三月に入り、いよいよ春が近づいてきた。そんな時に奴が尋ねてきた。
「やぁ☆」
「ん?あ、ヒソカか。どしたー」
天空闘技場の自室でごろごろしていた時に、ヒソカがドアを開け、姿を現した。相変わらずのピエロメイクである。
「くく…聞きたいかい?」
「いや」
そのまま入室して俺が寛いでる、というより横になっているソファの向かいにどかっと腰を下ろして何処からとも無くトランプを出してなんかシャッフルみたいなことをしだす。
笑顔で「そう☆」とかいってそのまま喋らないかと思ったら徐に喋りだしやがった。
「ゴンとキルアがココに来てるからね」
「……ああ、彼らね。どれだけ成長するか楽しみということなのね」
「そうなんだよ♪」
くくくと笑うヒソカは何時見ても薄気味悪い。
ま、ヒソカでもお客はお客だし、紅茶でも入れてお菓子でも出そうかな。
そうして俺はポットに紅茶を注ぎ、お盆に載せ、お菓子も乗せてテーブルに置く。
「ほい」
「ありがとう◆」
一口飲む。ううむ、あんまり美味しさが分からない。インスタントだし仕方が無いか。
「キミもますます美味しそうになっているね☆」
「んー、定期的に戦ってるじゃん」
「くく…キミの瞬間移動以外を見たのは先週が初めてだったよ☆」
「いや、あんた天空闘技場にあんまり顔出さないから知らないと思うけど、結構出してたよ?」
そう☆といって紅茶を飲む。そういえば最近、ヒソカと戦ってなかったな…
能力開発した後二回くらい戦ったけど、あの時は間隔短かったし、開発したばかりでまだ使いこなせてなかったからなぁ…
そうして紅茶をのむが、やっぱコーヒーのほうが何か美味しい。何か知らないけど美味しい。
テレビを見ながら寛いでるけど、ヒソカが出て行かない。
そういうときは決まって用事が済んでいないのだ
「…はぁ。で、何か用?」
「ああ☆ボクとここでやろう♪」
「……は?」
やるって?ここで?…ん?まてまて、待てよルクル。
ここでやろう…。今現在室内で寛いでる俺に対して発言した。
そして俺は女でヒソカは男……まさか!?
「嫌に決まってるでしょ!?」
「4月20日でいいかな?」
「…んお?……ああ、ここって天空闘技場ね」
「まぁボクとしてはそっちでも良かったけどね♪」
「絶対に嫌です!!」
というわけで勘違い?でした。言葉が足りないっていうレベルじゃないぞ…まじ頼むぜ。
「ん~いいですよ」
「くく…楽しみにしてるよ☆」
そうして紅茶を飲み干し
「美味しかったよ♪今度はボクがお礼をするよ☆」
「じゃあ高級ディナーで」
「◆」
そうしてドアから出て行った。相変わらず何を考えてるか良く分からん奴だ。
そう思ってテレビを見始めるが、丁度よくニュースが終わってしまったので、念の修行でもしようかな。
でもなぁ…ぶっちゃけ蟻に備えて修行をしてるけど、俺成長してるのかなぁ…とたまに不安になる。
と言っても悩んでいても仕方が無いのでガンガン修行はするけどね。
とりあえず、潜在オーラはもう自然に増える事を期待して修行せずに、念の応用を考えている。
というより、発にしなければメモリの無駄遣いにならずにすむし、色々できる。
但し、同じ事を発という形にした方が威力は高いというのはいうまでも無いが。
例えば、既に実用化しようか考えている「オーラを衝撃へ変化させる」というのだ。
そう、トンと触れただけで内部の破壊を行うエグイ感じな攻撃。これは通常の「硬」による攻撃より1.3倍位の威力がある。
威力は高い。恐らく意識の差だろう。だが、使用されるオーラが1.5倍近い………いや、みなまで言わなくていい。
あれだろ?1.5倍もオーラ使ってるのに1.3倍の威力しか引き出せてないじゃん(笑)
って奴だろ。知ってるよ!特質は変化60%だからこれでもかなりいいほうだと思うよ!?俺だって修行頑張ってるんだよ!
でも現実はこれなんだよね…はは。ま、それでもかなり使える。実際にプロハンターの一環として犯罪者を取り締まるが
これ、マジ使える。威力を限りなく落として死なないようにとんと放つが、衝撃が全身を蝕み昏倒する。
後は某忍者漫画のあの螺旋○だ。
あれは純粋にオーラを球体へ変化させて操作でオーラを乱回転させる。
そして手元10センチ位の所まで放出させて強化で威力を高めての一撃。
とりあえず外でやってみたけど、クレーターじゃなくて穴が、くっそでかく、くっそ深い穴が開いた。いや、空いた。
埋めることさへ出来ないほどの巨穴を確認した時点で【ジャンプ】で逃げてアリバイを作ったのはいうまでも無い。
とりあえず「硬」より威力は高い。あとは瞬間的に作れるかどうかは、訓練しだいである。因みに今は実用レベルとは言えずに大体3秒くらい掛かる。
作る瞬間から攻撃までだ。これだと使い物にならない。せめて1秒。これで完成させないと。そこは日々の系統訓練である。
発に関してはとりあえず放置。
【ジャッジメントブレード】でもいいかなと思ったけど、似たような物を作るのはどうかなと思う。
やっぱりもっと応用が利いたものにしようと思った。戦闘用発に使えるけど日常でも使える…なーんて甘い考えではない。
とりあえず戦闘用にもう一つ。便利な能力を一つで合計5つの予定。と数年前から思っているのになっかなか思いつかない。
色々思いついたらノートに書き込んでいる。しかしどれもこれもピンとこないのが現状だ。
だからこそ強化系が良かったのになぁ…うう……
ま、修行だ修行。修行しなければ選択肢も広がらない。さぁやるぞ!まずは点からだな。うん。
そして気付いたんだが、基本の基本。点の修行…まぁ精神修行は顕在オーラの強化に繋がるということを漸く確信した。
思いの強さはそのまま念の強さにも比例する。よって精神を強く保つことでより強力に、より長くオーラも保つことが可能なのだ。
現状基本は完璧に近い、応用もかなり完成度が高くなってきている。円はどうやら80メートルが限界らしい。もう伸びない。
まぁ十分だからいいけどね。隠は恐らく一番完成度が高いと思われる。注意深く凝を行えば漸く見える程度までのレベル。
逆に周はそこまでではないが、剣で練習しているので完成度は高い筈だ。
硬、流、堅は戦闘での基本となるからこれはどんなに完成度が高くなっても練習は怠っていない。
とまあこんな感じか。まだまだレベルが上がっていく事実は嬉しいところである。
あれから数日が経ち、何時もどおり修行を一通り済まして、シャワーを浴び、近くの高級レストランで食事をして、200階へ戻る時
エレベーターから降りると何か見覚えある三人と、変態が何かしてる。
変態が三人にオーラを、邪なオーラを飛ばすと何かずざざざーと後ろに下がっていっている。
変態…ヒソカがそうするようにしているから当たり前だが。あの行為でさり気にオーラへの感度を刺激しているのだから、策士だと思う。
「通さないよ◆…ってか通れないだろ?」
「いや、そこ邪魔だから通してよ」
そうして絶をしながら三人の間をすり抜けてヒソカの目の前に立つ。
若干股間が膨らんでるのは見なかったことにしよう。
「「「ルクル!?」」」
「おっす、お久しぶり」
そうしてヒソカのオーラの壁を突破してヒソカの後ろに位置を移動させて三人を見る。
「やぁルクル☆ディナーは美味しかったかい?」
「うん、ヒソカが紹介してくれた店、かなりいい味出してたよ」
「だろ♪」
そう、以前の口約束を律儀にも覚えており、一緒には行かなかったが、高級なディナーが出てくるお店で、行く前にどんな店か顔を出してよかった。
ジャージでは絶対NGだったぜ…ふぅ。
「お、おい…ルクル……お前普通に歩いていったよな」
「え?ああ、うん」
「何を…お前は何を知っているんだ?」
ハサンが驚き、キルアが冷や汗をたらしながら俺を睨みつける。
ゴンも冷や汗をたらしながら此方を見ている。
「それについて知るのは私からじゃなくて、後ろの方からのほうがいいかもね」
「「「!?」」」
ばっと後ろを振り向く三人の視線の先には…シャツがはみ出ていていまいちぱっとしない人がいた。そう、ウィングさんだ。
「やめておきなさい…ゴン君、キルア君、ハサン君」
歩み寄るウィングさんは力強い纏を纏っているが、ヒソカはあまり反応を示さない。
「本当の事を…貴方達にお教えいたします」
ついてきてくださいと、ウィングさんが言うが、現在19:40分だ。よってココを24:00までに通らないと…失格でもう一度0からのやり直しだ。
と言っても200階まで来たらまた上ってくるために要する時間はかなり短い。せいぜい数日といったところか。
しかし、案内人がキルアは一回未登録ということでもう一回未登録で24:00を過ぎると…失格となって天空闘技場への挑戦権すらも無くなる。
そのことを心配するゴン、ハサンはしかし、どうあがいてもヒソカの何かを突破できないと悟っているキルアによって
ウィングさんについていくことに決定した。
その際にハサンが何か言いたそうな目で此方を見ていたが…言葉にしないと全く分からないし、念を覚えてなければこのオーラの中で
口を開くのもかなり労力がいる。筈だ。俺はそんな状況になったこと無いので定かではないが…
てかココ原作でもあったようなシーンだったと思うけど…いや、あったな。
前に座っているヒソカを見ればトランプを何処からとも無く取り出して、壁に向かって投げつけている。
「まだ早い…◆」
うん。あったあった原作にあった。確かって言うか確実にあったわ。
「……待つ義理も無いし、私は自室に戻ってるよ」
「ああ☆」
そうしてその場を後にした。
念の修行も本日のメニューは終わっていたので今度こそテレビを見ながらパジャマへ着替えてごろごろしていたら
「やぁ☆」
「うひゃ!?」
まじびびったぜヒソカ…ノックもなしにこられるのはかなり心臓に悪いよ。
「レディの部屋だよ?ノックくらいしたら?」
「これは失礼☆」
そうして先日と同じ場所へ座って此方を見つめてくる。あんまり見られていたくないと言うのは正直な気持ちだ。
「で、何の用?」
「ゴンとキルアと…キミの友達が念を覚えたよ♪」
「そう」
なるほどね、まぁゴン、キルアは原作知っているから分かっていたが、まさかハサンも彼らと同じく才能があったとは…
「といっても、キミの友人は登録を済ませたら気絶してしまったけどね☆」
「え!?」
マジか。そう思ってごろごろしていたソファから身を起こしてヒソカを見る。眼があったけど相変わらず薄気味悪い印象だな。
「くく…まぁ彼も美味しそうだけど、やっぱりボクとしてはゴンとキルアだね♪……二人に手を出したら」
「出さないよ!もう…まあでも不可抗力でなったら見逃してよ?」
「くく…状況次第だ◆」
ま、天空闘技場じゃありえないけどね。次の試合がヒソカとの試合で、その後4敗まで不戦敗をするつもりだ
何故なら、もう一度1階からやってお金を儲けてそこから全焼してフロアマスターへと挑む…訳ない。
そもそもプロハンターなのだからぶっちゃけそろそろっとプロハンターらしく活動をしないといけないと思っている。
ハンター試験が終わって2ヶ月。その間やったことは犯罪者の取り締まりだけだ。
二ヶ月もの間ほっとんど念の修行に費やしていたのだ。ふ…やることないしな。おかげさまで色々開発できたし、自力も上がったから言うことなし!
が、このままで終わるのはちと味気ないのでやっぱり何かを追いかけてみようかなと思う。
その間の止まり木として契約ハンターで力をそそいでみようかなと思う。
ノートパソコンから電脳空間へと繋げる。もちろんライセンスを使用してのアクセスだから無料である
「へー☆いいもの持っているね◆」
「うん、70万位したけど、手持ちで運べるし何処でも接続できるから便利だよ」
そう、この世界のパソコンはくっそ高い。しかも電脳空間に接続する機能を持たせるとさらに上がる。
だからこそ、貸し出しの施設…まぁ今ならインターネットカフェに近いだろうか、それが各地にあるのが常識である。
そうして、電脳空間へと繋げてハンターサイトを開く。一々ライセンスに記入されているナンバーを入力しないといけないのは面倒だ。
「何を調べるんだい?☆」
いつの間にか隣に来ているヒソカを横目に
「ちょっと待ってね」
一旦コーヒーを用意する為に立ち上がり、こぽこぽとコーヒーを入れてきてソファに座る
隣のヒソカにも出す。砂糖とミルクはお好みでね。
「ん~…ちょっと契約ハンターみたいに活動しようかなと思ってね」
「へー♪ボクはブラックリストハンターをお勧めするよ◆キミと相性がいいはずさ☆」
「……いや、考えてたけどね。うん」
そう考えてたけどそれはそれで何か悲しい。否定はしないけどね。確かに相性がいいと思うし。戦闘は嫌いではない。
銃だって拳銃やマシンガンは堅をしていれば普通に無傷である。流石に爆弾は試したことは無いが、死なないと思う。
ライフルは知らないけど、痛そう。……そう、相手が銃を使ってきても問題ないからブラックリストハンターは向いているには向いている。
でも!この世界にはまだ見ぬお宝とか!遺跡とか!生物とか!色々ありそう。でもその中で何がいい?と聞かれたら…
悩んでしまうのが現状だ。ということで、以前した契約ハンター紛いのことを今度は本当にプロとして実践しようかと思っている。
「何か以前どっかのマフィアに誘われたんだよね、ノースだったかノストラダムだったか」
「で、近しいのを探しているわけだね◆」
「そそ…えーっと、の、の、の…これか」
ノストラードファミリーについての項目があり、それをクリックする
『ノストラードファミリーについて知りたいのか?500万ジェニーが必要だぜ?』
という画面内のバーテンダーに吹き出しがあり、はいといいえの選択がある。まぁここは
「はい…と」
『オーケーそれじゃあ聞いてくれ』
と吹き出しがでて、情報が記載されていく。簡単に言うと最近頭角を現したマフィアの一団であり、十老頭直属まで昇進するほどの成長振り。
それの原因がノストラードファミリーの一人娘「ネオン・ノストラード」の存在が大きい。
彼女の予言が尽く当たり、有名な著作人から大富豪までお世話になり、更にはマフィアンコミュニティー内での信頼も大きい。
そこにお金が入って成長を成し遂げたとの事。
さらに、彼女は人体コレクターである。珍しい人の体の一部や、グロテスクなものに大きな興味を示している。
護衛は少数精鋭で殆どが念の使い手である。が、最近規模の拡大に伴ってお金の面では余裕があるが、人材面での余裕が無い。
とのことだ。
「ふーん…人体収集ねー」
「良い趣味だね☆」
「私としては金銀財宝がいいと思うけど、価値観は人それぞれだからねー否定はしないけど、肯定もしないよ」
「それで、どうするんだい?」
「もち、一度顔を出してみるよ」
紹介状もあるしな。一度顔を出すのはいいと思う。そこで雇用主の意向を聞いて試験的に雇ってもらうというのが理想。
というより、オークションの期間内だけの契約を結びたい。その後は更新という形で。
まぁそれが無理だったら契約はしないけどな。だったら念の修行をしていたほうがいいかなと思ってる。
それに、グリードアイランドも一度体験してみたい。そろそろっとメンバーを募集するんじゃないかな?と思っていたが…
「へー」
普通に募集している。次の選考会が…3月21日にねぇ…あれ?再来週じゃね?
「グリードアイランドか☆ボクは興味ないかな♪」
そらそうか。現実が舞台ということを教える必要もないし、俺はソロプレイでほのぼのとカードを集めて行きたいからな。
で、有力カードをゲットしたら交換で数億ジェニーに変えてもらうのがいいなぁ
「ま、とりあえずノストラードファミリーに行って仕事してこようかな」
そうして電脳ページから抜け出して、ノートパソコンにスケジュールを追加して電源を落とした。
「じゃあボクも自分の部屋に帰るよ♪」
「じゃねー」
そうして手を振ってドアからでるヒソカを見送り、コーヒーを飲む
既に冷えていてあまり美味しくなかったが、それでもやはりコーヒー。ぬるくてもそれなりに飲める。
「ふー…どうしようかな」
そうして未来のことで頭を悩ますのであった。