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No.35537の一覧
[0] 【習作】Sword Art Online - Reinca Reaper 【SAO転生・オリ主モノ】[レイス](2012/12/04 01:30)
[1] Trans_01[レイス](2012/11/25 11:31)
[2] Trans_02[レイス](2012/11/16 22:29)
[3] Trans_03[レイス](2012/11/20 00:44)
[4] Trans_04[レイス](2012/12/04 01:35)
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[35537] Trans_01
Name: レイス◆fb25e506 ID:cd665d91 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/11/25 11:31


 転生。それは魂が再び現世へと舞い戻ること。ネット小説ではお気に入りの作品に対する介入行為として行われる。
 起こり得る未来の知識を携え、それを駆使して原作の改変行為や介入を行う。
 知識面でのアドバンテージは次に起こる事への心構えや対策をし、最善の結末へと至る可能性を秘めている。

 そう、例えば――このデスゲームの名を関する仮想現実大規模オンラインゲーム(通称:《VRMMO》)、ソードアート・オンライン《SAO》でも、である。

「そう、あるある…ねぇよ(笑)」

 その言葉と同時に、眼前の敵のHPバーのポイント残量は消滅。死亡エフェクトとともに砕け散る。
 周囲を改めて確認をし、安全を確認する。尤も、敵のPOP(再配置)地点が重なることもあり、安全圏へと移動を開始する。

「SAOで転生して尚且つ、茅場晶彦を攻略して英雄になる? システム的不死持ちを?――…無理ゲー過ぎるだろ常考」

 武器を背負い直してアイテムウインドウを展開する。回復アイテムを手に出現させ、口にする。微妙な味に顔を顰めてしまう。
 先の戦闘では大した被ダメージではなかったので気休め程度に先刻、手に入れた微回復のアイテムを使った。
 キウイフルーツ大のパイナップルを彷彿させる回復アイテムの歯応えは固く、まるで未成熟の柿を食している気分になる。味も見た目と同様だ。

「確かに俺TUEEEは出来るよ。そんじょそこらのプレイヤーよりも強いよ。若しかすれば、あのビーターや閃光に逼るかもしれないぜ?」

 前方にPOPエフェクトが発生。相対距離が近いため、出現と同時に敵は此方へと肉薄をする。
 敵は、猿の容姿に簡素な西洋風の武具を装備している。手にするハンマーからは光が迸り、ソードスキルの発動が伺い知れた。

 此方が武器を手にする暇もなく、敵の攻撃が迫る。上段からの叩きつけ。直撃をすれば徒では済まない。
 だが見極め易い、モーションの遅いスキルだ。横に避ける。同時に跳躍し、敵の背後へと逃れる。

 敵のソードスキル発動後の硬直時間を利用し、武器を手にする。そしてソードスキルを発動すべく、構える。
 敵は大技のソードスキルを発動直後のため、追撃はまだ来ない。そして此方も武器に光が十二分に宿り、発動態勢が完了する。
 漸くの追撃が改めて此方に迫る。互いに肉薄、そしてソードスキル発動。攻撃を食らい、敵は此方の後ろへと流れ、四散。勝利後のリザルト画面が眼前に表示される。

「だが茅場晶彦は無理だ。ゲームマスター《GM》だし、転生者が転生させてくれた神に挑むようなものだ。
 それ以前にどう攻略をしろと? 原作は、かのビーター様々な攻略だったんだぞ。100層完全攻略もラスボスは茅場だし――…あれ、詰んでないか?」

 ウインドウを消し、眼前を見据える。先程と同じ容姿の猿が2匹、そしてその二回り大きい猿も確認した。大猿をリーダーとしたパーティ《PT》だ。連携攻撃があり、撃破難易度は高い。
 距離にして100m弱。敵の索敵範囲外でまだ此方に気が付いていない。改めて左手で構えを取る。空いている右手でアイテムストレージ画面を展開。任意の剣を選択し、手に取る。
 左の武器の中仕掛に右の剣を番える。そして引き絞る。光が弦と剣に集束し、ソードスキルが発動。引き絞る右手を放し、剣を投射。

 光の尾を引き、敵へと肉薄。丁度、直線一列となる最前列の猿に命中。被ダメージエフェクトととも吹き飛ぶ。剣は勢い衰えずに二匹目に続いて三匹目へと着弾。この時点で二匹を撃破。
 最後尾の大猿が被ダメージで雄叫びを挙げる。剣は大猿の胸部防具を貫通し、胴体深くに突き刺さっている。刺さることで持続ダメージが発生、数秒の後に死亡エフェクトを発して四散した。
 改めてリザルト画面が表示される。獲得アイテムを確認せずにウインドウを消し、地面に転がる剣を回収。そのままアイテムストレージに格納する。

「―――ま、来てしまったものは仕方がないな。ぼちぼち生き残りましょうか、このSAOの世界で」

 彼、ユニークスキル《剣弓術》持ちのSAOプレイヤー、メイソン。弓使い《アーチャー》として巨大浮遊城《アインクラッド》の大地を駆ける。


  ◆


 さて、自己紹介が遅れて申し訳ない。俺はメイソン、勿論SAOプレイヤーネームだ。日本生まれの日本育ち、生粋の日本人だ。但し、転生者の肩書を持つ。
 何故、転生をしたのかは覚えていない。気が付いたら赤ん坊となり、平凡な家庭の一男として生きていた。
 本来であれば曲がりなりにも社会人として生き、少々オタクながらも人生を過ごしていた俺が何故、赤ん坊になったのか。それは正しく神のみぞ知ることだ。

 とは言え、なってしまったものは仕方がない。再び赤ん坊から人生を謳歌しようと決めて早十余年。
 子供万歳と親に怒られたり警察や消防のお世話になったり失恋やら悲しい別れ等々、子供ながら色々とやってきた。勿論、社会常識の範囲内でだ。
 別段、魔法の世界に召喚させられたり、この世界が滅亡の危機に瀕していて実は勇者の末裔だった等という事態は起きていない。平々凡々な人生さ。

 一つ付け加えるならば、転生前よりも科学技術が少し先を行っている点だ。特にネットワーク関係の技術、仮想現実《VR》ゲームが発売されるなど、転生前にはお目にかかれなかった。
 転生前は精々、ヴァーチャルボーイだ。そんな経緯の関心から、その時の人である茅場晶彦関係の本、記事は良く目を通した。
 何かデジャビュを感じたが、転生前の知識が今まで生かされた事がなかったのでスルーしていた。フルダイブ(全感覚投入)とかマジぱねぇ。

 茅場晶彦が作ったオンラインゲームを是非プレイしたいと販売店に飲食排泄寝袋完備で三日前から並んで購入した。
 βテストにも応募したが此方は落選。「orz」宜しくとばかりに意気消沈し、この時の悔しさを返上すべく初回ロット分のSAOを手にする為に籠城の構えで並んだ。
 学校? 勿論、学校と親には事前了承済み。親は子供の決意を呆れ眼で、学校は自校の学生の行動力に溜息交りに、ではあったが。

 そんなこんなで高校一年の初冬、SAOのサービス開始の13:00から一時間強の後にプレイ開始。休日だったから部屋の掃除やら日用品の買い物で少し出遅れた。
 まぁ、茅場晶彦が作ったゲームだから興味があって、オンラインゲームをプレイすること自体には然程強い関心がある訳ではなかった。
 なので何時ものように軽くネットサーフィンをする程度の気持ちで他の利用者よりもルーズにプレイを開始。

――そして、SAOプレイ初日に茅場晶彦当人からデスゲーム宣言を受け、この世界がライトノベルの『ソードアート・オンライン』の世界であることを思い出した。

 何もかもが後の祭りであり、生きてログアウトするにしても解決の糸口は皆無。ゲームクリアの鍵を握るキリトさんやアスナさんに任せるにしても丸二年はかかる。
 それまでに色々と此方から介入やら手助けをしようとも考えたが、肝心の茅場晶彦を攻略する術が見付からない。ゲームマスターの名は伊達ではなかった。

「そして時間は無情にも過ぎ去り、かのデスゲーム宣言から早二年弱。俺はソロでゲーム攻略を目指しているのであった、まる」

 弓を構え、剣を番える。襲い来る狼タイプの敵二匹に対して、足を動かして射線軸を移動。一直線となった時点で射る。
 一匹目の脇腹を穿ち、貫通。そして二匹目の右側面の二足を掠める。一匹は撃破し、二匹目は転倒。その隙に二撃目を放ち、完全撃破する。
 剣を矢とし、敵に近づくことなく敵を攻撃する。《投剣》のスキルと酷似する、弓という専用の武器を利用するスキル《剣弓術》。

 どの様な取得条件であるかは全く解からない。サービス開始初期、茅場晶彦によるデスゲーム宣言当時から既にこの手の中に弓は存在していた。
 更に具体的には、となるとその当時は生き残るのに必死だったため、如何しても思い出せない。無理に思い出す必要もないので、今はこの武器の利点を生かして迷宮区の攻略に勤しんでいる。

 剣弓術スキルの最大のメリットは、敵の攻撃に晒される前に攻撃が可能な点。SAOは剣のゲーム、つまり接近戦による削り合いのゲームだ。
 敵に近づけば反撃をしてくるので、それに対して受け止める/躱す/受け流す等をしなければならない。
 無論、攻撃される前に撃破すれば御の字だが、常に反撃の憂いに帯びている。だが『剣弓術』はそれを無視できる。

 そして『投剣』スキルとの絶対的な違いは、矢となる剣の性能を利用した攻撃が可能な点だ。
 先の狼タイプの敵に射った二撃。一射目は細剣、高い飛翔速度と貫通性能を持つ。二射目は粗悪品な片手剣、剣の中でも平均的な性能を持つ。

 両手剣ならば飛翔速度は低下するが、威力は高い。刀剣であれば片手剣並みの性能で曲射が可能など、剣の種類によって使い分けが可能。
 弓のソードスキル発動をすれば、その性能に応じた追加効果が付加される。クリティカル発動や硬直、貫通性能の強化などが基本だ。

「とは言え、デメリットが大きいのもネックなんだよな。これが」

 射った剣を回収し、耐久値の残量を確認してアイテムストレージに格納をする。このスキルの最大にして唯一のデメリット、攻撃毎に剣を消費する必要があるのだ。
 このスキルを使用するには専用武器である弓は当然のこと、矢となる剣が必要だ。一射毎に、剣の投棄も同然な攻撃をしなければならない。
 通常のプレイヤーはメインの武器に加え、予備に何本かストレージに格納しているものである。しかし、メイソンは攻撃の数だけ武器が必要とする。

 射れば射るほど攻撃手段を消耗する。敵に包囲された時は剣の残量は目減りをし、高所のフィールドともなれば奈落の底へと落ちて回収不可という事態も十分起こる。
 またアイテム毎に重量は決まっている。武器の性能が高い/付加効果のある武器は総じて重量があり、アイテムストレージを逼迫する。
 迷宮区探索やフロアボス等のゲーム攻略には高性能な武器は必須だが、必要数の武器と高性能な武器の両立はできない。必要に応じて取捨選択をしなければ、攻略は不可能になる。

「さて、次の獲物は何処かな、と」

 ステータスウインドウを展開し、探索スキルを発動。四方にあるオブジェクト以外の存在が表示される。
 この周辺の敵は粗方倒してしまったため、反応は皆無。否、此方の探索範囲内に侵入した反応が表示される。色は青、他のSAOプレイヤーだ。
 アインクラッド攻略最前線が現在70層弱、そこで攻略に勤しむ者を上層プレイヤーと呼ぶ。メイソンが居る45層ならば、相手は中層プレイヤーだ。

 マップデータから、暫くすれば進路上前方の曲がり角から相手は顔を見せるだろう。
 同じゲームに閉じ込められた者同士、軽く挨拶を交わす程度は良く行われる。特に迷宮区の攻略にはマッピングは重要であり、情報のやり取りを行うのも少なくはない。
 曲がり角から姿を見せたのは一組の男女。男は盾を持ち、女は細剣を帯びている。盾で敵の初撃を防いで細剣で反撃、カウンター主体のパーティのようだ。

「―――」

 既に攻略済みの迷宮区とはいえ、各層に存在するサブダンジョンで安全にレベル/コル稼ぎをする方が安全だ。
 それにも関わらず、このペアは一層上へと繋がる危険な迷宮区へと足を踏み入れた。男女の表情からは小さな緊張は見られるが、それは怖いもの見たさのそれだ。
 男が索敵スキルで周囲を確認しながら足を進め、女がそんな男へ積極的に声をかけている。お化け屋敷の中を進むが如く、彼らは互いに励まし合いながら真っ直ぐ奥へ、ボス部屋へと向かう。

 彼らの目的地は既に解放されているボス部屋からひとつ上層の街へと向かうことなのだろう。中層プレイヤーならではの娯楽。
 安全を確保しつつ、普段は近づかない迷宮区へと足を延ばす。成功した暁には仲間や知人、酒場で屯するプレイヤー達に自慢をする。ちょっとした度胸試しだ。
 ゲーム攻略に参加しない者達は、彼らなりにその日を過ごす。上層の攻略組のプレイヤー達がゲームクリアをしてくれるその日まで――。

 男の体が吹き飛ぶ。隣にいた女は行き成りの出来事に目を瞬かせる。男も倒れた態勢で茫然としつつ、自身に起きた現象に目を向ける。胸に突き刺さる剣を見る。
 索敵画面には何も表示されていなかった。敵はいない筈だ。なのにどうして、という感情が男の顔に表れている。そして数瞬の間をおいて男のHP残量が零となり、光とともに砕け散る。
 女はその光景を驚愕の眼差しで見届けた。それが死亡時に起こるエフェクトだと。否、目の前で起こったことを受け止められず、硬直していると言った方が正しい。

 軽い衝撃を女は感じた。見下ろすと、自分の胸に男と同じように突き刺さる剣が見えた。そして目線をHP残量表示へと向けると、継続して残量が減少している。
 引き抜かないと。自失に近い中での思考で、女は胸に刺さる剣へと手を伸ばす。両の手に突き刺さる剣。女が持つ細剣と似た剣がその手を縫い止めた。
 何が、と女は剣が飛んで来た方を見遣る。そこには誰かが立っていた。距離があるため、大まかな体格から男であるとしか判断が出来ない。

そしてもう一つ、

「――…オレンジ、カーソル?」

 SAOプレイヤーの頭上に表示されるカーソル色は通常、グリーン。ダンジョン等の敵はレッド。
 そしてSAOプレイヤーの中で犯罪行為の判定を受けた者のカーソルはオレンジとなる。

「レッド…―――」

 女の肉体、アバターが四散する。その場には男女が転倒の際に取り落とした武具と、先程まで身体に突き立っていた剣の計6つの装備が転がるのみとなる。
 それに手を伸ばし、自身のアイテムストレージに格納する人陰――メイソンが其処に居る。彼の頭上に存在するカーソルの色は、オレンジ。

 オレンジ色のカーソルを持ち、SAOプレイヤーを殺害する者をこう呼ぶ、

「――…大した武器を持っていなかったな。今回は外れか」


――レッドプレイヤー、と。



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