少年少女の反応も変わった。仲が良かった、達馬にまとわりついていた少年たちも、何処か、そのままで居るものもいないものもいる。何処かその生まれ持つ前からあるアドバンテージを感じ取り嫉妬する者も出始めた。そしてキッチリ妙子とは違い、自分は鈍感ではないと思っている達馬は時には殴り合ったりとかして良い方向に納めるのだ。むかつくんなら、バトれよ、何度でも喧嘩してやるよ、という空気を出す、変なカリスマが出ている。シグナムとかフェイトと「ディエル!」一言で戦闘を始めるカリスマの取得。すごいがすごくないし羨ましくもないカリスマだろう。運動能力チートだが、頭は元々良くない少年であり、私立の難しい勉強もひぃひぃ言いながらこなしていく。ひぃひぃいいながら学校一位の成績を残すあたりとか、俺も頑張れば出来るは絶対とか思われるので好感が持たれる。馬鹿でも出来る、という言葉の体現者故。「馬鹿で頑張って出来る男、清祥の鉄人番長」が今の彼の渾名だった。生徒会の仕事とかヒィヒィ言いながらこなす姿が見たくて圧倒的な投票数を獲得する。前世でちゃらんぽらんやっていたから何事も初めてだから最初はヒーコラと苦しむ。そして頭がおかしいと言われるほどの現実逃避的な努力が花を結ぶ。天然ではなく、後天的な努力によって積み上げ鍛えたせいか、酷くそれが気持ちよく、人を魅せることが出来ていた。絶対に届かない頂きに登り始めるヤツは応援したくなるという気持ち。素で軽くなんでもこなしてしまう妙子の学生時代の時は、基本的に周囲の反応は応援ではなく粘着だった。妙子と達馬は二人は対照的であり、もし同性であり同年代であったなら死闘を繰り広げる運命のライバルとかになっていたかもしれない。そんな彼は結局、日常生活が鬼のように忙しく、「原作、ナニソレ?」といった風に暮らしている。決定した未来であり、それは生涯変わらないだろう。変な余裕が出てきた妙子が「次元世界旅行しよう、折角だから」とか言わなければそうなる筈だった。本来のこの話の主役は妙子なのだから。トラブルは全てこいつから始まる。トラベルが重なるならなおさら。過去に起きた妙子が軽く解決してきた事件が再び紛糾するのも時間の問題だった。つづく?Arcadia祝復活。ここで終わりとか思ってもいいですよ?末馬妙子 元鉄人になってきた。実は過去に原作の世界観に関係する事件を解決していた。全くの素で。末馬達馬 2代目。モテる男そろそろ性欲がヤバイ時。凡庸だが、努力家。前世でしてこなかったことをすることで、完全に転生者としてではなく別人の一人の人間になっていく。原作の人たち。基本友人。村人Aと戦う勇者はいない。山田ゆかり本作の新ヒロインただの頭が良い少女。虎視眈々と優良物件を狙う。甘酸っぱいキャラ