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No.34965の一覧
[0] 【絶チル・勘違い】絶対遵守☆ザ・メイデン【ネタ】[立春](2012/09/04 17:20)
[1] 善性勘違いと悪性勘違い[立春](2012/09/05 11:53)
[2] 普通に両方とも駄目っていう[立春](2012/09/14 15:09)
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[34965] 善性勘違いと悪性勘違い
Name: 立春◆460bf551 ID:ec8f6a96 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/09/05 11:53

「陸。分かっているな」

「勿論です!ザ・チルドレンとの合同演習!これを取っ掛かりに仲良くなるチャンスですよねっ!」

「その通りだ。日本人を相手にする時は自身の有能さを如何にアピールするかによって評価が変わる。努々油断などしてくれるなよ」

「はい!気合いもやる気もMAXですっ!今なら知らないおじさんにスカートの中をまさぐられても文句言いませんっ!」

「おいやめろ。意味がわからん」

「えっ?りょーじょくものの登竜門でしょう?」

「…………なんて恐ろしい国だ、日本…っ!!」










『ザ・メイデン更正計画』

概要としては、ザ・メイデンこと有木 陸に、彼女の管理官たる村雨 理介の異常性を理解させ、彼女の意志で村雨から離れさせる、というのが目標だ

村雨は良くも悪くも彼女の恩人であり、権力や暴力といった後ろ暗い手段で村雨を排除した場合、彼女の精神に与えるダメージは決して軽いものではない、と判断されたためである

現状こそ超度6で落ち着いているが、彼女の実力を省みれば超度7…ザ・チルドレンと同レベルの危険な能力を持つエスパーであることに間違いない。今までは彼女の事情もあって軽視されていたが、彼女もまた予知された最悪の未来…エスパーVSノーマルの、最悪の戦争の引き金になりかねない存在なのである

言い方は悪いが、例えその関係が歪であろうとも、有木 陸がノーマルである村雨 理介に隷属しているのは、決してデメリットではないのだ。むしろ、将来のことを考えるとプラスになりかねない

――とはいえ、燃える局長。エスパーの少年少女への(親)愛を貫くマッスル&ラブユーな憎まれ役、桐壺は、現状を打破する気満々だった

真っ当な教育こそが、よりよい未来を掴むのだよキミぃ、ってな訳である

そしてその『真っ当な教育』を彼女に施すために選ばれたのは、やはり年齢、超度共に近いザ・チルドレンの三名だった

「今回の合同演習は、連携の強化やエスパー間の交流を目的にしたものではない。先日開発された軍用ECMの改良型…今回はECM乙型、及び甲型という名称で呼ぶ。乙型の起動実験だ」

という建て前であり、同時に改良型ECMの検査も兼ねている、というのも事実である。皆本の言葉に目を輝かせながらちらちらと隣に立つ陸の様子を伺うザ・チルドレンと、にこにこと微笑を浮かべたまま、皆本の隣に立つ村雨を見つめる陸

「軍用ECMは日本で開発した段階で、フルパワーならば超度7の超能力も減退させられることが確認されている。乙型はコメリカの指示によって作製されたものであり、バッテリー及び装置の大型化に伴い、出力、効果範囲、ESPキャンセルの幅を広げたものである。また、甲型は逆に出力を現状維持した状態で装置の小型化を目指したものだ。どちらも最大出力で実験を行う。目標値はザ・チルドレン3名の超能力を完全無効化するレベルだ。質問等はあるか?」

資料から目を離した皆本が周りを見渡せば、元気に上がる小さな手。目をきらきら輝かせた薫が元気に声を張り上げる

「それってこー型とおつ型が合体して巨大ロボになったりすんのかっ!?」

「ならんわっ!…あー、有木くんは大丈夫か?」

「はい。…あ、いえ。質問が」

控えめながらもしっかりと自分の意見を言える。それだけのことに妙なほどに安堵しつつ、皆本は目を細めて「なんだい?」問うた

「はい。…その、わたし、ECMは効果がないのですが…何故わたしが呼ばれたのでしょうか?」

心底困った。と言わんばかりに眉尻を下げる陸に、皆本は薄く笑った

彼女の超能力は電子操作。対して、ECMとは電波を介してエスパーの脳に作用し、超能力の使用を禁止する、という作りの機械である。電波とは即ち電子の波であり、彼女がそのつもりになればECMから投射される電波を無力化するどころか、自由にECMの電源をON、OFFすることが出来る。だからこそ彼女はリミッター以外にも、物理的な拘束が可能な鎖付きの手枷、足枷を填めているのだ。…尤も、それは管理官である村雨の趣味が反映されているのかもしれないが

「だから、だよ。もしECMが誤作動したり、なんらかの緊急事態に陥った場合、大事故に繋がる可能性もある。ザ・チルドレンは超能力を封じられている可能性が高いし、そんな状況になればノーマルの僕達は救助が遅れるかもしれない。そんな危機的状況になる前に、有木さんにECMの電源を落とす、あるいはザ・チルドレンの救助を任せたいんだ」

「…なるほど。理解しました。浅慮でしたね、申し訳ありません」

深々と頭を下げる陸。まだ12歳の少女だというのに、どこまでも子供らしくない彼女の姿に嫌なものがこみ上げる皆本。…これが必要に応じて身につけなければならなかった処世術ならば…村雨を許せそうにないな、と熱い息を吐く

「…では、早速起動実験を始めよう。ECMは大型トレーラーで設置済みだ。野上の超能力で4人纏めてテレポート。その後指示を待て」

「…村雨管理官。指示は僕が出します。計器類の記録をお願いします」

「…くっ、余計な口を挟んでしまったようだな。謝罪しよう」

どこか皮肉げな笑み。見下すような視線。大袈裟な動作で肩をすくめる村雨に、眉根を寄せる皆本

「…すいません。村雨さまも緊張しているんです。気を悪くしないでください」

「余計なことを言うな」

村雨の無礼を詫びる陸に、その心遣いを無碍にする村雨。…見ていて気持ちのいいものではない光景に顔をしかめながら、皆本は「じゃあ葵。『手はず通り』に頼む」と不適な笑みを浮かべた

ぱちんっ、とウインクして「りょーかいや。まかせときっ」と親指を立てる葵と、静かに頷く紫穂、大胆不敵に笑う薫を頼もしく思いながら、皆本は自身の戦いを前に気合いを入れ直す

作戦は、各個撃破。皆本が村雨の気を引いている内に、ザ・チルドレンがザ・メイデンに常識を叩き込む。あるいは、次回の作戦のための『渡り』を付ける

有木 陸と村雨 理介は同じマンションの同部屋で同居している。つまり、陸にプライベートな時間…1人になる時間はほとんどないはずだ。B.A.B.E.L.内でも陸と村雨が別行動しているところは全く見られない。つまり――四六時中監視されている

ならば、ザ・チルドレンを介して陸を村雨から引き離すことから始めるべきだ。陸も思春期の少女である以上、友人や他人との交流を求めているはず――ならば、ザ・チルドレンを餌にすることで、こちらのホームに陸を引き入れることが出来るかもしれない

打算に満ちた作戦だが、陸のことを心配する気持ちは同じ。どこまでもプラスの感情を持ちながら、皆本は一瞬で消えた4人の少女の姿を見送った

さあ、ここからは僕の仕事だ

村雨を、引き止める。陸の監視よりも皆本光一という人間を優先させる。そのために――

「…村雨、僕は――」

「皆本光一」

――出だしを、挫かれた。

「9月18日生まれの20歳。乙女座のB型。身長は181cmに体重は67kg。小学5年生のころフェルマーの最終定理を解き明かしたことにより、その頭脳を認められコメリカに留学。18歳の時点で学位を2つもつ天才児…。帰国後はECMやESPリミッターの開発に着手し、その能力、人柄を認められて特務機関B.A.B.E.L.の最強エスパーザ・チルドレンの担当官に抜擢される。家族構成は両親のみ。愛犬の名はトルテ。現在ザ・チルドレンの少女三名と同居中…」

――流れるような口調で吐き出された皆本の個人情報に、皆本の表情が引きつった

対して村雨は、どこか誇らしげに、にたりと笑みを浮かべた

「…これから『世話になる』かもしれないからな。色々調べさせてもらった」

「…っ!」

脅迫するつもりかっ!?いや、まさか、ザ・メイデン更正計画に気付いてそれの妨害をしようと…っ!?

「…しかし、そうか。両親と別居していて、犬を飼っているのか」

「…だから、なんだ?」

嫌な汗が、止まらない。濁りかけた村雨の視線に、怖気が走る

「…いや、心配にならないのか、と思ってな。だって…」

すぅ…と不気味な視線が、皆本を――皆本を通して、その背中を貫いた

「事故にあったりしないか、心配だろう?」

「…っ!!」

ギリッ、と拳を握りしめる。…人質を、とったつもりなのかっ!?

「私の家族、と言えるのは陸だけだが…あいつから目を離すのは、とても怖いぞ?…放っておいたら死んでしまうんじゃないか、と思うとな」

「どういう、意味だ…っ!?」

「…なに、大したことじゃない。アレの脳に埋めてあるチップやESP制御装置は、私以外にはいじれない…どころか、下手に介入しようとすれば、アレは確実に死ぬ。だから心配なんだ。別におかしいところはあるまい?」

…どの口が…っ!!悪意に満ちた言葉に、視界が真っ赤に染まったような気すらした。村雨のにやけた顔に拳を叩き込みそうな衝動を、必死に我慢する

「…君も、ザ・チルドレンが大切なんだろう?」

「あたり、まえだ…っ!」

「ああ、そうか。ふむ、やはり、君はいい奴だ。今度食事にでも行こうか。君とは今後、長い付き合いになりそうだ」

心底嬉しそうに笑う村雨の悪意に、皆本は憎々しげに歯を食いしばった

















対して、ザ・チルドレンとザ・メイデン。大型トレーラーを前に目を輝かせる薫を、にこにこと見守る陸の隣、こっそりと近づく紫穂

確かに、高超度エスパーを相手にした場合、サイコメトリーの能力は大きく低下する

だが、三宮紫穂は世界にたった三名しかいない超度7。肉体的な接触を伴えば、表層意識くらいなら読めないことはない。ならば、彼女が村雨をどういう風に認識しているのか、くらいは確認しておくべきだ、という判断だった

「ねぇ、有木さん」

「…はい、なにかご用事ですか?三宮さま」

当たり前のように年下の自分に敬語を使う陸に面食らいつつ、さり気なくその手を握る。陸は少し驚いたが、頬を桜色に染めて嬉しそうに笑った

(…あたたかい…うれしい…やわらかい…うれしい…)

ノイズ混じりだし、断片的にしか分からないが…確かに読める。それに手応えを感じながら、紫穂は陸に笑顔を向ける

「有木さんや村雨さんと会うのは初めてよね?だから、仲良くしたいなって」

「…光栄です」
(うれしい!うれしい!うれしい!)

素直な反応に…いやさ、素直すぎる反応に、少しばかり対応に困りつつ、紫穂は作り笑顔で問う

「だから、あなたたちのこと教えてくれないかしら?…村雨さんとは、どういう関係なの?」

表面上は、ちょっとマセた子供の会話。しかしその実、歪んだ大人から無垢な少女を助けるための救出劇。動揺を出さないよう、紫穂は笑顔の仮面を被る

「村雨さまは…わたしの、ご主人様です」
(頭撫でてくれる。うれしい。やさしい。ご飯食べれる。うれしい。あたたかいのがすき。村雨のことがすき。やさしい。うれしい。すき)

――成る程、と紫穂は1つ頷いた

これは、『刷り込み』に近い感情なのだろう

ずっと放置され、1人ぼっちに慣れてしまった少女が、初めて手をさしのべてくれた、という理由で悪人について行ってしまう…よくある話だが、それ故に救われない

きっとこんなエスパーが世界中にいるんだろうな…とどこか悲しいものを胸に抱きながら、紫穂は笑う

「そう、わたしにはよくわからないけど…多分、素敵ね。良かったら携帯番号交換しない?もっとお話聞きたいわ」

「はいっ!是非とも!」

笑顔で返事する陸に、どこか痛ましいものを感じて――紫穂はそっと、目を伏せた



















「友情の第一歩は、相手を理解することからだ、というの本当でしたね!」

「ああ、全くだ」

「いきなり心を読まれたのには驚きましたが、村雨のいいところもいっぱいアピールしておきました!きっと三宮さんもすぐ村雨のこと大好きになってくれますよ!」

「私はまだ仲良く、というレベルではないな。だが、彼は素晴らしい男だな。それに強い。私は家族を残して一人暮らしなんかできる気がしない。恐いだろう」

「…あれ?村雨も留学してたんじゃ…」

「私は施設の出だからな。家族はいない。施設でも浮いていたし、だから家族はお前くらいだ」

「…はぅ」

「どうした」

「…照れました。あの、あのあの、お父さん、とか呼びます?」

「やめろ不気味だ」

「ひどすぎます!」

「ともかく、私は彼を十分理解しているぞ、というアピールはしてきた。次は私のことを知ってもらうばんだな」

「あ、じゃあファイヤーウォール解除しておきますね?皆本さんが村雨のことを調べやすいように」

「ああ、頼む。そうだ、今日は外食しよう。いずれ皆本氏を誘うためにも、いい店を探しておきたい」

「ならわたし、ワニが食べたいです!」

「うむ、わかっ…えっ、ワニ?クロコダイル?」

「美味しいらしいですよ?『捕らわれの女軍曹〜連続ア○メ10日間。絶対白濁主義〜』で食べてましたし」

「…む、むぅ。ワニを食うのか…恐いな…」













村雨
→天然で悪人



→天然の天然


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