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No.36072の一覧
[0] 【習作】転生者のお母さんはTS転生者(守銭奴)【ラブコメ】みさりつの短編集 短編追加[みさりつ](2013/10/12 03:21)
[1] 妙子さんは一生困惑してるけど正直どうでもいい俺、おっぱい 妙子さんUSO追加[みさりつ](2012/12/09 08:19)
[2] 初恋ハンター妙子幼稚園編 ちょっとした小話集[みさりつ](2012/12/13 23:02)
[3] 【伝説の鉄人の伝説】息子は嘘つきです、これは全部嘘です 妙子さんUSO追加[みさりつ](2012/12/18 15:31)
[4] 俺の人生の大体のスタンスが二日で決まった人生気疲れベリーハード 小話追加[みさりつ](2012/12/10 07:30)
[5] IFもしも彼女と彼が逆だったら(15禁)大変下品なメタギャグ 小話追加[みさりつ](2012/12/12 06:25)
[6] たっくんの通信簿は賞賛か小言に満ち溢れているby妙子[みさりつ](2012/12/12 01:19)
[7] キボウ エンド [みさりつ](2012/12/12 06:01)
[9] いつまでたってもはじまりません!魔法少女リリカルなのは無理[みさりつ](2012/12/12 12:06)
[10] それは過大評価すぎる、そのまま俺が過大な重力の輪に取り込まれるからやめて!?だって軽いですもん僕by達馬 [みさりつ](2012/12/12 20:34)
[11] ねぇ妙子さん取り敢えず今から海外旅行行きましょう。 プロローグ[みさりつ](2012/12/12 22:58)
[12] 世の中こんなもんでしょう、ちょっズボン!?脱ぐな!完結[みさりつ](2013/03/03 16:12)
[13] 未解決未来編 1[みさりつ](2013/02/21 12:24)
[14] 未解決未来編 2[みさりつ](2013/02/21 19:03)
[15] 小話 末馬達馬の覚醒 暴走編 [みさりつ](2013/02/20 18:46)
[16] 末馬達馬の覚醒 バトル編[みさりつ](2013/02/21 21:11)
[17] 末馬達馬の覚醒[みさりつ](2013/02/23 02:15)
[18] 未解決未来編 了 ヘルクライマー事件 開幕[みさりつ](2013/02/25 19:12)
[19] 学校の帰り道 なのは編[みさりつ](2013/02/27 16:42)
[20] 主人公たちはついにデバイスを手に入れた 妙子の悩み追加[みさりつ](2013/03/03 14:18)
[21] 末馬達馬の流儀[みさりつ](2013/03/18 03:01)
[22] IF2彼と彼女が逆だったら、暗黒編1話【15禁】[みさりつ](2013/03/20 10:28)
[23] IF2彼と彼女が逆だったら、暗黒編2話【15禁】[みさりつ](2013/03/21 04:07)
[24] IF2彼と彼女が逆だったら、暗黒編 閑話 アンサイクロペディア編3/26追加【15禁】[みさりつ](2013/03/26 18:11)
[25] 短編ネタ 機巧少女は傷つかない二次創作[みさりつ](2013/10/13 20:22)
[26] 末馬達馬の事件簿2 幽霊編 小話さらに追加 226 さらに追加[みさりつ](2014/02/26 02:50)
[27] 末馬達馬の事件簿2 幽霊編 閑話 末馬家の最近の晩ごはん[みさりつ](2014/02/06 06:16)
[28] 末馬達馬の事件簿2 幽霊編 閑話2 沢山食べる君が好き by山田ゆかり[みさりつ](2014/02/06 11:43)
[29] 末馬達馬の事件簿2 幽霊編 悪夢と悪夢のような事実[みさりつ](2014/02/08 03:19)
[30] 末馬達馬の事件簿2 幽霊編 達馬の新能力[みさりつ](2014/02/10 06:15)
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[36072] 妙子さんは一生困惑してるけど正直どうでもいい俺、おっぱい 妙子さんUSO追加
Name: みさりつ◆2781aa24 ID:36037864 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/12/09 08:19
【注】ちょっと暴力シーンの回想あり。








新しく家族になった佐藤達馬には

残念なところが一つある。

それは





「転生オリ主――――やってもいいんだよ?」

「やですよ」


末馬妙子の期待から逃げる。







【もう一発、続いた。】 2話 完





「ハーレムは?男の浪曼でしょう?」

「いや無理ですって、実際修羅場でしょう、胃がおかしくなりますって」

「えー?可愛い女の子達が将を射るならなんとやらで私の所に来てさ、「お義母様」とかやってくれたら面白いのに、ツンデレとか素直クールな子とか
ウチの子?いいよーあげるあげるっていう感じの大らかなお母さん役やるよ私は」

「いやいいですよ」

「あとラノベ主人公の親のごとく長期出張するよ?となりのマンションに(自分の)」

完全っに他人事なので、面白そうであると妙子は言う。


「つうか、妙子さん何か最近それ系詳しくなってません?」

「うん、最近こっちの世界の二次創作読むのが趣味だし、私みたいなTS転生者の話とか面白いね」

「おい」

「あるある、わかるよ、その恥ずかしさ……とか共感出来るやつとかが好き、女子トイレとかスカートの話とか」


妙子の新しい趣味、それは二次創作であった。
自分がTSしたので、同じような苦労をしているTS転生者の二次創作を探す。
そして、原作がわからないので、原作の話がどんなものか調べる、といった逆順の楽しみかたをしている。
既に妙子のパソコンのブックマークがそれ系で埋まり、最早アンテナ作れるぐらいだ。


「転生したあとにハマるってなにさ!?」

「でも精神的ホモな話を読むと欝になるね、んな気軽に男に惚れるとか無理だろ、とか百合?とか非生産的で親が泣くぞとか女はそんなに綺麗なもんじゃないぞ。
実際TSすると気持ち悪くなるぞ、TSする前から同性愛趣味でもないと無理だぞとか。
悩まないお前はちん○んないだけの男だ妬ましい、もしくは吹っ切れたのか妬ましい。
もっと悩めよとか―――私は今も悩んでいるぞとか」

「それはそうですね現実そんなもんですよね」

「男なのにスカート履いて電車で痴漢にあった時の情けなさとか、わかってよ!現実すぎて死にたくなるよ!」

「いや俺に言われても!」



「うーんでも、あんまり女性の友人関係の陰鬱な場面を取り上げた話とかがないから残念。
こう、美人だから調子にのんじゃねえと髪引っ張ったり、とかそういうの。
嫌いな友達のプリクラをこっそりメッタ斬りにする女の子の話とか。
嫌いなやつの髪にガムをこっそり着けたりする女の子の話とか。
バリカンで―――」


「そんな話書く奴いねえ!え!?それ実話!?」


「ないとは言わない」

とある女性を勝手に取り合った女子高生達の熾烈な争いの一部分である。
友人と思っていた彼女達が実は水面下で、とかそういうのである。



「……大変だったんですね、妙子さん、何がとは言いませんけど」

「うん、中学で完全に男嫌いになってから女子高に進学して不登校になったことあるんだ私」

「リアルすぎる、てかやっぱりモテたんですね色々」

「女性も嫌いになって、一時期ついに人間不信になった」

ある日の朝、学校の通学路を歩いている途中に友人が帽子をかぶって着たのを見て、妙子は何かに気づいた。
そして、友人の一人が顔に青タン作っているし笑顔が怖い、それを見て、恐ろしくなった。

よく見ると制服に若干、黒い染みがある。


それらを統合し。


すぐさま


華麗に校門の前でバックターンしてそのまま不登校になった。


「普通に暮らしてるのに―――何故!?」


と家に篭って現実逃避の金儲けに走った。


「………」


妙子の苦労話を聞いている達馬はいつも思う。


この人本当にテンプレTS転生者なんだよなぁ、と。




全ては


下手に男性として女性に優しくする紳士的な気持ちが仇になったわけである。
女性が重いものを持っていたら、自然に持ってあげる。
女性が髪を切ったら、褒めるし、服装、化粧も気づいて褒める。
些細なところでもキチンとお礼を言う。
といった、末馬妙子が当たり前だと思うことをしていたわけだ。

そして大人としての意識があるせいか、基本的に前世の年齢より下の人間に対し誰にでも優しい、年上を敬う。

男らしく雄々しく物事に立ち向かう精神もあるし、暴力を嫌う。

結構、他人の為に奔走したりする。

元社会人なわけで大人の事情も理解出来るし、物事をスマートに解決する。

その割にいきなりポンと子供引き取ったりする大胆さ。

若干22で婦人会のリーダーでボランティア活動とかを推進し、子供を一人を引き取るまで毎朝小学校の通学路で旗を振っていた。

土日は街の清掃活動、もしくは公民館で得意な手芸を生かした手芸サークルの先生である。

何故か未婚なのにPTAに顔が効く。

子供が好きなのか、この前は小学校で読み聞かせをしていた。

別名「海鳴の鉄人」

性欲やら物欲やらが失せ、賢者のごとく生きている。

女になってから少食なので食欲もあまりないらしい。

雨ニモマケズを地で行くのだ末馬妙子という女は。



守銭奴だけど。






とかが悪いんだろうなぁ、と達馬は思った。

美貌、金、性格とか。
その代わりなのか異常なほど不運の持ち主(生まれが)
てか、22で数百億稼ぐとか何者だよ。
ていうか、それだけ金あるのに月16万で生活出来る精神が謎。(現在22万円)

全てに置いて完璧とは言わないが、此処まで出来た人間は見たことがない。

多分この人、俺と立場逆だったらなのはとかフェイトと一緒に砲撃とかしてるんだろうなーと思う。


そもそも時代の移り変わりを利用して金儲けなど確かに思い浮かぶが。

一言。

で、どうやんの?



俺には無理だと思う。






できてしまう彼女に、それを言うと落ち込むので言わないが。

まぁ魔法少女などこの人がやらされたら、本人は手首切りかねない。

末馬妙子はガチで自己嫌悪とストレスの塊である。

ある日夜中に突然目覚めてトイレに駆け込みゲロゲロしているのを見たことがある。

どうやら、男に性的行為をされそうになった記憶を夢で思い出して吐いていたらしい。
その時の吐いている様子が「色っぽくて変な趣味に目覚めそう」とか思ったのは達馬の秘密である。



「昔は大変だったんだよー?」


今も大変そうですけどね、貴女。


「そうすか」


「いっておくけど、同性同士の擬似恋愛も修羅場になるからね、男のストーカーも怖いけど、女のストーカーも怖いからね、てか粘着力凄いよ、思いつめた女の子って」

「俺の場合BLですからホモですから妙子さん……てかストーカーって」

「朝…ある日、私の家のゴミ捨て場で謎の男が私の生「それ以上いけない」

「あと、ある日家の新聞ポストを開けると謎の透明な瓶があって、その中に白「ケフィアか!?人にトラウマ感染させないでください!」」

「バレンタインデーで女の子から貰ったチョコレートを食べたら口に、ん、なんか糸「魔法じゃなくて呪術か!」そのあとトイレに駆け込んで喉に指「そうするね普通!」」

「今もあるんですか、ストーカーは」

其処は達馬としては一番気になる。
これだけ金あるし、綺麗だし、危険な目にあわないのか。

「海鳴市に来てからなくなった、そもそも無駄に治安いいから此処住んでるし、下着ドロもないしゴミ袋漁りとか夜道一人で歩いても、突然後ろからとかないしね。
ここ来る前とか、一人で夜街を出歩いたりとか出来なかったんだよ?」

「そうなん…ですか?ていうかよく今まで無事でしたね」

末馬妙子は知らないが、海鳴市は人外魔境である。
それを言わないほうがいいかな、と達馬は思った。




「ん、スタンガンも持ち歩かなくていいし―――ていうことで、これからの人生、苦しみを分かち合おうね―――私の分も頑張って?」

「俺普通に生きますから、てか俺男だからそういうのまずないし、それに妙子さんはまだ22でしょ?」

「ジェネレーション・ギャップでどうせ苦しむよ?普通にしてても小学校とかで真面目でしっかりした子とか言われて生徒会長させられるよ?……あと私はもういい」

「じゃあネクラに生きますよ、妙子さんはまだ若いんだから、これからを生きましょうよ」

「私の気持ちを分かる同類がいるから、もういいんだ………たっくんが居るし、我が運命の人!」

「うわぁ…てか、妙子さんはあんまりそういう冗談言わないほうがいいですよ」

「いいの、たっくんラブ。あ……ラブはラブでも兄弟愛みたいな友愛だから、気味悪がらないでね?」

「ダメだこの人……自分がどれだけかわかっていない」



「ん?取り敢えず、幼稚園、がんばってね」

「入園させないでください」

「そこは世間体があるからね、人様の子の保護者やってるし、そういうの大事」



「なんて夢がない人なんだ」

「寝ても覚めても人生羞恥プレイだからね」




完。




蛇足




末馬妙子の日常。


末馬妙子の朝は早い。


「おはよう、恭也くん」

「おはようございます、末馬さん」

「今日も修行?」

「ええ」

「頑張ってるね?」

「末馬さんも」

「私の場合、ただの健康の為のランニングですよ?」

「でも10キロは走ってますよね、毎朝、中々続けられるものじゃないですよ?」

「うーん、まぁ音楽プレイヤーのお気に入りファイル一つ分走るっていうマイルールだから、それくらい行くのかな?
恭也くんとかは音楽プレイヤーとか聴いたりして走ったりしないの?暇じゃない?」

「いえ、体の調律をこなしながら走っているので、暇はしないですよ?」

「アレですか、呼吸法とか、内気とかそういうの?」

「まぁそのようなものです」

「それは凄いですね、じゃあ、私そろそろ残り一曲なのでクールダウンしながら帰ります」

「お疲れ様です」

「お疲れ様です」

と走り去る女性を見送り恭也は思う。

「相変わらず、鉄人だな……末馬さんは」


今日も普通に並走されていた。
10キロ間14秒ペースの速度維持。
実はマラソン選手とかではないのだろうか?



と伺ったことがあるが

「え、そういうのやったことないよ」

と言われたが、確かにフォームはそれほど綺麗じゃない。

では、フォームを直せば、もっと早くなるということではないのか?


と恭也は思ったが、何か、げに恐ろしいので指摘はしなかった。










などと、高町の恭也くんに疑問を残しつつ、朝の4時には起床して、ランニングなどをしてシャワーを浴びて、化粧して、それから朝ごはんの準備である。




「ふんふんふんーぼんばへっ」



末馬妙子の生活は目論見通りハリが出ている。

所詮、自分一人食わせるなんてなんとかなるもので、自堕落に生きようとすればいくらでも好きに生きられる。

だが、最近では料理や掃除も余計楽しくなったし。バリエーションが出る。

例を言うなれば、朝ごはんだって前はトースト焼いて、野菜ジュースで済ませるとかそういう方向へ逃げていた。
台所に置いてある、ホワイトボードを見る。

今日は和食の日か、と妙子は昨日の夕飯の片付けを終えたあと自分で書き記した水性マジックの文字を見る。


「朝は鮭を焼いて、卵のダシ巻き、白菜のおひたし、豆腐とわかめの味噌汁と雑穀米……うん、バランスいいかな?」




息子のおべんとうも作らないと。

SUEMAと書かれた(手縫い)エプロンを身にまとい、彼女は頭にワーキングキャップをかぶる。
これが彼女の料理スタイルである。

髪をゴムで巻いて、頭髪が料理に入らないようにするのは基本である。
理想的な手洗いうがいは基本。

女に生まれてから、この当たりは大変気を使うようになったものである。
彼女のトラウマの中には料理に髪の毛というものがあるのだ。



それから朝の献立と息子5歳(+20)の幼稚園に持っていく弁当を同時にこなしていく。

塩を入れて沸騰させた鍋の中に白菜を入れ「これは人に食べさせるものっ」などニコリとつぶやいて、茹で加減に気を付けながら
鮭の焼き加減を見たり、汁の味付けをしたり、卵ダシ巻きを作ったりする。


お弁当も大分完成したあたりで、朝ごはんを作る。



「ううむ、油でよく馴染んだ―――いきました!妙子選手今卵投入!お砂糖少なめです!これはよく固まるぞー」

とか言いながら、楽しそうに料理を行っていく。

どう考えても、元25歳男性には見えない。
どう見ても家庭的な女性にしか見えない。

がそれを指摘されると彼女は落ち込み、一人黙り込み手縫いで絨毯などを作り始めるので達馬は言わない。



22歳でダシ巻きを上手に作れる人はあまりいないのだが、焦げ目をつけずに、卵を上手に何層にも重ねていく。

「フィニッシュ!」

とか言いながら、最後の一枚を巻く。

「ああっ!」

崩れた。

だが。

「太くなるけど、継ぎ足し継ぎ足し」

と新しい卵を割り、卵液を作り最後の一枚を追加する。

理想的な手のスナップ。

煽るさいのハシの力加減はまさに熟練の技。

ダシ巻き専用の四角のフライパンの上でダシ巻き卵は綺麗に回転し巻かれる。





そして竹巻きで巻いて、固定し。

白菜を見る。

「冷水冷水」とボウルにいっぱいの水に茹で上がった白菜を放り込み、何度も水洗いし余熱をとっていく。
冷えたら、しぼり、重ね、横に4等分し、細く包丁を入れる。
それらをクッキングペーパーでしぼり、白だしを加え、鰹節を加え混ぜ合わせる。

そして鮭を取り出し焼き魚用の皿に載せる。

巻いていたダシ巻き卵をカットし、小皿に載せる。
小鉢に白菜のおひたしを載せる。

あとは具材の入った汁に味噌を入れ、味を見て「よし」とか言いつつ、炊き上がった雑穀米をしゃもじで切るように混ぜ。

朝ごはんの完成である。



これまでは、ひとり寂しくニュースをBGMにマーマレードジャムトーストをもさもさと食べ、野菜ジュースを一気飲みするような朝だった。






末馬妙子の人生上ここまで楽しいと思う日々は初めてだった。

ここ最近の生活は一瞬一瞬でさえ、一時間で30億円稼いだ時よりも楽しいなぁと末馬妙子はウキウキしている。

最近バイト先の友人である桃子さんからは

「なんだか益々笑顔が輝いているわね……お客が増えたわ」

と言われるくらいである。





弁当も揚げ物を仕上げたところだ、息子の幼稚園出発間近に弁当箱への盛り付けは行う。

今日の弁当は同じ世界の出身じゃないとわからない、某有名モンスターのピカとかそういうキャラのキャラ弁である。





エプロンを取り外し、息子を起こすことにする。

息子は昨晩も、家で契約しているスカパーでやっている(未だに32型テレビ)この世界のアニメに夢中らしく
結構夜ふかししたりしているので、寝起きが悪い。

なんでもアニメも目新しいがこの世界の特撮が面白いそうである。

夜は夕食後妙子が経済新聞を熟読している横でゴジラに当たる怪獣映画に突っ込みを入れながらよく鑑賞している。

妙子としてはもっとアウトドアな子になって欲しいと思う。

家の壁に落書きしたりとかそういうのをやってみて欲しい。

嬉々として躾とかしてみたい、とか思うわけだ。

後ろから5歳児のほっぺたをつねって寝かせるのも楽しいが、ちょいとやはりそれなりに大人の精神のせいか気遣いが出来る子なので


「そろそろ寝なさい」で寝てくれるので残念だ。

一回しかまだ頬をつねって寝かしたことがない。

取り敢えず「本気で怖い本当の話し」とか夕飯中に見せたりしても「夜一人で寝られないよー」とかがないので残念だと常々思っている。

人に世話をするのが好きな性分で際限なく人を甘やかせるタイプの妙子にとって達馬は或る意味理想的な息子である。


子供にはありえない自制心があるのだ。

そりゃそうだ。




そこらへん、もっと開放して自由に生きるべきだ、と妙子は思う。

己と違い、女性であるという抑圧がないのだ。

せっかく羨ましい体があるんだから、自分とは違い小さくまとまらないで欲しい。
彼の強くてニューゲームに付き合って上げてもよい。

現在の産みの親に捨てられたことが、何処か響いているのだろうか。

気遣いが多くて疲れそうな子だ。

一緒のお風呂も避けるし、一緒の布団で寝るのも避けられる。

既に反抗期の息子を持つ母親並みにそういうスキンシップから逃げられるので、寂しい。
5歳児なんだから気にせずそういうのを受け入れて欲しい。


「俺は大人だー」とかコナンくんが叫んでも無駄なのに。


まぁ擬似家族ごっこだけれど妙子としては満足している。

女性の体という人生羞恥プレイのせいで起こる鬱々とした部分も最近は形を潜めている。

この人生はずーっと困惑して生きていた。

だが

最近では日課である経済新聞もそろそろ購読やめようかしら、と思い始めていた。

新しい趣味もできたし。

予想以上に達馬は人生を歩む中で一番の理解者になりそうである。
将来的にはどうなるかわからないが、今のところ、妙子に対しては時たま色のある視線を送るが
不快までも行かない程度だ、つい目が行くのは普通だ。

精神を性欲の塊にする15、14になったらどうなるかわからないが。


まぁ10年後には私も老けてるだろうし、おばさんだ。
見たくもなくなるだろこんなエセ女なんて。



そうおばさんだ。





おばさんなのだ。


「ぐううう………おばさん…嫌だ…転生TSでおばさんとかもう完全にアウトだ……気持ち悪い」


32でおばさん認定を自分にするあたり、自己評価が厳しい末馬妙子である。
未だに女装しながら生きているような気が抜けず、私は嘘を吐きながら生きている、そう思っている。





32のいい年した男が女装して生きているような未来図を思い浮かべ

「まぁいいか――――たっくんを起こそう」

危ないところだった。

また鬱々とし始め、朝から絨毯などの手縫いを行い、現実逃避をするところだった。




それまではしょうがないから現実逃避でお金という数字の世界に飲めり込んでいた。

もし、財テクの才能がなかったら、今頃、身を売る前に首を吊っていたかもしれない。

だから自分は引退してプロに任せて悠々自適に、だ。

それからはコツコツと黙々と現実逃避出来る手縫いなどの手芸が好きになったので
それを趣味にし、レースのハンカチを作ったりして講師の資格の取得まで至った。

暇な時間全てを使い、パソコンの前に座り、数字と睨みあっこするのはもうやめたのだ。

金銭感覚が可笑しくなりそうになりながら、億単位でバンバン画面上の何かに投入する世界は懲り懲りである。

5億飛んでも、次で20億稼げばいいぜ、とか、そういう世界。




ゲームでこつこつレベル上げするように金を増やすのはもういい。

非常識すぎる。












そんな末馬妙子22歳である。

これから先の人生を達馬には楽しんで欲しいので
色々アドバイスしてるつもりらしいが、あまりにも生々しいため、達馬はあまり聞こうとしない。


末馬妙子は一時期には本当に自殺しようかなーとか思い詰めたこともあったのだ。

日常の相談相手と信用していた従兄弟のお兄さんが牙を剥いた時。

末馬家の兄妹達は知らない、両親しか知らない事件。

体を縛られ、着ていた服を剥かれ、ガムテで口に封をされ、いただかれるギリギリまでいった中学生の少女時代。

末馬妙子が昨晩も夜中に思い出す、自分の体が男に舌を這わせられた感触。

従兄弟の家で食べていた自分の食事に汚物をぶちまけられていたと聞いたあの絶望。


ビデオカメラでRECまでする気満々だったあの変質的な瞳。

結局は脱出できたが、その後の被害者が胸糞悪くなるような解決方法。


その金で金儲けに走った記憶。

捨てた金が戻ってきて嫌な気分になりつつドンドン増えていった思い出。



「はぁ……絶対いつか裁判にまで持ち込んでやる」

あの男はまだ私を見ている。


今朝もあの男から、手紙が届いていたし。


「ま、他にもいっぱいいるけどね、そういう奴」


慣れたわ、と笑いながら、歩く。


そこまでは達馬にも教えない。

突っ込み上手の合いの手上手の達馬は妙子の苦労話を笑い話にしてくれるので、大分救いになっている。

それに気味が悪いと捨てられる境遇にありながら、「しょうがない」で納めることが出来る強さがあるのだ。


別にお互い悪くはない、と妙子は思う。

生まれてきたものは生まれてきた、そこに作為はないのだ。
無垢な赤ん坊に記憶が混ざっていただけの話だ。



生まれてきて悪い。

なんて、妙子は言うつもりはない。

それに達馬の両親はどうしようもなくて達馬を捨てた。

お互い運が悪かったとしか言いようがない。

それをしょうがない、と言い切るか言い切らないか、それだけ。

達馬の場合は即座に切り替えれた。

私と同じく、しょうがない人生。

しかし私のように運の悪さに嘆いたりしていない。

しょうがないで十分生きられる子だ。


私には出来ない。



達馬だったら、多分、女に生まれていたら、私と違い本当の女をやっていたと思う。

すごいと思う。


そういう良い子は私の子にしようと思った。

同類として助けたいと思った。

それだけで良い。


私が勝手に優しくしてお世話するだけだ、達馬は好きに生きて欲しい。

金ならいっぱいある、好きなだけ与えても良い。

彼が私の家から出るとき、欲しいなら全財産やっても良い。

それが彼の為になるのなら。

彼が楽しく生きてくれれば、私も仲間として嬉しいだけだ。

私はどこだって生きていけるし。


達馬に対して、まるで本当にお腹を痛めた子のように愛情を注ぐのはそういう彼女の歪さだろう。
どこかしら自分を諦めている節がある。

だがそういう部分も踏まえて末馬妙子は生きている。







妙子は泣きそうなぐらい嬉しそうに微笑みながら、達馬の部屋に向かう。



「くくく。今日はどうやって起こそうかなー」

「起きてますよ妙子さん……」

新しい家族、佐藤達馬が眠気眼でそう言う。
今日も妙子が悪戯する前に起きていた。

見た目可愛い5歳児なので、ほっぺたつついて起こしたいのに、と妙子は残念そうな声を上げる。


「ええー?」

「この人……まぁいいか、おはようございます」

「おっはー!」

勿論あのポーズ付きで末馬妙子は言う。

「……」

「おっはー!」

「おっはー……はぁ」

「元気ないぞ、たっくん」

「此処一ヶ月暮らしてて思うんですけど」

「なに?」

「俺が中身元成人なの忘れてません?」

「忘れてないけど?」

「ならいいですけど、扱いが本気で5歳児なんですが」

「私としては家でも5歳児演じた方がいいと思って、そういう扱いしてるんだけど」

「そういうのいいですって」

「肉体にあった生き方しないと社会は辛いぞー?私はそうだった、未だに出来ないし」

「じゃあ押し付けんといてください」

「じゃあいっか、実感のある先輩のアドバイスなんだけどなぁ、そういうことなら合わせるよ?」

「そうしてください」

「今日の朝は鮭だよ」

「毎朝ありがとうございます」

「ふふ、どういたしまして、ほら歯を磨いて、顔あらって」

「はいはい」

「ハイは一回だよ」

「うぐ……」



最近人生楽しいです by 妙子




fin











あとがき



完全に終了。







みさりつです。

なんか短編に目覚めた今日この頃。

桜さん、恋愛比翼はもうすこしお待ちください。





設定。





末馬妙子 22 マリョクSランク





案外闇が深い。


沢山の人に裏切られたりしている。




だからこそ強く優しく親愛と誠実を胸に生きようと生きている。

人に対し12国記の慶国女王、漫画版ナウシカ並みに悟っている、カリスマ。

宿命や運命を乗り越えた人で平等に人を愛せる大らかな包容力がある。



他人は良いけど自分はダメで乗り越えられない壁がまだ色々残っている。




割り切るとアイデンティティが崩壊する。

正真正銘の転生TS主人公。





そして18ぐらいで人としての成長が終わっている人で、余生を暮らしているので、主人公降板している。


でも天然で勘違いもよくする人恋しい人。
一人で何もしていないとすぐ鬱々とする。


最近は同類を見守って生きようと思い始め、生活が楽しい。



人生一生羞恥プレイ、ノーガード戦法。


過去に自分の喋り方で苦心したりしてた。




6歳の頃の妙子


「「僕?」んーおかしいね、てかキモイ?元々「僕」とか言わないし、私。
俺?変だね世間体あるし、やっぱり私だろうね。
社会人やってたら私なんて普段使うものだしおかしくないよね
人間見た目だからなぁ、人を不快にさせない言葉遣いにするべきだね」

「あ」

「前世でも22超えたら私だったよ私あはははははっ……はぁ」



「何してんだタエ」

「あ、兄さん」

「一人称に悩んでた」


「いちにんしょう?」

「ん、なんでもない」





佐藤達馬 たっくん 5歳。


人生なぁなぁで生きている。
めんどくさがりが一周回り諦観の人生を歩むところで、末馬妙子に拾われる。
ほんとの子供だったら、妙子さんの為になったんじゃないかなぁと思っている。
俺が俺じゃなかったら、ほんとのお母さんになれたのに……とか悩んでいる。


それをいつかポロリと言って妙子を泣かせる。

「君が過去にどんな記憶やどんな人生を歩んでいようと関係ない!今、君は私の息子なんだ!」

とかカリスマたっぷりに言われる。


(うわー)


自分に言えよ、その言葉。


とか言いたいことも言えないポイズン気分を味わうハメになる。


「ごめんなさい!お母さん(しょうがない)」

「いいんだよ、私が悪かったんだ、君をもっと息子として愛せなかったから」




というのを周囲に感動しながら見られる。


「ねえ今日は一緒にお風呂入ろう?たっくん」

「え」


あんた何を言ってるんだ。








一人ラブコメ気分の結構可哀想な普通の少年。

ただやる気のない小僧なのに妙子に強いとか勘違いされている。


人生長いものに巻かれろ、ことなかれ主義。





十年後ぐらいは躾直され立派な青年になれるけど

末馬妙子について色々悩む人生を送る。



「俺、綺麗だったらニューハーフ余裕ですよ」


「そういうこと、じゃない、んだよ?――――――親子の縁切ろう」


「マジすいませんアホなこと言いました」







とかどうですかね。



すげえ、なのはじゃなくてもいいだろ?



続かない。



×××版はない。

まぁ妙子を吹っ切れさせるには×××版しかないんですけどね。



妙子さんUSO

AS編 ネタ


ある日のこと。


「済まないが貴殿達の魔力をいただく」

「え?魔力、何それ何その格好どちら様?……長い包丁!?けけけ警察!アレ電話がつながらない!?」

「あ、俺魔力あったのか?変な筋力だけかと思ってた、あと和菓子」

そういえばそういう時期かと、突然現れた騎士装束の美人に俺は驚きつつも、手に持った緑茶を離さなかった。
ふむ、アニメではあんな顔だったのが現実だとこうなるのか、感慨深いな、と思った。

胸は妙子さんより少し、あるかないかぐらい?
ふむ、妙子さんの方が形もいいし、勝ちだな、さっすが妙子さん。

別にほっとけばいいかと全くこういう事態を気にしてなかった。

それよりもほっとけない人が隣で震えているし。

ま、リンカー・コア抜かれても体調崩すぐらいのもんだし、一生の怪我でもなんでもない、精々2、3日寝込むぐらいだろ?
余計なことして余計なことになって世界滅んだりしたりしたらやだし、大人しくしておこう。

大人しく魔力上げて、この後、お風呂に入って、妙子さんが作ったプリンでも食べよ、あ、寝込むならプリンを冷凍した方がいいかも。

「あわわわわ」

とか言ってびっくりしている妙子さん。

一応大丈夫だよ妙子さん。
放っておけば勝手に終わるって、とか言う前に

シグナム?は余計なことをしてくれた。

「じっとしていれば、すぐ終わる、其処のご子息も」

「あ」

「それって何する気なのかな?―――それに、ウチのたっくんも?」

じっとしていたらすぐ終わるとかいう言葉が妙子さんの何かの琴線に触れた。

何かってトラウマスイッチである。

別名、妙子さんジェノサイドスイッチ。

「ああもう、なんでそうなるかな?」

と俺は食べていたお菓子を避難させる。

妙子は手に持っていた新聞紙を丸め、目の前の暴漢に挑む。

「そんなもので―――?何ぃ!?」

そして末馬妙子は床に穴が空くほどの踏み込みで一気にシグナムを丸めた新聞紙でなぎ払う。

「あーもうやだやだ、加減してよ、家壊れるじゃん」

窓枠ごと家の一部が消えた。


そしてまるで風に紙くずが舞うようにシグナムがどっかに飛んでいく。
某ザンバーを受けてブッ飛んだスカリエッティのごとく。

家の中に外の空気が入ってくる。

「寒……寒い!」


俺はこたつに潜り込み、顔だけ出す。
あ、結界内だから電化製品使えんのか、寒い!
風邪ひくだろ、こんな真冬の夜にぃ!

外で襲われていたら凍死するよさ、さむ!

妙子さんは器用に新聞紙ブレード(今俺命名)を手でくるくる回し肩に載せ。

「そんなもの―――で?」

とシグナムが飛んでった方向にそう言う。
見えてんだろうな、この人。

「妙子さんおかしいって!?丸めた新聞紙で斬り合いできるとか意味わからないって!」

とかいうのは大分昔に終わったことだと思っている。

なにせ妙子さんは

「お母さんが絶対守ってあげるからね、今あの人追い払うから」

纏っていた俺が去年プレゼントしたエプロンを脱ぎ。
椅子にかけてあったカーディガンを羽織ると

「いってくる。寒いから風邪ひかないように布団に入ってて、あと警察に電話しといて」

「正直人生悩む必要ないだろ妙子さん」

「へ?」

末馬妙子さんは曲がりにもなりにこの世界最強。

まぁこの世界がSSの世界だったらだけど。

TS転生最強物の主人公である。

神様――作者も何を考えているのか、こんな人主人公にしても面白くないだろ。

この人未だにフェイトちゃんと一言も喋ったことないんだぞ。
ちなみに俺もない。

そういえば、妙子さんのマンション管理してる人が半年前何か言っていたような――忘れた。

とかくだらないことを思いつつ、今日の夜は何時に寝られるのだろうか、と夜の10時を指したまま止った時計を見る。

「あー映画の途中だったのに」

テレビも消えていた(未だに32型)。

セガールが逆襲し始めたあたりなのに。
セガール……妙子さんと戦ったらどっち強いかな?
正直セガールが新聞紙で妙子さんに負けられると、俺のアイデンティティが崩壊する。


「続き今度DVD借りてくるから。あ、お財布持っていって、このままあの人交番に置いてから近所のTUTAYAでDVD借りてくるね?」

「うん頼みました、いってらっしゃい」

「頼まれましたーうん、行ってきます」

「帰ってくるのが遅くなるようだったら何かで連絡して?」

「うん?わかった……でもすぐ帰るから、そんなのいらないと思うよ?」

「そういう意味じゃないけど、ま、風邪引かないでね?」

「わかったー」

財布を片手に丸めた新聞紙を片手に妙子さんはシグナムがブッ飛んだ方向に神速じゃないけど神速の速度で出かけて行った。

えーと、と俺は取り敢えず布団に入って暖まろう、と思った。
妙子さんが淹れてくれた緑茶を一気飲みし、2階に上がっていく。

ま、2、3日で帰ってくるかな、適当に場を収めて。

あの人天然だから、余計なこと教えない方がいいんだよなぁ、と既に始まった原作ブレイクにどうなるか予測するが

どーせ無意味なので

「どうせ俺多分主人公じゃないし」

あれだ主人公が引き取った息子1とかだし。

とかくだらないこと言いながら布団の中でジャンプを読む。

あと妙子さんは本当にいい加減開き直ってくれればいいなぁと思う。

なんで未だにくよくよイジイジしてるのか。


自分のやってることわからないのかなぁ。

そこが可愛いんだけど。

あ、結界とけた。

家も勝手に治っただろうから映画続きみよっと。

「あ、多分TUTAYAでマジであの人DVD借りてくるから、みんのやめよう」

妙子さんマジ鉄人。
顕在魔力Sだけど潜在魔力EXとかだろきっと。

あの人巻き込まれ型主人公だし、そのあと色々そのカリスマやらなんやらで困ってる人ハッピーにして帰ってくるから心配いらない。
敵になるとアンラッキーにされるけど。

そのあとまた変なトラウマ作って鬱々と帰ってくるからそれを慰めるのが俺の仕事です。


「めでたしめでたし」


完全ネタなので気にしないでください。
これはこの話のフィクションです。


みさりつでした。









とある海鳴交番。


「三田巡査ー」

「末馬さんじゃないですか、こんな夜分にどうしたんですか?今日も夜のランニングですか?相変わらず鉄人ですね?」

「えーと不審者捕まえたんですけどー。鎧と剣装備のドラクエっぽい人です」


「不審者扱いか……」









「末馬さんも冗談上手いなぁ!うはははっそんな馬鹿な――――え?」



「この人です」






「えーと夜の仮装パーティーで酔っ払ってる……とかではないでしょうか、末馬さん?」

「えーと新聞紙で捕まえたんですけど」

「いやそうではなくて……って新聞紙?」




シグナムは思った。

私はゴキブリか何かか、と。

それに時空管理局ではなく、まさかこの世界の国家権力の所に引き渡されるとは思わなかった。

想定外すぎる。

「末馬、とか言ったか?」

「酔っ払って人様ん家に刃物で押し入るとか、もうすぐクリスマスなのに……今日は……えーと海鳴警察本部の拘置所だね、あとで私の家の家具とか弁償してね?
あれニ○リの4万円のソファーだから、えーと今度レシート持ってくるから」

クリスマスはあんまり関係ないのではないか?確かにもうすぐクリスマスだが。とシグナムは思った。
しかし、実際に人の物を壊して、弁償とは。

「う……主に何て言ったらいいか……いやそういうことではなくてだな!」

「じゃあどういうことですか?」

「ううむ、何て説明したらいいか……」


「えーと三田さん、取り敢えず、私帰っていいですか?」


「いや末馬さん帰らないでください丸投げしないでください、貴女の悪い癖ですよ!」

「息子が待ってるんですよ?海鳴のTUTAYAは11時までで借りたいDVDあるのに!
今日の日曜洋画劇場の続きが見れないじゃないですかっ!」

「え、そういうことですか?あ、私そのDVD持ってますよ、丁度、宿直室にあったような…」

「え、本当ですか?貸してくれませんか?この前女の子を誘拐犯から助けた誼で」

「いいえ、それぐらい構いませんよ。差し上げても良いぐらいです。
何時も海鳴で奉仕活動、交通安全活動を行なって頂いて、私ども警察官達もいつも貴方には感謝してるぐらいですし。
なんなら、家までこのままお送りしますよ、ミニパトですけどね、あ、末馬さんパトカー乗ったことありますか?」

「パトカーですか、ううん悪いことしてないのに乗るのは……ちょっと嫌かな、近所で噂になったりしたらやだし」

「そうですかワハハハ」

あははっと笑い合う警官と末馬妙子。
その隙にシグナムは逃げよう――――「逃げるな、罪が重くなるよ」

妙子さんからは逃げられない!


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