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No.35334の一覧
[0] 【ネタ】幻殺【とある魔術の禁書目録×ニンジャスレイヤー】[パンツメンポ](2012/10/20 00:01)
[1] 「インデックス・フォール・イン・ケオス」[パンツメンポ](2012/10/20 00:00)
[2] 「エレクトリック・ペイバック」[パンツメンポ](2012/12/07 23:54)
[3] 「エレクトリック・ペイバック#2」[パンツメンポ](2012/12/08 00:12)
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[35334] 「エレクトリック・ペイバック」
Name: パンツメンポ◆1cab6a1a ID:2f83f702 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/12/07 23:54
第1巻「禁書目録崩壊」より 「エレクトリック・ペイバック」#1

(あらすじ)「オミヤゲにサスマタでもくれてやろうか」「……いい、いらない」カミジョウ宅にて修道服型霊装『歩く教会』を偶発的な事故によって破壊されたインデックスは、その状況を察知した追っ手の襲撃を恐れてカミジョウ宅を後にする。彼を騒動にを巻き込まないために出奔した彼女であったが、土地勘の皆無な彼女にとって猥雑なネオ学園都市の街並みはあらゆる堕落と理不尽に満ちた、まさに魔境であったのだった。

 ――――――――


 ネオ学園都市第七学区、イキオイ・ストリートにて。

 『いよいよ執行されんとする磔刑の前夜』タダーン! 扇情的効果音。『晩餐の席にて真実が語られる!』タダオーン! 学園都市上空を飛行するマグロ・ツェッペリンの機体側面巨大液晶スクリーンでは、近日公開予定の最新娯楽映画のトレイラーが映し出されていた。『この中に一人』液晶内部では精悍な長髪を蓄えたあの男を中心に、懐疑的な顔つきで食卓へ付く十二人の使徒達の姿。『裏切り者がいる!』タダーン! どよめく使徒達と、それを見渡すあの男。『しかし』トレイラーのラスト、ナレーションが意味深に呟いた。『彼らはまだ、気付いていない……』天井裏から覗く竹筒が暗闇の中へ消えていく。先端から滴り落ちる雫の色は……毒々しい紫だ!

『ジーザスⅢ、ついに公開』「YEAAAA!」「ウィーピピー!」路上からトレイラーを見上げていた通行人達が歓喜の雄たけびを上げる。『君達はまだ、本当の真実を知らない』「新作ヤッター!」「エキサイティン!」「実際楽しみ! ……ン?」夏休み初日で浮かれ気分の学生の一人が、群集の中に紛れた異質な存在に気付く。「シスター? シスターナンデ?」彼が目にしたもの、それは映画トレイラーを見上げながら放心するシスター服の少女……インデックスだ。ブディズムが主流のネオ学園都市の街中で、実際彼女は目立ちすぎる。「……」「ンー? 本物?」「……にも……」「?」

「罰当たりにもホドがあるよっ!」トレイラーの何が気に入らなかったのか、インデックスが激昂して叫ぶ! どよめく周囲! 「偶像崇拝が禁止されてるわけじゃないけど、これはあまりにも誇張が……」「アー……お嬢ちゃんも本当はブッダが好きなの?」その時だ。おもむろに近付いてきたパンチパーマのブディズム・パンクスの二人組が場違いなシスターに声を掛ける。「え?」困惑した様子でインデックスが振り返った。

「ブッダが好きなんでしょ?」「一緒に禅問答しない?」「え? え?」馴れ馴れしく話しかけてくるパンクスたちだが、対するインデックスは彼らの質問に狼狽した様子である。異教徒の風習に不慣れであるからだろうか、その物腰に不安を感じている様子だ。「ブッダがある男をジゴクから助け出すため、切れやすい蜘蛛の糸を垂らした。ナンデ?」「慈悲の心で……」「不正解です」「そうなの?」インデックスは不思議そうに問い返す。「じゃあなんで……」

 その時! 「ちょっとやめないか」突如として先ほどの学生が威圧的な文言を発して禅問答を打ち切った。彼はインデックスとパンクスたちの間に分け入ると、怪訝そうにするパンクスたちに侮蔑的な視線を向ける。「街中でスカム禅問答はやめろよ。これだからヨタモノは!」「ア?」「ナニ? ケンカ売ってんノ?」「マケグミは黙ってろって言ってんだ! 僕は強能力者だぞ!」「アー? カチグミ?」「ヤッチャウ? ヤッチャウノ?」一触即発の空気に周囲は騒然! カチグミ学生とヨタモノたちを中心に人が離れていく!

「あの、その、ケンカはいけないと思うよ?」しどろもどろのインデックスが仲裁に入ろうとするが、誰も話を聞こうとしない! ブッダ! なんという無軌道学生たちか! 実のところ、彼らはただ暴れたいだけなのだ! それに気付かないインデックスは彼らの諍いに責任を感じ、説法を始めようとする。「慈悲と寛容の心を持って……」「ちょっと!」その時、背後からインデックスに向けて投げかけられる声が! 「ちょっとアンタ! シスター!」「うん?」「こっち来なさい、急いで!」インデックスが振り返ると、周囲を囲む人ごみの中から手招きする少女がいた。不安げなインデックスがそろそろと近付くと、少女はその腕を急に腕を掴んで人ごみの中へ引き込んだ。「ほら、さっさとここから離れるわよ」「でもケンカが……」「アンタ観光客? あんな騒ぎこの街じゃチャメシ・インシデントよ。ウカツに近付いて怪我しちゃ馬鹿らしいし、悪いこと言わないから走んなさい!」

 人ごみを掻き分けるように進む少女。彼女に手を引かれながらインデックスが振り返ると、「治安がいい」「健全」「ヤサシイ」などといった電子カンバンが目に入った。この地区のキャッチコピーなのだろうが、彼女の瞳には疑いの色が浮かんでいる。「嫌な街……」「それに気付けたんなら上等よ!」目的地も定かでなく、人ゴミを避けるように二人は走った。背後から聞こえる打擲音と悲鳴、ショーウインドウを叩き割る甲高い破砕音。「御用! 御用!」けたたましいサイレンが響き渡り、ケンドー装甲服に身を包んだアンチスキルたちが駆けつける。諍いはやがて周囲の野次馬を巻き込み、暴動にまで発展していたのだった。


 ――――――――


 やがて二人が大通りを抜けて商店の並ぶ小路に差し掛かると、都市上空で常に停滞する黒雲が重金属酸性雨をしめやかに滴らせ始めた。「アー、降ってきちゃった」手を引いていた少女は足を止め、学生鞄の中から折りたたまれたPVCアマガッパを取り出す。「そのシスター服、防水?」「うん……あ」答えかけてから、インデックスはふと思い当たった。彼女の纏う『歩く教会』は事故によって破壊されてしまっているのだ。「ううん」「そ。じゃあこれ着てなさい。私は別の買ってくるから」少女はアマガッパをインデックスに手渡すと、近所の雑貨店に駆け込んでいった。その背を見送りながら、ふとインデックスは彼のことを思い返す。

(あの右手……それが異能の力であるなら、神様の奇跡さえ……)カミジョウ・トウマ。そう名乗っていたか。(……一般人? ほんとうに? でも……)アマガッパを抱えたままインデックスが思索に耽っていると、「お待たせーって、アーほら、着てなさいっていったじゃない」買ったばかりの防水コートを纏った少女がいつの間にか背後に立ち、濡れそぼったインデックスの頭に手を置いた。「髪に悪いなんてもんじゃないわよ。浴び続けてたら死ぬ可能性もあるんだから」「う、うん」少女の手伝いの元、アマガッパを着込んでいく。「ほら、急いで急いで……フードも、ほら」

 目元までしっかりと被せられたフード。その先から滴る雫を見て、インデックスは声を上げた。「……フード!」そう、彼女は学園の清掃ロボットに持ち去られた『歩く教会』の純白のフードを探している最中であったのだった。少女が聞き返す。「フード?」「白いフードなんだけど、電動使い魔に持ち去られちゃって……」「電動……アレのこと?」少女の指差す先には、舗装された路上を疾走する小型清掃ロボットの姿があった。『重点! 重点!』時速四十キロの速度で路上に捨て去られた煙草を回収していた小型清掃ロボットは、その勢いのまま道の端にたむろしていたヨタモノ学生と衝突。そのまま吹き飛ばした。「アイエエエエ!」『ドーモ、モータードラムです! 通路上の障害を回避しないのは仕様であり問題ありません! 重点! 重点!』

 のたうち回るヨタモノを眺めながら、少女はインデックスの肩に手を置いた。「アレに何か攫われたら、たぶん返って来ないと思うけど」「そんな……」「アーでも、本当にアレに持ってかれたの? 大きいゴミとかはアレ、基本吹き飛ばすから。勘違いの可能性も重点?」「えっと……」インデックスは思い返した。彼女の持つ完全記憶能力にも、勘違いというインシデントは有り得るものだ。歩く教会を破壊されて、その後はどうした? 毛布の中で着替えて、安全ピンで服を留めて……。「……あ」なんと、この時点でもう彼女はフードを被っていない!

 ということは、目的の物は恐らくカミジョウ・トウマの寮部屋にあるのであろう。ウカツ! なんたる徒労! 「む、むだあし……」インデックスは脱力してその場に膝を突いた。少女がその肩を持ち上げながら尋ねる。「まあまあ。で、場所は分かるの? 心当たりが?」「とうま……」あの少年の名を口にしたところで、インデックスの脳裏を通り過ぎるのは彼から喰らった説教の記憶! 「……さん、の部屋、の中だね、きっと」冷や汗を浮かべながら取って付けたように敬称を加えるインデックス。というのも、海外出身の彼女はネオ学園都市内の文化に疎く、そのためにカミジョウとの自己紹介の折に敬称を省略してしまったせいで、彼からひどい説教を受けているのだ。インデックスはその時の様子を思い返し、身震いした。まるで有名なあのモタロ伝説に出てくる人食いのオーガのような形相で行なわれる説教……もしも問答の最中に『歩く教会』が壊れなければ、説教はまだまだ続いていただろう。あるいは、日の暮れるまで!

 読者諸君は彼の行った行いを……日本文化に無知ないたいけな少女に対してトラウマを植え付けるほどの説教をどう思うであろうか? 無体? やり過ぎ? しかしあえて補足するならば、この猥雑たるネオ学園都市にも礼儀というものは存在する。たとえ親子であっても公衆の面前で名前を呼び合う際は敬称を付けるのが常識である。もしもこのシスターが無知を無知なままに初対面の人間を呼び捨てにしようものなら、被害者や目撃者に通報された場合は即座に近隣のジャッジメントが駆けつけ、最低でも厳重注意、相手の身分によっては検挙や拘留、民事においては告訴される可能性すら有り得るのだ! ナムアミダブツ! なんたる抑圧的礼儀制度! しかしその点を鑑みるならば、予め苛烈な説教によって呼び捨てによるスゴイ・シツレイを行なわないための釘を刺しておくカミジョウの対応は、ある意味では無垢なる者に対する優しさと慈悲に満ち溢れていると言えよう!

「トウマ=サン? 保護者?」「ううん。私にご飯を食べさせてくれた、優しい……いや、ええと、まあ親切な人かな」「フーン?」「ちょっとぶっきらぼうなところはあるけど、うん、きっといい人だよ」「じゃあその人のところに戻るの?」「それは……」インデックスが口ごもった。彼女は自らの脳内に蓄えられた十万三千冊の魔道書に関する知識を守るため、世界各国の魔術結社の追っ手から逃げ続けている最中の身だ。何度も同じような場所へ入り浸っていると、そこが拠点であると敵の魔術師に誤認させてしまうやも知れない。そうすれば、あの少年が巻き込まれてしまうことになる。一般人の少年……不思議な右手を持ってこそいるが、本来無関係であるはずの少年を。

「どうしよう……」「会い辛いの?」「うん、ちょっと……」「そう? なら、私が代わりに受け取ってきてあげよっか?」少女からの突然の申し出に、インデックスが戸惑いながら問い返す。「いいの? 本来なら、あなたは無関係なのに」「フードをひとつ受け取ってくるだけでしょ? それより、その後はどうするの? 予定とか決まってるの? 行くところは?」「ええと……英国式の教会があれば、そこに行きたいかな」「教会? それならまあ、第十二学区にいくつかあったかな。でもどうして? お使い?」インデックスは少しだけ逡巡すると、言った。「……匿ってもらいに行くの」少女の顔が流石に少し険しくなった。

「何かあったの?」「その……追われてて、それで」「通報した方がいいんじゃないの?」「……意味無いよ」意味が無い。その言葉にただならぬ気配を感じ取ったのか、少女はしかめ面でため息を吐いた。「アー……」「やっぱり、もういいよ。あとは私一人で」「ちょい待ち」伏せ目がちとなったインデックスに対し、少女は膝を突いて目線を同じ高さに持ってくる……膝とコートの裾が濡れて汚れるのも構わずに。「アー、確認だけど、そこに辿り着きさえすれば、本当に問題無いの? 本当に?」「う、うん」

「じゃあ決まりね!」少女がインデックスの目の前で手を叩いた。「十二学区までは……エート、バスか何か出てるかな……まあ、まずはそのトウマ=サンとやらの寮だかアパートだかに行くのが先ね。近い? 案内頼める?」呆然とするインデックスの顔を覗きこんでくる少女。「エート、そう言えば自己紹介がまだだったよね。ドーモ、ミ……」「……んで」「ン?」

「なんでそんなに親切にしてくれるの?」あまりにもいたれり尽くせりな対応に、インデックスは疑問を浮かべずにはいられない。「なんで、って」「とうま……さんもそう。なんで見ず知らずの人間に、そんなに親身になってくれるの? こんな、明らかに厄介事を抱えたって分かるような人間を」シスター服の裾を握りながらインデックスは言う。それも仕方の無いことだろう。彼女は優に一年もの間、四面楚歌の状態でひたすら追っ手から逃げ続けてきたのだ。島国である日本に来てからも同じことだ。味方などいなかった。危ない目にも何度も遭った。さらにネオ学園都市の治安は最悪だ。こんな状態で二度にも渡って降って湧いたような他人の親切。ブッダ! 誰しも疑わずにはいられないであろう! 「なんで、そんなに……」「ンー、そう言われると……」そのまま口をつぐんでしまったインデックスに対し、少女は困ったように頬を掻いた。「そうねえ……」「……」

「情にサスマタを突き刺せば、メイルストロームへ流される」「え?」「知ってる?」少女の言葉に、インデックスが首を横に振った。「コトワザでね、あるのよ、そんなのが。要するに人助けなんて損だから止めろってことなんだけど」「……」「一方でね、こうも言うのよ……困っている人を助けないのは腰抜け、ってね」

 これら二つは平安時代の武人にして哲学者、ミヤモト・マサシの詠んだコトワザである。「確かにアンタをエスコートして、それで何か面倒なことになったとしたら、それはまあ損と言えるかも知れないけど。でもアンタだって目の前に溺れてもがいている人がいれば、とりあえず手を差し伸べるでしょ? いちいち損得なんか考えないでしょ?」「それは、そうだけど」「それだけのことなのよ、つまりは。まあ私は別に、腰抜けでも無いつもりだしね」照れくさそうに笑いながら、少女が手を差し出した。「じゃ、いこ?」

 ポエット! 何と達観した思考形態か! 少女は暗に、メイルストロームへ流され行くインデックスを見捨てるつもりは無いと告げているのだ。ハイクこそ用いていないものの、実に奥ゆかしい感情表現! 「あ……」インデックスの頬に暖かいものが流れ落ちた。PVCアマガッパから滴る重金属酸性雨? チガウ! それは涙だ! 少女の優しさに触れて零れた涙であり、そしてあの少年の言葉の意味を理解したことによる涙だ!

『……、じゃあ。私と一緒に地獄の底までついてきてくれる?』去り際、自分を引き止めるカミジョウに対してインデックスが言い放った言葉だ。笑顔で告げたその質問は、隠すことの無い拒絶の意思をしたためていた。それを受けて、彼は何と言った? 何と答えた? 『サンズ・リバーの流れは速かろうな』『……?』『オミヤゲにサスマタでもくれてやろうか』ナムアミダブツ! 何たる迂遠な比喩表現か! 不器用な少年の、あれは精一杯の意思表明!

「……って、いいのかな?」「ン?」「本当に……頼っても、いいのかな……?」気が付けば、インデックスは号泣していた。廃棄されたオリガミめいて歪んだその表情の上に、つもりつもった苦難が涙となってあふれ出る。「いいのかなあ……?」「……いいに、決まってるでしょ」少女が慈愛の瞳を持って答える。「いこ?」「うん……うん……」目元を拭うと、インデックスは右手を持ち上げた。差し出された少女の手を握ろうとして……その時!

「インデックス?」突然、背後から彼女の名を呼ぶ声。しかし、この街に来て彼女が名乗った相手はカミジョウ・トウマただ一人。一方、投げかけられた声は女性のものだ。……ブッダ! 要するにこの声の主は、ネオ学園都市の外部より来りて、インデックスを知る者……即ち、敵!

 インデックスが振り返った先には、ブルネットの長髪を後頭部で纏めた女がいた。降りしきる重金属酸性雨の中で傘を差そうとすらしないその女は、白いTシャツを雨に濡らし、片足を大胆にカットしたジーンズから見える生足に雨露を滴らせている。腰には拳銃のホルスターめいて鞘に納まった長いカタナが差してあり、その胸は豊満だった。「そんな」インデックスは絶望に再度表情を歪めた。「こんな街中で……」瞬間、インデックスの第六感が周辺地域に対する魔術の発動を探知! 「人払い……!」「ステイルがルーンを刻んだようですね。皆引き上げて行きます」女が言った途端、通行人や店先の呼び子、路上で転がっていたヨタモノまでもが建物内や路地裏へと消えていく……やがて一分もしないうちに、インデックスのいる路地から通行人の気配は消え失せる。

「……くっ」インデックスは身構えると、真剣な目つきで言葉を返す。「どうやってこの場所を? 『歩く教会』の探知は、もう不可能なはずだけれど」「ただの偶然ですよ。『歩く教会』の反応が弱まったので、様子を見に行こうとしていたところでの偶然の邂逅です。驚きましたね。そんな偽装手段があったのなら、もっと早いうちに使っていれば私たちを撒くことも出来たでしょうに」

「な……!」インデックスはその一言で自身の失態を悟った。『歩く教会』のフードはカミジョウ宅に置いて来た。そのフードは着替えの最中に落っことしたものであり、カミジョウの右手は触れていない。つまり、カミジョウ宅に存在するフードの防護機能はまだ生きている。……即ち、魔術師はその魔力反応を探知できる! ナムサン! 敵魔術師のレーダー上では、インデックスはまだカミジョウ宅に居ることになっているのだ! ウカツ! 徒労どころではない、大失態だ! 巻きこまないと誓ったはずの少年に、いつ危険が及んでもおかしくない状態!

「わ、たし……」インデックスが絶望の言葉を漏らした瞬間だった。突如としてその頭部に激痛が走り、彼女は膝を突いた! ストレスによる頭痛か? 「あ……ぎ……」「そろそろ限界ですね」女はつかつかとインデックスに近付くと、彼女をキャプチャーすべく手を伸ばす。意識の朦朧とするインデックスは、それに抗えるはずも無かった……が!

「ヘイ!」突如として上がったその声に、女の動きが止まる! 「エート、話が見えないんだけどさあー」声を上げたのは……先程までインデックスと会話していた少女だ! 周辺住民は確かに消えうせていたが、しかしインデックスの傍らのこの少女だけは何故か平然としている。インデックスと女の間に割って入ると、周囲の光景を不可解そうに眺めながら様子を伺っている。ちなみにその胸は平坦だ。「アンタ……その、アー、この子の知り合い?」

「その少女は誰です? 現地協力者ですか?」少女の言葉を無視し、女がインデックスに訊ねる。「一般人……ではありませんね。その顔、服装……記憶に間違いなければ、もしや」「アー……? アンタ、私のこと知ってんの?」「インデックス。貴方にしては、胡乱な判断であると言わざるを得ない。どうやって話を付けたかは知りませんが、事が大きくなるだけですよ」「ちょっと……」「それに、人払いの結界も効いていないところを見ると、貴方の傍にいることに相当意識を裂いているようですが」「私を……」「まったく……もしかして、今度のパートナーはそこのレー」

「無視すんなやゴラァァァァ!」 その時だ! 無視され続けた少女が怒りのシャウト! 同時にその身体から紫電が発され、女を襲った! 「おっと」台詞を中断された女はバックステップでそれを回避! タタミ五枚分ほどの距離を取ると、腰のカタナに手を添えた。「血の気が多いのですね」「ナンオラー!」少女の威圧的シャウト! 彼女の周囲に雷光が渦巻き、バリアめいて降り続ける重金属を弾き飛ばす! 「この子……エート、インデックス? とにかくこの子の言う追っ手っていうのは、つまりアンタで間違いないのね!?」「だったらどうだというのです」女の両眼がにわかに細まった。少女を敵対者と認識したのだ! 「神裂火織、と申します。諸般の事情をご存知であるなら、魔法名を名乗る前に彼女を保護したいものですが」

「魔法? エート、まあそっちの事情はよく解んないけどさぁ!」少女が右手を頭上に突き上げると、一層強く雷光が周囲へ奔った! 衝撃で防水コートの裾がはためき、路地全体が微細に振動すらし始める! 「あんなこっ恥ずかしい啖呵切った直後に、ハイそうですかってこの子を差し出すワケにも行かないでしょーが!」少女が右手を振り下ろすと、壁に設置された排水パイプやゴミ捨て場に廃棄された錆び付いた金属類から、煙めいた黒い粒子が浮き出し、少女の下へ殺到する! これは一体!?

「うう……なに、が……」頭痛でダウン中のインデックスが目を開けた先には、雷光を纏った防水コートをはためかせながら、口元を黒い覆面のような物で覆った少女……チガウ! 覆面だと思われたものは、微量の鉄粉や砂鉄を混ぜ合わせて編まれた漆黒のメンポだ! 強力な磁力によって生成された砂鉄メンポは首筋にまで及び、マフラーめいた形に成形されて彼女の後方に揺らめいている! 「川べりならもうちょっと量が集まるんだけど、ここじゃこれが限界かなぁ!」前傾姿勢で身構える異様な姿の少女に、インデックスが疑問の声を上げる! 「あ、あなた、いったい……」「あ、ダイジョブ?」少女はその声に気付くと、小さくウインク! 「ドーモ、ミサカ・ミコトです。もっと早く名乗るべきだったけど、私は……」即座に対面の女に向き直ると、少女ことミサカ・ミコトは、自身の持つもうひとつの名を、威勢よく告げる!

「ドーモ、カンザキ=サン。レールガンです!」ミサカ・ミコト……ガクエン・レベルファイブの第三位である少女は、電撃的な速度でオジギした。「私は……ニンジャだ!」


「エレクトリック・ペイバック」#1終わり #2に続く……?



 ――――――――



※口調とか思考形態とかアトモスフィアとか。キャラに関して違和感あったらすみません。二次は色々大変ね。
※と言っといてなんですが、気にし過ぎても先が書けないので、これはこういうものだと納得頂ければ嬉しいです。
※言い訳終了。次回はあらすじ挟まず戦闘の予定だけなので短くなりそう。イヤーッ!


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