「大丈夫かい?先生」
「いやぁ…はっは、一週間は動けませんよ」
あの追い忍…白が来て、ザブザを回収して去っていってしまった。ナルトは何か不満そうだったけど…
そこはカカシ先生、難なくナルトを諭した。という所までは良いのだが、写輪眼の影響でチャクラの消費が多く、どさりとカカシ先生が倒れてしまったのである。
幸い、タズナさんの家がそう離れていなく、ナルトの影分身でカカシ先生を運んでいった。
そこで、一週間動けないという事態をあっさり受け入れて、まぁ宿として貸していただいた次第だ。
布団に入って、タズナさんの娘さんツナミさんに声を掛けられたのだ。
「でも、ま!今回強い忍者を倒したんじゃ!暫くは安心じゃろう!」
フォローしてくれるタズナさん。
「カカシ先生」
「あ?」
「あの追い忍の面とかって何処で売ってるんですか?」
「いや、何処といわれてもな…」
とりあえず、仮面の目の部分に穴を空けて、万華鏡とか使えば正体ばれなくない?と思ったのだ。
…怪しさ満点だけど。まぁ冗談だけどね。
「カカシ先生」
「今度は何だ?」
「追い忍って何処で死体処理するんですか?」
通常であれば、その場で死体を処理するはずである…首を持っていけば任務の完了の証でもあるし、脳に入っている情報も守られる。後の体は全て燃やせば良い…だがしなかった。そう、通常とは異なる対応なのだ。
「通常はその場なんだが…待てよ」
そこで考える、恐らく追い忍が使った武器、千本とその後取った行動
「武器は…千本を使ってやがったな…」
確か…と繋げてサスケが言葉を紡ぐ。そこで、はっとなるカカシ先生。いつの間にかナルトも会話に混じって聞いている。
「…ザブザは生きている」
「大丈夫ですか?再不斬さん」
「ああ、次は写輪眼を見切れる…が」
「どうしました?」
ある森の中に堂々と建つ隠れ家、その中にいるのは、死んだはずのザブザと、美少女と捉えても可笑しくないほど顔が整った…美少年……白という。
「ああ…餓鬼が3人居たんだが、一人だけな…」
「その一人が?」
ザブザにしては妙に歯切れが悪い、つまり此方にとってあまり嬉しくない情報だと瞬時に意図する。
「髪の長い小娘なんだが…オレの水分身を4体…いや、6体か碌な反撃も出来ずやられた」
「な!いくら10分の1位の実力しか発揮できないといってもそれは」
「ありえたんだ…今回の依頼はちっとばかし、きついかも知れねぇな…」
あのザブザに…鬼人再不斬にこの言葉を言わせる程の実力…
「白の秘術が出せば勝てると思うが…」
「それ程ですか」
「あぁ…俺はカカシだけなら勝てる。が、やつも相手となると…」
難しい…そういうザブザの顔は…何処か嬉しそうであった。そう、ザブザはこの程度で怖気ずく人間ではない…いや、だからこその鬼人再不斬と呼ばれるのだ。かつて、霧隠れの忍者学校の卒業試験…二人一組になって殺しあい、生きた人間だけが忍者になれる超難関の試験で…受験者全員を殺してしまう事件が起こった。その中心人物こそ、このザブザなのである。
「ふふ…勝機はありますか?」
「当然だ…白、お前の力をオレの為に使え」
「喜んで」
ふと、白が視線を外すと、そこにあるのは捨てられた刀。先ほど来た依頼人…ガトーの護衛が装備していた刀。一悶着あったが、結果落としていったのは刀だけであった。
(運が良い…)
あのまま自分がとめていなければ…護衛の飼い主であるガトーが死んでいた。ザブザの手によって、しかしそれはまだ時期尚早。よって止めに入った結果が刀なのである。
「あ、再不斬さん…リンゴ食べます?」
「いやいr「ウサギさんの形に切りますね」…おぅ」
「なぁにぃ!あいつが生きてるぅ!?」
ナルトが声を裏返しながら声を上げる。顔には吃驚してます。自分。と堂々と書いてある。
「ああ…確かに死んでいたが、あれは恐らく仮死状態」
「かしじょうたい?」
ナルトの言葉に頷いて言葉を紡ぐ
「あの追い忍が使った武器千本の殺傷能力は低い。本来はつぼのマッサージとかに使うものだ。追い忍は死体処理班とも言われ、人体のスペシャリスト。人体のつぼをついて仮死状態にすることも不可能ではない…」
…まぁ私も嫌らしい術を取得する為に人体の勉強は行ってきたけどね。そして、それを取得する為に利用した影分身。こいつの最大の強みって、絶対に経験値を多く取得できる所だよね。ナルトレベルのチャクラがないと正直、戦闘で使える気がしない。
チャクラを均等に分けるので、かなり持ってかれる…しかも、脆い。分身であれば、水分身で十分だなぁ…今の所は。
「その追い忍ってのは、死体を処理するのじゃろ?…考えすぎじゃないのかの?」
「いえ、クサイと分かったのなら準備をする…忍びの鉄則だ。よって、サスケ、ナルト…アヤカも、修行を課す!」
「何で私の所は間が空いたんですか?」
「お前達の成長は早い」
華麗にスルーされた。涙は出てこないもん!
「特にナルト!…お前はこの短期間でかなりの成長を遂げている」
「へへ…」
「とはいっても、俺が回復するまでの一週間…恐らく仮死状態の人間もそれくらい動けなくなる。この一週間修行をしてもらう」
面白くなってきたってばよー!と張り切って声を上げた瞬間に玄関の扉が開き小さい子供が入ってきて
「面白くなんか無いよ…」
そう、ナルトに対して投げかけた。初対面の人間に対して中々の物言いであるが…
「お前誰だー!」
家のナルトも悪いけど負けていない。この噛み付きようはまったく予想が付かない。
ツナミさんが、注意するが、スルーし、タズナさんの傍に行ってじっとこちらを見てくる…
「仲間にして欲しいのか…」
「俺は思っていたんだが…アヤカって偶に変なこというよな」
サスケに突っ込まれた。すまん。これからはもうちょっと注意するかもしれない。
「母ちゃん、こいつら全員死ぬよ?」
流石の私も少しイラっと来た。ねぇ初対面だよね?私達と初対面だよね?え?もしかしてこいつ私達より強いの?ねぇ?
「ガトー達を相手にして生き残れるはず無いよ…」
その言葉に少し、思うところがある。原作で父ちゃんが死んだんだっけ?こっちも両親亡くしたけど…それを引き合いに出すのはナンセンスだな。人の死に軽い重いも無い。死ねば皆同じなのだ…生前の価値は知ったこっちゃ無いけど。
「んだとぉー!」
そういって、子供に向かおうとするナルトの服を抑えながら
「死ぬ死なないはどうでも良い、ナルト。私達は任務で来てるんだ…結果を見せればいいさ」
「むぐ!…むむむ……俺は将来火影になって凄いヒーローになる!だからこんな所でガトーだかショコラなんかに負けるわけねーってばよ!」
きっとナルトを睨む子供の口から
「ヒーローなんて馬鹿みたい、そんなのいる訳ないじゃん!」
そういって、タズナさんと言葉を交わして何処かへ行ってしまう。タズナさんは申し訳なさそうに謝ってくるが、まぁ此方もナルトが火に油を注いでしまった感じなのでそれはお相子だと思う。
その後、カカシ先生から30分後この近くの森で修行を行う胸が伝えられ、その場は解散となった。
木々が生い茂っている森の中で少し開けた場所に私達第7班が集まった。
「これより、修行を開始する」
今回の修行内容は木登りである。最初にチャクラの説明口座をナルトの為に行い術がどういうプロセスで発動しているかおさらいをしてもらった。
「お前達は…まぁアヤカは知らんが、ナルトとサスケ。お前らはまだ術を完璧に使えていない」
「どーいうことだってばよ!」
「何?」
「そこでだ…この一週間の修行、木登りを行ってもらう!」
「木登りー!?」
「そうだ」
ナルトの顔がきらきらしたものから一気にじめじめしたものに変わってしまった。サスケも何処か不信な目を向けている。…まぁ元々怪しいよね、カカシ先生って。
「ただの木登りじゃない!手を使わないで上る」
その言葉を聞いた瞬間にきらきらな笑顔に変わるナルト…真っ直ぐすぎて顔の表情を見ただけでおおよそ何を考えているのかが分かってしまうのは、果たして忍者に向いているのかは置いておこう。
「じゃあ、お手本としてアヤカ…上ってみろ」
「…先生も上れますよね」
「松葉杖が見えんのか」
りょーかい。そう言って、すたすたと木に向かって歩く。
「…パンツ見ないでくださいね」
「見ないよ!?」
「まぁスパッツ履いているので問題ないですけど」
恨めしそうなカカシ先生の目を華麗にスルーして木に一歩足を踏み込みそのままチャクラコントロールを行い幹に足を吸着させながら上っていく。そうしてたどり着いたのがちょこっとでてる枝。
「こんなもんですか?」
「いいぞー」
そういって、視線を此方から外し、ナルトとサスケに先ほどの木登りのプロセスを説明をする。
そして、チャクラコントロールがいかに大切かを説く。そう、極論を言うと、チャクラコントロールが完璧になれば、どのような術でも取得が可能なのだ。…理論上は。ただ、血系限界はそうはいかない、名の通り、血筋で使用できるかどうかが決まる術なのである。
さらに、このチャクラコントロールを極めると綱手姫みたいな怪力も可能になる。そのうえ、この修行は持続時間も効果的に挙げられる、画期的な修行方法である。
「と、まぁオレがごちゃごちゃいった所でどーこーなる訳でもないし…体で直接覚えて貰うしかないんだけど」
その言葉と共に、クナイを取り出し二人に渡す。
「今の自分で上れる高さを目印としてそのクナイでキズを打て」
「カカシせんせー。私はどうすれば?」
「あ~…降りてきていいぞ」
その言葉で、木の枝からジャンプをして、音も無く着地する…私の体術はガイさんを越している事をお忘れなく。
「アヤカは、タズナさんの護衛を宜しく頼む」
「了解」
その言葉を聞いて。タズナさんの家に向かい歩き出すのであった。