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No.34620の一覧
[0] 【習作】とあるデビルサマナーの事件簿【憑依・メガテン世界観】[お揚げHOLIC](2012/08/19 14:38)
[1] プロローグ 日常の中の放浪。[お揚げHOLIC](2012/08/19 14:39)
[2] 一話 境界線の上に立つ者。[お揚げHOLIC](2012/08/15 17:23)
[3] 二話 悪魔がほほ笑む。[お揚げHOLIC](2012/08/15 19:32)
[4] 三話 業界裏話。[お揚げHOLIC](2012/08/19 15:19)
[5] 四話 始動[お揚げHOLIC](2012/08/22 16:00)
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[34620] 二話 悪魔がほほ笑む。
Name: お揚げHOLIC◆4ce8aeb4 ID:33e9f425 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/08/15 19:32
β版・総合悪魔召喚プログラム。その存在をどう判断して良いか、しばし悩む。
まず、注意事項に記載されている情報だけでもインストールをためらうが、そこは問題の根幹ではない。
この悪魔召喚プログラムと言うものが存在する意味とは何か。

「・・・この世界が、アトラス系の世界観の、平行世界って事か?」

オタクと言う精神的属性はこんな所でも、優秀な精神耐性を発揮した。
こんな事はまともな頭なら中々考えられないのだが、
オタクはそんな事を普段から臆面も無く妄想しているものなので、簡単に思いついてしまうのである。

まさに愚者であった。



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とあるデビルサマナーの事件簿

(女神転生シリーズ二次創作)

二話 悪魔がほほ笑む。


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「んんー、まぁ脳の茹った結論は置いておいて・・・。」

どうするか。
差し当たり、このパソコンには大して重要なデータも無ければプログラムも入っていない。
伊織葵はクレジットカードなんか当然持ってないし、このパソコンが乗っ取られたとして金銭的な損害は出ない。
OSその他、ソフトウェアの原本であるDISCは残っているし、OSをアンインストールしても問題ないだろう。

「修理不可能になる可能性はあるが・・・。」

パソコン一つと引き換えにしても、価値のある手がかりだったならどうか?
現状を何とかする・・・少なくとも何かこの現象に説明の付けられる情報が手に入るなら。

「インストールする価値は、ある・・・・か?」

そこから散々悩んだ末、結局葵はインストールボタンをクリックする事にした。

どちらにせよ、虎穴に入らずんばと言う奴だ。危険を冒す価値はある。

カチリ。とマウスの左側を押し込んだ。

───瞬間。薄い液晶画面が、電源を落としたように黒くなる。
次いで、緊急コードを打ち込んだときのように黒画面に大文字でプログラムが走り始めた。

「んなっ!?」

覚悟はしていたものの、ぎょっとして飛びのく葵。
インストールとかそんなレベルじゃない。これはまるでハッキングである。。
ガリガリと、情報のフローでフリーズ寸前のハードディスクが唸りを上げる。

めまぐるしく流れて行くログ。
プログラムには多少の学がある俺でも、何を目的としたプログラムなのか、理解できない。
辛うじて、プログラムのファイル構造程度は予想が付くが、それまでだ。

これは本物だ。たかがゲームプログラム如きでは、無い。
液晶画面に、コミカルな効果音と共に指示が表示された。

《インストール完了まで、あと12時間42分32秒です。》


・・・・・・・・

・・・・


・・・バクバクと驚きに早鐘を打つ心臓。途端に静けさを増した、蒸し暑い部屋。
静寂の中に、カリカリとパソコンの作動音だけが響きわたる。

カーテンの間から熱い風が流れ込み、頬を撫ぜた。

「・・・・は、早まったかな。」

ゲーム時のように勝手にインストールが始まったり、一瞬でインストールが終わったりはしないらしい。
いや、それはβ版・・・つまり未完成品だからなのか?
安全マージンを多く取っているからデータ量が多いのだろうか。
わからない。ただ、どっちにしろ今決定的な何かの境界線を踏み越えようとしている事だけはわかる。

今出来る事は精々心の準備程度のことだが、なればこそ覚悟だけは怠ってはならないだろう。

ぼんやりとノートパソコンを眺める。
なんとなく、何の変哲も無い10年前のノートパソコンが妖気をまとっている様にさえ見えた。

取り合えず、インストール完了までの12時間はとても眠れそうに無かった。



@@@@



それからの12時間は大変なものだった。
兎にも角にも、ゲームならば悪魔召喚プログラムをインストールすると漏れなく悪魔が出現するのが常である。
しかもそれが契約済みの友好的なピクシー等ならばともかく、
野放しのケルベロスがご訪問等という事態になったら目も当てられない。

まあ、後者のような事態になったら確実に一家皆殺しなので考えるだけ無駄なのだが。

しかし準備するに越した事は無いのは確かだ。俺はホームセンターで3000円程の斧を買ってくると、手元に抱いた。
小型だが、災害時に家屋を破壊できる程度の強度と破壊力はある。
低級の悪魔なら、交渉に失敗した時にコイツで殴りかかれば、もしかしたら殺せるかもしれない。
儚い希望である。

グッと斧を握り締めながら、今か今かと机の上のノートパソコンを睨む。
インストール状況を示す時間は、あと30秒。緊迫した時間が続いた。

《インストールが完了しました。悪魔召喚プログラムを起動します。》


─────来た!!

緊迫の瞬間。今や召喚器と化したノートパソコンを睨む。
特徴的なブラウザが表示され、全ての機能が十全に機能し始める。マウスポインタの砂時計が直ちに消えた。

しかし、目に見える異変はまるで起こらない。

・・・・・・・カチ、コチと時計の音が響く。

しばらくして、ブゥンと電子音がなり、コミカルな効果音が鳴った。

《あなたの生体マグネタイトの波長パターンを登録します。画面の丸い円で囲まれた部分にタッチしてください。》
《登録された悪魔が居ません。残り12体の空きがあります。悪魔と契約して仲魔を増やして下さい。》

そんな、一秒とも一分とも付かない睨みあいの果て。
ノートパソコンにはなんとも、間の抜けた文字列が表示された。
さらにしばらく全身の筋肉を強張らせて、襲撃に備えるも何も起こらない。



───どうも・・・・何も起こらないようだ。

「は、はぁぁぁ~・・・・・・・。」

気が抜けて、葵はへなへなとその場に座り込んだ。カコンッと、斧の刃の先端がフローリングに突き刺さる。
こんな事の立て続けだ。心臓に悪い。

「と、とりあえず何も起こらないらしいな・・・。」

斧は取り合えず床に転がしておいて、よろよろと机に向かう。
なんとか気を取り直した葵はブラウザをカチカチと動かし始めた。
β版だけあってあまり親切な作りではないが、葵は真っ先にヘルプを起動して操作方法を確認した。

「どれどれ・・・。」

結論から言うと、そこには既に必要十分の用を果たすプログラムも多かった。
ベータ版と言えど、こちらは完成の域にあるらしい。
何度も修正アップデートされた痕跡がログに残っている。
基本的な契約システムに召喚システム。送還システムに待機機能。これ等は既に完成の域にあると見ていい。
・・・あくまでもスペックデータ上ではあるが。

しかし登録されている悪魔の情報が足りないため名前と伝承上の由来しか解らないデビルアナライス機能や、
精度が500m単位のエネミーソナー機能など、重要でありながら不十分極まる物も搭載されていた。

「まさにβ版って事か。」

こちらは使用者の実際に使用した稼動データを基に改良して初回版を作るつもりなのだろう。
そうすると、デビルアナライズも使えずエネミーソナーも凄まじく広域でしか作動しない状況では、
まるでβ晩テスターは捨て駒だ。

・・・・だが、このβ版を使う人間は多いだろう。

「パイオニアはどんな分野でも強い。やってみる価値はあるな。」

とりあえず、気を取り直してDDSブラウザをカチカチと弄くる葵。
結局悩んだ所でやる事は変わらない。まずは情報だ。

「・・・取り合えず、β版テスターは、最初から自分で悪魔を捕まえなきゃ駄目って事か?」

このDDSは本当に不親切な作りであった。
エネミーソナーで大雑把な悪魔の位置を特定して、ソイツと交渉しろ。と、その程度の事すら書いてない。

交渉不能な悪魔や、属性の判断すら其処には載っていなかった。
月の満ち欠けや、MAGの扱いすら。

まるで、このプログラムを使う人間には、その程度の知識があって当然とでもいうような内容である。

(いや・・・?まさかその通りなのか?β版は同業者を使って、微修正を繰り返すつもりだったとか?)

ブラウザを眺める。URL欄には、今度はちゃんとコードが載っている。
だがこれは・・・。

(・・・悪魔関連業者の専用回線?たまたま、俺のパソコンがそれに繋がってしまったとでも?)

URLには、全く未知のコードが記載されていた。コードの中には"dds"と言うワードがある。
どういうわけかこの悪魔召喚プログラムとか言う奴、
プロバイダと契約した覚えの無い回線とも、ネットを繋げてしまう力を持つらしい。
まあカメラも付いてないのに悪魔を分析したり、検知器も付いてないのにアイテムを解析できたりするプログラムである。
それくらい出来てもおかしくは無いが。

(・・・じゃあ、さっきまではどうやって繋がってた?さっきまでは、コイツは唯のノートパソコンだった筈。
・・・・まさか、磁気嵐?)

回線が全く違っても、極稀に混線して繋がってしまうというのは、世界規模で見れば年間何件も起きている事態だ。
磁気嵐の時や、雷の時などは有線でも起こりうる。回線番号以下のコードが万が一、一致していた場合は特にそうだ。
そもそも高度なハッカーなんて連中は、回線番号の違いなど物ともしないし、
ちょっとした無線設備があれば簡単にハッキングしてしまうものである。

そして今日は数奇な事に、太陽の黒点の位置が云々で、日の当たっている側の地球で広域に弱い磁気嵐が発生していた。
それほど広域に電波の乱れが発生していたなら、こういうことも起こってもおかしくはない。

また12時間ずっと安定して接続できたと言う事は、向こうのドメインの登録が特別緩いか、厳格すぎたのだろう。
向こうの管理機は一度接続できたら、コッチが切るか、向こうが気付いて切るしかないタイプのようだ。
そもそも、この特殊回線は制御系の一部で一般回線とも繋がっているのだろうとも推測できる。
俺は今回、特殊回線から這入って一般回線で接続された状態にあったわけだ。

俺はURLコードの中の、ddsと言うワードに注目する。

(ddsってのは要するに悪魔召喚プログラム(DigitalDevilSystem)のことだ。
なら、悪魔召喚プログラム関係者の、専用回線って事か。電話局に金払って開設する、私設回線みたいなものだろう。)

これがDDS-NETの原形なのかもしれない。あるいは・・・・それそのもの。
まぁともかくそれは良い。
重要なのは、その何故かその専用回線に繋げてしまって、こんなものをインストールしてしまった俺のことだ。
これからどうするべきか。

いやDDSをアンインストールして、見て見ぬ振りをしない以上、悪魔を捜して徘徊の一択しかないわけなのだが。


しかし・・・いきなり強力な悪魔と接触してしまったら?
・・・・・もしくはダークサマナーなんかとばったり出くわしてしまったら?

なかなか足踏みする展開である。

「あー、もう。糞、何もかも手探りだ。どうしろってんだよ。」

よくゲームの主人公達の行動を、非合理的だとか、ここはこうするべきだったとか思うことがある。
だがそれは物事を俯瞰し、背後設定世界観を理解し神の視点から物事を眺めるがゆえの現象だ。

自分がそういう事態の当事者になったが最後、
ここはこうするべきだろJKなどとゲラゲラ笑っていた者は慌てふためいて何も出来ないだろう。
大体世の中そんなものだ。

そして往々にしてそういう時必要なのは、正誤を判断するための思索ではなく、
より前へ踏み出すための蛮勇であったりする。

「β版で、まだ身内だけで回している段階って事は、世の中まだ悪魔で溢れかえっているって事は無いんだよな。」

それがいっそ、唯一の救いだ。
絶対数が多ければ、レベルの高い奴も増える。逆に、絶対数が少ない今ならば、雑魚が比較的多いだろう。

・・・・この世界の悪魔にそんな法則が適用されるかは未知数だが。




@@@@



────翌々日。

と、言うわけで路地裏である。
このあたりに弱い悪魔の反応があると言う事でやってきたのだ。

と言っても、現状Eソナーの精度は500m単位なので当てにはならないし、強弱の判定も怪しいものだ。

しかしこれ以上考えても馬鹿の考え休むに似たりとも言うし、善は急げとも言う。
防具は適当に業務用ホームセンターで買ってきた鉄板を厚手の服に縫いつけ、即席の胴鎧を作って装着した。
武器は、パソコンから飛び出してくる奴を警戒して買った消防斧だ。

どれも、上から服を着たり鞄に入れたりして簡単にカモフラージュできる。
加えて安全靴も履いて、一応考えうる手は打った。
時間とお財布と、俺の製作の手腕と相談した結果の最善の装備だ。

後は、実践あるのみ。


・・・・ちなみにここまでで、二万円以上出費しています。

伊織葵君には意外と貯蓄があったし、八月に入ってからはバイトもしているのでもうすぐ給料も入る。
それでも学生には辛いものである。まあ命の値段と考えれば、安すぎるくらいなのだが。

「しかし、さっさとこの異常事態に適応しないとまずいよな。」

もしこのプログラムが正式に世界中にばら撒かれたとして、訳もわからず使う連中も多かろう。
理解できず、アンイストールしてしまう奴も居るだろう。
しかし、危険を承知でデビルサマナーの道へ踏み出す奴も大勢居る筈。

その事実に考えが至った時。手がかり云々依然に、この危険な状況に対して背筋が総毛立つような寒気がした。
ゲームをプレイしていたときはこんなものを真剣に考えた事など無かったが、核ミサイルなど必要ない。
下手をすると、このプログラム一つで人類文明の秩序は崩壊する。

もしこのプログラムが本物ならば、最悪の場合これからのこの日本は・・・・。
いや、この全世界すらがどこにも安全な所など無くなってしまう。
そして自分の身を護る方法など、せいぜいデビルサマナーになるしか有効な手段が無いのだ。

警察も、自衛隊でさえ当てにはならない。
クズノハやヤタガラスのような機関にもコネが無いし、"この世界"にはあるかどうかさえ疑わしい。
ペルソナも持ってないし、禍魂も持ってない。

だから既に、自分には悪魔を仲魔にするしか身を護る方法など無いのだ。
ここまで思考を進められる人間ならば、最早己の選択の余地が無い事に気付くだろう。
全てが嘘だ、と笑い飛ばす事が出切れば良いのだが、それは生憎自分には出来そうにない。
なにせ、こちとら一度既に、信じ難いような超常的体験をしている。
こんなご時世、悪魔召喚プログラムの一つや二つ。あった所で不思議な事など何も無いのだ。
諸行無常である。

ザリザリと掃除のされていない砂利を踏んだ。
さらに路地裏を進んでいく。既にこの至近距離ではEソナーは役に立たない。

「ハァイ!人間さん、こんな所で何かあった?」

そんな事を考えて一人戦慄している間に、突如背後から声をかけられた。
見れば、明らかに悪魔だ。デザインは知っているものとは違うが、あれはまさしくピクシー。

さしずめ、<妖精 ピクシー が 一体 出た!>とでも言うべき状況である。

「え?・・・ああ。・・・・君を探してたんだ。」

「え?私を?っていうか、言葉がわかるの?・・・・もしかして、あなたサマナーさん?」

「ああ。(駆け出しだけどな)」

えらくアッサリと出会えたものである。異界の入り口とか捜す以前の問題だ。
俺が知らなかっただけで、もうこんなに世界には悪魔が溢れて返っているのか??

「・・・よかった~~。私いきなり人間界に放り出されて、途方にくれてたのよね。
MAGも切れかけだったからお腹が空いて空いて・・・。MAGくれるなら、仲魔になってあげてもいいよ?サマナーさん。」

うん?まあ初めからそのつもりだったからそれは良いんだが。

「・・・・いきなり放り出されたってどういう事だ?」

「え~っとね、何か今魔界で噂になってるんだけど、人間界から誰かが悪魔を無差別召喚してるみたいなの。
その召喚術事態は契約はガタガタで不完全だし、対価も無しで呼び出すだけだから誰も応えないんだどね。
ただ、私みたいな弱い悪魔は問答無用で呼び出されちゃう事もあるらしいのよ。多分それだと思うわ。」

「なっ!?誰がそんな馬鹿な真似を!?」

わけわかめ!

予想の斜め上だった。冷静に考えなくてもそれはやばい。
気まぐれでそこそこの高位悪魔が飛び出してくるだけで、大事件である。
まあ連中はそもそも人間界には出てこれるけど強すぎて肉体を維持できないとか、
そういう話らしいから余程酔狂な奴じゃないとやらないだろうが。

しかし、分霊が送り込まれてくる(若しくはもう送り込まれている)可能性は十分ある。
大体、雑魚悪魔だけでも普通の人間にとっては脅威なのだ。

「ね~、もういい?正直もう私、お腹ぺこぺこで目が回りそうなんだけれど・・・・。」

と、そんな事を考え込んでいる間にピクシーが我慢の限界と声をかけてきた。
指をくわえて此方を見るピクシー・・・実に可愛い。だが目がだんだん怪しい色に変わってきている。
飢えたる者は、何をするかわからない。さっさと契約したほうが良さそうだ。

「ああ、悪い悪い。ほら。これで契約成立だ。」

ノートパソコンを操作し、起動しているTALKを操作する。
TALKの交渉結果として、契約締結後のMAGの報酬譲渡を行うコマンドを実行する。
理屈の上では、これで契約完了だ。

が、残念ながら今俺は悪魔を倒して貯めたMAGの持ち合わせがないので、指の先にナイフの刃を滑らせた。
割と痛い上に、正直怖い。だが、ここでビビると悪魔に舐められるのでひと思いにスパッと行く。
指を差し出すと、ピクシーはすぐに吸い付いた。

「ちゅ~~~。」

人差し指に吸い付いて血液からMAGを摂取するピクシー。哺乳瓶をもごもごしている動物の赤ちゃんみたいで大変かわいい。
しかし、あんまり吸われすぎても問題なのでほどほどで辞めさせる。
体内から生体マグネタイトが抜け出る感覚・・・これは新しいな。

「ぷはっ。・・・ありがとう、サモナーさん。私はピクシー!コンゴトモヨロシク!」

そう言って、ピクシーは空中に展開された魔法陣と共に消えた。
ノートパソコンを覗き込めば、仲魔の欄に妖精 ピクシーの表示が映る。

「意外とあっけなかったな・・・・ともあれ、俺の記念すべき初仲魔か。ピクシーとはまた基本だな。」

今やCOMPと化したこのノートパソコンで調べた限り、自分がそこそこのMAG許容量を持っていたからこその荒業である。
最初の交渉がいきなり飢えた悪魔とのモノになるとは予想外だったが、こういう交渉も想定していたのが役に立った。

少し考えれば、本来は仲魔のいない初心者サマナーはMAGを十分持っている悪魔に対して契約内容で釣って戦わせる、
あるいは、サマナー自身で悪魔を狩ってMAGを貯めて契約する。
または師匠や関係者にMAGを初期投資してもらうという手あたりが定石だろうと推測できる。

が、こういう事もあるらしい。世の中色々あるものだ。

(しかし、後ろから声かけられたときはマジでビビった。飢えてても理性的なピクシーで助かったな・・・。)

いや、もしかすると声をかけて普通の人間だったらパクッと行ってしまう気だったのか・・・。
どちらにせよ、やはり悪魔は油断ならないと俺は肝に銘じた。








あとがき


とりあえず、ここまで投稿しました。
面白いと思ったら、感想ください。
糧になります。




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