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No.35475の一覧
[0] 【ネタ】転生先がキリトさんだった件。これからどうしたらいいと思う?(SAO_転生憑依モノ)[みさっち](2012/11/24 14:43)
[1] 第1話[みさっち](2012/11/29 00:24)
[2] 第2話[みさっち](2013/05/20 00:20)
[3] 第3話[みさっち](2013/05/20 00:20)
[4] 第4話[みさっち](2013/05/20 00:21)
[5] 第5話 前編[みさっち](2013/05/20 00:22)
[6] 第5話 後編[みさっち](2013/05/20 00:22)
[7] 第6話[みさっち](2013/05/20 00:23)
[8] 第7話[みさっち](2013/05/27 19:20)
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[35475] 第2話
Name: みさっち◆e0b6253f ID:560afcc0 前を表示する / 次を表示する
Date: 2013/05/20 00:20


 βテスト時に登録したデータが残っていますが、使用しますか?
 アバターネーム : “Kazuya”

 ―― YES


 “ Welcome to Sword Art Online ! ”




 ライトブルーの閃光が視界を呑み込んだと思った次の瞬間、感じたのは一瞬の浮遊感。
 そして、その直後、足の裏から石畳を踏みしめるリアルな感触が返ってくる。

 ホワイトアウトした視界が徐々に視力を取り戻していき、周囲の光景がおぼろげながらも見え始めてきた。

 広大な石畳。周囲を囲む街路樹と、瀟洒な中世風の街並み。そして、正面遠くにそびえたつ巨大な宮殿。

 そこは間違いなく、ゲームのスタート地点である《はじまりの街》の中央広場だった。


 約一ヶ月ぶりの《アインクラッド》の大地を踏みしめながら、俺は空を仰ぐ。

「また、戻ってきたか。……この世界に」

 ここは、とある天才の狂気が創り出した一つの異世界。
 ここは、一万人のプレイヤーを呑み込む電脳の牢獄。
 ここは、巨大浮遊城《アインクラッド》。


 ふと周囲を見渡せば、そこはたくさんの歓声であふれていた。

 SAOの世界へとやってきた事に歓喜の声をあげている者。
 ゲームとは思えないSAOのリアルさに感激の声をあげている者。
 フィールドで狩りをしようとメンバーを勧誘する声をあげている者。
 露店をひやかしながらショッピングを楽しんでいる者。
 異性のアバターと連れ立って歩きながら会話を楽しんでいる者。

 誰も彼もが、皆一様に希望にあふれた顔をしていた。


 ……けれど、あと数時間もすれば、この顔は全て絶望のそれに塗り替えられてしまう事になるだろう。


 彼らは知らない。
 この世界の本当の姿を。

 彼らは知らない。
 自らが獄につながれた虜囚である事を。




 ―― 悪夢の始まりは、もう、すぐ目前にまで迫っていた。





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  第2話 ブラコンな妹は好きですか? ―― YES! キモウト、ヤンデレ、どんと来い

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 ベータテスト時には確かにあったその部分は、今現在、見事なまでに空欄になっていた。

「やっぱりないか…」

 呼び出したメインメニューの一番下の欄を睨みつけながら、俺は嘆息を一つ落としす。

 もしかしたら、ログアウトボタンがあるんじゃないだろうか? などという俺の淡い希望は、冷酷なる現実の前に脆くも崩れ去るのだった。

 ……あぁ、やっぱり、デスゲームなんだよなぁ、コレ。

 信じていたけど、認めたくなかった現実。
 前世の原作知識だなんていう曖昧な根拠しかなかったソレは、けれど今、明確な物証を得て真実へと昇華されてしまった。

 いやまあ、別にそこまで期待してた訳じゃなかったんだけどさ…
 でも、こうやってまざまざと現実を見せつけられるとヘコむよねぇ、やっぱり…

「―― っと、だからといって、いつまでも呆けてる場合じゃないよな」

 デスゲームが現実だという確証を得たからには、最早一分一秒とて無駄にはできない。

 そうと決まれば早速とばかりに、俺はメインメニューを操作し、インスタント・メッセージを呼び出す。
 そして、直葉 ―― リーファへとメッセージを送った。

【こちら和人。このメッセージを受け取ったら、すぐに返事してくれ】

 ……これでよし、と。
 さて、これで後は直葉からの返信を待つばかりだ。

 アインクラッドの第一階層は、直径十キロメートルのほぼ新円を描いたフロアとなっており、その敷地面積は実に約八十平方キロメートル。
 そして、その主街区である《はじまりの街》は、基礎フロアの約2割ほどの面積を占めており、東京の小さな区一つほどの威容を誇っている。
 そんな中から、何の手がかりもなく特定の人物を探し出そうだなんていうのは、土台無理な話である。

 そこで登場するのが、このインスタント・メッセージだ。
 これは、送りたい相手の名前さえわかっていれば、その相手に対してメッセージを送る事ができるというお手軽便利機能なのだ。
 まぁ、お手軽であるがゆえに、送る相手が同階層にいないと届かないとか、送ったメッセージの受信確認ができないとかっていう欠点もあるのだけれどもね。

 などと言っている間に、ポーンという軽いSEとともに視界の端っこにメッセージの受信を通知するアイコンが現れた。
 どうやら、直葉からの返信メッセージが届いたようである。

 俺は、すぐさまポップアップを指でタップしてメッセージを開封した。

【えぇっ!? お、お兄ちゃんっ!? なんでっ!?】

 なんていうか、今アイツがどんな顔をしてるのかが簡単に予想できそうな感じの返信だった。

 さぞかし驚いた事だろうなぁ
 なにせ、探していたハズの当人からいきなりメッセージが飛んできたんだから。

【母さんから聞いた。詳しい話は合流してからにしよう。お前、今どこにいる?】

【むぅー… お母さんめ。お兄ちゃんには絶対に内緒だって言っておいたのに…
 えっと、今いる場所だっけ? ……ん~? どこだろ、ここ? わかんない】

 ……まあ、そうだろうな。
 土地勘のない場所で、いきなりどこにいるのかなんて訊かれても、答えようがないよな。
 かといって、座標を教えろなんて言っても、余計混乱させるだろうし…

 うーん… どうすっかな…
 俺を探してた訳だから、人の多いこの中央広場からそう離れたところにはいってないと思うんだけど…

【よしわかった。だったら、黒鉄宮の前で合流しよう】

【黒鉄宮? どこ、そこ?】

【バカでかい宮殿。ゲーム開始地点の中央広場から見えただろ? たぶん、今お前がいる場所からでも見えると思うけど】

【あっ、あった。あれか。うん、ここからも見えるよ。あそこに行けばいいの?】

【あぁ。俺は一足先に行って待ってるから、早く来いよ】

【うん、わかった】

 そうして、俺たちはメッセージでのやり取りを終えた。

「さて、と」

 ポツリ、そうつぶやくと、俺はひざを曲げて二、三回ほど屈伸運動をする。
 そして、足首、手首、腕、肩と順にほぐしていき、最後に大きく伸びをした。

「うーん!! ……っと」

 よし、感度良好!

「馴染む… 実によく馴染むぞっ! 最高にハイってヤツだぁーー!!」

 なんというか、ベータテストの時から思ったけど、現実世界よりもむしろこっちの方が身体の調子がいい気がするんだよな。
 ……なんでだろ?

 そんな事を考えつつも、一ヶ月のブランクを感じさせない身体の反応に大いに満足した俺は、正面にある黒鉄宮へ向けて駆け出した。




  *    *    *




 黒鉄宮の周辺には、ほとんど人通りがなかった。

 スタートダッシュ組は言わずもがな、それ以外のプレイヤーたちも、基本的に中央広場から北にのびているメインストリートの方へ向かっているようで、こっち側にはあまり人は来ていないみたいだった。

 とりあえず、一番でかい建物を目印にと考えただけだったけど、これは思わぬ幸運。
 これだけ人がいなければ、すれ違う可能性はほとんどないと言っていいだろう。

 と、そんな事を考えていた俺の視界に、さっそくの来訪者が現れた。
 それは、不安そうな面持ちで周囲をキョロキョロとうかがいながらこちらに向けて歩いてくる女の子だった。

 ……うん。
 まぁ、たぶん、状況的に見て、あれが直葉なんだろう。
 さすがに、黒鉄宮を見物しにきた物好きって事はないと思う。
 思うん、だけど…

「……なんでさ?」

 思わず漏らした、その呟き。
 でも、それもまた、いたしかたない事だったと思う。
 だって、あの女の子の容姿は ――

 彼女が周囲をうかがうたびに左右に揺れる黄緑色のポニーテール。
 意思の強さを感じさせるような、キリリとした眉と翡翠色の瞳。
 そして、先のとがったエルフ耳。

 ―― まんま原作のリーファじゃんっ!?

 あんまりと言えばあんまりなその姿に、俺が声をかける事も忘れて絶句していると…

「あっ…」

 彼女と目が合った。

「……え、えっと、お兄ちゃん?」

「……よぉ」

 少女の誰何の問いかけに、俺は片手を上げる事で答える。
 すると少女は、表情をパッと明るくさせて俺の元へと駆け寄ってきた。

 ―― と思ったら、唐突にその足を止めて、疑いのまなざしをこちらへ向けてきた。

「あ、あの! お兄ちゃんは、本当にあたしのお兄ちゃんですか? ……ホンモノですか?」

「……は? いや、いきなりホンモノかどうかなんて訊かれても困るんだけど… ていうか、そもそも俺にニセモノなんているの?」

 いきなり思いもよらなかった質問を投げかけてきた直葉に俺が逆に問い返すと、彼女はコクリと首を縦にふった。

「いたよっ! いっぱい、いたっ! あたしがお兄ちゃんですかって訊くと、だいたいみんなそうだって答えてきたっ! でも全部ニセモノだったっ!」

 その直葉の主張を聞き、俺は思わず絶句してしまった。

「いや、お前… それは、どうなんだ…?」

 ゲームの中じゃ、顔も名前もわからんだろう俺を、一体どうやって探してたのかと思えば…
 まさか、直接訊いて回ってたとか… お前、行き当たりばったりにも程があんだろうがよ…

 というか、そんな質問をされてYESと答えるプレイヤーがいる事にも驚きだよ。

「それに、あたしのお兄ちゃんはそんな変な顔してないもん」
「えぇー…」

 ちょ、おま… 俺が長い時間をかけて苦心の末に造り上げた勇者顔のアバターを変な顔扱いとか…

 ……俺、泣いてもいいですかね?

「つか、容姿に関して言えば、お前だって俺の事言えないだろうが。なんだよ、そのエルフ耳」
「うっ!?」

 俺がそう指摘すると、直葉がばつが悪そうな顔になって後ずさった。
 どうやら、彼女自身も、自分のアバターの容姿には思うところがあるようだ。

「こ、これはその… お母さんが、『現実リアルでできないおしゃれをするのが仮想ゲームのダイゴミなのよ』って言って…」

「……それでエルフ耳か」

「……うん、エルフ耳です」

 か、母さんェ…

 いや、まぁ… 言ってる事は間違っちゃいないとは思うけど…
 だからって、エルフ耳はねぇよ…

「正直、あたしもコレはやり過ぎだったんじゃないかなって、ちょっと後悔してる。
 だって、こんな耳してる人、あたしの他にいないし…
 あとなんか、いきなり知らない人から声掛けられたりするし…」

 確かに、いくら自由に容姿を設定できるからと言って、そこまで弄ろうだなんて考える人、そうはいないだろうしなぁ
 でもって、そんなもの珍しいアバターを使ってれば、そりゃ声の一つもかけられるだろうしなぁ

「あ! でもね! ほら ――」

 そう言って、直葉はその場でくるりと回った。
 それと同時に、彼女のしっぽも宙を舞う。

「現実だったら剣道するのに邪魔だからって短く切ってた髪だけど、こっちでは長くしてみたの。
 ……ど、どうかな? 似合うかな?」

 そうして、上目づかいでこちらの反応をうかがってくる直葉。
 そんな彼女に、俺は大きくうなずき返してやった。

「あぁ、よく似合ってるよ。かわいいと思う」

「そ、そっか… えへへ」

 俺の褒め言葉に、直葉ははにかんで頬を赤らめた。


 それにしても… ふぅむ…
 今の話を聞く限り、このエルフ耳は母さんの悪ノリ、髪型は直葉の気まぐれって事のようだ。
 この分だと、瞳の色や髪の色なんかも、たぶん似たようなノリなんだろうなぁ…

 ……なにそれこわい。

 見えない力というか、歴史の修正力というか、因果律量子論的なものを感じざるを得ないっ…!


「……ねぇ、お兄ちゃん」

「あん?」

 おずおず、といった雰囲気で直葉が声をかけてきた。

「お兄ちゃんは、あたしのお兄ちゃんなんだよね?」

 不安そうな顔でそんな事を問いかけてくる直葉を見て、俺は口元に苦笑を浮かべながら彼女のもとまで歩み寄り、その頭にポンと手を乗せた。

「まあ、お前さんの兄貴の名前が、桐ヶ谷和人っていうんなら、そうだな」

「そっか… うん、そっか… よかった…」

 その俺の答えを聞いて安心したのか、直葉はホッと胸をなで下ろしていた。

 きっと初めてのフルダイブ体験で、いろいろと不安になっていたのだろう。
 そんな風に考えた俺は、彼女の頭に乗せたままだった手を動かしてポンポンと頭をなでる。

「……ねぇ、お兄ちゃん」

 すると直葉は、そう言って俺の服の裾をキュッと握りしめてきた。

「ん?」

 だから俺は、その呼びかけに、できるだけ優しく聞こえるような声音で返してやった。

「…………」

「直葉? どうした?」

「あ、あははっ… ダメだなぁ、あたし… 本当はお兄ちゃんに会ったらガツンと言ってやるつもりだったのに、なんて言おうと思っていたのか全部忘れちゃった…」

 俺に促される事で、ようやく開かれた彼女の口から出てきたのは、自嘲の色を多分に含んだそんな言葉だった。

「……直葉?」

 その声色に不審なものを感じた俺は、直葉の顔をうかがおうとしたが、俯いていたために彼女の顔を見る事は叶わなかった。

「ねぇ、お兄ちゃん。お兄ちゃんは、なんでこんな世界に来ようと思ったの? どうしてあたしを無視するようになったの?」

「え?」

 まるで囁くような、けれど有無を言わさぬ強さを秘めたその問いかけに俺は驚き、すぐに答えを返す事ができなかった。

「ねぇ… 教えてよ、お兄ちゃん… あたし、バカだから、わかんないよっ… ちゃんと言ってくれなくちゃ、何にもわかんないよっ…!」

 俺の服をつかんでいた彼女の手は、いつの間にか、つかんでいたところに深く皺ができるほどに、強く固く握られていた。

「ナーヴギアをかぶって寝てるお兄ちゃんを見てると、すぐ近くにいるハズなのになんだかとっても遠くにいるように感じたんだっ!
 寝ているお兄ちゃんは何も言ってくれないっ! どんなに話しかけても、何も答えてはくれないっ! 笑いかけてくれる事も、頭をなでてくれる事もないっ!
 怖かったっ! このまま放っておいたら、お兄ちゃんはあたしの手の届かないどこか遠くに行っちゃうんじゃないかって、どうしようもなく不安になったっ!

 だから、あたしもSAOを始めたんだっ!

 お兄ちゃんが見ているものと同じものが見たかったからっ!
 お兄ちゃんが夢中になっている物の正体が知りたかったからっ!
 お兄ちゃんに置いてけぼりにされるのが怖かったからっ!

 でも、わかんなかった… あたしには、何にもわかんなかった… こんな世界、何にも面白くないよ…

 ここにいる人たちは、誰も彼もがみんな、なんだか作りモノみたいで、怖かった。
 こんなにいっぱいいるのに、誰も彼もがみんな、同じような顔をしているように見えて、気持ち悪かった。
 こんなにもたくさんのヒトに囲まれているのに、あたし一人がこの広い街に取り残されちゃったみたい思えて、寂しかった」

 激情に駆られたかのように言い募る直葉に圧倒され、俺は二の句を継ぐ事ができなかった。

「もう、嫌だった。こんな場所には、一秒だっていたくなかった。
 この世界は、何処も彼処もニセモノばかり。誰も彼もがニセモノばかり。ホンモノなんて、どこにもない。ホンモノなんか、どこにもいない。

 ……でも、お兄ちゃんはここにいる。だからあたしは、必死になってお兄ちゃんを探した。
 大丈夫だよって、笑いかけて欲しかった。直葉は一人じゃないって、頭をなでて欲しかった。
 ……でも、お兄ちゃんはどこにもいなかった。あたしが、どれだけ探しても見つからなかった。

 だから、お兄ちゃんからメッセージが飛んできたとき、あたしは本当に驚いた。……驚いて、驚いて、でもすっごく嬉しくなった。
 お兄ちゃんがあたしを助けに来てくれたんだって、そう思った。もうあたしは独りぼっちじゃないんだって、そう思った」

 そう言って顔をあげた直葉の瞳には、今にも零れそうなほどの涙が湛えられていた。

「あのね、さっきお兄ちゃんを見つけた時、あたし、本当は一目でお兄ちゃんだってわかってたよ?
 だって、あたしがお兄ちゃんの事を見間違えるハズがないもん。……本当だよ?
 でもね、あたし、急に不安になったの。お兄ちゃんは、どうしてこんなゲームを始めんだろうって。
 本当はあたしの事が嫌いになったんじゃないか。本当はあたしの事がうっとうしくなったんじゃないか。そんな風に考えたら、怖くなった。
 足が竦んじゃって、その場から一歩も動けなくなっちゃった。あたし、どうしたらいいのか分からなくなっちゃって。だから、自分でも訳わかんない事言いだして…

 でも、お兄ちゃんは、あたしの事かわいいって言ってくれた。あたしのお兄ちゃんだって言ってくれた。あたしの頭をなでてくれた。
 お兄ちゃんは… お兄ちゃんは…」

「―― 直葉っ!」

 大粒の涙をこぼしながら訴える彼女の告白を遮るように、俺は直葉を抱きしめた。
 突然俺に抱きしめられ身体をこわばらせた直葉は、けれどすぐに服を握りしめていた手を俺の背中にまわしてヒシと抱き返してきた。

「おにぃ、ちゃん… おにぃ、ちゃ… おにぃ… うっ、あうぅぁ…」

「ごめんな、直葉… ごめん… 本当に、ごめん…」

「わあぁーーんっ! うあぁぁーーーーんっ!!!」

 肩口の辺りに顔を押し当て、俺にすがりつきながら、声をあげて号泣する直葉。

 まるで幼子のように泣きじゃくる彼女を抱きしめながら、俺は思った。 ―― このクソバカ野郎、と。

 ほんの数分前までの自分を殴り飛ばしてやりたい気分になった。
 ここまで本気で自分自身に腹を立てたのは、初めての経験だった。

 まさか、直葉がこんな状態なっているだなんて思いもしなかった。

 ―― バッド・トリップ。
 それは、フルダイブ環境に慣れていない者の中でしばしば発現する現象の一つで、一言でいえば一種の悪酔いみたいなものである。
 使用者が心の内に抱えている、恐怖や不安といった負の感情を表面化させ、あたかもそれが現実であるかのような幻覚を見せるのだ。
 幻覚の内容や効果の大小は様々で、人によってはダイブした直後に恐慌状態に陥ってしまった、だなんて例もあるくらい恐ろしい現象なのである。

 たかが幻覚くらいで、などと侮るなかれ。
 この世界では、強い想いが現実を上書きする事すら在り得るのだから。

 そもそも、ナーヴギアが行っているのは、データという名の情報を信号にして使用者の脳に直接送り、現実にはないこの世界をあると誤認させているだけにすぎない。
 つまり極端な話、この世界にある全てのものは、ナーヴギアの信号によって脳が見せている錯覚現象にすぎないのである。

 故にこそ、直葉の抱えていた不安感や孤独感がダイレクトにこの世界へと反映され、彼女の言う“独りぼっちの世界”が再現されてしまったのだ。
 それを、こうやって俺に会うまで耐え続けていた彼女の精神力には、正直、脱帽せざるを得ないだろう。

 彼女は、一体どれほどの不安を抱えていたのだろう? 一体どれほどの孤独を感じていたのだろう? 俺には想像する事すらできはしない。

 ……まったく、どうしようもない兄貴がいたもんだよ。
 本来、守るべきハズだった相手を、自らの手で追い詰めていたっていうのだから。

 ―― でも、間に合った。
 “独りぼっちの世界”になげ出され、怯えていた彼女を、俺はこうやって抱きしめてあげる事ができた。

 生真面目で男勝りでしっかり者な直葉。
 いつの間にか、涙を隠す事を覚え、俺の前でも泣かなくなった直葉。
 だけど、本当は寂しがり屋で甘えたがりで泣き虫な直葉。

 そんな彼女が久しぶりに見せた涙で肩口を濡らしながら思う。
 この子を、独りぼっちなんかにさせずにすんで、本当に良かった、と。
 それだけでも、俺がこの世界にやってきた価値はあったのだと。

「はぁ、まったく… バカだな、直葉は」

 ポツリ漏らした俺のつぶやきに、直葉の身体がピクリと震えた。
 そんな彼女の反応にやや苦笑を浮かべつつ、安心させるようにと俺は背中にまわした手に少し力を込める。

「俺が直葉の事を嫌いになんてなるハズないじゃないか。お前は俺にとって、間違いなく世界で一番大切な女の子なんだ。……この世界で、たった二人きりの兄妹じゃないか」

 誰が何と言おうとも、俺にとって直葉は、十数年間を共に過ごしてきたかけがえのない大切な家族だ。
 たとえ俺が、全くの赤の他人が憑依したニセモノの桐ケ谷和人でしかなかったとしても… 俺のこの想いには、一片の偽りもない。

 だけど…

 ―― “お兄ちゃんは、本当にあたしのお兄ちゃんですか? ……ホンモノですか?”

 結局、俺はその質問に答えられなかった。……答える事ができなかった。

 だってそうだろう?
 いったいどの口でホンモノだなどと言えというのだ。そんな事、言えるハズがないじゃないか…

 なぜなら俺は、“桐ケ谷和人”という人物の居場所に我物顔で居座っているだけの異邦人でしかないのだから。
 所詮、俺は“桐ケ谷和人”という皮を被ったニセモノでしかないのだから。

 それは、たとえどれだけ足掻いたところで、絶対に変える事のできない偽れざる真実。

 果たして、その真実を知った後でも、この子は俺の妹のままでいてくれるのだろうか?
 果たして、俺がニセモノだと知った後でも、この子は俺に笑いかけてくれるのだろうか?


 あぁ、たとえそれが、どこまでも身勝手で自身に都合のいい妄想でしかないのだとしても… それでもと、俺は思わずにはいられない…

 願わくは、いつまでも、彼女が俺に笑顔を見せ続けてくれますようにと ――




  *    *    *




「大・勝・利~!!」

 手にしたロングソードをかかげ、直葉が勝鬨を上げた。
 彼女の背後では、フレンジーボアが“バシャッ!”という派手なサウンドエフェクトと共に幾多ものポリゴン片に爆散したのが見える。

「お兄ちゃんっ! VRゲームってこんなに面白かったんだねっ!!」

 目を輝かせながらそう言い、楽しそうに剣を振り回してはしゃいでいる彼女を見つめながら、俺は一つため息をついた。

 ……どうしてこうなった。


『よし、直葉。せっかくだから、これから俺がこの世界の楽しみ方ってヤツを教えてやるよ』

 あの後、落ち着きを取り戻した直葉にそう告げ、すぐさま彼女の手をとり、草原フィールドまで引っ張ってきた。
 泣きやんだばかりの直葉にこんな事をするのは少々酷かとも思ったが、それでもヒトの多いこの街に留まるよりも、外で剣を振っていた方のがいいんじゃないかと考えたからだ。

 そして、ちょうど近場にいたフレンジーボアと、二人で協力しながら戦った。
 初期フィールドのザコMobであるボアに対して二人がかりなんて、過剰戦力以外のなにものでもなかったのだが、そこはそれ。
 ガチで命がかかっているのだから、警戒するにこした事はないし、最初は過剰戦力くらいでちょうどいいのだ。

 戦闘のレクチャーを兼ねたボア狩りは、大成功だったと言えただろう。
 二人がかりでフルボッコにされた哀れなボアが、ポリゴンの欠片に変わる頃には、直葉の機嫌は大分上向きに改善していた。
 唯一の失敗、というか誤算と言えば ――

 まるで獲物を狙う肉食獣のような視線で周囲を見回す妹の姿をしり目に、俺はもう一つため息をついた。

 なにやら妙な具合に戦闘にハマってしまった直葉が、さながら戦闘中毒者バトルジャンキーのようなものになってしまった事だろうか?
 ……一体、どこで育て方を間違えてしまったのだろう? お兄ちゃんは、とても悲しいです。

 でも、さすがというか、なんというか。
 原作で、同系統のゲームであるALOでゲーム内屈指の剣士となっていただけの事はあり、直葉はかなりの早さでSAOに適応していった。

 もともと剣道を習っていたおかげで剣の振りは様になっているし、相手の動きをしっかり見てから対処しているので戦い方にも危なげはない。ソードスキルも、それなりに使いこなしている。
 唯一の欠点、というか問題点と言えば ――

「おーい、リーファ」

 呼びかけても、直葉からの返事はない。
 その様子を見て、三度目のため息をつくと、俺は彼女のもとへと歩み寄っていった。

 そして、周囲を警戒しているハズなのに隙だらけな彼女の背後に立つと、その後ろ頭をスパーンとはたいてやった。

「あいたーっ!?」

 ダメージの発生しない程度に手加減した俺のはり手を受けた直葉が、やや大げさな悲鳴を上げながらつんのめる。

「い、いきなりなにするんだよ、お兄ちゃんっ!!」

「呼ばれたら、すぐに返事くらいせんかい。このバカタレが」

「へ?」

 はたかれた後頭部をさすりながら恨みがましげな眼を向けてきた直葉に俺がそう指摘すると、彼女はキョトンとした顔になり、しばしのち納得したように両手をポンとたたいた。

「…………あっ! そうか、リーファって、あたしの事だっ!」

「はぁ… お前、これで何度目だよ。いい加減慣れろよな」

「う~… だって、お兄ちゃん~」

「俺をお兄ちゃんと呼ぶな、俺のアバターネームは“カズヤ”だって何度も言っただろう」

「うーうー!」

 いくら訂正しようとも一向に改善する様子を見せない彼女に、俺は軽く頭が痛くなってきた。

「……はぁ。まあ、いいか。どうせその内、嫌でも慣れるだろうさ」

 なにせ、このアバターとは年単位で付き合う事になるのだから。
 そんな風に心の内で言い訳しつつ、俺は直葉 ―― もとい、リーファの矯正を諦めた。
 人間、無駄な事に労力を注ぐ事ほど虚しい事はないのだから。

 と、そんなとき、タイミングよくフレンジーボアがポップしたのが目に入った。

 ―― 八つ当たり相手、発見っ!!

 俺はすぐさま、腰にはいていたスモールソードを抜き放つと、ポップしたばかりのフレンジーボアの元へ駆け出した。
 そして、相手がソードスキルの攻撃圏内に入ったと同時に、俺は片手直剣スキル《スラント》を発動させる。

 その瞬間、刀身が仄かに発光し、身体が半ば自動的に動き出すのを感じた。
 ソードスキル特有のシステムアシストが、斬撃モーションを補正してくれているのだ。
 俺はそのアシストに逆らわないように注意しながら、あえて蹴り足と腕の振りを意図的に加速させ、技の威力を上乗せさせていく。

 ターゲットされた事に反応したのか、フレンジーボアがこちらへ振り返ろうとしていたが、時すでに遅し。
 振り返る間もなく、俺の剣がヤツの首の後ろへと吸い込まれていく。

 直後、俺の放った斬撃が、フレンジーボアの弱点であるたてがみ部分に強烈な手応えとともに命中。
 と同時に、クリティカルヒットを示す派手なエフェクトがはじけた。

 ソードスキルの一撃を受けたフレンジーボアは、後方に大きく弾き飛ばされた後、地面にワンバウンド。
 そして、空中で不自然に停止ししたかと思った次の瞬間、ガラスの割れるような効果音と共にポリゴン片に破砕した。

 ふぅ~、スッキリしたっ

 取得経験値やコル、ドロップアイテムなどが表示されたウィンドを一瞥したのち、俺は手にした剣をヒュンヒュンと左右に払って鞘に収めた。
 ……別にこの世界には血のりなんてものはないのだから、こんな事をする意味なんてないのだが、なんとなくこうすると納まりがいいのだ。たぶん、イメージ的な問題なんだろう。

「むー…」

 ふと、その唸り声の聞こえてきた方へ振り返れば、そこには眉間にしわを寄せた不機嫌顔のリーファがいた。

 ……えっと、なんでせうか? あれですかね? よくもあたしの獲物を横取りしやがって的な?
 一体どこまでバトルジャンキーなんだよ、こいつは…

「相変わらず、お兄ちゃんのそれはズルイ。武器の攻撃力はあたしの方が高いハズなのに、なんで?」

 恨みがましげな視線で告げられたその言葉を受けて、俺は頬を掻いた。

「いや、ズルイとか言われてもなぁ… 単なるソードスキルだし」

「でも、あたしがやっても一撃で倒すなんてできないもん」

「いや、そこら辺は経験の差ってヤツだろ。なんせ、俺の方が二ヶ月も先輩な訳だし。つか、始めて数時間のヤツにそんな簡単に追いつかれたら、こっちの立つ瀬がないっての」

「むーっ! それでもズルイっ! やっぱりズルイっ! 次は絶対にあたしの番だからねっ! お兄ちゃんが横取りしたら怒るからねっ!!」

「あー、はいはい。わかった、わかりました。どうぞご自由になさってください」

「わかればよろしい」

 むくれるリーファに、俺が両手をあげて降参の合図を送ると、彼女はおおきくうなずき返したのだった。


「おーいっ! そこのにいちゃーんっ!!」


 などと、二人して不毛なやり取りをしていたら、後ろの方から大声で呼びかけてくるのが聞こえてきた。
 一体何事だと、その声の聞こえてきた方へ顔を向けると、そこには、赤みがかった髪を黄色と黒のバンダナで逆立たせた髪型の男がいて、大きく手を振りながらこちらへ駆け寄ってきているのが目に入ってきた。

 ……ん? あれ? あいつ、どこかで…?

 その姿に、どことなく既視感を覚え首をひねっていると、正面にいたはずのリーファがいつの間にか俺の陰に隠れるような位置に移動していた。

「リーファ…?」

 いきなりの妹の奇行に戸惑っていたら、件のバンダナ男が俺たちのすぐ目の前まで来ていた。

「はぁ、はぁ… み、見てたぜ、今の。あの迷いのない太刀筋… あんた、ベータテスト経験者だろ?」

「は? あぁ、まあ、そうだけど…」

 息も絶え絶えな様子で問いかけてきたバンダナ男に、戸惑いつつも俺がうなずき返すと、今度は俺を拝むように両手を合わせながら懇願してきた。

「頼む! 俺にも戦闘のコツっていうかそういうのを、ちょいとレクチャーしてくれないか?」

「レクチャー?」

 その言葉を、首をかしげながらオウム返しすると、バンダナ男は大きくうなずき返してきた。

「おうよっ! ……いや、実はさっきまで一人でやってたんだがな。どうにもあのイノシシ野郎には俺の攻撃が当たらなくてよぉ…
 で、どうしたもんかと思っていたときに、アイツを一撃でのしたあんたの姿が目に入ってきたって訳よ」

「あぁ、それでレクチャーか。……なるほど」

 拝み倒してくるバンダナ男の姿を見ながら、俺は思いを巡らす。

 はてさて、これはどうしたものだろう?

 チュートリアルが始まるまでにリーファにある程度戦いの仕方を教えておこうという俺の算段は、もうすでに達成されている。
 最早リーファは、一人でもフレンジーボア程度ならノーダメージで勝利できるほどになっているのだから。

 だから、ここでビギナーであろう彼に対してレクチャーを行う事には何ら問題はない。
 問題はないのだが…

 そこまで考えて、ちらりとリーファの方へ視線を向ける。

「……っ」

 と、そこには、なにやら緊張したような面持ちで件の男を見つめているリーファの姿があった。


 ……ふむ。


「オッケーだ」

 そう言って、俺は男の提案にうなずき返した。

「おっ、マジかっ!」
「お、お兄ちゃんっ!?」

 歓喜の声を上げるバンダナ男と、困惑の声を上げる妹。

「マジだよ。俺はカズヤ。で、こっちはリーファ。短い間かも知れないが、よろし ――」
「ちょ、ちょっと、お兄ちゃんっ!!」

 俺がバンダナ男の方へ手を差し出そうとした瞬間、リーファが焦ったような様子で俺の手を引き、彼のもとから引き離してしまった。

「お、おいおい。まだ自己紹介の途中だろ。いきなり何するんだよ?」

「何するはこっちのセリフだよっ! お兄ちゃん、あの人のレクチャーを引き受けるとか、一体どういうつもりなのっ!!」

 ふむ。どうやら、我が愛しの妹様は、俺がバンダナ男のレクチャーを引き受けた事に対して相当お冠なようだった。
 まぁ、一言の相談もなく、勝手にそんな事を決められれば、文句の一つも言いたくなるだろう。
 けれど、これにもきちんとした理由がある訳でして。

「いや、だって俺は最初に言っただろ? 『この世界の楽しみ方を教えてやる』って」

「え? う、うん。言ってたけど… それが何なの?」

「MMORPGの醍醐味と言えば、それすなわちパーティプレイだ」

「パーティ? お兄ちゃんがいるじゃん」

「そりゃまぁ、確かに身内オンリープレイってのもいいんだろうけど… それでも俺は、不特定多数の人間と気兼ねなく交流を持つことができる事こそが、MMOの最大の魅力だと思っているんだ。だから、それこそをリーファにも経験して欲しいと思っている」

「む~…」

 俺の説明を聞いても、いまだに不満顔のままのリーファに苦笑を一つ。
 俺は、ポフポフと彼女の頭をなでた。

「安心しろって、直葉。アイツは作りモノなんかじゃないし。ニセモノなんかでもない。俺たちと同じ、一人の人間だよ」

 俺の提案を承服しかねる理由が、バッド・トリップの後遺症を引きずっているからなのかと思って彼女に告げたその言葉は、けれど、どうやら彼女の別の琴線に触れてしまったようだった。

「~~~っ!! バカっ! お兄ちゃんのバカっ! アホっ! 鈍感魔神っ! 朴念仁っ! うわ~~~~んっ!!」

 いきなり俺の脚を一発蹴りつけると、リーファは叫び声をあげながらどこへともなく走り去って行った。

 おい、この見渡す限り平原のこのフィールドで、お前は一体どこに行くつもりなんだ?
 あ、転んだ。真っ赤な顔してこっちを見てる。若干半泣きだ。と思ったら今度は近くの茂みに飛び込んだ。
 ……あいつは一体、何がしたいんだろう?

「おいおい、あの子放っておいていいのかよ?」

「ん?」

 リーファの突然の奇行に呆れていると、いつの間に近づいてきたのかすぐ隣にいたバンダナ男が俺に訊いてきた。

「ああ、別に気にしなくていいよ。あいつ、ちょっと人見知りしてるだけだから、寂しくなったらすぐに戻ってくると思うし」

「……いやぁ、あれはそう言うんじゃねぇと思うんだけどなぁ」

「うん?」

「自覚なしかよ… まあ、それもまた青春か… あぁもぅ、ちくしょー! リア充爆発しろっ!!」

 なにやら、訳知り顔で訳の分からない事をつぶやいた後、バンダナ男は唐突に独り身男性全員に共通するであろう魂の叫びを彼方へと絶叫した。

 そして、クルリと俺に向き直ると、何食わぬ顔で手を差し出してこう告げた。

「俺はクラインってんだ。よろしくな、カズヤ」

「あ、あぁ… よろしくな、クライン」

 ……やっぱり、クラインだったか。

 彼の口から、原作キャラと同じ名前が出されても、あまり動揺する事はなかった。
 なんとなく、そうなんじゃないかという気がしていたから。

 だから俺も、バンダナ男改めクラインの差し出された手を握り、答えた。

「さっきも言ったけど、俺の名前はカズヤ。でもって、あそこの茂みから隠れてこっちをうかがってるのが妹のリーファだ」


 後に、攻略組の一角に数えられる事になるギルド《風林火山》のギルドリーダーと俺との出会いは、こんな風にして始まったのだった。







「…………へ? 妹?」

「ん? あぁ、妹。ガチで妹。リアル妹」

「なん…だと…?」





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 てな訳で、リーファ・イン・アインクラッド2をお送りしました。

 と言いつつも、いまだにデスゲームがはじまっていない件。
 次は、次こそはきっと、チュートリアルまで終わらせられるはずっ!

 筆が遅くて、話の進みも遅くて、独自解釈の雨あられとか、
 ダメが三つくらいつきそうな感じですが、これが作者の精一杯。

 出だしは良かったけど後が続かないなぁ、所詮駄作か。
 などと思われない事を願いつつ。



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――― おまけ

< NGシーン ~ 直葉合流編 ~ >


「あっ…」

 彼女と目が合った。

「……え、えっと、お兄ちゃん?」

「……よぉ」

 少女の誰何の問いかけに、俺は片手を上げる事で答える。
 すると少女は、表情をパッと明るくさせて俺の元へと駆け寄ってきた。

 そして、そのままの勢いで俺に飛びつこうとして ――

「お兄ぃ~~~ちゃ~~~~~~~…… ―― へぶっ!?」

 アンチクリミナルコードの障壁にぶち当たった。

 ……どうやらカデ子さんは、先程の直葉の行動を、俺に対する攻撃との判断を下したようだった。

「 ? ? ? 」

 その場にペタンと座り込んだ直葉は、打ちつけた顔を抑えながら、訳が分からないよとばかりに疑問符を飛ばしまくっている。

「あ~、なんだ? SAOでは、街の中でのプレイヤーに対する攻撃は、不可視の障壁に阻まれるようシステム的に保護されてるんだよ」

 そんな俺の説明に、直葉は目を見開いて驚く。

「こ、攻撃っ!? そんなっ!? あたし、そんなつもりなかったのにっ!!」

「……まあ、カデ子さんって、空気読めない子だから、さ」

「うわーーーんっ!! こんなゲーム、やっぱり大っ嫌いだーーーっ!!!!」


Fin.



 アンチクリミナルコードが適用される範囲ってどのくらいからなんでしょうね?
 原作だと、抱っことか、おんぶとか、普通にしてたような気がするけど…
 ダイビング・ハグは、OK? それとも、NG?



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