「ヒナタ元気にしてた?」
「うん」
自来也から修行を受けて一週間目。ついにヒナタと面会が出来るようになった。毎日足を運んでいた甲斐があったぜ。しかし、原作と同じかどうか分からないが…親の面会が一瞬で終わった…らしい。
ヒナタの潜在能力はどれ程か分からないが、白眼を開眼していたことはかなりの評価だと思う。
まぁ、確かに噂に聞くその妹のハナビ…恐らくヒナタを凌駕するほどの才能があるのだろう。
しかし、それだけが全てじゃない。そう、生き方何ざ人それぞれ。今辿っている道が正解かどうか何ざ…死ぬ直前じゃないと分からんもんだ。一回死んだ私なら分かる。人生に正解は無い…間違いも無い。
「ごめんね、心臓のほう直ぐに治療できなくて…」
「ううん…紅先生から話を聞いたよ。真っ先に降りてきて治療してくれたって」
そういって、此方に微笑んでくれる。うーむ…めちゃ魅力的な女の子なんだよね。ナルトも幸せもんだよ…羨ましい。まぁ今はヒナタとの再開を祝して…
「りんご食べる?どっさり持ってきたんだ」
「い、いいの?」
「もっちろん!」
そういって、りんごの切り、ウサギさん型に皮を剥く。
「はい、ウサギさん」
「ふふ…上手だね」
チャームポイントはちゃんと目が存在している所である。
「そうそう、本戦のトーナメント決まってるよー」
そういって、説明する。トーナメントに誰が当たるのか…私とガアラが当たるんだよーって言ったら
「駄目!」
いきなり声を鋭くして私を咎める…なした?
「ど、どうしたの?」
「お願い、棄権して…」
私の服の裾を握って此方を見つめてくるヒナタ……もしかして危険だからか?であれば問題ない。私はあの程度にやられるレベルじゃない。寧ろ暁のメンバーでもサシであれば相手に出来ると思われるたぶん。
「大丈夫」
「いや!私は嫌なの!アヤカが死んじゃう!」
取り乱すヒナタ。…いやぁ果報者だよね私。これだけ大事にされているだけで満足さ。
そう思いながら、ヒナタの涙が溜まっているので、掬うようにして親指で撫でる。
「死んじゃうよぉ…」
「安心して…私は強いから」
そう、大蛇丸を完全に抹殺するまでは嫌でも死なない。奴は私の身体を半分弄んだ罪があるのだ。
考えただけでもおぞましい。…そう、奴の命の灯火は……すでにカウントダウンが刻まれているのだ。
「無理だと思ったら棄権して…お願いだから」
「うん。でも、私の強さを見たらヒナタ…吃驚しちゃうよ?」
そう、もう何も隠す必要は無い。大蛇丸さえ排除してしまえば……まぁ原作はもう、うろ覚えだから分からんが。いやいや…奴以上の死亡フラグは無いでしょ。たぶん。
「まぁ確かにリーさんを圧倒したからねぇ…」
そう、あの防御をどうぶち破るかが問題なのだ…ただ、原作でのサスケの千鳥が届いてダメージを与えられている…という事は、斬撃には其処まで耐性は持っていないはずである。問題の狸は私の目があるので一切問題ない。精神世界で72時間ずっと串刺しである。それか、幻術で操るか…どちらかだろう。
不安そうに此方を見てくるヒナタの頭を一撫でする。
「ん…ふふ、久しぶりに撫でられたね」
「そうだねー…もっと撫でてやるぅ!」
「きゃ」
そういって、両手でいこいこしまくる…こんな時間が何時までも続いて欲しいと思った。心の底から。
そのためには、死亡フラグの除去をしなければならない。全力で。恐らく最初で最後のチャンスだ。
そうして、ヒナタとの面会が終わり、修行に行ったのである。
「自来也さん」
「おほほー…なんじゃ?わしは見ての通り忙しい」
そういう、地来也。確かに急がしそうである。正直私も見たい。…が。
「口寄せの理論…教えていただけませんか?」
「…ほぅ、何故じゃ?」
「いえ、ある術を再現しようかなと思いまして」
その術は「飛雷神の術」である。万華鏡あるからいいじゃねぇか!って思うかもしれないけど、あれ相当チャクラ食うんだよ。一日やっと6分が限度で、それ以上は無理なのだ。チャクラがすっからかんになる。しかも、一瞬で移動は出来なくは無いが、それでも無闇に乱発していざという時にチャクラ切れを起こすのは絶対に嫌だし、万華鏡だとそこまで広範囲に移動も出来ない。
あれは、本当に最後の奥の手にしたいのだ。そして、それのフェイクとして「飛雷神の術」を取得したいのだ。時空間忍術。私は恐らく適応があるのだと思う。あの眼の世界もあるし、口寄せは結構得意だ。
この術はまぁ瞬間移動だ。私の雷歩より速い。速いって言うレベルじゃない。まさしく時間を超えた忍術だと思う。でだ、この術の正体は…ずばり逆口寄せだ。ある特定の術式があるのだと思うが…それが何かは良く分からない。よって、口寄せの知識を深め、この術を完成させたいのだ。
「…わかった。丁度戦闘以外にも何か教えようとおもっとった所だしのぉ」
そう言って教えてもらう。そして肝になるのは…「マーキング」
口寄せは、このマーキングした物を呼び寄せる。もしくは双方繋がりがある物を呼び寄せる。という事だ。血の契約するということは、繋がりを明確にさせる為である。では、蝦蟇一族と契約したナルトは何故、最初からガマブン太を呼び寄せられないのか…
予想だが、蝦蟇一族との契約はしているが、蝦蟇一族個々に対しては契約を行っていない。
故に、誰を呼び出すかは…チャクラ量で決まる。確かナルトはガマブン太を呼んだ際は、九尾のチャクラを用いてであったはず。それをコントロールし、一定以上のチャクラ量に到達すると、ガマブン太が召喚されたというわけだ。…恐らく。
まぁ此処での着目点は「マーキング」恐らく術式を何かで描いて其処を基点…つまり「マーキング」すれば、いけると思う。しかし、そうすると複数マーキングがあった場合どうするか…考えた末、特定の物意外は任意に消せれば良いと思った。
例えば、自宅に0番として、永久欠番を作っておく。で、1~8位までは任意に消せば、私が識別する「マーキング」は9個だけ。後は、それに応じた術式を作成すれば…ということだ。ただ、欠点がありすぎる。まず、戦闘中にそんな識別が出来るのか…である。
結論から言うと、無理。そんな余裕は無いし、一瞬の油断が命取りになる可能性が大いにある。
うーむ…どうすればいいか……むしろ、0と1の二つだけにして、戦闘中は1だけ使っていくというのも手だ、しかしそこで問題となるのが…複数同じマーキングがあった場合、どうなるかだ…体が分割されるということは無いと思うんだけどなぁ…
むしろ、専用クナイを作って特殊な術式で視界共有させ、自身が行きたい所に印を結び飛ぶ…というのもありだな。しかし、視界共有すると、敵の攻撃に晒されるかもしれないが…いや、そも、視界の外に行くとなると、敵は殲滅しているか…奇襲を掛けるとき位しかないな。
であれば、この線で行こう。視界共有できる…それが出来なければ、0と1の奴で行こう。まぁ戦闘中は1しか使わなくて、戦闘外や奇襲には0を使えばいいな。…まぁこれから影分身を使って良い案が無いか試していこう。
そうそう、チャクラも成長して100人もの影分身が扱えるようになった。20人くらい案を考え、他30人で「飛雷神の術」の開発、残り50で修行といった所か…
「成る程…ありがとう御座いました」
そういって、自来也に向かって頭を下げ、組み手をお願いし、一日が終わった。
因みにナルトは、まだおたまじゃくしから脱出していない。
「ん~…中々上手くいかねぇ」
ごろんとねころばる、影分身の一人。此処はとある森の中。簡易な結界を張って秘密の特訓場となっている。結構広いです。
さて、あの後もずっと煮詰めて考えていたが…どうも上手くいかない。方針として、0と1の二つを使うことに決め、動いたはいいが…
「逆口寄せって…どうするんだ」
まず考えたのが時限式。起爆札の応用である。
これであれば確かに出来る。しかも、此方で完全に印が不要になる。
が、それを覆すほどのデメリットが、何時でも飛べないという所である。計算しきってシカマルみたいに詰め将棋の如く敵を追いやるのであれば効率はいいのかもしれないが…
私は基本直感でやるタイプなので、戦闘中そういう事を考えるのは不得意なのだ。
視界共有というのは上手くできた。あとは、本当に逆口寄せだけなのだ。いつ、いかなるタイミングでも出来るように何が必要なのか…
「あー確か、物凄く速い瞬神の術に見えるんだよなぁ…」
そうして、瞬神の術をするが…
「ま、出来ないよね」
当然の如く、マーキングがされたクナイとは離れた場所である。
「何か特殊な印なのかなぁ…」
そうして、色々組み合わせてみるけど、出来やしない。そう思っていたら…
「出来たー!!」
一人の影分身が叫ぶ。そうして、その影分身を見ると…確かに跳んでいる。
そうして、成功させた影分身が消えると…成る程そういうことか。本当に空間を飛ぶんだな。
呪文と同じだ。ドラクエで言ったらルーラか。あれは空を飛ぶんだけど、感覚的にはそれが近い。
マーキングした術式を流すのを此方が基点となり、特定の印にマーキング分の印を追加しただけ、しかもそれをすると、印を組まなくても何時でも飛べる…が極僅かにチャクラが減り続ける。しかし、一回一回印を結ぶよりは効率がいいし、私のチャクラ吸引術がある。完璧だ。勿論解除も出来るし、その術を使用中に他の術も使用可能である。
成る程…自分で自分を口寄せね。最初から答えが出ていたのに気付かなかった…
視界共有もできるので、視界外のところにも跳べることは確認済み。
「これで、完成ってわけね」
さて、ではクナイの作成を行いますか。そうして、紙を大量に買ってくる。それを自宅へ置いて、何時もの修行へ向かった。
「この量の紙に、術式を書くのか…いや、まぁ確かに必要になるよねうん。でもこれは…」
やりすぎたな…と思って、机を「見上げる」…大量に積み重なっている紙。紙。紙。
「…やりますか」
そうして、影分身を出して、もくもく作業を行っていくのであった。