あの日から一週間。サスケもカカシ先生も完全に回復して、私とナルトと共に橋の完成まで護衛を行う。
そうして、その日の晩。夕食時に
「さて…一週間前の件だけど」
此方を見ながらカカシ先生は言ってくる。
「おー!橋に超亀裂を入れたことか!」
そういって此方を見ながらタズナさんが言ってくる。いや、あれは仕方が無いっすよ。マジで。
「…では、まずあの体術からお話しましょうか」
そういって、事情を話す。体術はガイさんに教わったことは話したはずなので。アカデミー卒業前には体術に関してはガイさんを越したことを話した。
「…体術でガイを越すとか……」
「まぁチャクラで肉体活性を行ってましたし、忍術使っちゃいましたけど」
「それ!…誰にも教わってないのにチャクラコントロールをする術を身に付けたのか?」
ご飯を食べながら箸で此方をさしてくるカカシ先生。行儀が悪いですよ。
「いえ、小さい頃イタチ兄さんがやっていたのをたまたま覚えていたので」
「…ただ、その意味が分からないだろう」
「ええ…ですが、あのイタチ兄さんが無意味なことを行うはずが無い」
「…確かに」
無論。真っ赤な嘘である。前世の記憶で知っていました…なんて言える訳が無い。
それならよっぽどこの嘘のほうが現実味を帯びている。
「……分かった。だが、最後に一つ………血継限界の術を使えた理由は…なんだ?」
「まだ、お答えできません」
「…まだ……ねぇ」
そう、まだ答えられない…というより、私も確信を持ったわけではなかった。ただ…出来ると『思っていた』のだ。他の血継限界を万華鏡写輪眼で見てからどうなるか…そこで確信が得られる。とりあえず、蛇さんに睨まれるのは嫌なので当分先だけど…
「アヤカは…」
「ん?」
がつがつから揚げを食べているときにサスケから声が掛かった
「…写輪眼……何時開眼したんだ?」
「…どうしてそう思ったの?」
「ザブザが繰り出した、水分身」
成る程。まぁ決定的だよね。
「ん~…そうだね物心付いたあたりかな」
「な!?」
「馬鹿な!?イタチでも8歳で開眼だぞ!?その前か!?」
頷いて答えると、サスケとカカシ先生が絶句する
「あのさ!あのさ!そんなに凄い物なの?」
「…凄いっていうレベルじゃない……通常であれば何年も修行して漸く開眼する筈だ…」
そう、通常であればそうだ。それでも一生開眼しないのが通常である。
「天才だろう、サスケも…だが、アヤカはそれ以上の天才…いや、鬼才だ」
「そいつはどーもー」
「何故隠してた?」
静かに聴いてくるサスケ…意外だな。激昂してくると思ったけど…
「…ごめん。あんまり目立ちたくなかったんだ」
「言え!アヤカ!!」
やっぱり激昂してきた。まぁ仕方が無いよね…明らかにプライドを刺激してしまったし…
「理由は…本当に目立ちたくなかったんだ……アカデミーで」
「何故だ!?俺と比べられるのが怖かったのか!?」
「違う!…いや、当たらずも遠からずかな…いいサスケ……私の同期のくの一の間で、サスケはどういう評価だか知ってる?」
「…」
今度はだんまりである。まぁ自覚はしていたんだろう…そう。
「そう、かなり人気があった。で…だ。私はサスケと双子…一番近くに存在する。そr「待った待った」」
「分かった。先生分かってしまった。確かに目立ちたくないな」
「そう、目立つといじめの対象になりかねなかったのだよ!!」
「な!?」
あいつらを見てみろ!?双子なんか関係なく迫ってくる勢いだぞ!?それで、アカデミーでも近くに居てみろ!?どんな形でもいい!絶対嫉妬するから!
「分かる?【サスケ君のぉ~…その……タイプってぇ~…どんな人か、聞いてみて!きゃー!私っていってたらどうしよう!?】とか、毎日言われてもう、げっそりなんだよ。自重しろこのサスケが」
「な!?俺のせいじゃねぇだろ!」
「うr「ハイハイ、終わり終わり。美味しいご飯でも食べてろ」…はーい」
「ち!」
そうしてご飯を口にする。…白米がやたら美味く感じる。この塩味の味のせいなのか知らんが。
「先生は分かった。納得した。とりあえず、そのほろりとした涙を拭け」
涙じゃないよカカシ先生…心の汗ってやつさ。…まぁ半分本当で半分嘘なんだけどね。ごまかす為に事実を提示したってやつ。ま、カカシ先生はまだ疑ってるようだけど…ナルトはご愁傷様~みたいな顔でこっちを見るし、サスケは顔を赤くしながらご飯をかきこんでるし。
……まぁこれでとりあえず第一関門突破だな。……カカシ先生に対してはまだ気は抜けないけど。蛇さんが!蛇さんがサスケにターゲットを向けると確信したらもう、全部喋りますよ!!
そうして、先の一件はとりあえずは鎮火したのである。
それから一週間が経ち。とうとう、波の国の希望の橋が完成し、私達、第七班は木の葉の里へ帰還を果たしたのである。
木の葉に帰って、サスケとは違うアパートに帰る。…そう、二人とも下忍になったので自立したのである。…まぁ偶に一緒に夕食を食べたりとかするけど。というより、私が癖で二人分の食事を作ってしまう時があるので、おすそ分けしに行くのが正しい表現か。
まぁ会話という会話は無いけどね、ははは!…はぁ。………卵買って来よう。
「やー諸君。おはよう。今日は道に迷ってしまってな~」
「遅刻なんて、忍者失格なんだってばよ!!」
「ふん!」
あれから月日が経ち、波の国以降、大きな任務も無く、比較的平和に時間が進んだと思う。
私の修行も順調で…いよいよ、チャクラコントロールの修行を卒業し、今は術の実験や、万華鏡写輪眼の効率化。体術、忍具の特訓を行っている。影分身と実践さながらで、ガイさんやカカシ先生の動きを模した影分身達と日々訓練を行っている。
そのため、体力も飛躍的に上がり65人全員がガイさん印の錘×2を付けているため、筋力もがっつり上がった…もちろん。寝る寸前に毎回影分身を消すのは通例となっている。…反動があまりにもでかいから、直ぐに寝れる状況を予め作るのは至極当然の事である。
しかし、体のラインは完璧に女性のそれであり、筋肉が付いた感じは外見上全く見えない。朝起きて鏡を見ても何時も通りの体のラインである。
そうして、何時も通りに朝起きて、何時もの忍者装備に着替える…この忍者装備、まぁシンプルなザ・忍者な装備なんだよね…、昔の綱手姫が着てたのとそっくりだったような…まぁ、丈が短く腿を惜しげもなくさらすほど短い。で、スパッツを履いてる。手足にはガイさん印の錘。足は木の葉忍者ご用達のサンダルである。非常にシンプルだ。髪の毛は長いので某最後の物語の7作目に出てくるあの巨乳ちゃんと同じ髪型だ。
準備が整ったら家を出て。集合場所へ、その後確実に来ないであろうから…ポーチから文庫本を取り出して読書に勤しむ。最近は剣と魔法の世界の小説に嵌っている。で、三時間後漸くカカシ先生が来て、ナルトの言葉に戻るってわけだ。
その日の任務もなんてことは無い、いのししの駆逐で、軽い任務だったが…ナルトがサスケに対して対抗心むき出しで頑張り、毎回自分の首を絞めてサスケが、フォローをするという形が定着化している。今回の任務も例に漏れずだ。
しっかし、波の国以降、この二人の仲が何故か拗れている。どういうことだ、めっちゃいい雰囲気出してたのに。
「んー…最近チームワークが乱れてるなぁ」
というのは、カカシ先生談だ。ナルトは独断専行。サスケも独断専行。私は動かず。
問題児で申し訳ないと感じてます。はい。いや、だって、ナルトがすっごいやる気なんだよ。波の国以降。水を差すのは悪いかなぁ…と思ってね。
…言い訳だけど。
サスケも波の国以降、凄い焦っている感じだ。恐らく白が自分達と同じくらいでサスケ以上の強さであったのと…まぁ私の影響でもあるのだろう。双子の妹のほうが強い。これは相当なプレッシャーになっている筈だ。だが、それを超えて立派になって、
(さっさとうちはを復興させろ)
自分でも最悪だなと思うほど人頼みである。私はこの世界を回るのが夢なんだ。奴には種馬になってもらおう。容姿も完璧だし、血筋も完璧。引く手数が多い。…私も同じ事が言えるのは置いておこう。
因みに、双子だからと言って容姿が似ているというわけではないので、そこら辺は注意してね。
何故うちは復興を望むか…それは、今現在恐らく私、サスケ、イタチ。と三人しか生き残りがいないはずである。よってだ…私の世代で復興させればだ…かなりの重鎮になれるのではないかと睨む。
しかも、ある程度子供が育ってからでもあるので、私もその間に世界を見て回れるだろう…
でだ。結論を言うと、隠居する場所の土台作りを彼にはしてもらいたいんだよ。木の葉の忍びとして、うちはとして。…完璧すぎるこの他力本願。まぁ叶わなければそれはそれでいいんだけどね。理想論です。
と、そこで上空に鳥が羽ばたいているのが見えた。
「じゃあ、此処で解散とする」
カカシ先生のその一言で私は三人に乙カレーと挨拶をして何時も通り帰る。途中、春野サクラと何か変な四角い物体を見かけたが…平和っていいなぁとしみじみ思った。さて、今日の特売は……保存食系か…缶詰って魚系も生臭くなくて美味しいし、フルーツも冷やして食べると美味しいし、何よりフルーツジュースみたいに甘い汁がたくさんあるところが最大のポイントだと思うのだよ。
下忍になってから節約生活を送っているのでさっさと中忍になってがっぽがっぽ稼ぎたいところだ。
…確か、一人でも任務行けたよな。部隊長権限持てるし。あ~あ、お金が入ったら、忍具を新調して、服も買いたいなぁ…この容姿だとコスプレ気分で生前のオタク魂が熱く燃え滾るんだよ。
ファッションは既に自己満足の領域だよね。いやぁ鏡の前でニーソ履いて短いスカート履いて、絶対領域!とか独り言を言うレベルまでなってしまったんだよ。なけなしのお金で全身が入る鏡を買ってしまったし、三面鏡も買ってしまった。あとは本をがつがつ買っているので、本気でお金が無いのだ。
「さて、今日は鯖缶とご飯でいいや」
チラシを見ながら本日の晩御飯を決めて、スーパーへ向かうのであった。