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No.35334の一覧
[0] 【ネタ】幻殺【とある魔術の禁書目録×ニンジャスレイヤー】[パンツメンポ](2012/10/20 00:01)
[1] 「インデックス・フォール・イン・ケオス」[パンツメンポ](2012/10/20 00:00)
[2] 「エレクトリック・ペイバック」[パンツメンポ](2012/12/07 23:54)
[3] 「エレクトリック・ペイバック#2」[パンツメンポ](2012/12/08 00:12)
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[35334] 「インデックス・フォール・イン・ケオス」
Name: パンツメンポ◆1cab6a1a ID:2f83f702 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/10/20 00:00
第1巻「禁書目録崩壊」より 「インデックス・フォール・イン・ケオス」#1


(あらすじ)鉄橋の上でザゼンを組む謎の男、イマジンブレイカーにアンブッシュを仕掛けたレールガン。彼に何らかの因縁を持っているらしい彼女は変幻自在のエレキ・ジツで猛攻を仕掛けるが、それらは全てイマジンブレイカーの持つ謎のジツによって無効化されてしまう。その禍々しい姿に圧倒されたレールガンはあまりのブザマから危うくセプクに及びそうになるが、紙一重でその致死的な腕の動きを止めたのは敵であるはずのイマジンブレイカーであった。メンポの隙間から覗く瞳の中に宿るセンコ花火めいた光に充てられて放心するレールガン。彼は無言のまま不思議なアトモスフィアのみをその場に残し、夜の闇の中へと消えていくのだった。


 ――――――――


 早朝。ネオ学園都市第七学区の端に位置するムコセイ・ストリートでは、いつ降り出すとも知れない重金属酸性雨を湛えた曇り空の下で、学生達の朝の営みが行なわれている。朝のミルクデリバリーサービスを受け取りに来た寝ぼけ眼の学生達が、公道の周辺に整然と配置されたマンション郡のそこかしこから顔を出してはアイサツを交わしている。「オハヨ!」「オハヨ!」「そろそろ時間ですね」「急ぎましょう。遅れたら大変です」少年少女達は皆一息に瓶のミルクを飲み干すと、夢遊病患者めいた足取りで近所の運動公園に集まり始めた。彼らは公園中央のトーテム周辺に設置されたバイオバンブーのシシオドシ・ギミックの奥ゆかしい音の元へと集まると、街頭スピーカーから発される合成マイコ音声のストレッチ・レクチュアルに従い、カタと呼ばれる奇妙なトレーニング・ポーズを取り始める。

『左右に首を振るドスエ』『最低120度ドスエ』ブンブーブブブブブブンブーブブブブブブブブブブンイヨォー。催眠音波めいたリリックと共に機械的なストレッチを行なう学生達。このストレッチは人間工学に基づいた健康トレーニングという触れ込みで学園統括理事会から発表され、この地区に住まうほぼ全ての学生に強制カリキュラムとして早朝の遂行が義務付けられている。しかしその実体は、合成マイコ音声の背後に隠された音波的サブリミナルによる、無軌道学生抑制のための大衆洗脳プログラムであるのだ。コワイ!

「イチニィー、サンシー」『両手を前に……実際服従的な……回転させるドスエ』「ゴーロク、シーチハ」『両手を後ろに……教師に反抗すればケジメ……伸ばすドスエ』マグロめいた目で催眠的ポーズを取り続ける学生達の集団。しかしとあるウニめいたヘアスタイルの学生……カミジョウ・トウマだけは違った。彼の持つ非人間的とまでいえる聴力は隠された催眠音波の文言を看破し、精神集中効果のある呼吸法によって脳へのサブリミナルの一切を遮断している!

「スゥーッ! ハァーッ!」『足を曲げて……為せば成る……ラビットのポーズドスエ』「スゥーッ! ハァーッ!」『本日はこれで終了ドスエ。オツカレサマドスエ』やがてストレッチは終了し、学生達は各々の寮内へと戻っていく。カミジョウも自身の寮部屋へと帰宅し、電灯のスイッチを入れる。しかし、何故か部屋は薄暗いままだ。カミジョウは訝しんだ。停電か、あるいは――。

 キャバーン! 突然の電子音は、カミジョウのズボンのポケットにしまわれた携帯無線IRC装置によるものだ。発信者はツクヨミ・コモエ。カミジョウの通うハイスクールの教師だ。カミジョウは受信した電子文の閲覧操作を行ないながら、部屋の隅に設置された冷蔵庫の元へ向かう。寝起きのチャを飲むためだ。しかし冷蔵庫の戸を開けた途端に漂ってきた異臭を嗅いだことで、カミジョウは己の部屋が今どのような状況にあるのかを理解した。思わず逸らした目線の先には、携帯IRC装置のディスプレイ上で踊る緑色の電子文言。

『カミジョウ=サンは知能に劣るので一週間は補習重点です。備えよう』「ヌゥー……」ディスプレイ上に表示された担任の言葉を受け、カミジョウは苦悶の声を上げた。その視線は次いで眼前の冷蔵庫へ向かう。開け放たれた扉の中には、夏場の熱気によって醗酵したマグロ・スシや激安トーフが、タッパーの中で黒々とした色を湛えている。……冷蔵機能が壊れているのだ。

「ヌゥゥー……」カミジョウは昨夜の出来事を思い返し、再度唸った。深夜の大橋上で起こったある出来事……学園都市擁する七人のニンジャことガクエン・レベルファイブの一員であるレールガンと、そのアンブッシュを回避するワザマエを持つ謎の男、イマジンブレイカーとのイクサの余波は、近隣の地区に存在する電子機器に甚大な影響を及ぼしていたのだ。その範囲にはもちろん、カミジョウの住まう学生寮も含まれていたのだろう……その惨状がこの腐海めいた光景、電灯を含めた電子機器の損傷なのであろう。

 ガクエン・レベルファイブの第三位だけあり、彼女は中々のワザマエを持ったサイキッカーでもあった。大出力のエレキ・ジツを応用した多彩な遠距離攻撃に、砂鉄から生成したカタナを用いたエレキ・イアイド。そして彼女のニンジャネームの由来でもある、一撃必殺の威力を誇るヒサツ・ワザ……コイン・レールガン! 弾道上の物体をネギトロめいて粉砕し、射線一帯をツキジめいた惨状へと変貌させる恐ろしいジツである。もしも一般人がその禍々しい雷光を目にすることがあれば、ニンジャリアリティショック症状を起こしてほぼ確実に気絶し、場合によっては発狂や記憶喪失に陥る可能性もある。

 しかしタタミの上でザゼンを組むカミジョウのニューロンでは、昨夜起こったレールガンとイマジンブレイカーのイクサの内容が、事細かにゆっくりと反芻されていた。周囲に目撃者たる一般人の存在しない夜の鉄橋で、いったいこのカミジョウ・トウマという男子高校生は、いかなる方法によって壮絶なイクサの内容を目撃するに至ったのか!? なおかつ彼はそのイクサを目撃しても正気を保ったまま、禁止された夜間外出からの朝帰りを行い、誰にも悟られること無く一般生徒の集団に紛れ、洗脳ストレッチの催眠音波に耐え抜き、何食わぬ顔で自分の寮部屋へと帰宅したのだ!

 その真相、彼の正体は……未だ語るまい。謎めいた男子高校生は一人瞑目し、アグラ・メディテーションの中で本日の予定を組み立てている。家財道具の修理、食糧の確保、補習カリキュラムの遂行……山積みとなった課題を前にした、ほんの僅かな精神集中の時間である。ゼンの崇高な精神を前に、低俗なミステリに関するサプライズは無粋というものだろう。「スゥーッ!ハァーッ!」規則正しい呼吸音だけが、薄暗い部屋に響いていた。

 それから数十分。やがて朝日が昇ろうかという頃合であった。「……何?」鋭敏な感度を持つカミジョウの聴覚が、静寂に包まれた空間を侵す、ある音を捉えた。「銃声だと?」数瞬後、ショウジ戸の向こうにあるベランダのほうから、鈍い落下音が聞こえた。カミジョウは、またかといったような表情で立ち上がった。ネオ学園都市においてヨタモノによる銃乱射事件はそう珍しいことでは無い。比較的治安の良いこの区域で起こるのは珍しいことだが、恐らくは酔っ払いかジャンキーが違法購入した銃器で上空のバイオスズメを打ち落としたのであろう。放置するわけにもいかず、不幸にも自宅のベランダへ落下して来たそれをどうにかすべくショウジ戸を開いた。息があれば動物病院へ。無ければヤキトリで食糧確保重点だ。

 しかし、ベランダにバイオスズメはいなかった。手すりに白いフートンが干してあるだけだ。ふと、カミジョウは背後を振り返った。薄暗い部屋の隅には、使い込んで黄ばんだフートンが折りたたまれて設置されている。夜間は家を空けることの多いカミジョウは、たまにしかフートンを干さぬし、ひとつしか持ち合わせていない。では、この白いフートンはいったい……? カミジョウは再度ベランダに目をやった。白いフートンの継ぎ目からは、銀色の流麗な長髪が流れて……長髪!?

「これは」表情に乏しいカミジョウも、流石に眼を見開いた。「ガイジンか」白いフートンだと誤認したのは、キリスト教系のシスター服だ。つまるところ、ベランダに引っ掛かっている先程の落下物は……少女!

 アングロサクソン系のシスターらしき少女は、ゆっくりと顔を上げた。カミジョウと目が合うと、その小さな唇が震え、か細い声を発する。「ォ、――――」カミジョウは咄嗟に身構えた。銃声、落下した少女、衰弱した様子。その小動物めいた矮躯に事件性の垣間見えるアトモスフィアを纏った少女に、何らかの危険を感じたのだ。彼女本人でなく、その周囲へ! ……そして、少女が口を開いた。

「おなかへった」「……」「おなかへった」「……」「おなかへった、って言ってるんだよ?」「ヌゥ……」数十秒間、マンション周囲へと感覚を張り巡らせて警戒していたカミジョウだったが、特に脅威らしき脅威は確認出来なかった。ただでさえ猥雑なネオ学園都市は、様々な音や臭いに溢れている。強盗や殺人もチャメシ・インシデントで、胡散臭い物品や薬物の流通は後を絶たない。そのようなケオスの只中において、道行く人間の十人が十人、口を揃えて明らかに異質と断言するような何かというのは、そうそう見つかるものでは無い……目の前のシスターを除いて。

「ねえ、聞いてる?」「……」カミジョウは部屋の中に引っ込むと、壊れた冷蔵庫の中を漁った。醗酵した食品類の中に、薄っすらとカビの生えたモチが混じっている。表面を削って煮れば、二人分の食事くらいにはなるだろう。再度ベランダに顔を出す。「オヌシ、一人で歩けるか」「ご飯……」「オーゾニくらいならば、作ってやる」「お雑煮!?」少女の表情がにわかに綻んだ。そして、あるいは無表情であったカミジョウの口元も、僅かに。


「インデックス・フォール・イン・ケオス」#1終わり #2に続く……?



――――――――


※続いちゃったネタ二段目。原作アトモスフィアの再現が大変。実際綻びがボロボロと。
※あまり長く続けるものでも無いのであらすじ交えて駆け足気味に行きます。
※一巻以降の予定は未定。決して禁書原作を最初らへんの巻しか読んだことがないとかではない。いいね?



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