一族虐殺後、病院で眼を覚ました私。怪我も数日で完治し、じゃあ帰るか…と思ってたけど。
そういえば、死体とかどうしたのかな…せめて両親の遺体は弔ってやりたいのだけど…
そう思ったが、既に遺体は全て処理されてしまっているとのことだった。
病院で直接3代目からそう言われて、今後の方針についての話をして頂いた。
「さて、今後はわしが後見人になる。何か困ったことがあったら教えてほしい」
そういって、退出する3代目。サスケは依然心ここにあらずと言った所か。無理も無い。
信頼していた兄に家族を…一族を私以外殺されたのだ。前世からの知識でこの8年間覚悟をしていなければ、ああなっていただろう。
が、今は前世の知識があり、これから起こりうる事もある程度分かる。…細かい所まで分からないけど。
サスケは…今はそっとしておいたほうが良さそうだ。
「サスケ、私は一足先に火影様に言われた家に帰って、色々整理してくるね?」
「……」
ぼーっと、空を見つめたまま。…兄に言われた言葉を思い返しているのか、時折歯を食いしばる。
とりあえず、看護婦さんを呼んで退院する旨を伝え、サスケに先ほどの言葉を伝言として残し、病院を後にする。強く生きてとか言われたけど…無論。何とかするに決まっている。
そこまで、未練は無いけどね。父にいたっては好きでもなかったけど…母は……
まぁでも割り切れないほどではない。この事が分かっていたので一族の人に愛着が沸かないよう、極力接触を避けていたのが功を制したのか…まぁ初日は母の死に涙を流したけどね。
帰りの道中、ガラスに映った自分。そして、眼にチャクラを流す。
浮かんでくる模様は…縦に瞳孔が裂け、その周りに浮かぶ陰陽印。これが私の万華鏡写輪眼。
名も知らない人の車輪眼と共に私の車輪眼も開眼したのか…陰陽印が重なり合っているんか、完璧な陰陽印が目の周りに四つ浮かび上がっている。
極力避けていたのに…皮肉なものだ。起因は恐らく母なのであろう。一番親しいものの死。
この世界に来て一番親しいのは母だけであった。故にだろう。
涙は出ない。これが運命。弱かった自分の運命なのだ。
だが、これからは運命という一言で物事を片付けたくない。意地汚く生にしがみ付いてやる。
正義何ざクソ喰らえ。面白可笑しく生きてやるよ。そう決意を新たにし、眼を通常に戻す。
さて、やることが増えたな。まずは眼に何が発現しているか確認だ。
そう思い、屋敷まで足早に移動したのであった。
「さて、まずは瞳術の確認だな」
そう思って、森に入り動物の探索。ウサギを発見し、万華鏡写輪眼を発動した。
広がるのは真っ暗な空間。其処にいるのは私とウサギだけ。…とてもシュールです。
ウサギに目掛けて何か突き刺されと思ったら、刀がウサギに突き刺さった…数十本の数が。
近寄って全て抜き取ると、血だらけのウサギがぐったりしている。
そうして、チャクラを霧散させると…傷一つ無いウサギが森の中でぐったりしている。
なるほど月読はあるということか。後は、何だっけ?天照とか欲しいなぁ…
と、思ってウサギ燃えろ~と、思っても…何もでない。
ははは…火遁そういえば苦手だもんね。天照出る分けないよね。ははは…はぁ。
本当にうちはかよ。私。まぁいいけどね。これで幻術方面は完璧なんだ。それでオッケー。
あとは、まぁ写輪眼で術をちまちま取得していけばオッケーか…な。
それじゃあ、両目は…と、思って両方にチャクラを流すと。
世界が変化した。
「…どういうこった?何も無い…」
思いっきりジャンプしてみると、コロシアムのように白い足場が広がっているけ。
よく眼を凝らしてみると…ウサギがぽつんと横たわっている。…どういうこった?
「何だ?月読?…とはまた違うような…」
そう思って、剣よ突き刺され~…と思っても何も出てこないので、仕方なくウサギにクナイを投げる。
どすっと突き刺さって赤い血が流れる。
「…分からん」
そうしてチャクラを霧散させると…先ほどの場所から少し移動しており、ウサギが血で赤く染まっている
「…幻術では、無い?」
今度は砂時計を置いて、また先ほどの空間を展開する。…今度はウサギは来ていない。
手元に置いてある砂時計も…来ていない。そこで、砂時計が無くなる30秒位居続けて、霧散させる。
砂時計を見ると…ほんの僅かしか減っていない、というより一秒も経っていないと思われる。
「…ふ、ふはははあ!」
なんだか知らないが、あの空間は時間という概念に囚われず、その空間で起こったことが全て現実にトレースされると思われる。しかも、その空間内を移動すれば、他の場所にも移動できる…正に現実と私が作った世界の狭間を自由に行き来できる。…チャクラ消費量は空間にいる時間によって消費量が変動してくるが。
とりあえず分かったのが、一日五分位、あの空間を作成できる.・・・チャクラ量的に。
あの空間で起こったことは現実でもトレースされる。自身が持っている物は持ち込める。…厳密に言うと自分の現時点での「持ち物」と認識している物である。あの空間で移動すると現実にも移動したこととなる。また、移動する際、現実の何処で出るかが、万華鏡写輪眼を通して見える。
引きずり込めるのは、私が引きずり込もうと思った対象のみ。そして…あの空間で私のチャクラは常にマックスで、いくら術を使っても全く減らない。空間内で使用したチャクラは現実にトレースされない…が、空間を維持した分のチャクラは減ってしまうのである。
…かなりチートじゃね?ぶっちゃけ、空間を発動させ、相手の背後を取り、そのまま霧散させれば…「飛雷神の術」と同レベルの移動方法だよね。…上手くいけばだけど…まぁ、引き込んでチャクラ関係無しのマックス状態で行けばオッケーか…未来に光がさしてきたお。
これで…最大の死亡フラグの蛇さんをどうにかできるようになりそうである。まぁいざとなったら、兄に投げつけますか。というより、蛇さんは我が兄しか興味ないだろう。性的な意味でも。これで、平均な少女を演じきれば…ふははは!これで勝てる!勝てるぞ!!兄に関しては主人公が何とかしてくれるさ。恐らくだけど。
とりあえず、死ななければいい。私が。後、美少女と美女。野郎は…いいや。
当面の目標は一族の復興…ではない。私がもうあれだよね。相当頑張らないとまずいよね。
一妻多夫制?まてまて、やらないぞ。サスケに任せる。
とりあえず、部屋の掃除をしに戻ろう。その後、ちょっち三代目にお願いをしようかな…そう思って屋敷に歩を進めるのであった。
「アヤカちゃん」
「ん?どうしたの?」
次の週、サスケはアカデミーを休んだけど、私は普通に登校した。教室に入った瞬間に何ともいえない空気になる。非常にあれです。勘弁してください。通り過ぎる人におはようと言いながら席に付く。
そして、隣のミヨちゃんに声を掛けられたのだ。
「その…」
「あぁ…あんまり気にしないで、何時もどおり接して欲しいな」
「う、うん!」
笑顔になるけど、何処か硬い…まぁ仕方が無い。発生して一週間も経ってないからな。
アカデミーはまだ休んで言いといわれているけど、どうも家に居たくないのだ。
しっかし…この年で人の気遣いが出来るとは…おじさん嬉しいよ。
もう、その笑顔だけでご飯何杯もいけちゃうよ。
その後、先生とかにも心配されたけど特に問題無く一日が終わった。
数人の女子からサスケの事を聞いてきたけど、ショックが大きかったみたいだけど、今は元気。もう直ぐアカデミーへ登校すると思う。という事を伝えておいた。
さて、家に帰ると…誰もいないのだ。サスケは…今は修行中か。
もうこの段階から強くなろうとしているのか、修行に明け暮れている。よって、ご飯とか凄く不定期である。というより、学校行こうぜ。めっちゃ気分転換になるよ。と思ったのは完全に余談である。
ご飯を作り、といっても簡単な炒め物とかだけど、それを冷蔵庫へ入れてメモを残す。
そうして、約束した場所へ急いで移動した。何、三代目にお願いした件だ。…それは
「やー!青春してるかー!」
体術のスペシャリスト、マイト・ガイ上忍に体術を習うことだ。一応サスケも誘ったのだが…やはりというか何と言うか、にべも無く断られた。現在彼の世界は狭すぎる。故に人から教えてもらう。という発想が出てこなかったのである。体術より、忍術。といった形だ。
まぁ、これは月一でだけどね。態々休みの日にこうして師事して頂けるのだ。
「本日はよろしくお願いします」
「おう!うちはの一件は非常に心苦しいが…君はこれからの青春を楽しめ!」
「はい!」
「いい返事だ!」
そうして、特訓が始まった。…そして、一つだけ確かめたいことがあるのだ。
私の万華鏡写輪眼…サスケの体術をそれで見ていたら…完璧にトレース出来たのだ。一発で。
もしやと思ったね。故にだ…体術のスペシャリストの業と捌を取得すれば…
しかもこの人、八門遁甲使えるんだっけ?それもコピーしたい。
「すみません、ガイさん」
「どうした?休憩か?」
色々な業を万華鏡写輪眼で見た後、ひとしきり特訓し声を掛けた。
「八門遁甲…見せていただけますか?」
「!?…それを何処で?」
「うちはの重要度が高い巻物にと体術のスペシャリストである、ガイさんが使えるかなぁと…」
「……分かった、ただ、あまりにも危険だから、教えないぞ?」
それに頷いて返事を返す。
ちょっと強引だったけど…この機会を逃すと来月である。こういう力を手に入れるのは早いほうがいい。
そうして、ちょっと下がり、死角で万華鏡写輪眼を開眼させ、じっくり観察する。
「まず、体にはチャクラが密集した箇所が8つある。これらを体内門と呼ぶ」
そうして、精神を集中させる。
「今回は俺の限界まで見せよう…明日休日だしな」
ラッキー所ではない。大幅な戦力アップ間違いなしだ。…本当にコピー出来たらの話だけど…
「それぞれ、開門・休門・生門・傷門・杜門・景門・驚門・死門と呼ぶ。最期の死門を開けると火影以上の力を手に入れられるが…確実に死に至ってしまう。よってこれは開かないぞ」
「あたりまえです」
はは、そうだな。と気合を入れて、徐々に開門していく。凄い…チャクラが一つ一つあけると爆発的に増える。あけるたびに何か衝撃が来るよ。しかし…生門まで開けると体が赤くなるのか…ビジュアル的にどうだろ?
「はあ!これで驚門までの開放だ」
といって、全て霧散させる。一気に静けさを取り戻す訓練場。…すげぇ
「もう一度言うが、あまりにも危険だ。決して使うなよ」
「ええ、教えてもらわなければ開き方すら分かりませんし」
「だろうな」
そういって、軽く体術の特訓した後、お開きとなった。次は来月のこの時間だ。
「おお!そうだ、忘れる所だった!」
そういって、取り出したのが…
「錘…ですか?」
「おう!青春するためにもな」
そういって受け取る…くそ重い。まぁいいや、これを手足につければいいのだっけ?
そう思い、手足につけていく…重い…重過ぎる。ぎりチャクラ無しでもいけるけど…
「ほぅ…動けるか」
「え?」
「いや、なんでもない。それではな!」
といって、瞬神の術でどっか行ってしまった。…しっかし濃いキャラだったなぁ…いい人だけど。
そう思い私も錘を付けたまま屋敷へと帰るのであった。