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No.35049の一覧
[0] 【ネタ】ソードマスター天魔【Dies irae×神咒神威神楽】[ココア](2012/09/09 14:07)
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[35049] 【ネタ】ソードマスター天魔【Dies irae×神咒神威神楽】
Name: ココア◆90860ec1 ID:0ba533b8
Date: 2012/09/09 14:07
 Je veux le sang, sang, sang, et sang.
 Donnons le sang de guillotine.
 Pour guerir la secheresse de la guillotine.
 Je veux le sang, sang, sang, et sang.

 それは黄昏の唄。
 謳うのは愛しきものを喪った悲劇の英雄。
 敗者は勝者の頂から追放され届くことのない時空の彼方に。 
 全てを忘却した幻想が在りし日の中心へと堕ちてきた。
 歯車は静かに狂いだし、かくして誰も知らぬ舞台の幕があがる。
 では一つ、皆様この矛盾に満ちた神話をご観覧あれ。



 Auferstehn, ja auferstehn, wirst du,

 茶番ね。
 黄金練成? それで何が救われるというの?
 人形でしかないあなたたちに。
 期待するのも馬鹿馬鹿しい。 
 ――こんな世界だから誰も彼も失ってからでないと重要性に気付けない。

 Mein Staub, nach kurzer Ruh

 そう言わないでくださいよ。リザ。
 私たちは地獄に堕ち、あなたたちに永劫の安らぎを与える使者となった。 
 それに、いずれ滅びる世界なのだから今滅びさったとしても大差のないことでしょう。

 Unsterblich Lebin wird,

 無駄だぞ。言ったはずだ。
 そんな渇望では僕には届かない。
 分からないか、それでもいい。
 知らぬまま殺される方がお前は幸せだよ、螢

 Wieder aufzubluhn wirst du gesat!

 ――可哀想。
 貴方達は何も知らない。
 世界がどのようなものか。
 ただこの舞台装置の歯車となっているだけ。
 何もかも整えられた既知だと知らないまま。

 Der Herr der Ernte geht

 あなた達は負けた方がいい。
 下手に勝ってしまったらおぞましい未来を知ることになる。
 だからここで絶望して散りなさい。

 und sammelt Garben Uns ein, die starben.

 あなたとわたしじゃ同じ渇望でも次元が違うのよ。
 渇望(それ)が何を望んでるかというのが、どういうことか。
 都合よく忘れたまま見当違いなことばかり。
 その魔導で? その心で?
 彼の永遠と共にあるこのわたしに。
 たかだか創造位階で先へ進むことを諦めたあなたが?

 O granbe, mein Herz, o glanbe. Es geht dir nichts verloren!

 このわたしを!
 黄昏の同胞を!
 本気で潰せるだなんて思い上がるんじゃないわよォォッ!

 Dein ist, dein, was du gesehnt Dein, was du geliebt, was du gestritten!

 そう、オレは分かる
 オレたちにしか分からない
 お前も分かってるはずだ、この未知が――何を示すか

 O glaube , : du wardst nicht umsonst geboren!

 俺達の目的を教えてやるよ
 ――スワスチカで呼び出すのさ、俺達の大将を。
 最も、呼び出す本人が知ったらキレるだろうがな。

 Hast nicht umsonst gelebt, gelitten!

 …オレを殺せるのは人間だけだ。
 かかって来いよ、お二人さん。

 Was entstanden ist, das muβ vergehen.

 役者が良ければ芝居は至高―― ふん、負け犬の戯言だ。
 俺が奴以外に敗北(なっとく)するなど有り得んよ。
 我らの聖戦を汚す結末となったとしても喜劇はこれで終わらせる。

 Was vergangen, auferstehen!

 加減はしない。全霊だ。
 さあ――未知の先にあるものを辿ることなく亡び去るがいい。
 お前たちは勝利すべき者であらぬから。

 Hor auf zu beben! Bereite dich zu leben!

 覚悟したほうがいい。逃げられんぞ。
 我らが将は水銀の蛇が造りし超越する人の理。
 黄昏が従えた覇道の一であり、お前たちもよく知る男だ。

 O Schmerz! du Alldurchdringer!

 彼は強い、彼は強い、彼は強いの。
 この既知を今だ抜け出せない君に彼は倒せない。

 Dir bin, o Tod! du Allbezwinger, ich entrungen!

 見たのでしょう?
 そう、私の悲願はあの未来を覆すこと。
 消えさせたりだなんてしない。
 私たちはもう負けるわけにはいかないの。
 だから――

 ――■・■――

 真実はただ一つ。
 刹那の瞬間(いま)と過ぎ去った黄昏(ひび)に亡くしてはいけない渇望(ねがい)が輝く限り。

 ■■■――■■■■・■■■■


 今、この瞬間最後にして至高の役者が完成した。
 この場にいる異能者達や流出位階に達した者をも上回る天魔。
 この諏訪原に暴風の如く吹き荒れる神威はまさしく神と呼ぶに相応しき威厳。
 押し潰されるような圧力が舞台に注ぎ込まれて包み込んでいく。
 紅蓮の炎を思わせる刃、光り輝く白銀の鎧、それらを見に付けた漆黒の肌をした男を創生の基点とすると星天をも凍てつかせてしまいそうな肌を刺す感覚に皆が支配された。
 一言で例えるならそれは人を模る別の宇宙だろうか。
 人が広大な宇宙を測ることができないように――目の前のこれから力の底を窺うことが誰も出来ない。
 正体は――那由多の果てにある未知が一。黄昏の守護者となった藤井蓮その人に他ならない。 

「まだだ。俺を相手取りたいというのならこいつらを降してからにしてもらおう」

「邪僧」――黄金を模した邪なる聖者の光。
「紅葉」――死者を抱いた哀れな女の仮面。
「悪路」――穢れを引き受けた悪鬼。
「母禮」――二つの魂が混ざり合った激情の騎士。
「奴奈比売」――誰にも追いつけない魔女。
「大獄」――黄泉路へと誘う絶対の死。
「宿儺」――神の玩具に過ぎない傀儡。

 彼を中心にして出現した八つの魂。
 そのどれもかれもがこの場にいる誰かと符合する同一のもの。
 この場にいる役者の未来存在。 
 残滓にしか過ぎなかった亡霊は軍勢変生により擬似的な神格にまで昇華され形を成す。

「俺の刹那(なかま)はお前達には荷が重い役者だろうがなあ!」

 怒声と共に先陣を切るのは二つ。
 邪僧と紅葉は神を運ぶ者(クリストフ・ローエングリーン)と大淫婦(バビロン・マグダレナ)、太陽の御子(ゾーネンキント)へと吸い寄せられるように向かっていく。
 剥き出しの魂はその渇望を見る者全てに浸透させた。
 自己との闘争。それは己の咎をまざまざと見せ付けられる。
 敗れ去ることは互いに許されない。 
 本来の己と想いを取り戻した者たちとできなかった者たちによる激突が火蓋となり乱戦が始まる。


――これが僕の、櫻井戒の魂だ。

『まず感じたのは【救済】――求めしものは大切なものを守ること』

 それは歪な使命感を背負った男の残滓。

『この穢れを渡したくない。愛する他者に美しいままでいてもらいたい』

 これは自己犠牲による他者の救済と防衛の祈りが具現化した理であり。

『ああ、ならば簡単だ。僕が全てを受け止めればいい――死を喰らう者(トバルカイン)』

 醜悪でありながら優しき想いに彩られた渇望だった。

『一、二、三、四、五、六、七、八、九、十。
 布留部 由良由良止 布留部。
 血の道と血の道と其の血の道返し畏み給おう。
 禍災に悩むこの病毒を、この加持に今吹き払う呪いの神風。
 橘の 小戸の禊を始めにて、今も清むる吾が身なりけり。
 千早振る神の御末の吾なれば、祈りしことの叶わぬは無し』

 後ろに悠然と構える男の神威が象る世界をより強固なものへと変えていく。
 彼の者の言霊が紡ぎ終わると同時。
 己そのものを腐毒に変え、自らの一挙一動でありとあらゆるものを悉く腐り落とす地獄が顕現した。


――もう負けない。私はあの黄昏を喪いたくない。

『まず感じたのは【情熱】――求めしものは喪失した幸福。
 次に感じたのは【清浄】――求めしものは戦場を照らす光』

 それは梼昧でありながら清廉な願いを抱く女の残滓。

『私が犯した罪は――
 心からの信頼において、あなたの命に反したこと。
 私は愚かで あなたのお役に立てなかった。
 だからあなたの炎で包んでほしい』

 故に獅子心剣(レオンハルト・アウグスト)と戦乙女(ヴァルキュリア)が語るべき想いは全て言霊に込められる。

『かれその神避りたまひし伊耶那美は
 出雲の国と伯伎の国。その堺なる比婆の山に葬めまつりき
 ここに伊耶那岐。御佩せる十拳剣を抜きて、その子迦具土の頚を斬りたまひき』

 これは仲間たちが道を見失わないよう、閃光となって燃え続けたいという祈りが具現化した理であり。

『――我が槍を恐れるならば この炎を越すこと許さぬ』

 稲妻と火炎により光り輝く渇望だった。
 二振りの剣が森羅摧滅を成す灼熱の地獄。
 それこそが彼女の心象風景を映した世界である。


――ロートス、貴方を愛してる。

『まず感じたのは【劣等】――求めしものは刹那への愛』

 それは水底で遠い夜空に浮かぶ星を見つめる女の残滓。

『愛している。しかし愛したあなたの歩みに私は追いつけない
 待ってほしい。どこにも行かないで! 私を置き去りにしないで!』

 自分より前に行く者の足を止めたいという。

『しかしこの嘆きすらも駆け抜けるあなたに届かない。
 ならば止めてみせよう。私という存在の全てを賭けて。
 この淡い想いと共に――魔女の鉄槌(マレウス・マレフィカルム)』

 ただそれだけを想い、結晶となった渇望であった。

『ものみな眠るさ夜中に、水底を離るることぞうれしけれ。
 水のおもてを頭もて、波立て遊ぶぞたのしけれ。
 澄める大気をふるわせて。互に高く呼びかわし、緑なす濡れ髪うちふるい。
 乾かし遊ぶぞたのしけれ』

 愛しき男と共に紡ぐ世界創造に至福の境地に達している彼女にとって彼を奪うものは誰であろうと許さない。
 無間神無月の底にある影の海。停滞を促す地獄が敵対者に牙を向く。 


――敗北(なっとく)させてみろ、この俺を。

『まず感じたのは【終焉】――求めしものは唯一絶対の死』

 それはただ一つを求め続けた誇り高き孤高の戦士だった男の残滓。

『気付けば戦奴としていた我が身。度重なる望まぬ争いに身を費やし、無限の蘇生の輪から抜け出せぬ。
 ふざけるな。俺はこんなものを望んでなどいない』

 生涯ただ一度にしかない安息を至高のもので終わらせたいという尊き刹那への求道。

『故に俺は奴に手を貸すのだ。
 俺にそれを与えられるのは兄弟ただ人しかいないのだから――鋼鉄の腕(ゲッツ・フォン・ベルリッヒンゲン)』

 強制的な幕引きの渇望だった。

『死よ。死の幕引きこそ唯一の救い。
 この毒に穢れ蝕まれた心臓が動きを止め忌まわしき毒も傷も 跡形もなく消え去るように。
 この開いた傷口、癒えぬ病巣を見るがいい。
 滴り落ちる血の雫を。全身に巡る呪詛の毒を。武器を執れ。剣を突き刺せ。深く。深く。柄まで通れと。
 さあ。天魔達よ。
 彼らにその渇望もろとも止めを刺せば。至高の光はおのずから その上に照り輝いて降りるだろう』

 触れれば死ぬ。視界に入れたら死ぬ。
 ただそれだけの地獄。
 単純であるが故に滅するは至難。


――真面目に生きていない奴のことを、オレは絶対認めねぇ

『まず感じたのは【憤怒】――求めしものは傀儡からの脱却』

 それは神に弄ばれ続けた既知に飽く裏面の残滓。

 『あったのは変わらぬ景色。つまらぬ生。そして何者にも代え難い友』

 誰よりも神を知り、何よりも神を憎み、どの仲間よりも神の意を酌む。

『だから要らない。そしてお前たちも神に甘えるな。
 だが、そんな自分自身が一番許せない。
 殺してみせろ――狼を司る者(ゲオルギウス)』

 それ故に生まれた神を否定する渇望であった。

『アセトアミノフェン アルガトロバン アレビアチン エビリファイ ク ラビット クラリシッド グルコバイ
 ザイロリック ジェイゾロフト セフゾン テオドール テガフール テグレトール
 デパス デパケン トレドミン ニューロタン ノルバスク
 レンドルミン リピトール リウマトレック エリテマトーデス
 ファルマナント ヘパタイティス パルマナリー ファイブロシス オートイミューン ディズィーズ
 アクワイアド インミューノー デフィシエンスィー シンドローム 』

 詠唱最後の句を告げた時、己よりも脆弱な者たち全ての異能を封じる空間が生まれる。
 魔人がただの人になり、神が凡庸に堕ちる地獄。
 そのような魔境で化外を倒すことが出来るのは果たして如何なる者なのか。


――時よ止まれ。お前は美しい。

 我が身、地上の生活の痕跡は。
 幾世を経ても滅びるということがないだろう。
 そういう無上の幸福を想像して。
 今、彼らはこの最高の刹那を味わい尽くすのだ。

 Atziluth――

 やがて世界に歪が生じ神座の争いが始まった。
 一つの永劫回帰として終わるのか。
 大紅蓮地獄を流れ出させてしまうのか。
 それとも――
 超越の物語の始まり、そして未知の結末は新世界で語られる。


 神話はこれにて終わり。
 刹那の想いが世界を救う結末になると信じて――
 ご拝聴ありがとうございました。


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